政府公表資料等情報

衆院法務委員会平成22年04月16日

※司法試験関連のみ抜粋

○河井委員 おはようございます。自由民主党の河井克行です。
 ここに一冊の本を持ってまいりました。題名が「司法の崩壊 新任弁護士の大量発生が日本を蝕む」、帯に「とんでもないことが法曹界で起きている 法曹人口の粗製濫造―「法科大学院」と「年間三千人増員計画」により大混乱する日本の司法」と書いてありまして、副題に「前法務副大臣が明かす」と書いてあります。この人は私でありまして、私が法務副大臣を退任した直後に出版をいたしました。
 私は、鳩山邦夫法務大臣のもとで十一カ月、平成十九年の八月から二十年の八月まで、今の加藤さんと同じ立場ですが、優秀なすばらしい大臣のもとで仕事をさせていただきました。
 日本は法治国家でありまして、国民だれしも法の支配に対して疑問を抱いている人はいませんし、そうであっては決してならない、そう考えております。さて、その法の支配、現場で執行、運用している法曹人、私は、この人たちがあくまでも優秀であらねばならない、そして、国民がこの優秀な法曹人というものに対して信頼と尊敬を持たなければ、日本の法の支配、法治国家という大前提は崩れていってしまう、そのように感じております。
 当時、鳩山大臣からいろいろと御指示をいただきまして、法曹養成、法科大学院を中心とする新たな制度、そして法曹人口の大増員計画。あの方は直観が大変鋭い方でいらっしゃいますので、何かお感じになったんでしょう、その御指示を受けて、いろいろと関係者と公式、非公式に会ったりとか勉強したり、現場の視察をしていろいろなことを学び、そして感じました。
 本来、役所にいた副大臣が退任直後にこういう本を出版するというのは禁じ手かもしれません。ただ、私は、どうしてもやむにやまれぬ気持ちでありまして、やはり制度設計した、夢を見てしまった学者の皆さん、そして現場感覚のない法務官僚、文部科学官僚、この人たちによって大切な大切な司法の一番の基礎が失われつつある、崩壊しつつあるという実感を抱き、できるだけ世に問いたいということで本にいたしました。
 案の定というか、ほとんど本は売れておりませんけれども、法務省の売店では発禁本になったかどうかわかりませんが、本論に入ります前に、法務大臣そして法務副大臣、私の拙著、存在自体御存じだったかどうかということも含めて、ごらんいただけたかどうか、所見も含めてお聞かせをください。

○千葉国務大臣 委員の御著書については存じ上げております。
 ただ、なかなか内容を十分にきちっと読ませていただくというところまでには至っておりませず、どういうお考え方かということなぞを少し整理をして報告を受けているところでございますので、また時間をつくってゆっくり読ませていただくことができたらと思っております。

○加藤公一副大臣 先輩副大臣の上梓された御著書でございますから、本来であれば真っ先に私が読ませていただかなければならないことは重々承知をしておるところでありますが、今、何分にも十分な時間がとれてございませんで、まだ直接拝見をしたのは表紙まででございまして、大変申しわけなく思ってございます。
 ただ、お書きになられた内容につきましては、事務方からも説明、報告は、概要でございますが聞いているところでありまして、今後も、私どもがさらに、先生の御示唆に富んだ御意見も踏まえながら勉強させていただきたい。ぜひ参考にさせていただきたいと思ってございます。

○河井委員 今の答弁からも、恐らく役所内では危険書扱いをされているんだなということがうかがい知れました。政治家が時間のあるとき読みますと言うのは社交辞令ですから、時間があっても読まないと思いますので、きょうの私の質問をしっかりと聞いていただいて。
 これを出した後、もう一年六カ月以上時間が過ぎ去っております。恐らく、役所は、この本の内容を教えてくれと皆さんがお尋ねになると、いや、この部分はここが違っていますみたいなメモをちゃんと添えて持ってくると思いますので、一番大事なことは、本当に、やはり現場の声を聞いてほしいんです。役人の意見とかそういった人たちの意見ではなくて、現場で本当に苦しんでいる人たちの意見を聞いていただきたい。その一心で、きょうは、その後の司法の崩壊も含めて、いろいろな面から質問をいたします。
 まず初めに、千葉大臣には、所信で法曹養成についての問題を検証されるという発言をされました。私は、ただ、もう検証という段階ではないというふうに思っておりまして、また同時に、長期にという発言の部分もおありでしたけれども、法科大学院ができて六年、新しい司法試験ができて四年たっているんですね。検証ではなくて、もう問題点は明らかになっているわけです。それについて具体的な改善をしなきゃいけない。
 実は、私たちも自民党政権時代に、与党の中でさまざまな動きを行いました。そういった点でも、もう検証はし尽くしているというふうに私は考えておりますが、大臣御自身は今の法曹養成の仕組みについてどういう問題意識をお持ちなのか、お尋ねします。

○千葉国務大臣 法曹養成制度が議論をされましたときには、従来の司法試験制度の弊害をなくし、そして線によって、法科大学院を中心として法曹を養成していこう、こういう一つの大きな流れをつくってよき法曹をつくっていこうということが、この法曹養成制度をつくったときの大きな基本的な考え方であっただろうというふうに思っております。
 私は、この法曹養成制度そのものについては大きな意味があるというふうに思っておりますけれども、では、その最初の理念、あるいは法曹養成についての基本的な考え方、理念、それと現状については、私はかなり乖離が出てきているというふうに思っております。
 今、早急に手直しをする必要があるということではございましたけれども、そういう意味で、今きちっと、当初の考えていた法曹養成のあり方とそして現状がどうなっているのかということを検証し、そして改めるべきところは改める、そして新しい、質の高い、多くの皆さんに信頼される法曹をどうやってつくっていくかということに大きくまた踏み出していかなければいけないものだという認識でいるところでございます。

