政府公表資料等情報

衆院決算行政監視委員会第一分科会平成22年05月18日

※司法試験関連のみ抜粋

○吉田(お)分科員 民主党の吉田おさむでございます。
 きょうは、決算で裁判所ということで、事務総長初め皆さんおいででございますので、まずは、裁判所というか、司法というもの、これは、三権分立という中で何事にもかえがたいものであるということは確かなことであります。
 そして、司法試験に合格するというのは、これは単なる資格試験ではない。ほかの士業という部分は、どちらかというと、すべて、行政の下請と言っては悪いですけれども、監督官庁というものがあって、極端な何かがあったら懲戒権、資格剥奪は主務大臣。しかしながら、例えば弁護士一つをとっても、懲戒権というのは弁護士会の自治権という形で、これは、行政は何ら手を入れることができない。もちろん、裁判所は弾劾裁判があり、検察も同じような形になっているという中で、司法というものの位置づけをもう一度しっかりと見直すことが必要であると私はずっと考えております。
 また、十七年前、初当選のときに法務委員会に所属して以来、弁護士でないのに何であんたはそれだけ頑張るんだというぐらい、おかげをもちまして、司法制度についてはいろいろきっしょきっしょで質問等をさせていただいた中で、きょうは事務総長も副大臣もおいでですので、私が、またいわゆる世の中一般の方々が考えている司法というものの問題点というんですか、課題というんですか、それぞれについて、きょうは事務総長もおいでですので、いわゆる民の声も聞いていただければというところでございます。
 まず最初は、司法修習生。これは、法科大学院が始まりまして、それ以降、法科大学院を卒業して修習生になっている、いわゆる司法修習六十期から六十三期という中で、今回、法改正がなされて、司法修習生のお金が給与から貸与になっていったというふうなことがございます。その法改正のときの附帯決議には、衆参それぞれで、この貸与制の導入によって、司法の概念であったり、それから、経済的事由から法曹への道を断念することがないようにというふうなことになっています。
 まず私は、では、現実に、この司法修習生の借金、これは昔で言ったら、司法試験というのは、ねじり鉢巻きをして家にこもって、予備校ができてきましたけれども、ロースクールというものを出なければならない、これは多額な費用がかかる、時間が何年もかかる、生活費もプラスアルファされていくという部分で、借金をされている方がたくさんおいでだと。
 たしか、司法制度改革法案の審議のときに、私もこのことはかつて指摘したと思います。アメリカでは、ロースクールに入るには多額の借金をして入る、だから、みんなスー族になって訴訟ばかりするようになってしまう、そういう嫌いが出てくるということです。
 それを、司法修習というものを所掌する最高裁判所として、では、実際の司法修習生の経済状況、借入金額等の調査などをしたことがあるのかどうか。いかがでしょうか。

○大谷直人最高裁判所長官代理者 貸与制の問題についての関連での御質問かと思いますけれども、現実に今、司法修習生には給与が払われているところでありまして、その修習生が法科大学院当時にどの程度の借金、借入金を持っているかということについての特段の調査は、最高裁としていたしておりません。

○吉田(お)分科員 手元に、日弁連さんが、自分たちがセミナーを開いたときに、全員、司法修習生を通っていただいた方々が参加された、そこでアンケートという形でとられています。借金されている方々の平均額、千五百人がアンケートに答えられて、教育ローン、奨学金を借りられた方は何と過半数を超えているんですね。最高の方で一千二百万、最低で五十万円、平均すると三百十八万八千円。要するに、司法試験に通っただけでこれだけの借金を抱えて入ってくるわけですよね。今だったら一年間貸与だと。そこにまたもう一度借金が覆いかぶさるわけです。
 借金まみれの人が、この国においてはこれから裁判官になる。きょうは法務副大臣がおいでになっています。検事さんになる、裁判官も検事補も、初任給全部合わせてもそれぞれ大体五百万強ですよね。だから、そういう借金まみれの人たちが入ってきたときに、本来の司法の独立というものやそういうようなものについて、どういう御所念、どういう感覚、どういうものをお持ちになるのか、その辺はいかがでしょうか。
 だから、もう一点でいうと、借入金額の調査の有無というのは、これからするのかしないのか。これは、大きな問題を抱えた人が、司法という場に、何事にもかえがたい場に、しかも裁判官、検事という世界に入ってくるという大きな危機意識を私は持っているんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○大谷最高裁判所長官代理者 この貸与制に関する法律の改正については、今、委員も十分お話しになられたとおりでありまして、この法律の改正、裁判所法の改正の際に、法科大学院の奨学金等でどの程度の借入金が考えられるか、それから、修習生としての借り入れということがあった場合にどれぐらいの借り入れになるか、この辺については、国会も含めて十分議論していただいたところであります。
 基本的には、今、それではその後、何か大きな状況の変化があったかどうかということについては、これは弁護士会の方の御意見も十分承っておりますけれども、特段そこのところについての変化はないということでありまして、私どもとしましては、この法律の枠内で施行が義務づけられておりますので、この点については遺漏のないようにということで作業を行っております。
 ただ、先ほど委員からの御指摘もありましたように、この附帯決議がついたということについては十分承知しておりますので、修習のレベルなどについて何か大きな影響が及ぶということが現実の施行を踏まえて起こるようになれば、それはゆゆしき事態であることは言うまでもありません。その点については十分気をつけなければならないと思っております。

○吉田(お)分科員 いや、答弁をはぐらかしてもらっては困るんですよ。借金まみれの人がこれから皆さんの部下に入ってくるんですよ。人間、一番ひっかけられるのは金じゃないですか。皆さん、裁判の事例を見ていったら、ひっかけられるのは、男性だったら女性、そこから酒、女、金と。はなから金が足らない人たちが皆さんの部下にやってくる。そのことを、附帯決議があったからどうこうでなくて、では、これから実態調査をするのかしないのか、まずそこをお答えください。

○大谷最高裁判所長官代理者 先ほど申しましたように、法律の施行に当たって、その前の段階での特段の実態調査は行っておりません。その後、修習に入った、現実にこの法律が施行された段階で、先ほど言いましたように、何か、修習に修習資金の貸与制度の影響が、懸念が非常にあるというような場合には、その点について裁判所としても考えなければならない、こういうふうに思っております。

○加藤公一副大臣 吉田先生、十分御理解のとおりでございますけれども、修習資金の給付あるいは貸与につきましては、その金額あるいは返済の方法、期限等につきまして、最高裁の規則で定めるということになってございます。その意味では、法務省として、何か踏み込んで修習生に対して調査を実施するということは今の段階でいたしておりませんし、きょう現在は予定をいたしておりません。

○吉田(お)分科員 今私が申し上げたように、借金まみれの人が検事補になる、検事に任官されるということは、健全なことですか、適正なことですか。所轄する副大臣として、それはどう感じられますか。

○加藤副大臣 実際に検察官になる方がどの程度の負債を負って任官するかということは、個人的に随分差があるのではなかろうかというふうには思いますが、その経済的事情が仕事や個人の生活に影響を及ぼさないように、奨学金の制度、あるいはこの修習資金の貸与につきましても、先ほど申し上げましたように、最高裁規則で、返済の方法、猶予期間であるとか期限であるとか、あるいは、これは無利息ということになっておりますから、その負担であるとか定められてございますので、一律に、貸与制になったからそれが検察官の職務に大きく影響するというところまでは考えておりません。

○吉田(お)分科員 問題点だけ指摘をしておきたいと思います。
 そして、ぜひとも実態調査をしていただくのと同時に、この国会の附帯決議の中にある、ポイントの二点目として、現にもう今、法曹志願者の数は減っていっている。法科大学院に行って頑張ったらなれるかと思ったらなれない、合格者がゼロの法科大学院まである。時間と金とを返してくれという声は強いと思うんです。
 これは最高裁の皆さんに言うべきことではないと思います。これは極めて政治の世界の話で、給与を貸与に変えた、貸与を給与に変えるのも、これは裁判所法の改正ですから、政治の世界の話で、皆さん方にどうするんだといって詰め寄るのはいかがなことかと私は思います。しかし、さはさりながら、附帯決議で、経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことのないよう関係機関と協議するということが最高裁に求められています。では、現実に協議をされているのか、今後の予定はどうなのか。まずこれが一点目。
 そして、二点目は、法曹志願者の現状の状況に対してどう感じているのか。これは、裁判所のお方、最高裁として、裁判官を任用する方からして、それから法務大臣として、検事を任用する方から、それぞれ一言ずつお答えいただきたいと思います。

