政府公表資料等情報

第176回国会「司法修習生の給費制の存続に関する請願」要旨

 二〇〇四年一二月、司法修習生への給費制を廃止して、国が司法修習生に修習資金を貸与する制度(貸与制)に切り替える改正裁判所法が成立した。同改正に際しては、衆参両院で附帯決議がなされ、「統一・公平・平等という司法修習の理念が損なわれることがないよう、また、経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことのないよう、法曹養成制度全体の財政支援の在り方も含め、関係機関と十分な協議を行うこと」が明記されているが、同改正法自体に手が加えられることはなく、施行期日は、本年一一月一日に迫っている。日弁連が行った二〇〇九年一一月のアンケート結果によると、司法修習生の一、五二八名のうち、奨学金などの債務を負担する者が半数以上おり、平均負担額は約三一八万円で最高負担額は一、二〇〇万円である。また、法科大学院入学のための適性試験志願者数は減少し、社会人入学者の割合も減少している。このような状況下で給費制が廃止されれば、法律家を目指す人が更に減少し、附帯決議が指摘した弊害「経済的事情から法曹への道を断念する事態」が生じる可能性が大きい。医師については二〇〇四年以降国家試験に合格した医師には二年間の臨床研修及び研修専念義務が課される一方、研修医が研修に専念できるよう、相応の予算措置がなされている。期待される役割の公共性・公益性において医師と法律家には共通点が多く、法律家は市民の「権利の守り手」とも言うべき役割を果たしている。法律家になるために修習専念義務を負う司法修習生についても医師と同様に、給費制を存続すべきである。
 ついては、有為で多様な人材を法律家として社会に送り出すため、次の事項について実現を図られたい。

一、司法修習生の修習費用の給費制を存続させるため、裁判所法を改正すること。

 

新司法試験考査委員の遵守事項(平成22年9月8日第68回司法試験委員会会議)

 新司法試験考査委員は,秘密の漏えいはもとより,試験の公正さに疑念を抱かせかねない行動をとることのないよう,十分に留意するとともに,以下の事項を遵守する。

1 問題作成に従事する考査委員は,その名目いかんを問わず,以下の指導を行わない。

ア 任命された日から翌年3月31日までの間における,当該年度末までに法科大学院を修了予定の学生及び法科大学院修了生に対する指導

イ 任命の翌年4月1日から新司法試験の実施が終了するまでの間における,法科大学院修了生に対する指導

2 問題作成に従事する考査委員は,いかなる場合においても,任命から新司法試験の実施が終了するまでの間に,司法試験受験生らに対し,出題の論点や題材について,示唆を与える結果となることのないよう,十分に留意する。

3 任期中,受験予備校,受験指導組織,司法試験受験を目的とするグループへの関与は行わない。

4 任期中及び任期後にわたり,考査委員として問題作成・採点等に従事した新司法試験の論文式試験について,その解答作成方法を指導したり,作成された解答を採点・添削指導したりすることはしない。
 また,考査委員として問題作成・採点等に従事した新司法試験の論文式試験に関して言及する場合に,出題の趣旨等公表された情報を超えて,問題作成・採点等に従事した考査委員にしか知り得ない秘密情報が,特別に提供されたのではないかという疑念を抱かせることのないよう十分に留意する。

※平成19年9月12日に策定されたものから、平成20年の考査委員のみに適用されていた文言を削除したものである。

 

千葉法務大臣閣議後記者会見

※司法試験関連のみ抜粋

平成22年9月7日(火) 平成22年新司法試験に関する質疑

Q:新司法試験の合格者が近く発表されますが,合格者数については,2010年に3000人という当初の政府の計画を下回る可能性が高いというふうに,これまでの結果からみますと思われますが,法曹人口のあるべき水準や法科大学院での教育の在り方というものについて,現時点でどのようにお考えかということをお聞かせください。

A:合格発表は本月9日と承知をしていますので,どのような合格者数なのかということは今確定はできません。そういうことですけれども,そもそも法曹人口の在り方とか,あるいは法科大学院の教育の在り方,これらはもともと,司法制度改革の中でいろいろ論議があり,3000人の合格者を目指すこと,そして法科大学院の創設と,そういう形になったところだと思います。ただ確かにいろいろな意味で,実際の運用実施をされてきたこの間の中で,皆様にもいろいろと御意見があったり,あるいは,考えていかなければいけない課題もいろいろ見えてきているところであると思います。そういう意味では,今,法務省と文部科学省とが共同して,法曹養成の在り方についていろいろ議論を検討させていただき,一旦中間的な取りまとめ,論点整理をさせていただいたということで,これからまた少し幅広いフォーラムを作って,そういう中での議論をしなければいけないのではないかと思います。そういう中で法曹人口の数,水準,それから法科大学院の教育というか,法科大学院の在り方なども大きなテーマであろうかというふうに思います。そういう議論をさせていただく中で,私は法曹人口,あるいは,法科大学院の在り方等,方向性を出していくことが必要なのではないかと思っています。

Q:法曹人口の閣議決定なのですが,一応2010年ころを目処に3000人という内容だったと思いますが,先ほど大臣もおっしゃいましたが,実際上,その運用や解釈等もあって,必ずしも2010年がデッドラインではないのではないかとか,3000人というのは一つの目標であって幅があるとか,いろいろな解釈があってだんだん分かりにくくなっていると思うのですが,先ほど文部科学省と法務省が中間取りまとめをした検討会の話もありましたが,なかなか役所で対応するのは限界があるというか,改めて法曹人口については,内容確認の閣議決定をするなり,政治的なメッセージが必要かなとも思うのですが,それについての大臣の御意見を伺いたいのですが。

A:この3000人というのも,閣議決定という形でなされているものだと思いますので,そういう意味では,今後議論の中で更に政府全体というのでしょうか,そのような形でこの司法制度改革の,ある意味でのフォローアップ,そして新たな方向性というものを検討していかなければいけないだろうと思います。そういう意味で中間取りまとめをして,論点を整理した上で,もう少し大きないろいろな関係省庁,あるいは,政府一体となったフォーラムなり,そういう場を作って議論しなければならないなと考えているところです。そういう意味ではそういう中で法曹人口についても,例えば改めて政治的な方向性を打ち出していくということも全くないということではないと私も思いますが,今の段階でどのぐらいの法曹人口にするかについて結論を出せる,あるいは,変更をするという状況にはないかなというふうに思います。

