最新下級審裁判例

宇都宮地裁決定平成19年12月18日

【事案】

1.被告事件は,「被告人は,Aらと共謀の上,平成▲年▲月中旬ころ,埼玉県南埼玉郡○○1756番地所在の株式会社○○残土置場において,B管理に係るブルドーザー1台(時価約○○万円相当)を窃取したものである。」との事実(以下「本件事件」という。)を訴因とするもので,検察官は,この事実に関して,要旨

「(1) 平成▲年▲月中旬とは,同年▲日午後▲時ころから同月▲日までの間(▲日を含む。)であり,共謀成立日と犯行日は同日である。

(2) A以外の共犯者は,回送車の運転手等であるが,氏名不詳である。

(3) Aは,本件事件に関して公訴提起されていない。

(4) CことDは,本件事件の共犯者ではない。」

旨の釈明をしているが,被告人は,本件事件を否認している。
 なお,検察官は,その冒頭陳述及び証明予定事実記載書において,要旨

「(1) 被告人は,平成▲年▲月ころから平成▲年▲月ころ,共通の知人を通じて,Dと知り合った。

(2) 被告人は,同年▲月ころ,Dを通じて,Aと知り合った。

(3) 被告人は,以後,DやAらと共に,建設機械を盗み出して売却して,金を手に入れるようになった。

(4) Dは,本件事件当日昼ころ,被告人から,本件事件のブルドーザーを窃取するのでその処分先を紹介してもらいたい旨の電話を受け,Aに対して被告人と連絡するように電話した。

(5) 被告人は,Aの主導で,埼玉県内の○○商事敷地内まで本件事件の被害品を運んだ。

(6) Aは,本件事件の被害品を千葉県内の建設機械の輸出業者に売却し,被告人は,40万円の分け前を受け取った。」

と主張している。

2.請求の趣旨及び理由の要旨は,概ね次のとおりである。

(1)ア.検察官は,被告人が回送車の運転手等の共犯者と共に本件事件を実行した旨主張しているから,「被告人にはA以外に重機の運送業者の共犯がいた」との事実は,刑訴法316条の15第1項6号所定の「特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実」である。したがって,当該「事実の有無に関する供述を内容とする」供述録取書等は,証拠開示の重要性及び必要性が認められる限り,同号に基づいて開示対象となる。

イ.捜査官が作成した捜査報告書は,捜査官の供述書(弁護人は,「供述調書」と記載するが,供述書の誤記と窺える。)であって,被告人以外の者の供述録取書等に該当することは明らかである。そして,検察官主張のような共犯者の存否を確認することは,被告人の防御のために必要かつ重要であるから,重機等の運送業者の事情聴取に関して作成された捜査報告書は,刑訴法316条の15第1項6号に基づき,いずれも開示されるべきである。

ウ.捜査官の捜査報告書を同号に基づく開示対象としない裁判例は,証拠開示請求の制度が設けられた理由を理解しない不当なものである。すなわち,証拠開示の制度は,その前提となる公判前整理手続において,充実した公判の審理を継続的,計画的に実現するために,早期に争点を整理し審理計画を立てることが必要であるが,そのために,圧倒的な捜査力を有する検察官に対し,被告人にも実質的な対等関係を確保する必要から早期に証拠に接することができるよう認められたものである。なるほど,捜査報告書を証拠として提出する場合には,それが再伝聞証拠であることから不同意とされた場合には証拠能力を獲得するのは難しいが,その場面とは異なる証拠開示の段階で,原供述でないことから類型証拠に該当しないというのは,理由がない。

(2)ア.検察官は,被告人がAの主導で,埼玉県内にある○○商事の敷地内まで本件事件の被害品を運んだ旨を主張しているから, この事実は,刑訴法316条の15第1項6号所定の「特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実」である。したがって,当該「事実の有無に関する供述を内容とする」供述録取書等は,証拠開示の重要性及び必要性が認められる限り,同号に基づいて開示対象となる。