○大谷最高裁判所長官代理者 まず、これまでどうだったかという御質問でございますが、この点につきましては、規則制定の当時に、詳細は申し上げませんけれども、有識者あるいは法科大学院の先生、さらに弁護士の方々にも入っていただいた規則案についての委員会で検討していただいています。その際に、どういうあり方がいいのか、額あるいは据え置き期間などについては、委員から十分な意見をいただいているところであります。
 今後についてでございますけれども、もとより裁判所も、執行機関としての責任がございますので、今委員の御指摘のあったように、この貸与制によって、結局、司法試験を受けることを断念してしまうというような事態がどんどん起きてくるということは、有為の法曹を確保するという点で非常に問題でありますので、必要に応じて関係機関と十分な意見交換をしてまいりたい、このように考えております。

○加藤副大臣 法曹志願者の数が減少しているという事態につきましては、私も大変憂慮するべきことだというふうに認識をいたしております。
 もちろん、志願者が減ったからといって、それが短絡的に質の低下を招くということを申し上げるつもりはありませんけれども、ただ、やはり法曹という職にふさわしい方、優秀な方にぜひ多く志していただきたいという思いでございます。
 これは、就職難の問題が報じられたり、あるいは、先生御指摘のロースクールの合格率の問題が指摘をされたりしてございますので、そこは既に、私とそれから鈴木文部科学副大臣共催の検討ワーキングチームなどもつくっておりますので、そこでもまた知恵を絞ってまいりたいと思っております。

○吉田(お)分科員 引き続きお願いをして、このポイントについては引き続き機会があれば質問をしたいと思います。
 そして、今回の司法制度改革の大きなポイントの一つには、司法の民主化、裁判員制度等が含まれて行われていますけれども、それだけじゃなくて、やはり国民の裁判を受ける権利というもの、弁護士の方は、弁護士ゼロ地域という形で必死でしてまいりました。しかしながら、裁判官、検察官ゼロ地域というのが今非常にふえてきている。それは支部の統廃合ということがあるんだと私は思います。でも、結果として、支部が統廃合することによって、裁判員裁判も、例えば名古屋の東の端の人は真ん中の裁判所まで、地裁に行かなければいけない。目の前の裁判所に行けない。
 きょうは決算ですから、国のお金を使うということでいうならば、私は、裁判を受ける権利は、今までのような、何か交通の便がいいとかなんとかいうだけじゃなくて、これほど司法の民主化というものがあるのであれば、支部の統廃合というものをもう一度見直して、もう一度今度はふやしていく。ロースクール卒業生で法曹人口もふえてまいります。
 これは、単に支部という建物をふやすだけでなくて、そこで働く人の働き方も、常勤ということも必要でしょうし、場合によっては、今、警察等を含めるとOBの方々がパートタイムジョブで働いていらっしゃる。やはり、裁判官という方々が、人がいないんだったらそういう形で、国の費用が少ない中においてはいろいろな仕組みを考えて、これほど司法の法曹人口をふやすだけじゃなくて、その仕組み自身、特に国民全域が裁判を受ける権利という部分をしっかりと守っていく必要があると思うんです。
 まず一点は、支部の統廃合はこれからどうするのか。そして、ちょっと気になるのは、では、廃止された支部の土地、建物、財産は今どういうふうな形になったのか。何か妙に、どこかの、かんぽの宿じゃありませんけれども、近しい人たちが買ってマンションなんかを建てているというようなことがあってはならないと思いますけれども、まず一点目。
 そして二点目は、こういうことを続けていくと、裁判も東京一極集中になってしまう。私は経済産業委員会にずっと所属しておりますけれども、やはり公正取引委員会にかかわること、審判のことも、今回も東京地裁だけ。審判が終わって、終わったらその後は地裁でやれと。全国で九件しか事件がないのであるならば、それほど、人材養成に一年半も時間がかかるのはおかしいはずですし、人材養成ができたら地方に配置するということも、なぜ東京だけにしなければいけないのか。また、知的財産についても、これは国の成長戦略の中で大事なことですけれども、知財というものも、やらなければいけないのは東京高裁の知財部だけなんですね。
 もっと司法の民主化という部分に、単に裁判、刑事、民事だけではなくて、その周りの、独禁法のかかわり、知的財産のかかわり、裁判の範囲というんですか、守備範囲というものが非常に広くなっている中で、今のように、地域の支部の統廃合、それから大きな案件の東京一極集中というのは、ちょっといかがかと私は思うんですけれども、その辺の現状とこれからの対応方、どういうふうに考えているのか。最高裁のお考えをいただきたいと思います。

○戸倉三郎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 今委員御指摘の、裁判所の支部の配置、統廃合の問題でございますが、裁判所は、これまで平成二年に支部の統廃合を行いまして、当時二百四十二庁ございました支部が二百一庁に減少しました。他方で、時期は若干後になりますが、事件動向の変化あるいは人口の変化等に伴いまして、支部の増設ということも二庁行っておりますので、現在のところ、支部は全国で二百三庁ということでございます。
 今後支部をどう考えるかということでございますが、これは、もとより、事件の背景にございます社会経済情勢の変化でございますとか、あるいは人口の変動でありますとか、あるいは交通事情の変化、こういった、先ほど委員の御指摘になりましたような諸事情を考慮した上で、一方で、裁判所を御利用になる国民の皆様のアクセスも確保するということで、いわば裁判を充実するという観点からまいりますと、やはり、裁判所の組織というものを非常に効率、充実していく必要があるという一方で、他方で、国民の皆様のアクセスを確保するということを考慮しながら検討してまいる必要があろうかと考えております。
 そのような中で、従来のような、建物を一つ置きまして、そこにフルの裁判所があるというような考えでまいりますと、非常に硬直的な問題も出てまいるかと思いますけれども、この点につきましては、特に国民の実質的なアクセスの確保ということからいたしますと、やはり今後は、この配置を考えるに当たりましては、例えばITの非常な発展であるといったことをどう活用するかとか、あるいは、もう少し柔軟な裁判所の運営のあり方ができないかといったことも総合的に検討してまいる必要があろうかというふうに考えておる次第でございます。

○吉田(お)分科員 先ほど言いました知財だとかその辺の部分は、裁判の普通の刑事、民事以外の部分についてのこれからの広がりというのはどうですか。

○林道晴最高裁判所長官代理者 ただいま議員から御指摘いただきましたように、知的財産権、いわゆる特許権に関する訴えの管轄については、東京地裁と大阪地裁に管轄が専属されることになっております。また、その控訴審の管轄につきましても、知的財産高等裁判所に管轄が専属されている。
 いずれも、これはもう既に立法事項ということになりますので、司法府であります裁判所が意見を申し上げる立場にはありませんが、やはり、知的財産権、いわゆる、技術が高度化し、技術開発等の企業活動においては、この知的財産権の侵害の有無が問題になる。したがいまして、その知的財産権に係る訴えの帰趨というのが企業活動に大きな影響を与えることはありますので、その訴訟審理において特殊なノウハウが必要になってくる。
 そういたしますと、その審理の充実、迅速を図るために、専門的な処理体制が整っている東京地裁、あるいは大阪地裁、あるいは知的財産高等裁判所に管轄を専属させることによって処理を集中しているというふうに私どもは承っております。
 また一方、独禁法、公取の関係につきましては、今法案が議員御指摘のように提出されている状況であります。
 確かに、想定される件数というのは知的財産権に比べると少ない部分があるかと思いますが、やはり、事件の中身というのは高度の専門性が要求されます。また複雑な事案が多いという特色がありますので、判断の合理性を確保するとともに、裁判所の専門的知見の蓄積を図るためには、やはり東京地裁に専属、管轄を集中させる、そういう趣旨で法案が提出されているというふうに承知しているところであります。

