政府公表資料等情報

第15回司法修習委員会平成21年9月3日より抜粋

6.議事

(2)報告

 笠井幹事から,第14回委員会以降の司法修習の状況等について報告がされ,次のとおり質疑応答がされた。

高橋宏志委員長 現行62期の二回試験の結果は,ここ2,3年の傾向と何か違うのか。

笠井之彦幹事 不合格者数の割合は,大体5,6パーセントであり,今回は6.1パーセントで昨年よりは若干高くはなっているようだが,際立って多くなったというわけではない。

酒巻匡委員 今回が初めての受験ではない人は114人になると思うが ,そのうちのかなりの人は法科大学院から新司法試験に合格し,一度,二回試験に不合格になった人で,今回はそのうちの100人ぐらいは受かったという理解でよろしいか。

笠井幹事 概要としてはそのとおりである。

大橋正春委員 二回試験の不合格者は,次の二回試験までの間はどのように勉強しているのか。

笠井幹事 修習生でなくなるので,司法研修所とは直接の関係はない状況で御自身で勉強しているのが基本になると思う。

(3)意見交換

ア.修習資金貸与制に関する規則案について

高橋委員長 それでは,修習資金貸与制に関する規則案について,まず笠井幹事に幹事会の報告をお願いしたい。

笠井幹事 修習資金の貸与制については,修習資金の額及び返還期限のほか,貸与及び返還に関する必要な事項を最高裁判所規則(以下「貸与制規則」という。)で定める必要があるところ,その主要なポイントについては,本年3月の司法修習委員会で議論をいただいた。その結果を踏まえ,規則案につき,6月の幹事会でさらに議論をしたところであり,資料42として現在の規則案をお手元にお配りした。法曹資格取得を希望している者に対し,貸与制について十分な周知を図っていく必要があるので,本年中に貸与制規則は制定する必要がある。そこで,本日,資料42につき,このとおり制定してよいかどうかについて,御議論をいただきたい。
 なお,貸与制規則の内容については,日本弁護士連合会から意見書が提出されているので,併せて紹介させていただきたい。
 それでは,規則案の内容について説明する。修習資金の貸与制は,司法修習生の修習専念義務を経済的に担保することを目的として,修習生の申請により,国と修習生との間で,貸与制規則及びその下位規範の内容を踏まえて金銭消費貸借契約を締結し,修習資金を無利息で貸与する制度である。
 修習生は,契約の効力として,修習資金の交付を受け,返還期限までにその相当額の返還義務を負うことになるが,これは,同時に国の債権であり,その取扱いにあたっては,国の債権の管理等に関する法律等の関係諸法令の規律に従うことになる。
 まず,修習資金の貸与を受けるには,最高裁判所の定める事項を記載した申請書を最高裁に提出することが必要である(1条1項)。修習資金の交付を受けるのは修習生になった後であるが,修習開始後できるだけ早期に最初の修習資金の貸与を受けることができるようにするため,修習生採用選考申込者も貸与申請を行うことができることとした(1条3項)。また,修習資金の貸与を受けるためには,保証人を立てることが必要であり,具体的には,自然人2人または最高裁判所の指定する一の金融機関の保証を必要としている(4条)。前回の司法修習委員会でお諮りしたが,自然人2人の保証人が立てられない人もあろうということで,機関保証も可能とした。なお,自然人の保証人については,保証義務の任意履行の可能性を考慮し,修習資金の貸与を受けようとする者に父母がある場合には,保証人のうち1人は,父または母でなければならないこととした。これは国の資金を貸与する制度である自衛隊法による学資金貸与制度及び矯正医官修学資金貸与制度においても同様である。
 修習資金は複数回にわたって交付されることになるが,一旦貸与決定がされれば,修習期間を通じて貸与を受けることが予定されており,その金額も最大の貸付金額(新修習であれば28万円の13回)は一義的に確定しているため,最高裁判所の貸与決定により1つの金銭消費貸借契約が成立し,保証人についても通常の保証契約が成立するものである。
 修習資金は,修習期間を修習の開始日から1か月ずつ区分した期間を貸与単位期間として,各貸与単位期間の開始日までに貸与申請があったときはその貸与単位期間から,そうでないときは貸与申請があった次の貸与単位期間から,各期間ごとに最高裁判所の定める日に修習資金を交付する(2条)。修習資金の額は,前回の司法修習委員会でも議論をいただいたが,貸与単位期間当たり23万円が基本とされた。もっとも,基本額未満の額の貸与を希望する場合には,18万円の貸与を受けることが可能であり,配偶者や満22歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある子がいるような場合や自ら居住するために住宅を借り受けて家賃等を支払っている場合には,扶養手当または住居手当に類する加算が認められ,一方のみの場合は25万5000円,双方の加算要件を具備している場合には28万円の貸与を受けることが可能である(3条)。このように,23万円程度を基本的な貸与額として,扶養親族があったり,住居を賃借している者に最高28万円程度まで貸与できるように数段階の貸与月額を設定することについては,立法当時に衆議院法務委員会等で政府参考人からその旨の答弁がなされているところでもある。なお,これらの加算要件を喪失した場合には下位規範で減額申請が義務づけられる予定である。ただし,規則上は,加算要件を喪失した日の属する単位期間の次の単位期間から減額がなされるものとされている(3条7項)。