 

平成22年9月10日(金) 平成22年新司法試験の結果に関する質疑

Q:昨日発表された新司法試験の合格者数が2074人ということで,これからの旧司法試験の合格者と合わせても,政府が計画した今年ころに合格者を3000人にするという計画が実現不可能になったと思われます。法曹人口拡大の計画については,今後見直し等が必要になってくるのではないかと思いますが,大臣の所感についてお伺いします。

A:御指摘いただきましたように,新司法試験の合格者が2074名だったということです。これについては,適切な合格判断の下で行われたものだと私も認識していますので,結果,こういう数になったということだと思っています。御指摘のように,確かに,平成22年ころに合格者数3000人を目指す旨の閣議決定を考えてみますと,これとはかなり隔たりがあるということは事実だろうと思っています。これから,かなり幅広く法曹養成の在り方を検討する中で,この合格者の在り方というのでしょうか,これも議論をすることが必要となってくるのかもしれません。基本的には司法制度改革における,法曹養成,そして法曹の在るべき姿というのでしょうか,望まれる姿,こういう描いたものと現実とが,ある意味では矛盾,あるいは少し,それとは違った様相を呈しているということはあろうかと思っています。そういう意味では,改めてそういうことをいろいろと考えていくことは必要なのではないかと思っていまして,ただ,かなり幅広い観点からの検証も必要でしょうから,直ちに合格者の数だけを云々ということも少し短絡的なのかなという感じもします。いずれにしても,法曹のこれからの在るべきというか,方向性,また,どんな役割が求められるとか,司法のこれからの充実に向けて何が必要なのかということを改めて考えていかなければいけないだろうと思います。

Q:司法試験の合格者のうち,非法学部出身の割合がだいたい2割くらいということなのですけれども,人材の多様化を図るということも新司法試験の目的の一つだと思いますが,2割という数字について,率直に妥当なのか少ないのか,それとも比較的思っていたよりも多いのか,大臣としての所感をお願いします。

A:描いた法曹の姿とか,あるいは社会の中での職務の果たし方,そういうことから考えますと,いささか残念ながら少ないのかなというふうには思います。多様な人材とそしてこの社会のいろいろな機関等々の中で活躍をしてもらいたいということから考えますと,いささかやはり,少ないというのが私の率直な感じです。

 

平成22年9月14日(火) 法曹養成制度に関する質疑

Q:司法修習生の給費制から貸与制に切り替わることについて,大臣御自身としては貸与制と給費制について,どちらが良いと思っているか,お聞かせください。

A:これについては,私もこの議論の経過に参加をさせていただいてきたという経緯があります。そういう中で,法曹人口を増やしていこうと,そして,社会のいろいろな部分で法曹が活動するという,そういう方向を目指していこうではないかという議論の中で,給費制を貸与制にという法改正がなされてきたという経緯があります。私もそれを尊重しながら,この間の対応をさせていただいてきたということです。今,いろいろな御議論あるようですので,改めてそれは見守っていかなければいけないと思っていますが,これまでの司法制度改革全体の議論の経緯,そして,それによるこのような制度改革ということでもありましたので,それを基本にしながら考えていかなければいけないのではないかと思っています。

Q:大臣の発言の中で,いろいろな議論があるようなのでということでしたが,民主党としては,部門会議の中で,今後も給費制を継続しようという方向で考えているようなのですが,この司法制度改革の長い議論で決まったことを突然というか,ここに来てそんなに議論せずに変えようとしていることについてどのように思われますか。

A:昨日の部門会議の議論の詳細は承知をいたしていませんが,そういう検討といいますか,それをされているということは承知しています。まだ,民主党として,何か決定したというまでには至っているわけではないと思いますので,それはまた部門会議の御議論だと思いますが,ぜひより深い議論をしていただければと思います。

Q:今の問題に関連して,給費制の存続というのは,法曹養成に国がお金を出すという在り方としては良いという意見がある一方で,確かに弁護士の貧困とかそういう問題がクローズアップされていますが,のべつ幕なしに全員に一律に給付することに対して,国民の理解が得られるだろうかという議論もあります。今回,給費制継続という方向性が出ましたが,その辺りについてはどのようにお考えでしょうか。

A:まだ方向性が出たということではないのだろうと思いますが,今御指摘がありましたように,司法制度改革全体の中で国民の多くの声も受けながら,給費制から貸与制という方向になったわけですので,やはり,もしまた議論というか別な方向を出すとすれば,それが国民の納得を得ることができるのかということは大変大事なところだろうと思っているところです。

Q:給費制,貸与制の話で,議論の在り方を見守りながらとおっしゃいましたけれども,昨日の法務部門会議もそうなのですが,貸与制に本当に移行するのか,給費制を継続するのかという議論が,日弁連が主張し,それに対し最高裁が質問書を出し,法務部門会議が突然開かれて話題になりと,全体としてクローズといいますか,国民の声を本当に反映しているのかという印象なのですけれども,この話題について,現状の議論の在り方,要するに国民を巻き込む議論になっているかどうか,また,望ましい議論の進め方として,今後どういうふうに進められるべきかということについて大臣の所感をお願いします。

A:こういう問題というのは,多くの関係者の皆様の関心事にはなりながらも,なかなか国民全体としての関心事にはなりにくいということもあると思います。そういう意味では,先ほど言いましたように,司法制度改革という大きな議論は,これまでいろいろな方が参加し,開かれた検討の場などを通じて進められてきたということもありますので,やはりその司法制度改革の議論,それから法曹養成の在り方等々も含めて,やはり議論するとすれば,開かれた,あるいは,いろいろな識者の皆様等も含めて議論するような,そういう場も必要なのではないかなと思います。

Q:司法修習生の給費制と貸与制の関連なのですけれども,そもそも11月1日から新制度に移行するということで,実際運用面でも準備が進んでいると思うのですが,実際変わるかどうかというのは立法府の判断となってくると思うのですけれども,それをこの施行実施2か月前で動かすと,制度を預かる行政府の立場として,ぎりぎりで制度の変更をするということに関して,大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:もう本当に時間がありませんので,なかなか今から制度を変え,あるいは例えば財政的な措置についてきちっとしたものを作っていくということは,そんなに簡単なことではないと思います。ただ,これは立法府がもし給費制維持ということであれば,それは当然立法府の判断ですから,こちらで何か言うという話ではないかと思いますけれども,手続的には大変窮屈なところはあろうとは思います。