○河井委員 今、かなりな乖離が見られるという御発言でありました。
 私は、後でまた詳しく申し上げますが、もはや制度を小手先で、また新たな税金を投入したり、いろいろな人を配置したりして改善する段階ではない、制度自体の本質的な欠陥が明らかになってきている。
 先ほど、もう制度ができて六年と申し上げました。いろいろな結果が出てきているということですけれども、例えば、法科大学院の適性試験の受験者数の推移ですとかが激減しているんです。初年度の平成十五年度には、大学入試センター、三万五千人以上が適性試験を受けていた。それが、平成二十一年度では九千三百人余り。つまり、四分の一に減ってしまっているんですね。六年間で四分の一に志願者が減ってしまうような仕組みになってしまっているということなんです。これは私は、市場、マーケットのはんらんだと思いますし、志願者、受験生をお客様に例えれば、消費者がもうここに参入したくない、そう思っているわけですよ。
 大臣、副大臣、どちらでも結構ですが、まず、この適性試験、受験者が激減をしたということについてどういう御認識をお持ちでしょうか。

○千葉国務大臣 適性試験の志願者が大変減少しているということは十分に承知をいたしております。
 その原因というのは、私も、必ずしもこれだということを、確たるものを申し上げることはできませんし、そして、まだ、何が原因しているかということをよくよく検討してみなければいけませんけれども、例えば、司法試験の合格率がかなり低下をしております。そういう意味では、それに対して挑戦をしよう、そういう意識が少なくなっている。それから、法曹人口が増加をすることによって、弁護士のいわば就職難というようなことも言われております。そういう意味では、やはりこれも、司法試験を受けてもきっと就職できないのではないかということが、こういうことに挑戦をする、あるいは試験を受ける意識を非常に低下させているということも言えるのではないかというふうに思います。ただ、それが確たる原因かどうかというのは、私も必ずしもそれですべてであろうというふうには思いませんけれども、そういうことも一つの原因ではないかというふうに思います。
 ただ、やはり、先生おっしゃったように、質の高い、そして信頼される法曹というのを生み出していくということは大変重要なことでございますので、この原因等ももう少しきちっと調査をして、そして、どのようにしてこのような法曹を目指していただくという人をふやしていく、あるいは生み出していくということを考えていかなければならないというふうに思います。

○河井委員 今、大臣は、大きく分けて二つ理由が類推されるとおっしゃいました。一つは司法試験の合格率が余り上がっていないということ、もう一つは就職難だということなんですけれども、私は、前者は理由になっていないと思うんです。
 というのは、御承知のとおり、大臣は司法修習の三十四期ですよね。そのころ合格率は何%でしたでしょうか。もう覚えていらっしゃらない……(千葉国務大臣「数%」と呼ぶ)数%ですよね。それと比べますと、合格率はけた違いに高いわけですよ。
 私はむしろ、本質的な理由は、就職できない、資格を取っても就職できない。つまり、無用な法曹人口を国家が垂れ流しというか無理やりつくっているということに対して、若い人たちが、自分たちの一生をかける価値が果たしてあるだろうかという疑問を持っているんだと思うんですね。
 他方で、新しい仕組みのほかに旧来からの仕組みも残っておりまして、いわゆる旧司法試験なんですけれども、昨年は一万五千二百二十一人受けているんです。法科大学院の適性試験を受けた人が九千三百六十人ですから、一・六倍の人が、合格率が一%、〇・何%しかない旧司法試験であるにもかかわらず、これだけ大勢の人たちが受験をしているんです。法科大学院に行けないけれども法曹資格を得たいんだ、社会のために役に立ちたいんだということを願っている人たちがこれだけいるということなんですよ。
 平成十五年、最初制度が始まったときは、適性試験を受けた人と比べますと、一・三倍、旧司法試験が多かったんです。最初役所が想定したのは、旧司法試験はだんだん減っていくだろう、受験者は激減するだろうと。だから、私からいえば、いじめとしか思えないような、低い低い合格率にどんどんしてきているわけですよ。
 それから、これは余談になりますが、私は副大臣のときに、旧試験、新試験、短答、論文の試験会場を週末全部見て回りました。旧試験組はかわいそうなんですね。空調がきいていないんですよ、暑いときに大部屋で。試験の公平上もあって、それは当然後ろの席からしか僕は見ることはできません。新試験に行ったら、快適なクーラー。お台場の立派な借り上げした会場でやっている。何でそこまで、ついてきた方にいろいろと聞きましたけれども、よくわからないお答えでしたが、やはりそこまでしてまじめに頑張ろうとしている人たちが一方でいる。
 ただ、もう旧試験は基本的に廃止ですから、法曹になるためには法科大学院に行くことが義務づけられているんですよ。国家が強制しているんです。法科大学院を出ないと司法試験すら受験できませんと国家が強制しているにもかかわらず、旧試験、国家が強制していない方は受験者数が一・六倍いる。国家が強制しているはずの方、法務省と文科省が無理やり金を配分してやっている方が四分の一になってしまった。
 私は、結局、例の司法制度改革推進計画、閣議決定で、多様な人材を法曹にしなきゃいけないという高邁な理想がありましたね。これは全然多様な人材になっていないわけですよ。
 法科大学院というのは、お金もかかるし時間もかかります。未修の場合、大学を出てから三年間ですね。既修、大学で法学を勉強した場合でも早くて二年間かかってしまう。学部で四年間勉強した上に、さらに二年から三年、時間とお金をかけてしまう。しかも、ことしから司法研修所が給費制から貸与制に変わっていくということがあります。この間は当然お金を稼ぐことはできない。さらに、順調に合格しても、受験に半年、司法研修所に一年余り行きますから、最速でも、大学を出てから、未修者では四年九カ月もかかってしまう。既修者で三年九カ月かかってしまうんですね。この間、当然稼ぐことはできません。
 現場の意見を聞いていて私が一番心配したのは、結局、お金持ちの子弟、一部の人たちしか、社会的あるいは経済的な力を持っている裕福な人しかもはや法曹にはなれないのではないかという心配を強く抱いたんです。
 今、実際にどれくらいお金が必要か、御存じでしょうか。法科大学院の三年間で、学費と生活費、もちろん標準計算ですけれども、どれくらいか、御存じでしたらお答えをいただきたいと思います。