 修習資金については,貸与決定がなされた場合,修習終了まで修習資金の交付を受けるのが原則であるが,貸与申請をした者は,いつでも将来に向かって貸与申請を撤回することができる(5条)。さらに,最高裁判所は,司法修習生が裁判所法68条の規定により罷免されたとき,死亡したとき,保証人を欠くに至った後相当の期間内に新たな保証人を立てないとき,その他最高裁判所の定める事由が生じたときは,その事由が生じた次の貸与単位期間から修習資金を貸与しないこととされている(6条)。最高裁判所の定める事由としては,具体的には修習資金の貸与を受ける者が行方不明になった場合,最高裁判所に提出すべき書類に虚偽の事実を記載したことにより修習資金の貸与を受けたことが判明した場合などが検討されている。
 司法修習が終了し,または修習資金の貸与が終了したときは,貸与を受けた修習生は,修習資金の返還に備え,最高裁判所に対し,それまでの修習資金の交付状況を確認し,その者及び保証人の住所等を記載した返還明細書を提出することが必要となる(9条)。修習資金は,修習期間の終了した翌月から起算して一定の据置期間が経過した後に10年以内で最高裁判所の定める日が返還の期限とされ,年賦の均等返還の方法により返還することにされている(7条本文)。この据置期間は3年から5年とされており,前回の委員会でも議論をいただいたところであるが,貸与制においては,返還額が多額であり,実務に就いた後,当初の数年間は返還に相応の負担がかかることから設けられたものであり,具体的期間は,当委員会の議論を踏まえて定めることを考えているので,議論をお願いしたい。なお,修習資金の貸与を受けた者が繰り上げて返還をすることは禁止されていない(7条ただし書)。修習資金の貸与を受けた者が正当な理由がなくて修習資金を返還すべき日までにこれを返還しなかったときは,本来返還すべき日の翌日から返還の日までの期間の日数に応じ,年14.5パーセントの割合で計算した延滞利息を支払わなければならない(10条)。
 修習資金の貸与を受けた者が正当な理由がなくて修習資金を返還すべき日までにこれを返還しなかったとき(8条1項1号),保証人を欠くに至った後,相当の期間内に新たな保証人を立てなかったとき(同2号),返還明細書を提出すべき日までに提出しなかったとき(同3号),その他最高裁判所が定める事由が生じたとき(同4号)には,最高裁判所の請求に基づき,その指定する日までに返還未済額の全額を返還しなければならない。8条1項1号の正当な理由としては,例えば,金融機関を通じて納付を行ったもののシステムトラブル等があって,国への回収が行われなかった場合などが想定されている。同4号の最高裁判所の定める事由としては,現在のところ,住所等変更の届出を怠った場合,申請書類等に虚偽の事実の記載があることが判明した場合,強制執行を受けるなど保証人を変更すべき事情が生じた場合の保証人の変更,資産状況に関する調査・資料等の提出に応じない場合などが検討されている。また,一般の割賦払債権の例にならい,修習資金の貸与を受けた者が強制執行を受けたとき(8条2項2号),租税その他の公課について滞納処分を受けたとき(同3号),財産について競売の開始があったとき(同4号),破産手続開始の決定または再生手続開始の決定を受けたとき(同5号),その他最高裁判所が定める事由が生じたとき(同6号)には,当然に期限の利益を喪失する。同6号の最高裁判所が定める事由としては,現在のところ,貸与を受けた者の住所等が判明せず,行方が知れなくなってしまった場合,貸与を受けた者が一定期間を超えて本邦外に居住することが確実になった場合などが検討されている。また,裁判所法68条の規定により罷免された場合にも原則として直ちに期限の利益を喪失する(8条2項1号)。ただ,この点については,事情によっては,このような扱いが相当でない場合も考えられる。例えば,二回試験の不合格,病気・出産を理由として願い出により罷免となった者については,その多くが,その後,別の期に再採用され,修習を終了している。そこで,例外として,最高裁判所が定める場合を除くとして,一定の場合には期限の利益を喪失しないこととしており,現在のところ,二回試験の不合格,または妊娠,傷病,その他これに準ずる事由を理由として,願い出により罷免され,最初の罷免から一定期間が経過していない場合を規定することが検討されている。
 その他,最高裁判所は,修習資金の貸与を受け,または受けようとする者及びその保証人または保証人となるべき者に対して,この規則で定めるもののほか,最高裁判所の定めるところによって,修習資金の貸与及び返還に関して必要と認める書面の提出を求めることができる(11条)。具体的には,修習資金の貸与申請書等の補正書面や要件の確認のための補充書面等の提出を想定している。さらに,この規則に定めるもののほか,修習資金の貸与及び返還に関し必要な事項は,最高裁判所が定めるとされている(12条)。また,附則において,平成22年11月1日を施行期日とし,経過措置のほか,給費制の廃止に伴う関連の最高裁判所規則の改正等を行っている。
 以上が貸与制規則の概要である。