○吉田(お)分科員 今答弁の中でありましたように、建物、ITということを言われましたけれども、やはり、人を見て、背の高さだとかどういう体重でどんな声だというのは私は大事だと思うんですよ、いろいろなやりとりの中で。
 そういうふうなことでいうなら、私は、建物、支部の話じゃなくて、だったら巡回裁判。私は、かつて法学部で勉強したときに、アメリカの方では巡回裁判という形でやっていくと。そういうふうに、裁判所も出ていくんだ、出ていってやっていくんだと。それは、弁護士ゼロの地域がなくなっていっているように、そういうところにも、ゼロということはそこに事件があるということであるなら、そういうふうな発想というものをしていかなければならない。
 私、ちょっと聞きましたら、今、巡回裁判の検討というか調査に着手もしたと聞いておるんですけれども、その辺はいかがなのか、そういう発想については。
 それから、二点目。先ほどちょっと答弁漏れです。廃止支部の財産はどうなったのかということ。
 この二点、お願いいたします。

○戸倉最高裁判所長官代理者 大変失礼いたしました。
 廃止支部の財産につきましては、そこには実は簡易裁判所が併置されておりまして、その廃止支部の庁舎等は、その簡易裁判所の庁舎として現在活用中でございます。
 ただし、その一部、庁舎を今度建てかえなどを行います際には、規模を少し縮小することが可能でございますので、その際には、一部土地を割譲して国にお返しする、財務省にお返しするということをしておる次第でございます。
 次に、巡回裁判の点でございますが、委員御指摘のように、裁判所支部の配置などを考えます際に、実質的な地域のニーズにおこたえする手法といたしまして、先ほど申し上げたITの活用ということもございますが、確かに、どうしてもこれは現地で当事者といろいろ対面して事件を処理する必要がある、こういった場面では、場合によっては、巡回裁判、裁判官がそこに出張して事件を処理するということも一つの選択肢として総合的に検討すべき問題であろうかというふうには考えております。

○吉田(お)分科員 そういうふうな形で、できるだけ民主化ということは、やはり構えるんじゃなくて出ていくという方向で発想をお願いしたいと思います。
 そして、先ほど独禁法の話が出てきましたけれども、今回、独禁法の改正の中で、代理人、弁護人の選任、立ち会い、供述調書の写し等というふうな部分が盛り込まれていきます。いわゆる可視化という問題。
 私は、この可視化の問題について、きょうは副大臣がおいでですので、先ほどの検察官ゼロの話とあわせて御答弁いただきたいんですけれども、単に可視化だけの話じゃなくて、これは、例えば日米安全保障条約の中で日米地位協定というのがある。これは、米軍の方が事件を起こしたときに日本が逮捕できない部分というのがありますよね。けしからぬという人がいてるんですけれども、私は多分、アメリカの兵隊さんだったら、そんな日本の法律でぱくられたくないと。つまり、逮捕されたら代理人もつかない、どういう取り調べをしているか、可視化もしていない。
 御承知のとおり、欧米においては、可視化するのは当たり前で、可視化することによってかえって自白もとりたいと。日米地位協定、日米関係の中において、可視化というのは、単に国内の問題じゃなくて、大切な安全保障条約の中で、国民の多くの皆さんが怒りを持って対応する日米地位協定というものの中において、向こうの人間からしたら、言っちゃ悪いですけれども、日本の司法なんというのは未開の地司法だ、あんなところで逮捕されたら人権もへったくれもないと。米軍の兵士であり米軍の将官だったら、場合によってはそう思ってもいいような状況じゃないかなと私はふと思うんですね、この可視化の問題等を考えていくと。
 ですから、リーニエンシーという形でちょっと一部出ていますけれども、これはおいておいていただいていいと思うんですけれども、この部分については、先ほどの検察官ゼロ、これからこの問題については、そういう国内の広い概念でもあるということを含めて対応方をどうしていくのか、ちょっとお答えいただければと思っております。

○加藤副大臣 まず、検察官のゼロ地域の御指摘がありましたけれども、実は、裁判所の支部とは違いまして、各地検の検事正の裁量で、事件等の繁忙によって検事あるいは副検事の配置というものを極めて流動的に実施いたしております。したがいまして、極端な話をすれば、きょうとあすでも実は配置が違うという現実があるところでございまして、一概に、きょう現在どれだけの箇所で検事が常駐していないかというのを申し上げるのは非常に困難な状況にございます。
 それから、可視化のお問い合わせがございました。
 これは、マニフェストにも書いてあることでございますし、私ども政務三役が就任をさせていただいて以来、その実施、実現に向けまして今前向きに検討させていただいております。
 一つには、省内で、大臣を筆頭に可視化の勉強会を設置し、また、そのもとで、私が座長を務めておりますワーキンググループも設けまして、おおむね週一回程度のハイペースで検討を続けてございます。その中で出てまいりました課題や論点なども含めまして、ことし一年間は国内あるいは海外も含めた調査をさせていただくということになってございます。
 これは、一次的な捜査機関であります警察とも大変密接に関連をするテーマでございまして、中井国家公安委員長のもとでも研究会が実施をされてございますので、本年七月以降、中井大臣と千葉大臣との間で、その後の進め方、進めぐあいについて協議をスタートするということもお約束をさせていただいているところでありますので、また御支援方いただければと思います。

○吉田(お)分科員 検察官ゼロ支部が大体百十二ほどあるんですよね。臨機応変とはいいながら、やはりそこもいてもらわないと、司法警察職員と司法警察官は峻別されていますので、そこのところはぜひとも知っていただきたいのと同時に、今、可視化のお話がございましたけれども、独占禁止法の今後の法改正の法律案の中に先に入れているんです、一年以内に検討して出そうと。何か、気がついたら、独禁法の準司法機関と言われている公取の方が、どんどん、リーニエンシーだ、やれ何だといって、ずっと先に進んでいる。司法が後追いするというのではなくして、司法の方が先に行って、追いかけているんじゃなくて追いついて、追い越していただくようなこともお願いをしたいと思います。
 時間になってまいりまして、きょうはわざわざ事務総長においでいただいておりますので、こういうふうな民の声が、いろいろみんな思っているということで、最高裁のあの白亜の殿堂の中に日常おいでになられると、なかなかこういう話は聞けないかなと思いまして、わざわざきょう朝早くから最後まで残っていただいたんです。まあ、感想でも何でも。
 今申し上げたように、私は何を言いたいかというと、やはり司法は違うんだ、そこに生きている人たちは違う、ある意味で、その試験を通るということは、やはり、同じ士だけれども資格試験ではないんだと。なった人たちが、何か妙に、何かにまとわれたりなんなりして、司法の独立というもの、司法というもののあり方が何か傷つけられることに非常に危惧を持っておりますので、それでこういう質問をさせていただいたんです。
 最高裁事務総長として、全体を見渡しての感想なり、御意見なり、もしも所感、所見、決意がありましたら、一言いただければと思います。

○山崎敏充最高裁判所長官代理者 吉田委員には、裁判所につきまして、平素から格別の御理解と御支援を賜っております。この場をおかりいたしまして、まず御礼申し上げたいと思います。
 委員のお言葉にありましたけれども、司法の独立、これは非常に重要な価値というふうに私ども思っておりますが、この点につきましても、委員は大変御理解いただいておりまして、御配慮いただいております。このことについても感謝申し上げたいと思います。
 ただいま幾つかの重要な問題について質問をちょうだいいたしました。我が国の社会において司法の役割というのが非常に重要である、そういう委員のお考えであろうというふうに受けとめております。そういう思いからいろいろ叱咤激励をいただいたというふうに受けとめております。
 私どもも全く同じ考えでございまして、司法の機能をますます充実させていかなきゃいけないというふうに思います。基本的人権ですとか正義とかいうものを直接扱っておりますものですから、なかなか効率化だけでは割り切れないところがもちろんございますが、同時に、国の予算をちょうだいして、国民の税金で賄われているものですから、私どもはできるだけそれをうまく使って、全体としての司法サービスを充実させていかなければならないというふうにも思っておりますので、引き続きまた御支援を賜ればと思います。
 ありがとうございます。