イ.そして,Aは,その供述録取書で,上記事実を供述しているところ,その証明力を検討するためには,○○商事の関係者がどのように供述しているかを検討することが重要で,被告人の防御のために必要である一方,開示による弊害はない。したがって,○○商事の関係者(E他)の供述録取書及びその関係者の捜査に関する捜査報告書は,刑訴法316条の15第1項6号に基づき,いずれも開示されるべきである。

(3)ア.検察官は,Aが窃取した被害品を千葉県内の建設機械の輸出業者であるベトナム人Fに売却した旨主張しているから,この事実は,刑訴法316条の15第1項6号所定の「特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実」である。したがって,当該「事実の有無に関する供述を内容とする」供述録取書等は,証拠開示の重要性及び必要性が認められる限り,同号に基づいて開示対象となる。

イ.そして,Aは,その供述録取書で,上記事実を供述しているところ,その証明力を検討するためには,Fの存否及びFがどのように供述しているかを検討することが重要で,被告人の防御のために必要である一方,開示による弊害はない。したがって,Fの供述録取書及びその所在に関する捜査報告書は,刑訴法316条の15第1項6号に基づき,いずれも開示されるべきである。

(4)ア.検察官は,被告人が平成17年6月にAと知り合って以後,DやAらと共に,建設機械を盗み出して売却し,金を手に入れるようになった旨主張しているから,この事実は,刑訴法316条の15第1項6号所定の「特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実」であり,この事実は,本件事件の罪体を証明するための間接事実又は重要な情状事実である。したがって,当該「事実の有無に関する供述を内容とする」供述録取書等は,証拠開示の重要性及び必要性が認められる限り,同号に基づいて開示対象となる。

イ.そして,被告人が関与した本件事件以外の窃盗事件の関与者の供述録取書を確認することは,A及びDの供述のその証明力を検討するために重要で,被告人の防御のために必要である一方,開示による弊害はない。
 したがって,被告人が関与した本件事件以外の窃盗事件の関与者の供述録取書は,刑訴法316条の15第1項6号に基づき,いずれも開示されるべきである。

(5) Aは,被告人と共に本件事件以外にも窃盗事件を惹起した旨をその供述録取書で述べているところ,そのような事実は,本件事件の重要な間接事実又は情状事実になることから,被告人が関与した本件事件以外の窃盗事件に関して作成された実況見分調書は,当該事実の存否を確認する上で重要な客観的証拠であり,刑訴法316条の15第1項3号に基づき開示されるべきである。

【判旨】

1.重機等の運送業者の事情聴取に関して作成された捜査報告書,○○商事の関係者(E他)の捜査に関する捜査報告書及びFの所在に関する捜査報告書について

 捜査官の作成した捜査報告書が,捜査官自身の供述を記録した供述書であって,それが刑訴法316条の14第2号で定義される供述録取書等に該当することは,所論のとおりである。
 しかしながら,同法316条の15第1項6号所定の供述録取書等がいわゆる類型証拠として開示対象とされているのは,信用性が様々であり,一般的に開示の必要性が高いとはいえない供述録取書等のうち,特に開示の必要性の高い類型に限って開示を認めることで,その弊害との権衡をはかりつつ被告人の防御に資することを目的としたものと解される。このような同号の趣旨に鑑みると,同号にいう「供述」は,検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関して供述者が直接体験した事実を記録したものに限られ伝聞供述は含まれないと解するのが相当である。そして,弁護人の開示請求に係る上記捜査官の作成した捜査報告書は,いずれも,検察官が直接証明しようとする事実の有無に関して捜査官が聞知した内容を記載したものであるに過ぎず,当該事実を直接体験した事実を記載したものではないから,同号にいう「供述」を記録したものではなく,同号に該当しない。
 よって,これらに関する開示請求は,これを認めることができない。

