「司法試験平成20年最新判例肢別問題集」
を出版しました

でじたる書房より、電子書籍司法試験平成20年最新判例肢別問題集を出版しました。
価格は税込で315円です。

平成20年に出された最高裁判例のうち司法試験に出題される可能性のあるものについて、肢別問題にしたものです。
問題数は、憲法59肢、行政法10肢、民法10肢、商法8肢、民訴法8肢、刑法11肢、刑訴法7肢の計113肢。
総ページ数は110ページで、PDF形式となっています。

新司法試験の短答式においては、最新判例の知識を問う出題がされています。
特に憲法では、最新判例であるにもかかわらず、細かい理由づけや個別意見等の知識を問う場合があります。
そこで、憲法については、やや細かめに、多数の肢を出題しています。
最新判例の学習に役立てば幸いです。

以下は、本書の一部抜粋です。

【憲法問題】

8:写真集「MAPPLETHORPE」を日本語に翻訳したものを我が国に輸入しようとした事案につき、当該写真集は関税定率法21条1項4号にいう「風俗を害すべき書籍、図画」等に該当しないと判示した最高裁判決において、当該写真集に含まれる性器を描写した写真がカラー写真ではなく、白黒写真であることは、当該写真集が主として見る者の好色的興味に訴えるものと認めることについて消極的な要素の一つとされているが、当該写真集が日本語に翻訳されたものであることは、積極的要素とも消極的要素ともされていない。

9:写真集「MAPPLETHORPE」を日本語に翻訳したものを我が国に輸入しようとした事案につき、当該写真集は関税定率法21条1項4号にいう「風俗を害すべき書籍、図画」等に該当しないと判示した最高裁判決において、当該写真集は広く一般大衆による購読、鑑賞を想定しているとし、このことが主として見る者の好色的興味に訴えるものと認めることについて消極的な要素の一つとされた。

15:住基ネットのシステム上の欠陥等により外部から不当にアクセスされるなどして本人確認情報が容易に漏えいする具体的な危険はないこと、受領者による本人確認情報の目的外利用又は本人確認情報に関する秘密の漏えい等は、懲戒処分又は刑罰をもって禁止されていること、住民基本台帳法(以下「住基法」という。)は、都道府県に本人確認情報の保護に関する審議会を、指定情報処理機関に本人確認情報保護委員会を設置することとして、本人確認情報の適切な取扱いを担保するための制度的措置を講じていることなどに照らせば、住基ネットにシステム技術上又は法制度上の不備があり、そのために本人確認情報が法令等の根拠に基づかずに又は正当な行政目的の範囲を逸脱して第三者に開示又は公表される抽象的な危険が生じているということはできない。

20:各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で防衛庁の職員及びその家族が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分及びその敷地に管理権者の意思に反して立ち入った行為を邸宅侵入罪(刑法130条前段)によって処罰することが憲法21条1項に違反しないことは、新潟県公安条例事件判例(最大判昭29・11・24)及び東京都公安条例事件判例(最大判昭35・7・20)の趣旨に徴して明らかである。

23:婚姻費用の分担に関する処分の審判に対する抗告審が抗告の相手方に対し抗告状及び抗告理由書の副本を送達せず、反論の機会を与えることなく不利益な判断をした事案に関する最高裁判決において、「憲法31条の定める適正手続の保障は、同条が直接規定する生命若しくは自由に対する規制の場面だけではなく、国又は国家機関が、国民に対して一定の強制力を行使する場合に守られるべき基本原則というべきものであり、刑事手続だけでなく、民事手続や行政手続においても同条は類推適用されるべきものである。また、憲法32条の定める裁判を受ける権利は、憲法31条の定める適正手続の保障の下での裁判を受ける権利を定めたものであって、裁判手続において適正手続が保障されていないときには、憲法違反の問題が生じ得る」との立場から、抗告審の手続は憲法32条に違反すると述べた反対意見がある。

33:血統主義を基調としつつ、日本国民との法律上の親子関係の存在に加え我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を設けて、これらを満たす場合に限り出生後における日本国籍の取得を認めることは、今日の我が国を取り巻く国内的、国際的な社会的環境等の変化に照らしてみると、その合理的根拠を見いだすことがもはや難しくなっている。