○吉田(お)分科員 時間になりましたので終わりますけれども、本当に、最高裁事務総長が言われましたように、司法は法曹三者のものでは決してないということ、これを忘れてもらってはなりません。しかし、必要ならば、政治は、今副大臣もお話ししました、政治主導でしっかりと法律も変えるし予算もつけていくんだということ、ただ、その分責任は重たいですよということだけ最後に申し上げて、質疑を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

 

衆院法務委員会平成22年05月21日

※司法試験関連のみ抜粋

○河井委員 自由民主党の河井克行です。
 せんだって、四月の十六日、当委員会におきまして、法曹養成、法曹人口、質問をいたしました。きょうは、前回質問することができなかった法曹養成についての後半部分、そしてまた法曹人口、しっかりと質問をさせていただきたいと存じます。
 期せずして、ちょうどきょうは裁判員制度が施行されて一周年ということでありまして、まさに司法制度改革の車の両輪と言われたのが裁判員制度、そして、新たな法曹養成、法曹人口の増員であったと記憶をいたしております。
 国民に開かれた裁判員制度、これが本当に定着するかどうかというのは、ひとえに、私は、それを支える司法の人材、基礎が国民の皆様から信頼するに足り得るという状況があったらばこそだ、そのように信じておりまして、それは大臣、副大臣も同じ思いだ、そのように感じております。司法の基礎が崩れたら、裁判員制度までもがこけていってしまう。重大な危機感を持って、今の状況にしっかりと取り組んでいただきたい。まず初めにそれを申し上げます。
 その上で、せんだっての当委員会での大臣、副大臣の御答弁を聞きまして、正直申し上げまして、驚いた部分が幾つかありました。やはり、もっと現場の実態を知っていただきたい、そういうことなんです。
 法科大学院生が在学中にどれぐらいの経済的負担、金額かということも、質疑の段階では余り御存じなかった。法科大学院生が、本来であったならば行かなくてもいいと制度設計の生みの親たちが豪語していたはずの受験予備校に何割ぐらい通っているかということについても御存じなかった。あるいは、せんだって、文部科学省の担当者に来ていただきまして、いろいろな議論をした際に、日本の法科大学院の仕組みの一つの先進事例、参考にしたと言われている米国のロースクール、このロースクールにおいて、では、米国の受験予備校に通っている学生の割合がどれぐらいか尋ねたところ、全く知らないという状態であります。
 今が去年の十一月段階ならいいんですけれども、もう五月も下旬の状況です。ワーキングチーム、いろいろと議論をしているという答弁が前回ありましたけれども、本当にワークしているのかなという危惧を抱きましたし、そのワーキングチームの議論が本当に地に足がついているんだろうか、そして、現場感覚に乏しい役人、法務省と文部科学省の役人の言いなりになっているんじゃないか、そういう疑念を強く抱きました。
 私は、前回申し上げましたが、論点は既に出尽くしているというふうに思っておりますので、きょうは、失礼かと存じますけれども、前政権時代、自民党政権時代に、若手の議員の皆さんがこの問題について一生懸命勉強した、議論した、その研究会の資料二つ、そして、高村正彦先生を初めとする法務大臣経験者五名、そして文部科学大臣経験者二名らにおつくりいただきました法曹養成と法曹人口を考える会の提言などについて、きょうは、政務三役の皆さん、また、文科省の鈴木副大臣にもお出ましいただいておりますけれども、紹介をしていきます。
 結論から言いますと、私が言うのも変なんですけれども、せっかく政権交代したんですから、前政権が起こした政策の失敗は早く直してほしいということなんですよ。もうそれに尽きております。
 昨年の総選挙で我が自由民主党が大敗をした原因、いろいろな理由があるけれども、そのうちの一つは、役所や業界団体と結託して、正しい政策がゆがめられたのではないかと多くの国民が感じたからだと私は考えております。
 民主党は、政治主導だとか、あるいは官僚政治をやめさせるとか、自民党政権の悪弊や旧弊を打ち破っていくんだと主張するんだったら、もっとちゃんと実行してほしい。特に、この問題については、民主党の政権公約に法曹養成、法曹人口は直接触れられていなかったと私は思いますよ。ならば、あなた方はフリーハンドなんですよ。中立なんだから、早く現場の実態に耳を傾けていただいて、現場の悲鳴に耳を傾けていただいて、必要な見直しを何でもできるはずなのに、私から言わせていただければ、手をこまねいているだけではないかと思います。
 事態は、より一層悪化をしているんですよ。法科大学院の志望者が六年間で四分の一に激減をした。四分の一減ったんじゃないんですよ。四分の一に激減をしてしまった。質の低下。これについてはいろいろな議論があると前回おっしゃったけれども、日本じゅうの役所の中で一番保守的で頭がかたいと言われている最高裁判所が、きょうもお見えでございますけれども、資料をごらんください、「新第六十期司法修習生考試における不可答案の概要 最高裁判所事務総局」。よくよくの思いだと思いますよ。あの頭のかたい最高裁がここまで言わざるを得ないぐらい、現場の質の低下が明らかになってきている。
 下線部、引かせてもらいました。中ぐらいから言いますと、「不可答案は、いずれの科目についても、民法、刑法等の基本法における基礎的な事項についての論理的・体系的な理解が不足していることから、これらの理解を前提とした」云々と書いてあります。特に、私が一番衝撃を受けたのは、「具体的には、これら不可答案は、その記述内容の一部に問題があるというだけで不可答案とされたわけではなく、後述のような問題点が一点にとどまらず複数積み重なっているなど、他の記載部分と併せて答案全体をみても、実務法曹として求められる最低限の能力を修得しているとの評価を到底することができなかったものである。」括弧で、なお、従来と基本的に同様の判断、レベルだった、そのように書かれております。
 これは、言うまでもありません、法科大学院の入学試験を通って、法科大学院を修了して、そして、難関と言われている司法試験を突破した人がさらに和光の司法研修所で勉強した後、受けた答案の状況であります。
 最高裁、この平成二十年七月十五日にお出しになって以降の状況、変化があったか、質の改善があったかどうか、御認識をお聞かせください。

○大谷直人最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 今御指摘のあったペーパーは、新六十期の二回試験の不可答案の概要ということでございますけれども、その以降につきましても、不可答案の傾向については基本的に変わりはないということでございます。

○河井委員 つまり、質の低下は継続している。
 繰り返しますよ。最高裁というのは、一番世の中で頭がかたい役所ですよ。はっきり物を言わない役所機構がここまで言い切っているぐらい、裁判所も危機感を覚えているということなんです。
 事態の一層の悪化、就職難、これもさまざまなメディアが最近になって取り上げるようになってきました。週刊誌ですとか週刊のビジネス誌、NHKの朝のさまざまなニュースでもそのような報道がなされている。
 一方で、新司法試験、副大臣が担当していらっしゃいますが、私が申し上げましたが、その後、受験会場を見に行かれたでしょうか。私は、選挙区は遠く離れた広島です。あなたはたしか首都圏だったと思いますけれども、週末、本当に、本気でこの問題に取り組んでいただきたいんですよ。今、政権の座にあるのはあなたたちなんですから、権限を持って仕事ができる。私たちはできない。だからこそ、本当にしっかりと現場を見ていただきたい。
 ことしの新司法試験、既に終了しておりますけれども、試験会場に行かれたらわかりますよ、がらがらです。後でまた数字をお聞きしますが、四分の一もの受験生が、受験の願書を送りながら当日姿をあらわさない。なぜなのか。
 ことしの状況、去年と比べて、いわゆる受け控え率、どのように変わったか、お答えをください。

○千葉景子国務大臣 数字で申し上げますと、平成二十二年新司法試験につきましては、受験予定者数は一万九百八人、受験者数は八千百六十三人。そういう意味では、受験率は七四・八%、欠席率が二五・二%という数字になっております。