 

柳田稔法務大臣閣議後記者会見

※司法試験関連のみ抜粋

平成22年9月17日(金) (初登庁後記者会見) 法曹養成制度に関する質疑

Q:司法修習生の給与について,民主党の部会の方ではこのまま給費制を継続すると,また,一方では11月からは貸与制になるというのがあるのですが,この問題についてどのようにお考えでしょうか。

A:その法案に民主党も賛成して成立をし,今年の11月に実施という状況で,参議院議員選挙を戦うなかでも弁護士の先生方とか,いろいろこの問題についての御要望もいただきました。党内でも協議が始まったというふうに私も承知をしていますので,この協議も見守りながらいろいろな判断をさせていただければと,そう思っています。

 

平成22年10月1日(金) 法曹養成制度に関する質疑

Q:司法修習生の給費制の件について,貸与制の施行期日が迫っていることもありまして,各党動き始めており,昨日,自民党がヒアリングをして法務省に依頼をして,法務省の方では立法府にまかせるとの発言をされたということですが,大臣としての御所見をお伺いしたいのですが。

A:私も国会の動き等をいろいろ聞いています。国会の御要望があれば,それに従うつもりです。

Q:民主党はまだまとまっていないということなのですが,そこについては何か大臣としておありですか。

A:民主党も決まれば決まるでしょうし,他の各党も決まれば決まるでしょうし,国会がどういう意思表示をされるかだと思っています。

Q:期日まであまりない中なのですが,そこについては,法務省としてはやはり今までどおりでいきたいと思っていらっしゃるのでしょうか。

A:自民党,公明党が出した法案でしたけれども,民主党も賛成して成立した法律ですから,現在それを施行するしかないという立場です。ただ国会がしっかりとした意思表示をされれば,それに従うというところです。

 

平成22年10月22日(金)  法曹養成制度に関する質疑

Q:司法修習生の給与の問題について,日弁連や与党内からも給費制の存続を求める声があったことについての受け止めと,大臣としては給費制と貸与制のどちらがあるべき姿なのか,また今後見直しの議論を進めていく必要があるかどうか,その辺についてどうお考えでしょうか。

A:与野党でいろいろ議論が行われているというのは承知いたしております。私どもの考えとしては,民主,自民,公明が賛成の上で通った法案でございますので,その法律に従ってたんたんと行うというスタンスでございます。ただ,各党間でお話がまとまって国会が決定したらそれに従うというスタンスでおります。

 

参院予算委員会平成22年01月27日

※司法試験関連のみ抜粋

○辻泰弘君 法務の関係で千葉大臣にお伺いをしておきたいと存じます。
 一つは、かねてより一つの大きなテーマでございますけれども、司法試験の合格者数の問題でございます。
 平成十四年の司法制度改革のときに閣議決定をされて、平成二十二年ごろには三千人程度にするということであったわけですけれども、それがかなり過剰といいますか、目標が高かったということで、司法修習を修了した弁護士の方も就職困難だというふうな状況もあったりしているわけで、当初から言われていたとおりじゃないかと、このようなことも言われているわけでございまして、その見直しを私もかねて求めてきたところであるんですけれども、このことについてのお取組の方針をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(千葉景子君) 御指摘をいただきましてありがとうございます。
 私も、この問題については多方面からいろいろな御提起をいただいているものですから、関心を深く持たせていただいております。
 ただ、これが様々な経緯の下で閣議決定をされて決定をされているというものでございますので、改めて根本的な見直しをしなければ、なかなかまだまだ、結論はまだ出ていないという状況でございます。
 今、法曹養成制度全体についていろいろな課題も見えてまいりましたので、その検証作業を早急にしよう、その中でこの合格者数の問題なども議論しなければならないということで、今文部科学省の方とも協力をさせていただいて、検証を行うフォーラムを今スタートする段階に至っておりますので、この中でできるだけ精力的に検証、議論をさせていただいて方向性を出すことができればと、こう考えておりますので、またいろいろな御提起をよろしくお願いを申し上げます。

○辻泰弘君 これは元々過大な目標だったと思いますので、その是正方、取組をお願いしておきたいと思います。

 

衆院法務委員会平成22年03月12日

※司法試験関連のみ抜粋

○稲田朋美委員 司法修習生からの裁判官の採用の数は、このところ余り変化はないように思います。法科大学院制度の導入以来、司法修習生の数は基本的にふえているはずなのに、裁判官の任官者数に余り変化がないというのは、法科大学院の卒業生のレベルが必ずしも高くないという実情と関係をしているのでしょうか。
 また、裁判所としては法科大学院卒業生のレベルをどのように評価されているのか、最高裁にお伺いをいたします。

○大谷直人最高裁判所長官代理者 お尋ねの前半の部分ですけれども、判事補への任官につきましては、これは委員も御存じのとおり、今、指名諮問委員会という場で、希望者について適格性があるかどうか、資質があるかどうかというような判断をしていただいておりますので、全体としての修習生のレベルがどうかということと、直接その数の問題は関係ないと思っております。
 次のお尋ねでございますけれども、最近の修習生の状況につきまして、これは司法研修所の教官あるいは配属庁の指導官などから耳にするところを御紹介いたしますと、例えば、概して口頭で自分の考えを述べる能力にすぐれているなどということで、法科大学院教育によるメリットを評価するもの、あるいは、従来の司法修習を経た者と比べても決して遜色はない、こういう指摘もある一方で、特に、上位層、下位層の下位層の修習生の中には、民法、刑法等の基本的な法律について、表面的な知識はあるのだけれどもその理解が十分でない、こういう指摘もあるところでございます。
 レベルが全体として低下しているかどうかというのは、これは非常に難しい問題でありますが、いずれにせよ、新しい法曹養成制度の、法曹養成のプロセスによって生まれた司法修習生の状況につきましては、特に今申し上げた懸念材料、懸念部分に留意して、今後とも注意深く見守っていきたい、このように考えております