2.○○商事の関係者(E他)及びFの供述録取書等について

 検察官は,これらのうちその手持ち証拠で未開示のものは存在しないと述べている。そして,存在しない証拠は開示するに由なく,その重要性,必要性又は弊害の有無につき判断するまでもなく,これらに関する開示請求は,これを認めることができない。

3.被告人が関与した本件事件以外の窃盗事件の関与者の供述録取書等について

(1) 被告人は,本件事件への関与を肯認しているのであるから,Aとの共謀及び実行の有無が重要な争点となることが予想される。そして,被告人とAとの間に本件事件の共謀が成立するに至る経緯,特に平成17年6月から本件事件発生までの間にA又はDが被告人と共に関与した窃盗事件の存否は,本件事件に関する被告人とAとの間の共謀事実を推認させる間接事実として,本件事件との関連性を失うものではない。
 他方,検察官は,本件事件のいわゆる一件捜査記録に含まれない証拠をも本件事件における証拠開示の対象とはなり得ない旨主張し,なるほど刑訴法316条の15第1項が検察官に対して新たな証拠を作成や入手を義務付けるものではないことは所論のとおりである。しかしながら,同法316条の27第2項は,検察官に対して「その保管する証拠」に基づいて一覧表を作成する義務を課しており,ここにいう証拠がいわゆる一件捜査記録と同一であるとするに足りる根拠は見当たらない。むしろ,開示請求時点のいわゆる一件捜査記録のみを基礎とし,その時点でたまたまそこに編綴されていないことを根拠として,開示対象の要件を欠くとすることはできない。このように,上記「その保管する証拠」の範囲は,刑訴法316条第1項の趣旨に照らして実質的に判断されるべく,検察官の上記主張には理由がない。

(2) 弁護人が当初,A及びDの本件事件以外の窃盗事件に関する各供述録取書等の開示をも請求していたことから,当裁判所は,宇都宮地方検察庁検察官に対し,平成17年6月から本件事件が発生するまでの間に,A又はDが被告人と共に関与した窃盗事件に関する,A又はDの供述録取書等の提示を命じたところ,検察官は,弁護人に開示済みのものを含めて,これを当裁判所に提示した(なお,検察官は,その一部について,「提示命令の趣旨にかんがみ,一件捜査記録に含まれていない下記の書証を任意に提示する。」旨注記している。しかしながら,検察官が提示命令に含まれない証拠を裁判所に対して提示する法的根拠はなく,むしろ,そのような行為は,いわゆる起訴状一本主義(刑訴法256条6項参照)を潜脱し得るものであって到底許容されない。しかしながら,検察官提示に係る証拠は,いずれも当裁判所の発した上記提示命令の指定する範疇に含まれているか,あるいは本件事件とは無関係のものであるから,検察官の上記提示に結果として違法の咎は認められない。なお,検察官は,その後,提示命令に係るこれらの供述録取書を,いずれも任意に弁護人に開示した。)。そして,上記提示命令により提示されたA及びDの各供述録取書によれば,当該窃盗事件にはもう一名の人物が関与していたことが窺える。

(3) しかしながら,検察官は,当該関与者は検挙されておらず,その供述録取書等も存在しないと述べている。そして,存在しない証拠は開示するに由なく,その重要性,必要性又は弊害の有無につき判断するまでもなく,これらに関する開示請求は,これを認めることができない。

4.被告人が関与した本件事件以外の窃盗事件に関して作成された実況見分調書

 前記のとおり,平成▲年▲月に発生した窃盗事件は,本件事件と関連性を失うものではない。しかしながら,当該窃盗事件と本件事件との関連は,あくまでも後者における被告人とAとの間の共謀を推認させる間接事実であるというにとどまり,それ以上に,当該窃盗事件についてその現場状況を含む詳細な立証が必要となるものではない。したがって,弁護人請求に係る実況見分調書は, 刑訴法316条の15第1項柱書所定の必要性を欠き,これを開示することは,不相当である。
 したがって,弁護人の請求は,これを認めることができない。

