「司法試験平成21年最新判例肢別問題集」
を出版しました

でじたる書房より、電子書籍「司法試験平成21年最新判例肢別問題集」を出版しました。
価格は税込みで315円です。

本書は、平成21年に出された最高裁判例のうち司法試験に出題される可能性のあるものを選び、肢別問題にしたものです。
問題数は、憲法74肢、行政法12肢、民法20肢、商法5肢、民訴法3肢、刑法7肢、刑訴法7肢の計128肢です。
総ページ数は、101ページです。
ファイル形式は、PDF形式となっています。

以下は、本書の一部抜粋です。


【憲法問題】

1:販売の業務に従事する者と客とが直接対面する方法によらずに販売を行うことができる設備を有する機器へ有害図書類を収納することを禁止し、その違反を処罰する条例の合憲性が争われた事件において、最高裁は、当該条例定めるような有害図書類が、一般に思慮分別の未熟な青少年の性に関する価値観に悪い影響を及ぼすなどして、青少年の健全な育成に有害であることは社会共通の認識であり、これを青少年に販売することには弊害があるということができると判示した。

2:販売の業務に従事する者と客とが直接対面する方法によらずに販売を行うことができる設備を有する機器へ有害図書類を収納することを禁止し、その違反を処罰する条例の合憲性が争われた事件において、最高裁は、自動販売機によってこのような有害図書類を販売することは、売手と対面しないため物理的に購入が容易であること、昼夜を問わず販売が行われて購入が可能となる上、どこにでも容易に設置でき、本件のように周囲の人目に付かない場所に設置されることによって、一層物理的規制が働きにくくなると認められることなどの点において、書店等における対面販売よりもその弊害が大きいと判示した。

3:販売の業務に従事する者と客とが直接対面する方法によらずに販売を行うことができる設備を有する機器へ有害図書類を収納することを禁止し、その違反を処罰する条例の合憲性が争われた事件において、最高裁は、たとえ青少年に有害図書類が販売されないことが十分担保されている場合であっても、上記収納禁止違反を処罰の対象とすることは憲法上許されると判示した。

4:販売の業務に従事する者と客とが直接対面する方法によらずに販売を行うことができる設備を有する機器へ有害図書類を収納することを禁止し、その違反を処罰する条例の合憲性が争われた事件における最高裁の立場は、青少年以外の者が書店等で有害図書類を自由に購入できることが前提となっている。

5:販売の業務に従事する者と客とが直接対面する方法によらずに販売を行うことができる設備を有する機器へ有害図書類を収納することを禁止し、その違反を処罰する条例の合憲性が争われた事件において、最高裁は、チャタレー事件(最大判昭32・3・13)、悪徳の栄え事件(最大判昭44・10・15)、小売市場事件(最大判47・11・22)、薬事法事件(最大判昭50・4・30)、東京都公安条例事件(最大判昭35・7・20)、福岡県青少年保護育成条例事件(最大判昭60・10・23)及び岐阜県青少年保護育成条例事件(最大判平元・9・19)の各判例を引用して憲法21条1項、22条1項、31条に違反しないと判示した。


【憲法解答】

1:正しい(最判平21・3・9)。

 「本条例の定めるような有害図書類が、一般に思慮分別の未熟な青少年の性に関する価値観に悪い影響を及ぼすなどして、青少年の健全な育成に有害であることは社会共通の認識であり、これを青少年に販売することには弊害があるということができる」と判示した。

2:誤り(最判平21・3・9)。

 「自動販売機によってこのような有害図書類を販売することは、売手と対面しないため心理的に購入が容易であること、昼夜を問わず販売が行われて購入が可能となる上、どこにでも容易に設置でき、本件のように周囲の人目に付かない場所に設置されることによって、一層心理的規制が働きにくくなると認められることなどの点において、書店等における対面販売よりもその弊害が大きいといわざるを得ない」と判示した。
 本肢は、上記下線部が「物理的」となっており、対面か非対面かで物理的な購入の困難さには違いがないから、誤っている。

3:誤り(最判平21・3・9)。

 「本件のような監視機能を備えた販売機であっても、その監視及び販売の態勢等からすれば、監視のための機器の操作者において外部の目にさらされていないために18歳未満の者に販売しないという動機付けが働きにくいといった問題があるなど、青少年に有害図書類が販売されないことが担保されているとはいえない。以上の点からすれば、本件機器を含めて自動販売機に有害図書類を収納することを禁止する必要性が高いということができる」と判示した。
 上記のように、本判例は青少年に有害図書類が販売されないことが担保されているとはいえない場合について判示しているから、青少年に有害図書類が販売されないことが十分担保されている場合にまで処罰の対象とすることについて憲法上許されるとは判示していない。よって、本肢は誤りとなる。

4:正しい(最判平21・3・9)。

 「青少年以外の者に対する関係においても、有害図書類の流通を幾分制約することにはなるが、それらの者に対しては、書店等における販売等が自由にできることからすれば、有害図書類の「自動販売機」への収納を禁止し、その違反に対し刑罰を科すことは、青少年の健全な育成を阻害する有害な環境を浄化するための必要やむを得ないものであって、憲法21条1項、22条1項、31条に違反するものではない」と判示した。
 上記のように、本判例は青少年以外の者が書店等において自由に販売等を受けられること(購入可能であること)を前提としている。よって、本肢は正しい。

5:誤り(最判平21・3・9)。

 「有害図書類の「自動販売機」への収納を禁止し、その違反に対し刑罰を科すことは、青少年の健全な育成を阻害する有害な環境を浄化するための必要やむを得ないものであって、憲法21条1項、22条1項、31条に違反するものではない。このように解することができることは、当裁判所の判例(昭和28年(あ)第1713号同32年3月13日大法廷判決・刑集11巻3号997頁、昭和39年(あ)第305号同44年10月15日大法廷判決・刑集23巻10号1239頁、昭和45年(あ)第23号同47年11月22日大法廷判決・刑集26巻9号586頁、昭和43年(行ツ)第120号同50年4月30日大法廷判決・民集29巻4号572頁、昭和57年(あ)第621号同60年10月23日大法廷判決・刑集39巻6号413頁)の趣旨に徴し明らかである(最高裁昭和62年(あ)第1462号平成元年9月19日第三小法廷判決・刑集43巻8号785頁参照)」と判示した。
 上記引用判例は、順にチャタレー事件、悪徳の栄え事件、小売市場事件、薬事法事件、福岡県青少年保護育成条例事件、岐阜県青少年保護育成条例事件である。東京都公安条例事件判例は引用されていないから、本肢は誤りである。東京都公安条例事件判例はデモ行進の規制に関するものであるから、本判例の事案とは関係がない。

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