○稲田委員 ぜひ、法曹人口がふえるに伴ってやはり質も量もよくなったというような状況を目指していただきたいと思います。
 次に、弁護士からの任官、それから行政機関への任期つきの採用というものについてお伺いをいたします。
 弁護士の任官という制度は以前からありますけれども、その数が余り伸びていないように思います。弁護士から裁判官任官について伸びていないことについて何らかの構造的な問題があるのかどうか、弁護士任官制度の現状と今後の課題について最高裁にお伺いをいたします。

○大谷最高裁判所長官代理者 まず、お尋ねのうちの数について申し上げますと、昭和六十三年に判事採用選考要領、弁護士任官についての要領が策定されてからの任官者の累計が、昭和六十三年度からということですが、判事八十人、判事補二十人の合計百人ということでございます。しかし、委員御指摘のとおり、残念ながらこの任官者数というのはまだまだ多いとは言えないと私ども思っております。
 その理由でございますが、ごく端的に申しますと、まず、弁護士として成功して依頼者等との関係も安定している弁護士が相当の年齢になってから裁判官という新しい仕事に飛び込むことには、やはりそれぞれの皆さん、かなりの決断がどうしても必要になるように思われます。また、弁護士事務所の共同化ということが十分に進んでいないということも弁護士任官者がふえない一因である、こういう指摘が聞こえてくるわけであります。弁護士の業務形態等からする構造的な隘路というものもあるように思われます。
 そういうところが要因として指摘できようかと思いますが、いずれにしましても、裁判所としましては、弁護士任官の意義は十分に理解しているところでありまして、平成十六年からスタートしました調停官制度、こういったものを活用しながら、すぐれた弁護士の方が多数任官していただけるように、私どもとしても制度運用の整備あるいは充実を進めていきたい、このように考えております。

○稲田委員 弁護士から、例えば法務省民事局とか金融庁といった行政機関への任期つきの採用がふえている一方で裁判官任官が少ない点について、これからもぜひ何らかの対策をしていただきたいと思っております。
 次に、司法修習生の採用についてお伺いをいたします。
 昨年の十一月に、司法修習生の選考要項から国籍条項をなくしたということがあります。今まで司法修習生には国籍条項があり、その理由について最高裁は、公権力の行使や国家意思の形成にかかわる公務員には日本国籍が必要であるという内閣法制局の見解を準用して、修習生が例えば取り調べに立ち会ったりとか裁判所で非公開の合議に立ち会ったりすることから、公権力の行使や国家意思の形成にかかわる公務員に準じて国籍条項を設けていたと思いますが、これをやめた理由について最高裁にお伺いをいたします。

○大谷最高裁判所長官代理者 今委員から御指摘ありましたが、平成二十一年度の十一月期の採用選考要領から、「日本の国籍を有しない者(最高裁判所が相当と認めた者を除く。)」こういう従来入っていた欠格事由の記載が削除されたということは御指摘のとおりでございます。
 その経緯についてちょっと御説明いたしますと、日本国籍を有しない者が司法修習生への採用を希望した場合、これは古く昭和五十二年の時点から、その人の法的な地位の安定性それから居住の継続性等を考慮して日本国民と同等の取り扱いをしても差し支えないかどうかということを個別的に判断した上で、実際には司法修習生としてそういう応募者を採用してまいりました。そういう運用が安定的に長く続いてきたこともありまして、欠格事由という言葉、日本国籍を有しないことのみをもってあたかも採用されないというふうに思われるような記載は削除する方が相当であろうということで判断し、その事項を削除したというものでございます。したがいまして、平成二十一年を機会に何か採用の基準あるいは取り扱いをそれまでと変更したというものではございません。
 経緯については以上でございます。

○稲田委員 そうしますと、欠格事由として記載していたけれども事実上は変わらないということだというふうに御説明をいただいたんですけれども、九〇年から、例えば法律遵守の宣誓書を外国籍の希望者には求めていたけれどもそれを廃止したということになっているようですが、その点はいかなる理由によるものでしょうか。

○大谷最高裁判所長官代理者 その廃止についても事実でございますが、これも運用が安定してきたからということで行わなくなったものではありますが、ただ、先ほど言いましたように、日本国籍を有しない者については個別に判断をしていくという点は変わっておりませんので、事前の面接をする際に、その点についてきちっと遵守してもらえるかどうか、この点は十分確認した上で採用しておりますので、実質的には変わるところはございません。

○稲田委員 あと、日本人の場合ですと、例えば修習生に戸籍抄本などの提出を要求しているわけですけれども、外国籍の人には、今宣誓書については要求しないで個別に判断をするということですけれども、居住ですとか、そういう戸籍抄本にかわるようなものとして何か提出を要求しているのか、それともそういったものも要求をされていないのかについてお伺いをいたします。

○大谷最高裁判所長官代理者 外国籍の方につきましては、その人の特定という意味がございますので、戸籍にかわるものとして外国人登録原票記載事項証明書、この証明書の提出を求めております。

○稲田委員 やはり今外国人の問題が大変クローズアップをされておりますので、こういった点もきちんと厳正にやっていただきたいと思います。
 また、外国籍の方が、司法修習はできるということですけれども、例えば調停委員ですとか司法委員それから検察審査会の審査員、そういったものに採用されるのかどうか、その点についてお伺いをいたします。

○大谷最高裁判所長官代理者 公権力の行使に当たる行為を行う、あるいは重要な施策に関する決定を行い、またはこれらに参画することを職務とする公務員につきましては、日本国籍を有する者が就任することが想定されるというふうに考えられるところで、裁判所の非常勤である調停委員などにつきましては、公権力の行使に当たる行為を行うとともに、公権力の行使に当たる行為に参画することを職務とする公務員に該当するということで、その就任のためには日本の国籍が必要であると考えているところでございます。

○稲田委員 例えば調停委員、家裁でも地裁でもそうですけれども、裁判官にかわるような、かなり事件に立ち入った判断も任されてきます。検察審査会については国籍条項があるんですけれども、調停委員、司法委員について国籍条項があるのかないのか、その点はいかがでしょうか。

○大谷最高裁判所長官代理者 国籍条項等について、法律上の規定はございません。先ほど申しましたのは、これを取り扱っております事務当局としてそういう考え方で運用しているということでございます。