○加藤副大臣 正確な数字を今持ち合わせてはおりませんが、今先生御指摘のように、学費だけではなく生活費も合わせてということになりますと、もちろん生活費ですから個人差も大きいとは思いますが、三年間丸々の学費プラス生活費、数百万円台後半にはかかるのではなかろうかというふうに思います。

○河井委員 全くそんな金額じゃ済まないんですよ。私の本の百四十三ページを読んでくださいね。ざっと計算しますと、私立の場合、学費で四百十万円、それから生活費、普通、家賃が月六万五千円、生活費が七万二千円として、四百九十三万、合計して九百三万円なんですよ。
 それで、さっきも言ったけれども、三年間稼ぐことができませんから。二十代の会社員の平均給与が三百五十万と仮定して、逸失利益が一千万ぐらい。全部で三年間で二千万円の経済的な負担ができる人しか法科大学院に行けないんですよ。そうしたら文科省は必ず言いますよ。副大臣、お越しいただきましたけれども、奨学金があるじゃないかと。奨学金も基本的にはこれは返すお金ですから。しかも、繰り返しますけれども、司法研修所では給付制から貸与制にお金が変わっていく。
 千葉大臣、もし今千葉大臣が学部の四年生でいらっしゃったら、これだけの金額の負担をして、それでも法科大学院に行きたいと思われますか。

○千葉国務大臣 私も、当時を振り返りますと、まずは法科大学院というのがないときでございましたので、学部を出て直接司法試験を受けるということになるわけです。しかも、貸与制ではなくて給費制ということでございましたので、一定の期間で頑張ることができれば、その後、修習を経て法曹の道を何とか得ることができるのではないかというふうには考えました。
 そういう意味で、もし法科大学院、そしてまた、給費制ではなくて貸与制であるというようなことが前提条件であるとすれば、本当に生活をどう立てていくか等々相当考えたものではないだろうかというふうには思います。ただ、振り返ってみると、わかりませんけれども、そういう条件であればなかなか大変ではあろうというふうに思います。

○河井委員 この部屋にはほかにも法曹議員の方がいらっしゃいまして、同僚の稲田朋美さんは三十七期なんですね。あるいは、民主党の方でも辻先生が三十三期ということを聞いておりますけれども、いずれの皆さんもそれぞれ、こんなことを言ってはいけないけれども、別にそんな裕福な家ということじゃなくて、普通の健全な家庭で生まれ育って、それで一念発起して何年も苦労して司法試験に合格された方たちばかりだ、私はそう信じているんですよ。
 ところが、最近、法科大学院で教えている現場の教官の話を聞いてみると、明らかに昔と学生の質が変わってきたと。やはり金持ちの子弟がふえてきた、それから検事や判事の二世もふえてきたというふうな声。だから、副大臣、これは現場を歩けばすぐ聞ける話ですから、その辺はしっかりと把握をしていただきたいと思います。
 その上で、ではお金の負担ができない人はどうするかということなんですけれども、こういう方策を最近法科大学院はとり始めてきていまして、要するに、金をばらまくんですね。ばらまいたり無料にしてしまうということを今どんどんやってきていまして、要するに、いわゆる中下位校におきましては、成績優秀層の囲い込みが始まってきた。
 例えば、専修大学の法科大学院では、二年間にわたって全くのただ。それも、私が一番問題だと思っているのは、給付条件の中に所得要件がないんですよ。つまり、苦学生だから学費を支援するじゃなく、いっときの甲子園球児の特待生制度と同じような状況になっている。青学はさらにすごいんですね。去年から、法学既修者コースの入学者全員に、二年間ただ。既修者には全員ただにしているんです。では、だれが持つか。だから、それは当然未修者がその分までかぶらざるを得ない。白鴎大学の法科大学院に至っては、修了した翌年度の司法試験に合格した場合、祝い金三十万円が支給をされる。
 つまり、金に物を言わせて優秀な人を片っ端から集めてきている。だから、教育というよりも、教育というのは、できようができまいが、そういう子たちを集めて能力を高めることが自前の教育なんですけれども、そうではなくて、もう一定の水準に立った人をいろいろな経済的なことで引っ張ってくる、そういうふうな状態に今陥っているわけであります。
 次に、最近の司法試験の結果推移を見ていきたいんです。
 一番最近の、昨年の司法試験の結果、合格者は二千四十三人で、合格率は二八%です。大臣がまじめに合格されたときと比べると、けたが二つぐらい違う。そして、ひどいのは、七十四校も法科大学院が乱立しているんですけれども、この平均以上、二八%以上の合格率を出している学校が何校あるか。
 これは、普通、算数でいえば、大体半分の三十七校ぐらいは平均以上の合格率を出しているというふうに類推できるわけですけれども、実は、平均以上の合格率を出しているのは、わずか十七校にすぎない。つまり、残りの五十七校は平均以下。合格率の高い方から計算して、上位二十校で全体の七割を占めてしまっている。残りの五十四校で残りの三割を占めている。だから、この五十四校が全くなくなって法科大学院が二十校になったとしても、大体千四百人くらいの合格者は出ていくということなんですよ。
 では、極めて結果を出していない法科大学院に対して、国が、政府がどれくらいの国費を投じているか。文部科学副大臣、おわかりでしたらお答えをいただきたいと思います。

○鈴木寛副大臣 お答えを申し上げます。
 まず、二十一年度ベースを参考に申し上げますと、私立の法科大学院を含む専門職大学院に対する経常費補助が四十五億円、それから国公私を通じた教育の取り組みに対する支援ということで五・六億円、それから国立大学法人における法科大学院に係る運営費交付金相当額ということで試算をいたしますと三十二億円、こういう状況でございます。