○河井委員 昨年よりもより一層受け控えがふえてきているという実態であります。
 せんだって、自由民主党の関係議員、日弁連からいろいろと御要望いただいた中で、司法修習生に対する給費制の維持、存続という話がありました。名前は言いませんが、新六十三期の青年、志に燃えた方が一人やってきて、とつとつと話をしていただいた。自分の借金額は既に二百十四万円だ、お父様が大病されて、なかなか苦しい中、一生懸命頑張っているんだ、友人の中には二十六歳で一千万円の借金の人もいる、そして、もう法曹になる夢はあきらめる、裕福な家庭の子しか法曹になれない社会になっていいのかという問いかけがありました。日弁連の調査によりましたら、同じような傾向、平均で三百十八万円だったでしょうか、最高で千二百万円。彼が言っていたんですよ。しゃれではないけれども、弁護士になった途端に既に多重債務者に陥っている、多重債務者が多重債務者の相談を受け取るなんて本当に皮肉なことですと、笑わないで彼は言っていました。それぐらい金がかかっていってしまっている。
 ぜひ、法務省、文科省、政務三役の皆さん、指導性を発揮して、この現状を何とか打ち破っていただきたい。お願いいたします。
 前回、コアカリキュラムの話をしておりました。鈴木副大臣もお忙しいようですから、まず最初に文科省関連、続いて質問をさせていただきます。
 このコアカリキュラム、あなたは、前回の私の質問に対して、コアカリキュラムというのは事実上、最低限の学習指導要領的なものだというお答えをしていただきましたけれども、このコアカリに対しては関係者から強い疑念が出されております。
 きょうは、参考資料を一つ持ってまいりました。二〇〇八年三月二十二日、「法科大学院実務家教員研究交流集会」と書かれたのが一ページ目、その二ページ目をごらんください。このコアカリキュラムの議論が始まった最初のころの話ですね。「問題提起」と。早稲田大学の法科大学院の先生がこういう文書をお書きになっていらっしゃいます。「はじめに」の四行目あたり、米倉明愛知学院大学教授らがコアカリキュラムについていろいろな提言をしている。そのことに対する疑念の文書なんです。
 米倉さんというのは、学界では有名な大御所の尊敬されている先生ということでありますけれども、その先生たちが、例えば中ほど下、「米倉教授が挙げられた例として」というところでいいますと、契約法は、契約総論、売買、賃貸借を教える、それ以外は外すと書いてあります。つまり、これから先、ITだとか知財だとか、そういった先端的な仕事に必要な請負も教えなければ、弁護士業に必要な委任も教えない。サラリーマン金融で今大変深刻な問題であります貸し金、この消費貸借も外すということであります。ほかにも、物権法ですとか非典型担保においても、極めて基礎中の基礎のことも外す。
 その下に、1のところにこう書いてあるんです。「法情報は膨大であり、かつ絶えず改廃されているので、ある時期の情報を詰め込んでも役に立つことは少ない。」と書いてある。これは医師でいえば、医学的知識がない医師に体を切られるようなものですよ。
 米倉教授は、自分で調べということを言っている。これは、判例法の国の論理なんです。米国がそれなんです。日本は判例法の国ではありません。日本には六法全書がある。アメリカには六法全書はない、そのかわりに膨大な図書館全体が、判例法のこれまでの蓄積になってきている。そういう違いがあるにもかかわらず、日本の法曹の卵たちをつくる仕組みで、あらかじめ制度上、質の低下というものを予定されているような事柄が、この大御所の先生から意見がなされているものですから、関係者が疑念を抱いているということであります。
 米国の法科大学院を先進事例にしたというんですけれども、私が調べましたところ、法務省も文科省も最高裁も、だれも米国のロースクールへ調査に行っていないということでありますが、それは事実でしょうか。そして、日本と違う土壌なのに、法体系は全く違うのに、同じような法科大学院という仕組みを強制的に植えつけてしまって、それで果たして本当に芽が膨らんでくるのか、そういう疑念を抱いております。
 まず、その点についてわかりましたら、お示しをいただきたいと思います。

○鈴木寛副大臣 ロースクールの実態ということでよろしいわけですね。(河井委員「調査に実際に行ったかどうか」と呼ぶ)調査に行ったかということですね。
 委員御案内のように、この議論の前提となります、司法制度改革審議会は、実地調査に行っていただいておりまして、それを受けましてこの提言をされております。そして、文部科学省ではさらに、法科大学院の具体設計におきまして、中教審で審議をされているわけでありますけれども、この中教審の審議には司法制度改革審議会の佐藤幸治会長、佐藤幸治会長が調査もされたわけでありますが、参画をしていただいておりますし、それから、この委員会には法科大学院で教鞭をとっておられる三名の専門委員の方々にも入っていただいて、検討をさせていただいたところでございます。

○河井委員 佐藤幸治さんのお名前が出てきました。まさに法科大学院の生みの親でありますが、平成十二年五月六日からシアトルでワシントン大学ロースクール一校しか見に行っておりません。
 では、お尋ねしますが、米国で法科大学院に通っている学生のうち、何割ぐらいが受験予備校に通っているか。副大臣、御存じでしょうか。

○鈴木副大臣 その数字は存じ上げておりませんが、先ほどの三委員は、それぞれ違ったアメリカのロースクールで教鞭をとっておられる委員が入っておられるということを御説明申し上げたところでございます。

○河井委員 これは公開情報ですから、トムソン・ロイターの、インターネットで見ました。アメリカには、バーブリという事実上独占している受験予備校がある。バーブリの説明で、「ザ バースト マジョリティー オブ バー エグザム テーカーズ チューズ バーブリ」と書いてあります。つまり、圧倒的多数の、ほとんど全員が、法科大学院の学生は受験予備校に通っている。法科大学院に行けば、受験予備校のパンフレットも置いてあります。
 日本人で有資格者の方のインターネットを見ますと、アメリカの司法試験に合格した人で、バーブリの講座を受講していなかったという人には会ったことがない、そういうふうな話なんですね。
 これはウィキペディアですからだれでもとれる。アメリカ合衆国のロースクール、ロースクール在学中は事実上受験勉強ができないので、司法試験予備校に通う受験生がほとんどであると書いてあるんです。
 では、アメリカのロースクールは一体何をやっているか。さっき言いましたけれども、判例法の国ですから、さまざまな判例や文献を調べる。そのリサーチの力を、リーガルリサーチの力をつけることを一つの中心にしている。
 日本は違います。民法だけで千四十四条、その上に膨大な数の特別法がある。さらにその上に判例も形成されている。その膨大な知識がないと、千葉景子法務大臣のような法曹にはなれないんです。この部屋にも、法曹資格を持った先輩、同僚の国会議員の皆さんが大勢いらっしゃる。皆さんは、その難関を突破してきた。そういう中で培われているのが、日本の法体系。
 全然土壌が違うところに、いきなり、勉強しなくていいですよ、これもしなくていい、あれもしなくていいというふうなコアカリを導入する、私はどうしても納得することができない。
 重ねて御認識をお聞かせいただきたいと思います。

○鈴木副大臣 バーブリの件について、私は詳しいことを承知しているわけではございませんが、伺っておりますところ、ロースクールを五月に修了してから司法試験を七月に受験するまでの間できちっといろいろな体系のおさらいをする、こういうことだというふうに聞いておりますし、校舎もないところもあったり、日本の予備校のように校舎があってずっと年じゅう授業をしているということ、これもまた、日本の予備校とバーブリもかなり違うというふうに思っております。
 先ほどの米倉先生の御引用もしていただいたコアカリキュラムの件でございますけれども、コアカリの中身がどうあるべきかということは、それこそ学者、ロースクール、あるいは現場の方々に御議論をいただいて、よりよいものにしていただいたらいいというふうに思っておりますが、これは学習指導要領と違いまして、決して法的な枠組みの中でやっているものではございません。
 ただ、その性格は、委員もよく御承知だと思いますが、必要最低限度のものをコアカリキュラムで決めているわけでありますから、それぞれの法科大学院で必要だと思ったものはそこに付加するということは当然でありますし、それから、今、委員が御指摘のようなものは、そこは米倉先生も委員も私も、これぐらいのことは教えてほしいという意味では大体認識は一致していると思いますけれども、私の感じで言いますと、それぞれの教員が普通はそうしたものは加えて教えられていると思いますし、それは当然その教員の判断で行われると思います。
 それから、大体今の御指摘の点は、日本で主要な教科書を見れば当然含まれている話でありますから、ほとんどのところではきちっとそうした点は学ばれる、あるいは教育がされるべきものだと思っていますが、それをコアカリにどこまで盛り込むのかということは、コアカリの性格、それから後はまさにリーガルのコミュニティーの中で御判断、御議論を深めていただければいいというふうに思っております。