○稲田委員 ぜひ、公権力の行使や国家意思の形成にかかわるという点についてはきちんと判断をしていただきたいと思います。
 さて、鳩山総理は、日本列島は日本人だけのものではないというような思想の持ち主でありまして、その点から、外国人参政権なども積極的に認めていこうというようなことも発言をされているわけですけれども、まず、大臣にお伺いをいたします。
 外国人に今参政権を付与すること、国政参政権、地方参政権、両方の意味でお伺いをいたしますが、それと憲法十五条の公務員選定・罷免権は国民固有の権利であるという規定との関係について、どのようにお考えでしょうか。

○千葉国務大臣 これにつきましては、もう委員も御承知のとおり、最高裁の判決がございます。憲法十五条一項の規定というのは、権利の性質上日本国民のみを対象として、我が国に在留する外国人に及ばないと解するのが相当と判示をされております。私もそのように認識をいたしております。
 他方で、同判決は、「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当」と判示をいたしております。
 そういう意味では、国政の事項につきましては外国人には及ばないということですけれども、地域に密接にかかわった問題については立法政策上の問題であるということが最高裁の判例から示されているのではないかというふうに思います。そのような認識のもとで私も考えているところでございます。

○稲田委員 総務副大臣にお伺いをいたします。
 今、法務大臣から最高裁の平成七年の判例の御紹介がございまして、その中で、国政参政権を与えることは憲法十五条の関係で問題があるけれども、地方参政権については立法政策の問題であるということが最高裁で示されているということを、それが大臣の認識であるというふうにお伺いをいたしましたが、総務副大臣の御認識についてお伺いをいたします。

○渡辺周副大臣 平成七年の最高裁の判決、委員や法務大臣と違いまして私は法律の専門家でないものですから、これを何回も何回も読み直しているんですけれども、「専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、」「憲法上禁止されているものではない」というふうには言われているわけでございます。
 しかし、反面で、憲法九十三条二項に「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」こう書かれている「住民」は「日本国民を意味する」のだというふうにも触れておりまして、ここで、住民とは日本国民であると憲法上は定義をされております。
 それでありながら、しかし、立法されることについては「憲法上禁止されているものではない」というふうなことで、これが最高裁の判決ではありますけれども、私のような、法律がちょっとわからない者については、何回も何回も読み直して、総務省の中でもこの問題についてはいろいろと議論をしております、論点を整理しています。
 そういう意味では、ただ、終審裁判所である最高裁がそのように言っているということは、これは専ら国の立法政策にかかわる事柄としてゆだねられているんだなというふうには、私はそのまま受けとめているところであります。しかし、この問題については、党内にも政府内にも、あるいは国内の世論にもいろいろな意見があることは承知しておりまして、その点は、総理も総務大臣も何度も国会で答弁をしておりますので、これは日本の国の統治にかかわる問題として、さまざまな議論があるべき問題であることというふうに思っております。

○稲田委員 総務副大臣の御意見としてお伺いをいたしますが、地方参政権は、今、一般に民主党の案として考えられている一般永住者も含め外国人の方々に地方参政権を与えるのが、憲法十五条の関係ですとか、また立法政策も含めて妥当であると思われるかどうか、その点の見解についてお伺いをいたします。

○渡辺副大臣 この点については、きょうは総務省の副大臣という立場でこの答弁席に座っております。個人的な意見は、先生とも雑誌で対談をしたこともありますし、私の政治信条はもう御承知かと思いますけれども。
 ただ、一般永住者と特別永住者という歴史的な背景も違いますし、これを一くくりにしてどうこうということは、私も法律家ではありませんので、この判決をめぐっていろいろな識者の方にお話を伺いました。その中では、やはりいろいろな御議論がございまして、この判決の要旨の中に出てくる、これは私というよりも専門家の方のお話を聞くと、例えば「永住者等」というふうに書かれております、では「等」とは一体何であろうかということについて意見を求めたり、あるいは「特段に緊密な関係」というのはどういうことを意味するんだろうかということも含めまして、今、いろいろな専門家の方にお話を伺っているところであります。
 いずれにしても、特別永住者と一般永住者というものは一緒にすることはできないであろう、一緒に一くくりとして考えることはできないのではないかなということも私自身は思っておりますが、今、いろいろな識者の方の御意見を聞いているところでございます。
 政治信条については、私、御存じのとおりだと思いますが、総務省の副大臣という立場できょうは答弁席におりますので、あえてこのようなことでとどめておきたいと思います。

○稲田委員 今副大臣から御指摘もございましたように、例えば、外国人参政権について、国政参政権と地方参政権を分けて考えて、国政参政権は憲法に違反しているけれども、地方参政権については別に考えるべきではないかという学説を最初に日本に紹介した中央大学の長尾教授が、最近になって、やはりあの考え方は間違っていたということをおっしゃっております。
 また、平成七年の最高裁の判決を書かれた裁判官の一人である園部元判事が、この最高裁判例について、政治的な配慮があったんだ、また、今民主党で検討されているような一般永住者にまで地方参政権を与えるということは、これはやってはいけない、あり得ないことなんだというようなことを新聞の中で言われているわけであります。
 そこで、最高裁にお伺いをいたします。
 この園部裁判官も御指摘をされているんですが、判例の理由の中で、判例の拘束力を持っている部分、これが、主文を導き出すのに必要な部分と主文を導き出すのに必要ではない部分とを分けて、そして、判例の拘束力は主文を導き出すのに必要な部分であって、それ以外の部分、これを傍論というかどうかは別にして、それ以外の部分は判例の拘束力はないんだということを一般に言われているわけですけれども、この点について最高裁の御見解をお伺いいたします。

○戸倉三郎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 一般論で申し上げまして、判例の拘束力と言われるものの中で、拘束力を持つ部分、あるいは、持たない、いわゆる傍論と言われる部分がいろいろ解釈の中で言われているということは委員御指摘のとおりかと思います。
 ただ、この傍論というものは特に法律等で定められた概念ではございませんで、そういった意味するところについても確たる定義等はありません。そういう意味で、最高裁といたしまして、傍論と、それらを導く、拘束力を持つ理由というところで一般的なことを申し上げることはできないわけでございます。
 そういう意味で、委員御指摘のような、さらに個別の判例の読み方ということになりましては、やはり最高裁は、個別の判決について、どれが傍論であるとか、そういった点についてコメントすることは差し控えたいというふうに考えております。