 

千葉地裁判決平成20年10月14日

【事案】

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(以下「援護法」という。)1条所定の被爆者である原告らが,援護法11条1項に基づき,それぞれ疾病が原子爆弾(以下「原爆」という。)の傷害作用に起因する旨の認定を申請したのに対し,被告厚生労働大臣(原告Dについては処分行政庁。以下同じ。)がこれらを却下したため,各却下処分(以下「本件各処分」という。)の取消しを求めるとともに,被告国に対し,国家賠償法1条1項に基づき,それぞれ慰謝料200万円及び弁護士費用100万円の損害賠償金並びにこれらに対する遅延損害金の支払を求める事案。

【判旨】

1.援護法10条1項,11条の規定によれば,原爆症認定をするためには,被爆者が現に医療を要する状態にあること(要医療性)のほか,現に医療を要する疾病等が原爆の放射線に起因するものであるか,又は上記疾病等が放射線以外の原爆の傷害作用に起因するものであって,その者の治癒能力が原爆の放射線の影響を受けているため上記要医療状態にあること(放射線起因性)を要すると解される。
 そして,行政処分の要件として因果関係の存在が必要とされる場合に,その拒否処分の取消訴訟において被処分者がすべき因果関係の立証の程度は,特別の定めがない限り,通常の民事訴訟における場合と異なるものではないから,訴訟上の因果関係の立証は,一点の疑義も許されない自然科学的証明ではないが,経験則に照らして全証拠を総合検討し,特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性を証明することであり,その判定は,通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とすると解すべきである(最高裁平成10年(行ツ)第43号同12年7月18日第三小法廷判決・裁判集民事198号529頁)。
 放射線起因性の要件を定めた援護法10条1項の規定は,放射線被曝と疾病等ないしは治癒能力低下との間に通常の因果関係があることを要件として定めたものと解すべきであるから,上記の理は,この場合にも当てはまるというべきである。
 もっとも,人間の身体に疾病等が生じた場合に,その発症に至る過程においては,多くの要因が複合的に関連していることが通常であって,特定の要因から当該疾病等の発症に至った機序を立証することには自ずから困難が伴うものであり,殊に,放射線による後障害は,放射線に起因することによって特異な症状を呈するものではなく,その症状は放射線に起因しない場合と全く同様である。加えて,放射線が人体に影響を与える機序は,科学的にその詳細が解明されているものではなく,長年月にわたる調査にもかかわらず,放射線と疾病等との関係についての知見は,統計学的,疫学的解析による有意性の確認など,限られたものにとどまっているだけでなく,原爆被爆者の被曝放射線量そのものも,その評価は不完全な推定によるほかはないのが現状である。このような状況の下で,当該疾病等が放射線に起因して発症したことの直接の立証を要求することは,当事者に対し不可能を強いることになりかねない。したがって,疾病等についての放射線起因性の判断に当たっては,疾病発生等の医学的機序を直接証明するのではなく,放射線被曝による人体への影響に関する統計学的,疫学的知見に加えて,臨床的,医学的知見をも踏まえつつ,各原告ごとの被爆状況,被爆後の行動,急性症状等やその後の生活状況,具体的症状や発症に至る経緯,健康診断や検診の結果等の全証拠を,経験則に照らして全体的,総合的に考慮した上で,原爆放射線被曝の事実が当該疾病等の発生又は進行を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性が認められるか否かを,法的観点から,検討することとするのが相当である。

2.国家賠償法1条1項は,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに,国又は公共団体がこれを賠償する責任を負うことを規定するものである(最高裁平成13年(行ツ)第82号,第83号,同年(行ヒ)第76号,第77号同17年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁)。そして,原爆症認定申請に対する却下処分が,放射線起因性に関する判断を誤ったものであるとしても,そのことから直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく,被告厚生労働大臣が資料を収集し,これに基づき放射線起因性の有無について判断する上において,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と却下処分をしたと認め得るような事情がある場合に限り,上記の評価を受けるものと解するのが相当である(最高裁平成元年(オ)第930号,第1093号同5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁参照)。