○河井委員 副大臣、忙しいでしょう。あと一問だけです。
 今のコアカリについてはまだまだ意見の隔たりがありますので、さらにまた別の機会にお聞きしますが、最近の、あるビジネス雑誌の副大臣のインタビューで、法曹人口の増員抑制など考えられないというインタビューが載っておりまして、私は正直言ってびっくりしまして、今どきこんなことを言う人がいるのかなというふうに思いました。
 文科省の仕事というのは、法科大学院生の質を上げることです。これに尽きているわけです。生産者が物をもっと買えもっと買えというふうにだだをこねているのに等しいような言い分だと私は失礼ながら感じた。生産農家が、米や野菜が売れないのは消費者の舌が悪いから、味覚が悪いからと言っているのと同じだと私は思いますよ。あなたたちは質の上昇だけ一生懸命頑張ったらいいのであって、増員抑制など考えられないなんということは、言う筋合いではない。
 特にびっくりしたのが、グローバル企業も積極採用するべきだというふうにおっしゃいました。
 世界展開している日本の企業は、大変緻密な戦略と冷徹な発想で毎日の企業活動をしている。そうしないと、企業、会社が生き残れないわけですね。そのグローバル活動をしている日本を代表する民間企業で、なぜ法曹資格者がふえないか。
 それは、その企業が合理的な判断をしているからなんです。必要がないから採用がなかなかふえないんだと。それだけのことだし、ロースクール出身の弁護士が不要だから、あるいは価値を認められないから雇っていない、ただそれだけのことで、文科副大臣の立場で、積極採用するべきなんというのは、私は大きなお世話だと思うんですよ。積極採用されるように優秀な法曹の卵を育てるように努力しますと言われたら、私は、さすが鈴木寛副大臣だと思っていますので、せっかく私の本を買っていただいた、たった一人の人ですから、ちょっとこの言葉は私は大変残念です。
 もうあちらに行かれると思うんですが、手短におっしゃってください。

○鈴木副大臣 報道は、私のインタビューをそれなりに編集してやっておりますので。
 委員おっしゃるとおり、私の使命は、ロースクールの質をきちっと充実させることだというふうに思っております。
 したがいまして、前政権下では行われませんでしたが、あえて、努力を要する法科大学院の校名公表にも政務三役の主導で踏み切らせていただきましたし、これまでずっと懸案でございました入学定員の削減も一挙に一五%やらせていただきました。もちろん、関係の方々からは相当手厳しい御批判もいただいておりますが、しかし、それは、我が国の法曹の質を上げていく、そして、我々の視点は、何よりもまさに、そのユーザーといいますか、市民、国民の皆さんに良質なリーガルサービスを提供する、その主体をいかにきちっと養成をしていくかという観点に立ってそのようなことをやらせていただいたわけであります。
 さらに、こうした方向できちっと頑張ってまいりたいと思っております。

○河井委員 行かれますから、歩きながら聞いていただいていいんですけれども、法科大学院の生徒の数の削減とか、これは全く本質的な問題の解決ではありませんので、もっと本質的なことをしなきゃいけないということを、また違う場で議論していきたいと思います。
 もう一つ。いろいろな現場の話を聞きますと、最近、おかしげな新任弁護士が誕生している、やみ金や反社会勢力の影響下にあるのではないかとうかがわれるような人たちが出てきているということなんです。
 最高裁にお尋ねをいたします。
 司法修習生採用時に、前科前歴の調査はやっておりますでしょうか。

○大谷最高裁判所長官代理者 司法修習生の採用選考の申し込み時に、私どもとしては、司法修習生採用選考申込書というものの提出を求めておりますが、ここに、前科前歴の有無などを記載する欄を設けておりまして、これに記載するようにということを求めております。

○河井委員 そのことについては、後から調査をしているんでしょうか。
 というのは、昔の司法試験、合格率一%そこそこの難関を突破してきた人たちと、今、既修でしたら、大ざっぱに言って合格率が四〇%ですよ。そういう人たちでは、やはり私はさまざまな違いがあると。
 この申込書、欠格事由等、次の法律に該当することの有無ですとか、かつて起訴または逮捕、補導されたことの有無を書くようになっていますけれども、これが本当に真実かどうかということについて、私は、時代の変遷とともに調査をするべきだと。そうしないと、何のために国の金で社会の正義に反するような弁護士をつくるのか。これは全く真逆のことです。お考えをお示しください。

○大谷最高裁判所長官代理者 まず、今の現状を申し上げますと、申込書の記載要領には、虚偽の記載をしたような場合、これは当然のことながら、採用を取り消される、あるいは罷免されるということについての記載がございます。
 これまでの現実の運用を見ますと、この申込書に、前科前歴等につきましては、例えば交通違反等非常に軽微なものにつきましても記載がされているということが一般的でありまして、そういう意味では、きちんと申告がされてきたものだということではございます。今まで特段の問題は生じておりません。
 ただ、もとより、記載等から疑義がある場合には、本人からの詳細な事情聴取あるいは必要な照会ということは、これまでもやってきておるところでございます。

○河井委員 それは性善説なんですね、これまでの法曹の卵さんたちに対する。やはりいろいろな、それこそ「多様な人材」と司法制度改革の文書に言っているんですから、多様な人材の中には多様な人材もあるわけですよ。私は、しっかりとした調査をするべきだと重ねて申し上げます。いかがですか。

○大谷最高裁判所長官代理者 欠格事由というのは、幾つか記載がございますが、例えば前科前歴ということでいいますと、懲役刑の言い渡しを受けた者、こういうことでございまして、当然ながら一定の縛りがかかっております。
 そういうことから考えますと、すべての申込者について根掘り葉掘り調査をするということがいいかどうかということは、いろいろ御意見もあろうかと思うわけです。ただ、委員が今御指摘のように、ある特定の者について、それが入り込んでしまう危険性が高いというような御懸念については、それなりに、私どもとしても、もっともなところがあるかと思います。
 当面は、この点について遺漏なきように、そういう者が入り込むことのないようにということについて、十分気をつけてやってまいりたいというふうに思っております。

○河井委員 重ねて言うんですけれども、だから、もう明らかに通り抜けているという話があるんです。もちろん、個人情報ですから、具体的な所属の弁護士会ですとか氏名はこの場では明らかにしません。しませんが、そういう話があると国会の場で取り上げられたということですから、今までどおりではだめですよ、それは。しっかりとした対応をやっていただきたい。だって、社会の正義、法の正義を実現する担い手でしょう。その人たちがそういうふうなことがあっては断じてならない。
 それから、さっき文科の副大臣はお帰りになったので、加藤副大臣からでもお伝えいただきたいんですが、私は、法科大学院の入学試験の志望段階で、同じような聞き取り調査、書き込み調査をするべきだ。司法修習生に課していて、どうして法科大学院の希望者に課せないのか、私は論理的に全く平仄が合わないと思っていますので、個々の学校の判断と言うかもしれませんけれども、文科省としてしっかりとした考えを持っていただきたいと思います。それはぜひお伝えをしてください。
 続きまして、予備試験の制度設計に移ります。
 平成二十一年十一月十一日に司法試験委員会が公表しました「予備試験の実施方針について」という文書。この「第一」の一番最初の方には、こう書いてあります。予備試験は、法科大学院課程の修了者と同等の学識及びその応用能力などを判定することを目的とし、そのように書いてあります。
 言うまでもありませんが、法科大学院に通うだけの時間あるいは経済的なゆとりがないといった理由などから、やむを得ず法科大学院を経由しないで新司法試験の受験をしたいという方に対しての最後の切り札というか、門戸を確保しているのがこの予備試験。私は、これは重要な試験だというふうに考えております。
 法科大学院の修了者と同等の学識及び応用能力、法律実務の素養と書いてあるからには、いかなる法科大学院の修了生とも同等の試験の難易度でなくては話が違ってくるというふうに私は考えております。
 具体的には、平成二十一年度ですが、新司法試験でわずか二名の合格者しか輩出することができなかった姫路獨協大学法科大学院でありますとか大阪学院大学法科大学院、あるいは、一名しか出すことができなかった京都産業大学法科大学院あるいは島根大学の法科大学院、そういった法科大学院を修了した人たちと同程度の学識、素養の合格基準でないと、私は、予備試験の制度設計の理念にもとるというふうに考えております。お答えをいただきたいと思います。