高橋委員長 それでは,規則案について,資料42を前提にして議論をいただきたい。まず,大橋委員から発言をお願いしたい。

大橋委員 据置期間については,ぜひ5年にしていただきたい。また,自然人の保証人につき,父母を保証人としなくてはならないとする要件は削除していただきたい。
 まず,据置期間であるが,修習生の中には法科大学院修了時に奨学金等の債務を負っている者がかなりの数含まれており,現在の経済状況の中で,新人弁護士をめぐる状況はかなり悪くなっている。この2つを考え,据置期間は5年にしていただきたい。
 以前の委員会で今申し上げた点を具体的なデータを示して説明してほしいという指摘もあったが,なかなかそういうデータはなく,また弁護士をめぐる状況の悪化はごく最近のことである。もっとも,例えば,法科大学院生が日本学生支援機構から借りることができる奨学金の上限額は,無利子・有利子を含めて月額約30万円であり,単純に計算すると3年間で1000万円を超える額の債務を負担することになる。最高限度額まで奨学金を借りる者はそう多くはないと思うが,奨学金を借りている者は多いので,かなりの修習生は債務を負っていると考えてよいのではないか。
 新人弁護士の初任給については,日弁連でアンケート調査をしている。これによると,例えば,平成18年度に修習終了した旧59期の新人弁護士で,年収が500万円以下と答えた人の割合は7.6パーセントだったが,昨年修習終了した新61期の新人弁護士では,この割合が20.8パーセントと増加している。また,年収が400万円以下と答えた人の割合も0.3パーセントから3パーセントに増加している状況である。
 これは,一面では新人弁護士が事務所を探すことが難しくなっている状況の反映でもあり,アンケートによれば,昨年の同時期に事務所が決まっていない人の割合は約17パーセントであったが,今年は24パーセントを超えており,修習生の就職状況が悪化しているのが分かる。このような就職状況が,新人弁護士の初任給を引き下げる方向に働いているのではないか。この傾向は,2,3年のうちに改善する望みは薄いと考えられ,少なくともしばらくの間は続くと思われる。
 以上のようなことを考えると,すべての修習生が難しい状況にあるわけではないが,中にはそういう修習生も含まれており,据置期間は3年ではなく5年にしていただきたい。
 修習資金は,国の資金であり,回収の面から言えば,据置期間を3年から5年にすることで回収が困難になる可能性が高くなるのではないかという懸念もある。しかし,多くの者は弁護士になるので,所在が不明になることは少ないといえる。そういった意味で,通常の奨学金等に比べれば回収リスクは低いのではないか。
 2点目は,前回,鎌田委員からも御指摘があったが,父母を保証人とすることを修習資金を貸与する要件とする必要があるのかという問題である。
 修習生は,法科大学院を出ているので,ほかの奨学金等の貸与制度の被貸与者より年齢が少し高いと考えられるし,何らかの事情で父母に保証人になってもらえないということを理由に修習資金を貸与してもらえないということは,不合理ではないか。
 父母を保証人にすることを修習資金を貸与する要件としていることについては,ぜひ削除していただきたい。