3.行政手続法5条1項が行政庁に対して審査基準の設定を義務付けている趣旨は,一般に許認可等の要件等に関する法令の定めは抽象的であって行政庁にその解釈適用に際して裁量の余地がある場合が多いことから,行政庁の上記裁量を公正,適正なものとし,その判断過程の透明性の向上を図るところにある。そして,同条2項において,行政庁が審査基準を定めるに当たっては,当該許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない旨を定めていることからすると,当該許認可等の性質上,個々の申請について個別具体的な判断をせざるを得ないものであって,法令の定め以上に具体的な基準を定めることが困難である場合には,同条1項所定の審査基準を定めることを要しないと解すべきである。
 原爆症認定に当たっての放射線起因性及び要医療性についての判断は,医学的知見,疫学的知見等を踏まえた高度に科学的及び専門的なものであって,その性質上,個々の申請について個別具体的な判断をせざるを得ないものであって,援護法10条1項の規定以上に具体的な基準を定めるこは困難であるというべきである。
 そうすると,援護法11条1項の原爆症認定については,行政手続法5条1項所定の審査基準を定めることを要しないと解するのが相当である。
 したがって,本件各処分に行政手続法5条1項違反があるということはできず,上記違反があることを前提として国家賠償法1条1項違反をいう原告らの主張も失当である。

4.行政手続法8条1項が,行政庁において申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合に,当該処分の理由を申請者に示すことを義務付けているのは,行政庁の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を申請者に知らせることによって,その不服申立てに便宜を与える趣旨に出たものというべきであるから,行政庁が申請者に示すべき処分理由の内容及び程度は,当該処分がいかなる事実関係に基づきいかなる法的理由で行われたかを申請者において了知し得るものであることを要すると解すべきである(最高裁昭和57年(行ツ)第70号同60年1月22日第三小法廷判決・民集39巻1号1頁参照)。

 本件各処分に係る通知書における処分理由の記載内容は,原爆症認定を受けるために必要とされる援護法10条1項の要件が具体的に摘示されているのに続けて,@ 原告C及び原告Dに対しては,疾病・障害認定審査会において,申請書類に基づき,申請者の被爆状況が検討され,その上で申請疾病の原因確率を求め,この原因確率を目安としつつ,これまでに得られた通常の医学的知見に照らし,総合的に審議されたが,当該疾病については,放射線起因性を欠くと判断され,被告厚生労働大臣は,上記審査会の意見を受け,申請を却下した旨が,A 原告A及び原告Bについては,疾病・障害認定審査会において,申請書類に基づき,申請者の被爆状況が検討され,これまでに得られた通常の医学的知見に照らし,総合的に審議されたが,当該疾病については,放射線起因性を欠くと判断され,被告厚生労働大臣は,上記審査会の意見を受け,申請を却下した旨が,それぞれ記載されている。
 これによれば,原告らは,上記各通知書の記載自体から,@ 疾病・障害認定審査会において,それぞれの被爆状況や医学的知見を踏まえて(原告C及び原告Dにあっては原因確率を目安としつつ),総合的に審議されたが,援護法10条1項の放射線起因性の要件を欠くと判断されたこと,A 被告厚生労働大臣は,この意見を受けて本件各処分を行ったことを了知し得るものと認められる。
 そうすると,上記各通知書の記載は,本件各処分がいかなる事実関係に基づきいかなる法的理由で行われたかを申請者において了知し得るものであるということができる。
 したがって,本件各処分に行政手続法8条違反があるということはできず,上記違反があることを前提として国家賠償法1条1項違反をいう原告らの主張も失当である。

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