34:日本国民が母である非嫡出子の場合、あるいは胎児認知を受けた場合は、出生時において法的に日本国民の子であることが確定しているのであって、その後の生活状況の相違が影響する余地がない一方、国籍は、出生時において、一律に付与される必要があることからすれば、これらの子にも国籍を付与することに合理性があり、実質的に見ても、非嫡出子は出生時において母の親権に服すること、胎児認知は任意認知に限られることなど、これらの場合は、強弱の違いはあっても、親と子の関係に関し、既に出生の時点で血統を超えた我が国社会との結び付きを認めることができる要素があるといえる。また、母が日本国民である場合との差は、出生時における子との種々のかかわり合いに関する父と母の違いから生じるもので、これを男女間における差別ととらえることは相当でない。

48:日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた当時の国籍法3条1項所定の国籍取得の要件が満たされるときにおける日本国籍の取得の可否に関する最高裁大法廷判決の多数意見の見解は、国民に権利利益を与える規定が、権利利益を与える要件として、A、Bの二つの要件を定め、この両要件を満たす者に限り、権利利益を与える(反対解釈によりA要件のみを満たす者には権利利益を与えない。)と定めている場合において、権利利益を与える要件としてA要件の外にB要件を要求することが平等原則に反し、違憲であると判断されたときには、その法律全体の仕組み、当該規定が違憲とされた理由、結果の妥当性等を考慮して、B要件の定めのみが無効である(すなわちB要件の定めがないもの)とし、その結果、A要件のみを満たした者についても、その規定の定める権利利益を与えることになるとする見解と整合しない。

55:放送事業者又は放送事業者が制作に協力を依頼した関係業者から素材収集のための取材を受けた取材対象者が、取材担当者の言動等によって、当該取材で得られた素材が一定の内容、方法により放送に使用されるものと期待し、あるいは信頼したとしても、その期待や信頼は原則として法的保護の対象とはならないというべきであるが、取材対象者が抱いた上記のような期待、信頼がどのような場合でもおよそ法的保護の対象とはなり得ないということではなく、当該取材に応ずることにより必然的に取材対象者に格段の負担が生ずる場合、または、取材担当者が、取材対象者に対し、取材で得た素材について、必ず一定の内容、方法により番組中で取り上げる旨説明し、その説明が客観的に見ても取材対象者に取材に応ずるという意思決定をさせる原因となるようなものであった場合には、取材対象者が同人に対する取材で得られた素材が上記一定の内容、方法で当該番組において取り上げられるものと期待し、信頼したことが法律上保護される利益となり得るものというべきである。

【刑法問題】

9:A(51歳)は、某日午後7時30分ころ、自転車にまたがったまま、歩道上に設置されたごみ集積所にごみを捨てていたところ、帰宅途中に徒歩で通り掛かった甲(41歳)が、その姿を不審と感じて声を掛けるなどしたことから、両名は言い争いとなった。
 甲は、いきなりAの左ほおを手けんで1回殴打し、直後に走って立ち去った。
 Aは、「待て。」などと言いながら、自転車で甲を追い掛け、上記殴打現場から約26.5m先を左折して約60m進んだ歩道上で甲に追い付き、自転車に乗ったまま、水平に伸ばした右腕で、後方から甲の背中の上部又は首付近を強く殴打した。
 甲は、上記Aの攻撃によって前方に倒れたが、起き上がり、護身用に携帯していた特殊警棒を衣服から取り出し、Aに対し、その顔面や防御しようとした左手を数回殴打する暴行を加え、よって、同人に加療約3週間を要する顔面挫創、左手小指中節骨骨折の傷害を負わせた。
 上記事例において、甲は、Aから攻撃されるに先立ち、Aに対して暴行を加えているのであって、Aの攻撃は、甲の暴行に触発された、その直後における近接した場所での一連、一体の事態ということができ、甲は不正の行為により自ら侵害を招いたものといえるから、甲に正当防衛は成立しない。

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