酒巻委員 大橋委員の御提言に基本的に賛成である。
 まず,保証人の父母要件については,大橋委員が述べられたとおりである。法科大学院の学生には社会人経験がある方もたくさんいるし,司法修習生の年齢層は多様であるのに,一律に父か母を保証人にしなければいけないという要件を課すことは明らかに合理性を欠く。保証人なので,確実に債務の保証ができる人を確保できればいいという形にするのが合理的だと思う。
 次に,据置期間について述べる。法律家のような専門職業人にふさわしい非常に高度な知識の学習や修得,節目に行われる司法試験,それに続く司法修習の実地の技能訓練,さらには二回試験の準備といったことは,いずれも極めてタフで集中的な努力や精神的,肉体的な緊張を強いられるものである。これは教師として日々まじめに学習に取り組んでいる法科大学院の学生を見ていても常々感じるし,今の修習生たちも同じような状況で,大変大きなプレッシャーのもとで一生懸命に修習しているのは明らかであろう。
 こういう過程に取り組んでいる人々ができるだけ安定した精神状態で集中して勉強するには,経済的な基盤が安定していることが重要な要素の1つになると思う。現在や将来の経済状態についての不安を抱えていては,こうした非常にタフで精神的なプレッシャーのある学習をしていくについて,よい成果を得ることは非常に困難であるということは疑いのないところだと思う。
 そもそも,優秀な専門職業人を養成するのに,それなりにお金がかかるのはやむをえない。他方,学生でも社会人でも,優れた人材が安心して法律家の道を目指そうというインセンティブが働くためには,将来あるいは養成過程で経済状態に不安があるという要素はできる限り小さくするのがとても大事なことだと思う。
 確たる具体的な数字やデータはないが,多くの法科大学院ではかなり高額の授業料を納める必要があり,私が接している法科大学院の学生にも,授業料や生活費をまかなうためにローンとか,あるいは奨学金をもらっている人がいる。このローンや奨学金は,学校を修了・卒業すると間もなく返し始めなければいけないことになっていると承知している。
 そういう実情のもとで修習生になって,これまでの給費制はやめて将来返還義務のある貸与制という制度を発足して運用するには,やはり将来の経済的負担に対してできる限りきめ細かい配慮をし,経済的な基盤についての不安をなるべく解消して修習に集中できるような環境を整えることが非常に重要である。これから法曹を志そうとしても,そこに不安があったら,大きなリスクを勘案してこれをためらってしまうというような事態も懸念される。
 大橋委員が先ほどおっしゃったように弁護士の就職状況が大変厳しいことは周知の事実であり,法科大学院時代での債務に付加して次の修習時の債務も生じるという人があり得ることになるので,このような状況を勘案すれば,据置期間については,可能な限り一番長い5年とすることがサポートになるのではないかと思う。