○河井委員 全部合計しますと、毎年大体二百億円以上、国費が法科大学院に投じられている。
 副大臣、私の本を持ってきていただいて、ありがとうございます。
 それに加えて、先ほど言いましたように、個人が莫大な費用負担をしてきている。この実態をどう考えるかなんですよ。つまり、お金をたくさん無理やりかけて、子供たちに二年から三年間通いなさいよといって、その結果がこういうことですかということなんです。同じ法科大学院を出ても水準が違い過ぎるし、先ほど大臣がおっしゃいましたけれども、理念どおりには全くなってきていない。
 常識で考えて、七十四校で教えるだけの教員を日本国でそろえられるはずもないんですよ、それは。私が地方の私立法科大学院へ視察に行ったときは、もう本当に、首都圏もそうでしたけれども、七十以上の方々が、第二、第三の人生を押して現場で教えていらっしゃった。それでも足りなくて、一人の人が二つ、三つ大学院をかけ持ちしている、そういう状況なんです。
 そういったことに加えて、法科大学院はいろいろととんでもないことをやってくれているのですけれども、実は、去年の九月十一日の読売新聞の記事にこういうことが載っていました。愛知学院大学は、初の合格者四人を出した。昨年秋以降、弁護士の教授陣をふやし、学外の予備校に通う学生を経済的に支援するなど、試験合格に向けた支援体制を強化してきたという。
 法科大学院が受験予備校に通う金を出して、それで初めて四人出したんですよ。これはもうブラックジョークというか、もう完全に制度が破綻していますよ。
 だって、さっき大臣がおっしゃったけれども、私は、旧試験は決して悪いことばかりだったと思いませんよ。私は、千葉大臣とか同僚の稲田先生とか辻先生が、丸暗記で通ってきたばかりの人とかいうふうには全く思わない。すぐれた方だと思っています。ただ、中にはいろいろな弊害もあったかもしれない。ただ、それを直すために、予備校に頼らないために法科大学院をつくったはずなのに、受験予備校に通う金を援助している。これはもう、理念の放棄どころか、はなから理念を追求するつもりがなかったと受けとめられても仕方ない。
 これは事実関係を文部科学省で調査されたんでしょうか。もし結果が出れば教えていただきたいと思います。

○鈴木副大臣 文部科学省におきましては、中教審の法科大学院特別委員会報告を踏まえまして、今御指摘の愛知学院大学についてはこのような所見をもらっております。「法科大学院として、改善の必要性が正しく認識されていないため、成績上位者による予備校の答案練習を組織的に支援するなど、受け入れた学生を自ら責任を持って教育しようという意識が希薄であり、法科大学院での教育を中心とした教育課程および学修指導体制を再構築する必要がある。」という指摘を受けておりますので、よく承知をいたしております。

○河井委員 今のは一番わかりやすい例なんですね。ほかにも同じようなことは、現場の意見を聞けば幾らでもある。
 ちなみに、学生のうち、受験予備校に何割ぐらい通っていると思いますか。表向きは、法科大学院の教官は、予備校に通っちゃいけないと言い続けているんです。雑感でも結構ですから、大体何割ぐらいが現に通っているか、想像で結構ですからお示しください。

○加藤副大臣 あくまでも想像の域を出ませんので、適切な数字かどうかわかりませんが、おおむね三〇%ぐらいでありましょうか、そんな感想を持っております。

○河井委員 いや、そんなものじゃないんですよ。七割、八割ぐらいが通っているということを予備校の関係者から私は聞きました。中下位校はもちろん、上位校でも先生の目を盗んで行っているということであります。
 だから、繰り返しますけれども、三年間、二千万の金をかけて、国家も毎年二百億円以上かけて、派遣検事だって、何人でしたかね、優秀な人を数年間そこに配置して、裁判所からも教官を出して、それでやって、さらに何で予備校に通わなくちゃいけないのか。これはどう考えても、まじめに考えれば考えるほど眠れなくなるんですよ。
 法科大学院の志願者は六割減っているんですね。今、大体四〇%になった。司法試験は毎年大体二千人が合格しています。となると、二万人、三万人の志願者がいたときに二千人合格するのと、今では、九千人台に満たないところで二千人、去年だって二千四十三人。例の目安を随分下回ったんですよ。下回ったけれども、それでも二千人合格させた。これで果たして法曹の質が維持できていると思いますか。
 繰り返しますけれども、旧司法試験は、千五百人合格した当時、大体五万人が受けていました。法科大学院が始まって五年たったら、それが一万人になっている。法科大学院に行けない人は受験できないわけですから。法曹の質が担保されているかどうか、要するにこれが一番心配なんですよ、国民も含めて。御所見がありましたらお聞かせをください。

○千葉国務大臣 あくまでも私の雑感でございますけれども、法曹の質、これは一体どのようなことをもってよい質かどうかということをはかるのかというのは、非常に難しいことだというふうに思います。
 我々が受験をした、そして法曹になった当時が法曹の質がそれなりによくて、今の法曹養成制度のもとの方が低いともなかなか言い切れないところもあろうと思いますし、当時も、私自身、自戒を込めて言えば、そんな質の高い法曹かな、こういうところもありますので、なかなかこれは、一概にその質をはかるというのは大変難しいことだというふうに思っております。
 ただ、少なくとも、質の高い、そして頼りになる、一人一人が信頼できる法曹が誕生してもらうということは、これはだれもが望むところだというふうに思いますので、それに向けて、やはりよりよい制度にしなければならないのではないかというふうには思います。