○稲田委員 今の御答弁がちょっとわかりにくかったんですけれども、法律用語辞典ですとか、あと芦部先生の憲法の本とか、さまざまなそういった教科書的なものに、判例の拘束力については、主文を導き出すのに必要な部分について判例の拘束力があって、それ以外の部分については傍論と呼ばれるんだというような説明がされて、明らかに主文を導き出すのに必要な部分、例えば平成七年のこの判決ですと、明らかにこの判決は、地方参政権を与えられていないことが憲法に違反するかどうかが争われた事例で、憲法に違反しない、憲法十五条の解釈や、住民を、国籍を持っている日本国民である住民だというふうに解釈をした部分は、まさしく憲法違反ではないという主文を導き出すのに必要な部分で、先例拘束力がありますけれども、それ以外の部分については先例としての拘束力を持たないと一般の教科書的なものに書いてあるんですが、その点は間違いないでしょうか。

○戸倉最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 判例の理由づけについて、そういった今委員御指摘のような、拘束力を持つ部分、あるいはそうでない部分があるというような形でいろいろ解釈されておるということにつきましては、委員御指摘のとおりかと考えております。
 ただ、今御指摘のような具体的な事件につきまして、どれが拘束力を持つ部分であるか、あるいはどれが傍論であるかといった点について最高裁としてコメントすることは差し控えさせていただきたい、そういうところでございます。

○稲田委員 私は、一般論としてそれが間違いがないかどうかをお伺いしたかったわけですから、それは間違いがないと思います。
 また、平成七年の、主文を導き出すのに必要な部分か必要でない部分かというのは、普通の一般人が見れば明らかですので、今のお答えで、それ以上追及することはやめます。
 さて、大臣にお伺いをいたします。
 外国人の地方参政権について、先ほどの大臣の見解はわかったんですけれども、外国人の政治活動、特に選挙運動の自由について、大臣は、無制限とお考えなのか、それとも一定の制限があると考えられているのか、その点についてお伺いをいたします。

○千葉国務大臣 これも判決の御紹介を含めて御答弁させていただきたいと思っておりますけれども、昭和五十三年に最高裁の判決がございますが、我が国に在留する外国人に憲法上の政治活動の自由の保障が及ぶか否かについて、「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶものと解するのが、相当」こういうことが判示がされております。
 一般論として申し上げれば、公職選挙法上、外国人の選挙運動や政治活動について、外国人ゆえの特別の規制は設けられていないというふうに承知をいたしております。この法の運用が外国人に対する政治的活動の基本的な考え方なのかなというふうに私は承知をいたしております。

○稲田委員 今大臣が御指摘になったように、公職選挙法上に何らの制限がないことは御指摘のとおりであります。
 ただ、法律の上に憲法があって、そして憲法の、今の大臣が御指摘になった最高裁判決、マクリーン事件ですけれども、この中で、大臣お読みになったように、「政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、」と書いてありますから、この反対解釈として、我が国の、例えば政治的意思決定ですとか、その実施に影響を及ぼすような活動についてはやはり政治活動は制限されると、この最高裁の判例で読めます。
 無制限ではなくて、そういう限定つきであると思いますけれども、その点について大臣も共通の認識でしょうか。

○千葉国務大臣 最高裁の判例を私も解釈させていただきますと、そうだというふうに思っております。
 ただ、具体的にどのようなことなのかということは、私、憲法解釈をする立場にございませんのでわかりませんけれども、最高裁の判示をそのまま読みますと、無制限ではないということは読み取れることと思います。

○稲田委員 総務副大臣にお伺いをいたします。
 政治資金規正法は外国人からの寄附を禁止しておりますけれども、その趣旨は何でしょうか。

○渡辺副大臣 これはもう何回もほかの委員会でも答えておりますけれども、献金によって、外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しようという趣旨で設けられている、このように政治資金規正法の第二十二条の五は設けられているというふうに認識をしております。

○稲田委員 そうしますと、公職選挙法の中には外国人の選挙活動について何ら制限はないんですけれども、今の政治資金規正法の趣旨からしますと、やはり同じような規制、例えば選挙運動について、外国人や外国勢力の影響を選挙が受けないように、政治的な意思決定について影響を受けないように何らかの規制をする必要はあるとお思いでしょうか。

○渡辺副大臣 現行の公職選挙法では、外国人だからといって政治活動をさせないということはもちろん規定されていないわけでございまして、これは私ども日本人と同じように、公職選挙法の範囲内であれば政治活動あるいは選挙運動もできるというふうに解されております。
 反面、先ほど、いわゆるマクリーン事件の判決の中に出てきます「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等」というものを例えばどういうふうに考えるかということは、これもまた、私よりも、いろいろな法律家の方に、例えばどういうことなんだろうかというようなことをこれから確認してまいりたいと思いますし、非常に例示をされていればいいんですけれども、こうした書かれ方をしますと、外国人のさまざまな政治活動と、このように制限をつけたことについては、これは当然いろいろな法律家のお話も聞かなきゃいけぬだろうなというふうに思っているところでございます。
 最高裁のいわゆる判決による法律的なイメージを私どもとしてもちょっと確認をしたいというふうに思って、確認をしているところでございます。

○稲田委員 イメージを確認していただいているということなんですが、明らかに、先ほど法務大臣も御答弁なさったように、外国人の政治活動は無制限ではなくて、このマクリーン判決が言うように、「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でない」、こういった場合には、やはり選挙活動も制限をするべきではないかと思います。
 その一環として、ちょっと気になることがあるんですけれども、例えば平成二十二年の二月一日の産経新聞では、千葉県市川市の市議会で、永住外国人への地方参政権の付与に反対する意見書の採択に委員会レベルで決議しながら、民団のロビー活動の結果、一夜にして本会議で否決されたということがわかったということで、ロビー活動が積極的になされております。
 また、例えば民団新聞の、選挙期間中の新聞なんです、昨年の八月二十六日。ここにいかに民団の方々が選挙活動に活躍をされたかということが書かれております。
 少し読みますと、公示された十八日、活動を開始した、そして、民主党の鳩山由紀夫代表は、永住外国人の地方参政権について、もっと前向きに考えるときが来たと言っている、その結果、民団の支援活動は勢いづいている、「都内のある重点地区では公示日の十八日午前、民団支部事務所で支援候補の事務所からこの日預かったばかりのビラ二万枚に証紙を貼った。」また、ほかのところでは、「同支部が派遣した専従支援要員の二人は選挙事務所に張り付き、他の選挙スタッフとともに公設掲示板や支援者の自宅、店舗へのポスター張り出し、支援者名簿の回収などに汗を流した。」「このほか全国各地の重点地区でも、支援者名簿の作成など継続作業のほか、証紙貼りやポスター貼りなど、具体的な支援活動を一斉にスタートさせた。」ということが書かれておりまして、選挙期間中に証紙張り、ポスター張り、それから専従支援者の派遣、かなりさまざまな支援をされているわけです。
 こういった外国人の方々による選挙期間中の活動が、我が国の選挙、まさしく政治的意思決定に重大な影響を及ぼすとは考えられないでしょうか。法務大臣とそれから総務副大臣にお伺いをいたします。