○千葉国務大臣 司法試験の予備試験でございますけれども、今御指摘がございますように、この予備試験においては、法科大学院を経由しない人にも法曹となる道が確保されるようにということで設けられました。
 この司法制度改革において、法曹養成というのは、ロースクール、法科大学院を核として法曹養成を行うということでございますが、それでもやはり、それにどうしても通過をし得ない、こういう方でも法曹となる道が確保されるように設けられたものでございます。これらの人にも公平に新司法試験の受験資格が与えられるよう配慮する必要があるわけでございまして、予備試験は、法科大学院修了者とそういう意味で同程度の能力があるかどうかということを判定するということになります。
 この判定を適切に行うことによって、法科大学院を中核とする法曹養成制度というもののいわば理念を損ねることのないような制度の実効があらしめられるということになります。そういう意味では、予備試験の制度設計はこういう観点で定められているものだというふうに思います。
 この観点を踏まえて、司法試験委員会においてその具体的な実施がなされる、こういう仕組みになっております。

○河井委員 全くお答えになっておりません。
 さっき文科副大臣は、前政権でできないことをやっているよというふうに胸を張ってお帰りになりましたけれども、政権交代がなかったら、予備試験はそもそも、今のような受験生に過重な負担、科目数、内容、そして年限を含めて、はるかに簡素化、そして簡易化したいということでいろいろな動きを当時の自民党内で行っておりましたので、交代しちゃったものですから、水泡に帰してしまって、私は本当に志ある子供たちには申しわけないことをしてしまったなというふうに思っております。
 思っておりますから、せめて大臣にお尋ねをしたいんですが、では、法科大学院と同等の修了レベルとおっしゃいますけれども、どの程度の法科大学院かなんですよ。上位校の法科大学院と同等水準だったら、これは極めて限られた予備試験の合格者しか生むことができない。
 繰り返しますけれども、文部科学省が、国が認可した、さっき言いました固有名詞、もう何度も言いませんけれども、ああいう法科大学院、合格者数が極めて少ない、そこも立派な法科大学院ですよ。そこを出た子供たちと同等の試験内容、そして難易度でないと、私は、さっき大臣の御答弁でおっしゃった公平という点にもとると思うんです。ですから、最も低いと言われている学力水準の法科大学院の修了者と全く同等にしてあげないと、私は、予備試験を設計した理念、思想に反すると思います。いかがでしょうか。
 だから、もしそうしないんだったら、そういった法科大学院は法科大学院じゃないですよと認めているようなものですよ。だから私は、繰り返すけれども、すべての法科大学院修了者と同等ということですから、自信を持って進級認定をして、自信を持って修了認定をしたわけです、国が認めている法科大学院が。自信を持っているんです。だから、自信を持っている人たちと同等にしてくださいと。私は、当たり前のことを申し上げていると思うんですが、いかがでしょうか。

○千葉国務大臣 なかなか、どのようなことが同等の能力に当たるかというのは難しいところがあろうかというふうに思います。また、法科大学院を卒業した、出た、先ほどおっしゃっておりましたけれども、どういう者が高い能力程度なのか、あるいはどういうところが適切な程度の能力なのか、ここをはかるのも大変難しいことであろうというふうに思います。
 そういう意味では、ロースクールの基本的な体制、そして能力向上を図っていただいて、そしてそれと同等の能力を有するような形で予備試験の合格判定はされるべきだというふうに思っております。

○河井委員 苦しい御答弁にならざるを得ない御事情はよくわかりますけれども、大臣、論理的におかしいんですよ。法科大学院修了生と同等の水準ということがこの司法試験委員会の昨年十一月十一日の実施方針に書いてある。しからば、七十四校ありますねという話ですね。繰り返しませんが、七十四校の中でさっき申し上げたような法科大学院は、では、法科大学院じゃないのか。立派な法科大学院ですよね。
 だから、私は、予備試験のいろいろな試験問題とかをつくる際に、初めての試みでありますから、慎重かつ十分な準備をしていただきたい。さっき述べたような法科大学院の学生にも受けてもらうとか、前もって同じような問題をつくって受けてもらって、その答案の解答が大体どれぐらいの水準であるとかというふうな当たりをつけながら、私は、ぜひとも制度設計にのっとった実施をしていただきたいと思うんです。いかがでしょうか。

○千葉国務大臣 その法科大学院の学生の方に一度試しに受けていただいて、その程度をはかる、これも一つの御提起であろうかというふうに思います。ただ、やはり、これは独自で予備試験について判定をするために、司法試験制度、司法試験と同じ予備試験という形で制度設計をするわけですので、なかなか受けていただいてというわけにもいかないだろうというふうに思います。
 ただ、少なくとも、普通に法科大学院、こういうレベルであってほしい、そして、それについて法科大学院の教育を充実していただく、その充実をした法科大学院を出たと同じ程度の能力をはかれるような形での予備試験の制度設計、これをしていかなければなりませんので、その御提起はそのまま使うことができるかどうかわかりませんけれども、やはり、特段に不利になったり、あるいは法科大学院の卒業生よりも非常に難しいというようなことになりませんように、これは配慮していかなければならないというふうに思います。

○河井委員 普通の法科大学院の修了者と同等とおっしゃいましたけれども、ですから、何をもって普通かということなんですね。七十四校、現に法科大学院があるわけですから、これはすべて法科大学院。ですから、さっき申し上げたような具体的な法科大学院を修了した子供たちの学力水準と同じ水準をはかるために、だって、この人たちは予備試験なんか受けなくても新司法試験を受験できるわけですから、それと公平な立場を与えるという観点ですから、法科大学院上位校、中位校じゃなくて、下位校の修了者と同等にして初めて制度設計が生きてくる。
 何でこんなことをずっと言うかといいますと、法科大学院協会の関係者から、副大臣、いろいろな情報が入ってくるわけですよ。予備試験の合格者数がふえてしまうと自分たちの経営がおかしくなっていってしまうとか、そういった利己的な話。私は正々堂々と勝負したらいいと思うんですよ。法科大学院、三年間、行って来いで二千万近い経済的な負担。でも、うちの方がはるかにいい法曹ができますよと、何で予備試験を突破した人たちと正々堂々同じ土俵で勝負できないのか。その予備試験の合格者の人数を減らそう減らそう、そういう動きが一部であるやに聞いておりますので、くどいようですけれどもこの質問をさせていただいております。
 もう一度重ねて大臣にお尋ねしますが、普通に法科大学院を修了したという人の中には、先ほど申し上げたような幾つかの法科大学院を修了した人たちの学力も普通なんですね。それをお答えください。

○千葉国務大臣 何をもってその能力を判定できるかというのは難しいと思います。そのとき、その年によりましてもまたいろいろな違いがあるでしょうし。
 ですから、どこを出たから能力が高い、あるいはどこの法科大学院だから低い、こういうことではなくして、法科大学院全体として、そこを出ることによって一定のきちっとした普通の能力を有していただく、そして、それと同等の予備試験である、こういう総合的な判断で考えるしかないと私は思っております。