○河井委員 今、大変大臣は奥ゆかしく謙虚におっしゃったんですけれども、現場の意見を聞いていますと、法曹の質は下がってきているんですね。
 その幾つかの資料をきょうは持ってきたんですけれども、ただ、大原則でいいますと、下がるなんというのは論外なんですよ。法科大学院制度の生みの親たち、設計した人たちは、質、量ともに増大させると言ったんです。約束したわけですよ。質がよくなるから、六年間で千二百億円以上の国費をかけ、子供たちにもお金と時間をかけてやらせている。それが、よくなって当たり前なのに、悪くなるなんということはおかしいんですよ。
 法務省のホームページに載っておりますが、新司法試験の考査委員ヒアリング、試験を実際に考査した人、試験官たちのヒアリングがこちらにあります。ある大臣は、国民の苦情は宝の山だと言っているそうですけれども、これこそまさに宝の山ですから、ぜひしっかりと目を通していただきたいと思います。
 平成十八年の、まず公法系からいいますと、これは考査委員です。私は、全体答案の四分の一に当たる四百二十通を採点したが、憲法の論文問題で問うている最も核心的な問題をきちんととらえ、論じている答案が一通もなかった。
 行政法。結果的には上の方のレベルの答案はほとんどなかった。下の方に関して言えば、一応書けているなというのがかなりあるという印象である。もちろん、それぐらいのレベルで果たしてよいかというのはまた別個の問題である。
 予想よりよかったとか、法科大学院教育の成果があらわれているといった肯定的な印象を述べた委員からも、問題点を把握してきちんと書いている答案はほんの一握りにすぎない、できのいい答案はそれほど多くないという指摘がなされていた。
 法学既修者については基礎的なことは学部段階でできているべきである。法科大学院の授業では、それを前提にして応用力を高めるという教育になってくると思われるが、実際に私どもの法科大学院でソクラテス・メソッドで授業をやっても、意外と基本的なことは知らないわけである。
 ソクラテス・メソッドという言葉が出てきましたけれども、御存じでしょうか。もうこれは、ソクラテスさんが聞いたら泣いて怒るような話ですね。つまり、古代ギリシャのあのソクラテスと弟子たちが行ったような問答を法科大学院でやります、そういう理想というか、現実離れした、それがソクラテス・メソッドなんですよ。それでやろうとしても、そこまでの基礎的な力が全くついていないという話であります。
 だから、これは司法試験の受験者ですから、法科大学院は当然修了しているわけです。基礎的なレベルを疑うような答案もかなりあった。これでよく論文まで来たなというのがあって、何よりも法科大学院の修了認定について厳格さを求めたいと思った。そういう意見がたくさん出てくるんですね。
 そうしましたら、こういう意見が出てくると思います。いや、中にはいい論文もあるじゃないか、優秀な子たちもいるじゃないかということが出てきますけれども、この理屈はおかしいんです。なぜならば、千葉大臣のように、学部を出て、旧制度のもとで自分で頑張って、何年勉強されたかは存じ上げませんが、御自分で頑張って独力で合格される、そういう優秀層は今でもいるんですよ。だから、その子たちは、別に法科大学院に行っても行かなくても司法試験に合格する。それが、繰り返しますけれども、国家によって三年間から二年間、義務で行かなくちゃいけない、そういう状況になってきているというのが私はおかしいのではないか。だから、優秀層がいるということは全く理由にならない。
 今のは平成十八年、十九年ですけれども、最近の二十年の公法系ではこんなことが言われているんですね。もう制度ができて時間がたっていますけれども、誤字脱字、判読不能な文字、意味のわからない文章などが多く見られた。法的な能力以前の問題として、他人に読まれる文章であることを意識して、客観的な立場で自分の文章を見て修正する習慣を身につける必要があると思う。この点は法律家、実務家として命の部分であり、そこがなぜできていないのかということを考えさせられたなんという指摘もあります。これはぜひごらんいただきたい。
 関連でいいますと、考査委員の採点実感というのは、極めて現場の意見なんですよ。これは当然ホームページで公開されます。ですから、本当はもっと言いたいんですよ。随分これは穏やかにしている。それが、実は平成二十一年から、今までのような意見を書き連ねるということから形式が変わりまして、役所が編さんするようになりまして、全然生きた意見が従来と比べて入ってこないようになってしまったというのは残念だということだけ指摘をさせていただきたいと思います。
 そういうふうな、質の担保、厳格な修了認定を前提に受験資格を独占してきたのに、その効果が全く上がってきていない。この点、今のヒアリング、採点実感、お聞きになっていて、何かお考えがありましたら、大臣、お聞かせいただきたいと思います。

○千葉国務大臣 採点実感につきましては、私も、すべてではありませんけれども、指摘をされていることについて、いろいろと考えさせられるところがあるのは確かでございます。
 そういう状況も踏まえて、確かに、もう変えるときだというお話ではございますけれども、ほかにもいろいろな、当初の理念から乖離をしているような、そういう問題もございます。あるいは効果が非常に上がっているという部分もあるというふうに思います。
 そういうことも含めて、やはり早急に検証させていただいて、そして方向性を、きちっとした、政府全体として出していくということが必要になるのではないかというふうに思います。

○河井委員 そういった法科大学院のもう寒くなるような教育の質の低下、何とかしなきゃいけないということで、文科省が中心となって、いわゆるコアカリキュラムなるものが中教審の場を中心として作成が進められています。
 このコアカリキュラムにつきましても私はいろいろな意見を持っておりまして、まず、コアカリキュラムというものは一体何なのか、その基本的な性格が、関係者間によっても意見が違うし、性格そのものが不明なので、いまだに議論が百出している。
 ぜひわかりやすく、鈴木副大臣、コアカリというのは一体何なのかということについてお答えください。

○鈴木副大臣 お答えを申し上げます。
 委員御承知のように、コアカリキュラムというのは、法科大学院以外にももう既にいろいろ先行している部分がございます。
 端的に申し上げますと、要するに、法科大学院の場合では、すべての法科大学院において共通的に、かつ必要最小限のミニマムスタンダードということでありまして、これはもう最低限やってください、その上に、あとはそれぞれの法科大学院の理念あるいは創意工夫で充実をさせてほしい、こういうものがコアカリキュラムであるというふうに理解をし、そのように御説明をしているところでございます。