○千葉国務大臣 今御紹介をいただいたような、そういう事態といいましょうか、そこは私は承知をいたしませんので、そのようなことにコメントをさせていただくということは困難でございます。
 一般的に、必ずしも、政治的な意思決定にどのような影響を及ぼすかということ、個別どのような場合かということを私もお答えする立場にはございませんので、差し控えさせていただきたいと思います。

○渡辺副大臣 私も、民団の新聞も読んでおりませんし、産経新聞の、市川市でのロビー活動というものがどのように行われたかということも、報道は知っていますけれども、実は事実を掌握しているわけではありませんので、何ともお答えしようがないんですけれども、これは一般論で申せば、私ども選挙を経験、くぐり抜けてきた者からすれば、いろいろな方に選挙を応援いただいています。その選挙の応援をいただく中で、そこで当然、自分自身の政治的な意思決定の中にどのように影響を与えたかというのはいろいろあるわけでございます。
 当然のことながら、選挙の支援を受けたからといって、では、その方に恩義を感じて何でもかんでもやるかといえば、これは一般論としてですけれども、なかなかそれは、できないことは当然できませんし、別に選挙で支援を受けなくても、政治信条にのっとって、これはという思いがあれば、どなたから言われることもなくやることもあります。ですので、どこまで政治的な意思決定に影響を及ぼしただろうかということは一概に言えないことで、一般論として言えないことでございます。
 ただ、今例示されたようなことにつきましては、事実としては認識しておりませんので、具体的にお答えできませんけれども、そこは政治家個人の、すべて政治信条に従って我々は行動すべきだろうというふうに思っております。

○稲田委員 ただ、これは政治家個人とかそういう問題ではなくて、ぜひその事実関係を調査いただいて、それが妥当かどうか、このマクリーン判決に照らして妥当かどうかということをぜひ検討いただきたいと私は思うんです。
 なぜなら、この外国人地方参政権の問題は、そういった政治的な意味を非常に含んでおります。例えば、民団の新年会に農水大臣が行かれまして、自分は選挙委員長をしていたんだ、そして民団の皆さん方に大変お世話になって、選挙活動をいただいて、そのおかげで政権交代ができたんだ、そして、皆さん方に頑張っていただいたその公約として、外国人参政権をぜひ通常国会で成立させたいんだという強い決意を述べられているわけですけれども、私は、やはりそれは日本の政治家として絶対にやってはいけないことではないかと思っております。
 また、韓国では外国人の選挙運動が法律で禁止をされております。それも、やはり主権国家として、日本の政治が外国人や外国勢力によってゆがめられないように、そのために選挙活動についてもぜひ規制ということを考えていただきたいと思います。
 次に、この外国人参政権の問題は、冒頭言いましたように、もはや特別永住者の問題ではなくて一般永住者の問題になっております。
 平成二十年で永住者は九十一万二千三百六十一人、うち四十二万三百五人が特別永住者、サンフランシスコ平和条約で国籍を失った方々であります。また、四十九万二千五十六人が一般永住者です。特別永住者の方々は年々減少しておりますけれども、一般永住者の方々はふえております。特に、中国から来られている方は年々ふえていて、現在十四万二千四百六十九人で、毎年一割以上伸びておりまして、今、外国人地方参政権の問題というのは、特別永住者の問題ではなくて一般永住者の問題になっていると思うんですけれども、大臣にお伺いをいたします。永住許可を与える基準について御説明ください。

○千葉国務大臣 入管法の永住許可における法律上の要件あるいは審査基準についてお答えをさせていただきますと、要件としては、一般の場合に、素行が善良である、独立の生計を営むに足りる資産または技能を有する、法務大臣が、その者の永住が日本国の利益に合すると認めること。先ほどの三つの要件と、日本人、永住者または特別永住者の配偶者または子である場合には、最初の、素行が善良だということと独立の生計を営むに足りる資産を持っているということは要件にはなっておりませんが、いずれにいたしましても、このような要件のもとで、審査の基準は、その永住が日本国の利益に合すると認められる基準はガイドラインで示しております。
 そのような形で、一般の場合には、原則十年以上本邦に在留している、あるいは罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。それから、日本人、永住者または特別永住者の配偶者である場合は、実態の伴った婚姻生活が三年以上継続し、かつ、引き続き一年以上本邦に在留している、それと、罰金刑や懲役刑などを受けていない。こういう要件のもとで審査をさせていただいているという実情でございます。

○稲田委員 ところが、この永住在留資格の許可の基準なんですけれども、法律では抽象的に書いているんですが、その運用の基準は、平成十年の二月に見直しをして、在留資格について、二十年から十年に見直しをされています。そして、在留期間を二十年から十年に短縮したことによって永住者の数が飛躍的に伸びまして、平成九年から十年間で約五倍に伸びております。
 このように、法律ではなくてその運用の中で永住の許可を与える基準を大幅に緩和することは、私は非常に問題なんじゃないかなと思っております。そして、永住要件の緩和をどんどんしていくということになりますと、日本では移民政策というのを認めていないんですけれども、法律も改正せずに法務省の行政で勝手にどんどんこれを緩和するということは非常に問題ではないかと思うんですが、その点についての大臣の御見解をお伺いいたします。