○河井委員 副大臣、いかがですか。

○加藤副大臣 同等という物の考え方なんですけれども、先ほど来、河井先生の御指摘ですと、あるラインを超えているということを一つの基準にして、そのラインの設定の仕方を、下位の法科大学院の修了者で新試験に合格をしたところ、下位校と呼ばれるロースクールの基準に合わせたらどうか、こういう御意見かと思うんです。
 恐らく成績の分布は、絵でかきますと、要するに正規分布しますので、合格者の数と、それから法科大学院の修了者の数、予備試験の合格者の数と法科大学院の修了者の数は違いますから、グラフにしたときの正規分布の山の部分の面積の大きさは違うんですけれども、例えば、その中央値が合うとか、あるいは分布が似たような形になるとかというのも一つ同等という概念にはまるのかなという気もしております。最低ラインが、ある線を超えているかどうかというのも、先生がおっしゃるのも一つの考え方だと思いますし、あるいは、試験をやってみた後の新司法試験の合否の結果というのも一つの参考になるかもしれませんが、個人的には、成績のばらつきとか分布というものがおおむね一致するようなことも一つの考え方かなという気はしております。
 いずれにいたしましても、司法試験委員会の方でも相当いろいろな御意見のあるところですから、深く検討されるものと思いますし、私どもも、御指摘もひとつ参考にさせていただきながら、また研究を続けたいというふうに思ってございます。

○河井委員 まだこの議論、続けて違う場で行っていきたいと思います。
 次に、法曹人口の問題。ようやく人口にたどり着こうと思ったら終わりの時間が近づいてきましたが、法曹人口の増大によってでも、さっきも少し話しましたが、民間企業における弁護士さんの数、そして公務員の数、さほどふえていないという実態があります。ゼロワン地域も、一番状況が厳しいときでも全部足してせいぜい七十カ所程度ではなかったでしょうか。それも今は、ゼロ地域はすべて解消ということなんですね。
 では、一体法曹の需要はどこにあるのかという話でして、この法曹人口を極めて増大すべきだという論者の話を聞いておりますと、どうも、法曹の需要というのはつくり出すものだという発想なんですよ。突き詰めていったらそこにたどり着く。私は、やはりそこが一番、考え方の原点の違いだと思っています。私自身は、法曹の需要というのは、社会が自然と呼んでくるものであって、決して政府が意図的に法曹の需要をつくり出すものではない。
 考えなくてはいけないのは、弁護士と他の資格者とは違うということなんです。どこが違うかというと、弁護士は事件をつくれるんです。世の中にいろいろな案件があります。それは、明らかな殺人事件から、個人間のさまざまなもめごとに至るまで、近隣のいわゆる小さなさまざまないさかいまで。それは全部が全部、事件にしようと思ったらできないことはない。でも、それはこれまでやはり、日本社会の長い助け合い、そして和の精神、歴史的なさまざまな土壌にはぐくまれて、まずは話し合いをしましょうと、町内会長さんが出てきたり、あるいは民生委員さんが出てきたり、そういう人たち、それも、これからの次の世代に引き継いでいくべき日本社会の特性である、私はそう考えているんです。
 だから、弁護士がふえると事件がふえるという極めて短絡的な言い方をしておりますけれども、あえてわかりやすくしてもらうために言っているんです。私は、それは国の政策として誤っているというふうに考えているんです。まず、その根っこですよ。法曹の需要というものは人為的につくり出していいものかどうかという点について、お考えがありましたらお聞かせをください。

○千葉国務大臣 基本的に、法曹の需要は人為的に無理につくり出していくものではないと私も思います。
 ただ、法曹がこういうところにもやはりきちっと仕事をしてもらったら、より公平公正な法と正義が通る社会になるのではないかということで、こういう分野にもぜひ法曹が役割を果たしてほしい、こういう提起などはございますけれども、だからといって、そこに法曹の仕事をつくり出して、そして拡大をしていく、こういうことではないというふうに私も理解をいたしております。

○河井委員 もう一つ。では、その法曹人口の増員の話をするときに、そもそも日本の法曹人口は果たして何人いるのか。この認識なんですよ。
 増員論者の方々は、弁護士の数だけをとらえて議論をしている。諸外国と比べて少ないとすぐあの人たちは言う。だから、さっき私が言ったように、諸外国とはまず土壌が違う。たとえそれを完全に無視したとしても、日本には法律隣接の専門職、立派な方々がたくさんいらっしゃいます。では、その隣接の法律専門職の人数を果たして入れている議論なんだろうかと。
 隣接職、それぞれ直近の数字で何人ずついるか、お答えをいただけますでしょうか。

○千葉国務大臣 隣接職の数でございますけれども、弁護士はよろしいとして、例えば税理士でございますけれども、これが七万強ということになります。それから、司法書士、これが二万人弱ですね。行政書士が四万人余り。公認会計士が二万人余り。土地家屋調査士が二万人弱。社会保険労務士、これが三万五千ぐらいですね。総数としては、弁護士と隣接の士業を加えて二十四万という数になります。

○河井委員 今おっしゃったとおりなんですね。増員論者がいつも比較をしたがっていたフランス、これが全部足しましても七万人少し、日本は二十四万人余り、日本の方が隣接を含めればはるかに多い。しかも、この中には、いわゆる企業の法務部員、事実上弁護士的な業務をやっている優秀な方たちの人数は含まれておりません。経営法友会に所属している加盟会社だけで一千社ある。軽く二十万人を超えているんですね。
 アメリカとすぐ比較をしたがるんですけれども、アメリカにおきましては、弁理士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、社会保険労務士という士業はそもそも存在していない、つまり、弁護士さんがそういった業務をやってきている。ですから、アメリカで言う弁護士と、日本で言う弁護士とその隣接の法律専門職、狭い定義と広い定義で、日本が、人数が直近では二万八千八百十一人、平成二十年十月五日の数字ですけれども、諸外国と比べて少ない少ないと言うのは私は論理のすりかえであるというふうに考えております。
 これからは、弁護士の人口だけじゃなくて、隣接法律専門職の人口もしっかりと尊重した司法行政というものをやはり行っていかないことには、現にこういった日本独特の士業でしっかりと仕事をしている、国民の負託にこたえている方々が大勢いらっしゃるわけです。そういった方々の存在も私は重視をしなきゃいけない。前回の司法制度改革審議会の議論、議事録を私はじっくり読ませていただきましたけれども、正直言って、この隣接法律専門職についての認識が私は極めて軽かったと言わざるを得ないというふうに考えておりますので、ぜひその点は今後よろしくお願いをいたします。
 三千人というものが一体どこで決められたかということについてですけれども、副大臣、お答えをいただけますでしょうか。どこでどうやって決められたか、三千人。

○加藤副大臣 私の記憶では、司法制度改革推進本部で議論をされ、最終的には閣議決定をされているものと思います。

○河井委員 それはそうなんですけれども、審議会の議論の中で極めて重要な三日間というものがありました。委員の方々が集中合宿をいたしました。司法制度改革審議会の委員の方々が、平成十二年八月七日から集中合宿をした。
 その議事録は既にワーキングチームでもいろいろと勉強されていらっしゃると思いますけれども、もう時間がすぐ来ますので手短に言いますと、三千人ということを主張した人は中坊公平氏、ただ一人しかいません。多くの委員、経済界出身の委員、裁判所出身の委員、検察出身の委員、いわゆる有識者の方々、だれも三千人という具体的な数字は言っていないばかりか、本当にそんなに急にふやして日本の司法は大丈夫でしょうか、ほとんどの方は実はそういう議論をしている。にもかかわらず、最後に佐藤幸治さんが、全体的な意見を全部集約すると三千人ということになりますと、そこでもう議論が集約されてしまった。私は大変残念なことであるというふうに思っております。
 三千人のいろいろな意味での根拠というのは極めて薄い、きょうはそこまで申し上げまして、また三回目の質問の機会をいただけるかどうかわかりませんけれども、人口問題、いよいよ本番にこれから差しかかりたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。
 ありがとうございました。

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