○河井委員 ということは、コアカリキュラムというのは、いわば最低限の、学習指導要領的なものなんですか、それとも司法試験の出題範囲をそこで画するものなのか、あるいは司法試験も学校も縛らない、単なるお勧め、参考程度なのか。この三種類のいろいろな性格の意見があるわけですよ。
 今の副大臣のお答えだと、最低限度の、学習指導要領的なものだと受けとめてよろしいんでしょうか。

○鈴木副大臣 学習指導要領的というものが何を指すかというのはいろいろな議論がありますが、今、現行学習指導要領も最低基準性が明確にされておりますので、繰り返しになりますけれども、最低必要なスタンダードということでございますので、今の分類で申し上げると、第一分類に近いのかなということでございます。

○河井委員 この点は、僕は実は法科大学院制度の理念にかかわる重要な点だと思っていまして、コアカリを政府が総抱えでつくってあげなきゃいけないということ自体が、法科大学院の教員の皆さんが、自分たちの力で中身のある授業を行う力がありませんよと自白しているみたいなものだ、私はそのように思っているんですよ。
 というのは、このコアカリキュラムというのは、これは法科大学院の要領に載っていますけれども、法律知識だけではなくて、その考え方や使い方などにまで及ぶ高度な教育を行うところが法科大学院だと言われているんです。だからこそ、受験予備校ではなく法科大学院で教えるべきだという理屈なんですね。ところが、小学校の学習指導要領とまでは言いませんけれども、最低限の、学習指導要領的なことまで何で教えてあげなきゃいけないのか。
 これは大学院ですよ、大学院。学部を出て大学院。しかも、高邁な理想を持ってつくり上げるはずだった法科大学院が、数年たたないうちに、このコアカリキュラムができないと、これに沿わないと教えることができない。私は、これは理念の放棄である。だって、独自な法科大学院、独自性、多様性をつくりましょうということで、夢を見て法科大学院という仕組みはつくられたわけですね。
 私は、コアカリというのは、例えて言えば、もう家が完全に崩れつつあるのに、ちょっとした突っかい棒か何かをする、それでまたお金と時間をかけてやっていく。私は、役所のあしき発想だ、こう感じざるを得ません。副大臣としてのお考えがありましたら、お聞かせください。

○鈴木副大臣 もちろん、コアカリキュラムに基づいてそれぞれの創意工夫をしていただくというのは当然なわけでありますが、私は、専門職の教育、それを担っている専門職大学院の教育については、モデル・コア・カリキュラム的なものがあってしかるべきだと思っております。
 現に、委員るる御指摘のように、一部の法科大学院においては相当問題があるわけでありまして、中教審においても、一月二十二日に、改善の努力の継続が必要なところが十二校、大幅な改善が必要なところが十四校、これは新政権になって私どものリーダーシップできちっと言わせていただきましたし、それから、法科大学院の定数も四千人台まで減らさせていただきました。
 そういうことはやるわけでありますが、モデル・コア・カリキュラムは、多くの専門職、例えば、まず医学、歯学、薬学についてこうしたものがつくられておりますし、それから、看護あるいは獣医、こういったところについても、そうしたライセンスを持って、かつ独占的に仕事をするという部分についてはモデル・コア・カリキュラムをつくっておりますので、それに準ずる扱いをすべきだと私は思っております。
 それ以外にも、工学とかITとかMOTとか会計とかいう部分についても、例えばMOTとか会計については策定をされておりますので、繰り返しになりますけれども、専門職についてはモデル・コア・カリキュラムをミニマムスタンダードとしてつくっていくという方向性、その中で法科大学院もとらえていってよいのではないかなというふうに思っております。

○河井委員 コアカリキュラムは、もともとアメリカ生まれで、確かに副大臣おっしゃるとおり、日本では医学教育などで導入されている。
 ただ、医師と法曹を同列に論じること自体が、その求められる能力が私は全く違うと考えていまして、医師の国家試験というのは、基本的には、専らその人が持っているさまざまな医学的な知識を問う試験である。法曹の司法試験は違うんです。それは、基本的な知識に加えて、法の運用とか考え方そのものを今の司法試験では問うているわけでありまして、私は、その二つは同列ではない。
 またいろいろと議論する場もあると思いますので、それぐらいにしたいと思いますけれども、こういうさまざまな問題を抱えている法科大学院を中心としたこの養成制度、お金をかけないで一瞬にして改革できる道がある。
 これは、私が副大臣のときに何度言っても本当に、私は役所の中でははねっ返り副大臣だと思われたと思うんですけれども、要するに、受験資格制限を撤廃すればいいんです。だれでも司法試験を受けられるようにすればいい。そうしたら、お金がなくても、苦学生でも時間をかけなくて受けることができる。と言うと、予備試験がそうですよと恐らく言われるんでしょうけれども、今時点での予備試験の制度設計は、残念ながらそうはなっていない。
 私は、根本的には、国費をかけないでできるのは受験資格制限の撤廃。別に私は法科大学院が憎くて言っているんじゃなくて、法科大学院をぶっつぶせなんて言っているんじゃないんですよ。受験資格制限を撤廃して、だれでも受けられるようになって、それでも金をかけて生き残れる法科大学院は必ずあるわけです。そうでないところに無駄に、それこそ私は、民主党政権なんだから事業仕分けをもっとやってほしい、何でこの部分、もっと事業仕分けをしないんだと、いつも野党の片隅からそのように思っているんですけれども、私は、受験資格制限の撤廃が一番早いし、効果的だというふうに考えております。
 大臣の御所見がありましたらお聞かせをください。

○千葉国務大臣 私も、先ほどから申し上げているように、法科大学院等々無関係なときでございましたので、全くそういう条件なしに司法試験を受けられる、そういう前提でなった人間でございますので、それも確かに一つのやり方かなというふうには感じたりはいたします。
 ただ、この法科大学院、法曹養成制度、これ自体が、やはりそのときも、長い間予備校に通ったり、そういうことの弊害ということをもって、そうではない法曹養成制度、こういうものとして確立をされたという経緯もございます。
 そういう意味では、この基本的なところをまずは大事にしながら、しかし、先ほどから御指摘があるような問題点をもう一度改めてきちっと検証しながら、これからの法曹養成制度というものに生かしていく、こういうことを私は考えていきたいというふうに思っております。