○千葉国務大臣 この内部基準が変更されたということにつきましては、旧基準はおおむね二十年というような基準で運用されておりました。旧基準のもとでございますと、おおむねということで若干の幅があるわけですね。そういうことで、統一した運用基準をきちっとしておいた方がいいのではないかということ、それから基準緩和の要望や要請があったということなどに基づいて、二十年以上から十年以上ということに変更されたというふうに承知をいたしております。
 私も、決して何の意味もなく緩和をしたりあるいは基準を変更するというようなことがあるべきではないというふうに思いますけれども、必要に応じ、そしてまた、逆に言えば明確な基準を設定するというような趣旨で変更されるということはあり得ることだというふうに思っております。

○稲田委員 ただ、やはり、法律を変更せずに、二十年を十年という半分に要件を緩和するということを国会の場で議論をせずにやられるということは、私は非常に問題ではないかなと思っております。やはりそういったことをきちんとやってもらわないと、どんどんと永住外国人の方がふえていき、そしてそこに地方参政権を与えていくということになりますと、非常にこの国の形を変更する、また主権国家としていかがなものかと思いますので、そういった点はぜひきちんとやっていただきたいと思います。
 きょうは厚労副大臣にもお見えいただいておりますが、永住外国人は生活保護の対象になるのでしょうか。外国人に対する生活保護の問題についてお伺いをいたします。

○清水美智夫政府参考人 生活保護法は、その第一条におきまして日本国民のみを対象とすることといたしておりまして、外国籍の方は生活保護法の対象外でございます。
 しかしながら、外国籍の方につきましては、予算措置といたしまして、日本国内の就労活動に制限を受けない永住者等の在留資格を有する方、この方々に限りまして、生活保護法を準用するという考え方で日本国民と同様の対応をしておるところでございます。

○稲田委員 外国人に対する生活保護を与えている割合が、日本の人たちに与えている割合よりも高いというふうに聞いております。また、生活保護を支給している対象の外国人の在留資格についてどういう割合になっているのか、お調べになっているでしょうか。

○清水政府参考人 生活保護を受けている者の割合でございますが、日本の人口が一億二千万強の中、被保護人員が平成二十年度におきまして百五十九万ということで、一・二%ということになります。
 一方、外国人登録をしている方全体は、同時期を見ますと二百二十一万ということでございまして、その中で被保護の方は五万一千人余りということで、割合として二・三%ということでございますから、外国人登録人員分の被保護の割合は、日本国民にかかるものよりも高いということでございます。

○稲田委員 支給している先の外国人の在留資格についてお調べですかという点はどうでしょうか。

○清水政府参考人 生活保護を準用する外国人の方々につきましては、永住者、定住者、日本人の配偶者、特別永住許可を有する外国人の方という一くくりで数字をとらまえておりますので、それら個々ということについての数字は持ち合わせてございません。

○稲田委員 ぜひそういうことも調べてほしいんですよ。それは私もお願いをしていますよ。
 しかも、永住外国人の要件というのは独立の生計を営むに足る資産または技能を有する者ですから、しかも日本の利益に合致するという方々ですから、本来、永住許可をもらっている人が生活保護をもらうということは私は論理矛盾だと思うんですけれども、そういった対象の中身についてもきちんと調べていただきたいし、また、昨年この委員会でも指摘をいたしました、大臣が特別在留許可をお与えになった中国人姉妹の事件の判決によると、不法滞在をしている間も生活保護を日本から受けていたということで、何で不法滞在をしている外国人に生活保護を与えるようなことになったのか、その点の審査もきちんとしていただきたいし、仮に与えた場合には返してもらっているんですかということを聞いても、全くお答えがないんですよ。
 そういったこともちゃんとやってもらわないと、どんどんどんどん日本は破産していく、ただでさえ貧乏なのに。一体何のためにそういうことをやっているのか。きちんとやっていただきたいと思います。
 せっかく厚生労働副大臣に来ていただいているので、時間が少なくなりました、子ども手当についてお伺いをいたします。
 子ども手当を、日本に来ておられる外国人のお子さんが外国に住んでいらっしゃる場合にも与えるんだという制度設計になっているようですけれども、それは一体どういう理由に基づくものなのか。私なんかからすると、外国の方は、日本に住んでおられて、外国に住んでいる子供さんに子ども手当を与えて、お子さんは日本にいるけれども外国に親御さんが住んでいると子ども手当は与えないというのは、子供に着目しても平等じゃないし、また財政政策としても、そんな野方図なことをやっていたら大変なことになると思うんですが、その点について御見解をお伺いいたします。

○長浜博行副大臣 今お尋ねにあったとおりでございますが、今回の子ども手当法案というのは、現在もこの上で審議が続いておりますが、児童手当の一部を援用しながらスキームを構築しているところであります。
 この児童手当の法律の中においても、今先生が御指摘あった部分は、私が思いますに、一九八一年の難民の地位に関する条約の加入に当たり、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の趣旨も踏まえて、他の国内法と同様に国籍要件は撤廃をし、現在は、国籍にかかわらず、親が日本に居住している場合には、その子について監護が行われ、かつ生計を同一にしているという、監護が行われ、かつ生計を同一にしているというポイントで、その子が外国に居住していても支給対象となっているところでございます。
 ただ、御指摘のポイントは、厚生労働委員会においても予算委員会においても、総理自身も、御党を初めとする多くの同趣旨の御質問を受けまして、今回のは一年、二十二年度の子ども手当の法案となっておりますので、二十三年度の法案においては重要な検討事項ということを答弁していることを付言させていただいております。

○稲田委員 確かに、現行の児童手当と同じだということを言われるんですけれども、それならやはり、児童手当とこの子ども手当は全然その金額も違いますし、もし児童手当がそうだとしたら、児童手当のやり方自体も間違っているわけですから、誤りはやはり正すべきだと思うんです。
 ですから、そういったことも含め、やはり私は、日本の国益ということを外国人政策についてはきちんと考えていただきたい。鳩山総理は、日本列島は日本人だけのものじゃないんだということをおっしゃって、日本を世界に向けて開くんだ、そのための政策を自分は命がけでやるんだということをおっしゃっておりますけれども、そういったことでやはり日本は守れないと思うわけです。
 日本は移民政策をとっているわけでもありませんし、やはり、不法滞在者に対する在留特別許可の問題やら、今の生活保護、子ども手当の問題も含めて、きちんとした対応をとっていただきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございます。

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