○河井委員 ずっと議論をしてきました。きょうは人口のところまで立ち入ることが時間的にできませんでしたので、また別の機会にしたいと思うんです。
 私は、法曹養成も含めて、そもそも改革というのはよりよい社会を実現するための手段であって、それ自体が目的であってはいけない、改革自体が自己目的化することは本末転倒であり、よって、制度をつくり上げた時点で想像できなかった問題点が判明した場合には、それらを率直に認め、対処していくことが当然の義務であり、それがむしろ真の改革だと私は信じております、いい答弁だと思うんですけれども、自分で言うしかないんですけれども、おととしの五月二十三日、衆議院の法務委員会、河井副大臣の答弁、すばらしいと思いますね。だから、本来、法科大学院とはよりよい法曹を養成するために設立されたものであって、ゆめゆめ法科大学院を存続させること自体が司法制度改革の目的に陥ることのないように私たちは意識をしっかり持つべきである。
 やはり、私は政策の失敗を認めなきゃいけないと思います。そろそろ時間がないですから……(発言する者あり)それは幾らでも議論しますよ。だから、それは自分たちの政権のときのことも含めて、今私はあえて言っているわけですよ。政策の失敗をきちんと認めなきゃいけない。そして同時に、だから、今、実際責任を持って担っているのはあなたたちですから。改革は振り返りながらやればよくて、誤りは直ちに直さなきゃいけない。
 だから、最後に私は、大臣にぜひ約束してもらいたい。きょうは、ほんの司法制度改革のごくごく一部についてだけ申し上げました。約束してもらいたいのは、改革のための改革ではなくて、国民のためになる改革をこれからもやっていただきたい。いかがですか。

○千葉国務大臣 当然のことだと思います。
 改革のための改革、それがそうであってはならないわけでして、私も国民の目線でしっかりと改革の道を進めてまいりたいと思っております。

○河井委員 その言葉、しっかりと受けとめさせていただきましたので、実際の行動でぜひ国民にお示しをいただきたいと思います。
 最後になりますけれども、時間不足で聞けませんでしたが、両副大臣が主宰していらっしゃるワーキングチーム、できたら一度私を呼んでくださいね、いろいろな話をさせていただきますので。
 やはり、役所というのは、いいことしか政務には入れない傾向があります。法科大学院も、実際に十四校視察をいたしました。その行き先も全部私は自分で決めました。役所に任せていては、それは見たくないところは見たくない。やはり誤りをしっかり見詰める勇気が政治家には必要だ、これはユリウス・カエサルの言葉ですけれども、最後にそれを申し上げて、たっぷりと材料がありますので、またこれからも質問をさせていただきたいと存じます。
 ありがとうございます。

 

○大口善徳委員 過払い金返還の問題についての、一部弁護士、司法書士と、依頼者である多重債務者のトラブルの問題につきましてお伺いをしたいと思います。
 とにかく広告を派手派手しく出して大量に仕事を受けて、そしてそれを処理しないまま放置するとか、あるいは、過払い金請求だけしか受けない、そして多重債務者の生活再建ということを全く考えない、多額の報酬を受ける。それから、これは非弁活動、犯罪でありますけれども、弁護士本人が直接面談をしないで全部事務所の職員任せにする。とんでもないことが行われているわけでございます。
 私は、日弁連、そして日本司法書士会連合会の方々からもヒアリングをさせていただきました。そして、日弁連も日司連も指針を今回出されたわけであります。日弁連は、二十一年七月十七日、債務整理事件処理に関する指針を定め、本年三月十八日にさらに同指針を改定し、直接かつ個別の面談の原則や、広告における弁護士費用の表示等の配慮事項を追加しました。また、日本司法書士会連合会も、平成二十一年十二月十六日、債務整理の事件に関する指針を策定しました。
 このような指針の策定自体が独禁法上問題になるのか、公取委員長からお伺いしたいと思います。

○竹島一彦政府特別補佐人 お答えいたします。
 今御指摘のことにつきましては、かねてから、公正取引委員会といたしましては、いわゆる士がつくような資格者の団体のガイドライン、それから、より広くは事業者団体のガイドライン、要は、その団体としての行動で必要があっても、独禁法の立場から見て、そういう枠組みなりそういう名目のもとで競争を制限する、各団体の構成員はそれぞれ、広告にしても報酬にしても、それを、耳なれない言葉かもしれませんが、競争手段として自分の判断で使うべきものでありまして、団体として一定のことを義務づけるということが、社会的ないしは常識的に正当化されることであればいいんですけれども、そうじゃないということが往々にしてあったものですから、そういうガイドラインで指導してきているというのが実態でございます。
 今御指摘の日弁連にしても日司連にしてもそういう経緯は十分御存じのはずでございまして、我々のガイドラインに基づいて、今御指摘の指針についてもお考えいただいているものと私どもは考えております。
 より具体的には、今申し上げたような内容の指針であれば、これはむしろ消費者または顧客の正しい選択に資するということでございまして、そういう意味のメリットが十分にあるだろう。逆に、そのために、それぞれの弁護士さんなり司法書士さんの活動が団体のこういう指針によって縛られて、競争が非常に制限されるというおそれはないだろうというふうに思っております。

○大口委員 では、具体的に聞きます。
 日弁連も日司連も、この広告のことあるいは報酬のこと等について、会則でもって義務づけということを考えています。
 日弁連の場合の会則、それから日司連の場合は各単位の司法書士会の会則ということでありますが、例えば、日弁連の指針の中に「債務整理事件取扱いの広告」とあり、アで弁護士費用について表示、ウで受任弁護士による直接かつ個別の面談が必要となる旨の表示の努力規定があります。これを会則で広告規制として各表示を義務づけることが独禁法上どう評価されるのか。
 それともう一つ、日弁連や日司連、これは各単位司法書士会が、会則で、債務整理の事件の受任契約の際に、日弁連や日司連がホームページ上公表しています過去の報酬額の平均値の一覧ですとかあるいは報酬金額の分布を債務者に提示することを義務づけることは、独禁法上どう評価されますか。

○竹島政府特別補佐人 指針から会則ということになりますと、会則に違反した場合にはそれなりの処罰があるんだろう、そういう意味で、より格が上がるということでございますが、内容的に先ほど申し上げたとおりのことであれば、そういう会則は、特に独禁法上問題にすべきではないだろうというふうに思っております。
 要は、競争を制限するのではなくて、消費者の適切な、正確な選択に資するというものであるかどうか。逆に言うと、そういう建前をとりながら、実は同じような報酬を取るとか、それから、より顧客を集めたいと思っている会員に対して、その活動を制限するとかいうことはいけません、こういうことでございますから、そういう基本的な問題意識に触れない限り、特に問題視すべきものではない。
 それから、従来から非常に問題であった報酬についてどうするんだということですが、報酬規定というものはもうやめていただくということになって今に至っているわけでございますが、今委員御指摘の、客観的にこういうふうに報酬額というのはばらつきがあるんですよというようなことが、いわば客観的に集められて、かつ統計的にきちんと処理されたものとして、ばらつきはこういうふうになっております、平均値はこうでございます、そういうことを既にホームページで発表しておられる。それを、お客様、消費者に見せて、それで、こうでございますよ、私は幾らですよということを示すことは、これは、消費者がその弁護士なり司法書士の要求する報酬が高いか低いかを客観的に判断できるということになりますから、その限りにおいては、私は問題ないと。
 ただ、上限とか標準額とかいって、結局は、そういうサービスは幾らですよということが、いわば極めてそこに集中しているような形で定められる場合には、私どもとしては、それは問題にせざるを得ないということでございます。

○大口委員 そういうことで、広告規制の会則化、あるいは報酬等についてのこういう対応については、独禁法上問題ないということを今お伺いしました。
 その上で、今回、日弁連や日司連からいろいろと、きのうも宇都宮会長ともお会いしたんですけれども、相談に行くと思います。日弁連、日司連も、このことについては何としても、弁護士自治ということもありますから、しっかり自分たちでやっていこうということを考えていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 時間ももうなくなってまいりましたので、予定していた質問の中で、きょうは文科省から政務官に来ていただいていますので。
 先ほども河井議員からも御質問がありました。いよいよ司法修習生の修習資金の給与制が貸与制に変わる、十一月になる。こういうことで非常に、修習専念義務もある、それから、司法修習生のアンケート調査によりますと、五三%の方が奨学金を利用していて、その金額が三百二十万から一千二百万。きょう、一部報道されておりました。それに貸与制で三百万。そうしますと、六百二十万から一千五百万ぐらいの借金を抱えて法曹になる、こういうことでございまして、千葉大臣も私も給与制でやってきたわけですけれども、また、河井議員からも、三年間で二千万必要だという話もありました。
 とにかく、多様なバックグラウンドを持った方々に広く法曹になってもらいたいという理念からすると、こういう現状についてどうなのか、大臣にお伺いするとともに、今、法科大学院につきましては、授業料の減免措置が行われております、それから奨学金の返還免除ということも行われていますけれども、これをもっと拡大していかなければならないのではないか。これについては文科政務官からお伺いしたいと思います。
 以上二点です。

○千葉国務大臣 いよいよ給付制から貸与制に変わるということで、やはりそれによって財政的な負担というのがより一層重くなるのではないかということは、私も懸念をするところでもございます。
 ただ、法曹養成制度導入に当たっては、できるだけ法曹人口を拡大していく。そして、そういう中で、今度はその財政の負担をどうやっていくのかということを考えたときに、多くの方々の御意見の中で、やはり給付制というのは少し特典を与え過ぎることではないかというお話の中で、貸与制という方向が出されたものだと承知をしております。
 そういう意味では、しかしその負担というのは決して軽くないですので、奨学金のより一層の充実等を含めて、やはりその負担を軽減するということについてはできるだけ努力をしていく必要があるだろうというふうに承知をいたしております。

○高井美穂大臣政務官 大口委員、千葉大臣が今おっしゃったとおり、御指摘本当にごもっともだと我々も思っています。
 法科大学院、一般の大学院修士課程と比べるとやはり二十万以上入学金や授業料においても高いということがありますので、我々も、この授業料減免と奨学金の充実、またTA制度の活用など、経済的支援の充実は一層図っていかなくてはならないというふうに思っております。
 現在、平成二十二年度予算において、各大学が実施する授業料減免措置の拡大への支援、これは国立において百九十六億円を計上しておりまして、私立では四十億を計上いたしました。それから、無利子奨学金それから有利子奨学金の貸与人員の拡大等も今般図っております。二十一年度は百十五万人だったのをことしは百十八万人、全部でありますけれども、人員増を図りました。
 それから、優秀な大学院生に対するTA、RAの経費の確実な措置ということなどを盛り込んでおりまして、まずはこうした政策の実現に努力したいと思います。
 御指摘あったとおり、法科大学院生に対する奨学金の貸与額についても、一般の大学院生に対する有利子奨学金の上限が十五万であることに対して、十九万もしくは二十二万を選択できるというようなことも幅として持たせておりますが、より一層の拡大に向けて我々も努力をしていきたいと思います。

○大口委員 時間になりましたけれども、授業料の免除ですとかあるいは奨学金の返還免除についても、やはりもう一度これはしっかり議論して、負担の軽減を図っていかないと大変なことになると思っております。またよろしくお願いしたいと思います。
 時間になりましたので、以上で終了いたします。ありがとうございました。

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