今田幸子委員 酒巻委員のおっしゃることは非常によくわかる。これから法律家になろうという人たちに精神的に充実した状態で学ぶ環境が与えられるということはとても重要なことで,全く異論はない。
 しかし,やはりこの議論をするためには,据置期間がなぜ3年なのか,なぜ5年なのかということについて,合理的な説明をしないといけないのではないかと思う。
 司法修習中の精神的な充実は重要だが,司法研修所を出た後,いわゆる法曹人としての若年キャリアという3年,5年という期間の収入状況がよくわからないままこの議論はできないような気がする。
 法科大学院等にいた期間の債務と修習生になってからの債務はそれぞれどのぐらいになるものなのか。私は調査をやっている人間なので,幾らぐらい奨学金やローンなどの債務を抱えて修習生になっているかというデータはとれるのではないかと思う。哲学として,よい環境を与えたいというのは誰も反対はしないと思うが,どのぐらい債務を抱えてキャリアを始めるのか,さらにそのキャリアを始めたらどのぐらいの収入が確保されるのかという,この2つがわからない状態で,返済というのがどれぐらい厳しいものなのかというのが,私がお聞きしている限りではわかりにくい。
 私個人としては,時代と逆行していると思うが,給費制が正しいのではないかと今でも思っている。貸与制につき,初期の議論にもかかわった者として,返還についてはできるだけ緩いほうがいいというのは気持ちの上ではある。しかし,3年を5年にすることについて,いい環境を与えたいということだけでは理由としてはちょっと弱いと思うし,一方で非常に厳しい議論もあるということは確かである。一般の大学院を出て,専門職,研究者その他,そういうものになる人たちは,その修了と同時に奨学金をすぐ返還しなければいけない。これらとの比較において,なぜ3年,なぜ5年据置きなのかという議論もしなければけない。若年キャリアの段階での収入について,あるいは返還についてのバックデータのようなものが必要ではないかと考える。
 大橋委員から与えていただいた情報として,年収が500万円以下という人が増加傾向で,現状では2割ぐらいがそれにあたるということのようだが,8割はそれ以上の収入があるということになる。一般の大学院生の年収はもっと低いのではないか。今は大学院出も,大学のポストに就いてもほとんど有期雇用であり,ドクターを持っている人ですら国立の研究所に勤めても2年で,なおかつ初任給は年収400万円以下ぐらいであるという若年層にとって非常に厳しい状況である。そういうことからも,今与えられた情報だけで「はい,5年がいいですね」と言うのはちょっと苦しいというのが個人的な意見である。やはりもう少しデータが必要だと思う。奨学金についても,もう少し議論を詰めるのであれば,例えば司法研修所でアンケート調査をするなどして,データを出していただきたい。

笠井幹事 御参考までに申し上げると,日本学生支援機構の奨学金については,無利息の第1種奨学金というのと,利息付きの第2種奨学金というのがある。第1種奨学金は,月額5万円ないしは8万8000円の貸与を受けることができるようになっていて,第2種奨学金は,いろいろな段階があるが,法科大学院の学生の場合は,最大で月額22万円の貸与を受けることができることになっているようである。満額を借りる人がどれほどいるかは分からないが,例えば月額20万円借りると,年間で240万円,2年行けば500万円近くの債務になる。それをどのぐらいの期間で返すかというところだが,借りた金額に応じて決まるというシステムをとっているようであり,最長でどうも20年ぐらいで返すことになっているようである。したがって, 500万円を借りて20年で返すということであれば,年間25万円返還することになる。さらに3年行く方は,金額はもっと増える。1種と2種を合わせると,月額30万円以上借りられるということにもなるので,1000万円くらいまで借りられるということもあり得るようである。例えば,仮に500万円とか600万円とかという金額を借りたとすると,年間25万円とか30万円という金額を返していくことになる。 さらに貸与制で,金額はいろいろあるが,例えば300万円ぐらい借りると,さらにそれを毎年30万円ずつ返していくことになる。そうすると,合わせて50万円とか60万円という金額を毎年返すことになり,60万円であれば,月額5万円ぐらいの金額になる。
 収入を客観的にとらえるのはなかなか難しい。しかし,前の司法修習委員会でも出たが,例えば東京三会では,まず3年未満の人,それから3,4年,さらに4,5年ということで段階的に会費の減額措置を講じていて,5年以降になって初めて満額の会費をとる状況のようである。 恐らく,最初の3年ないし5年のキャリアでどのぐらいの収入を得ているかというところが一応勘案はされていると思う。

高瀬浩造委員 大学院を出て研究職に就く人たちとのアナロジーの議論は,給費制のころの話だと思う。すなわち,給費制のもとでは大学院を出て司法修習に入ると,あまり多くはないけれども給与がいただけたので,ほかの研究職も同じではないかとはいえるが,貸与制になってしまうと,そのようなアナロジーは全然成立しないのではないか。
 貸与制の導入は,やはり制度として明らかな不連続性があり,それまで行われたことがなくなるのではなく,まるで正反対になってしまうように見えるのであるから,それによる修習生たちの経済的なストレスに対し,最大限の配慮をすべきものだと私は思う。
 3年か5年かの説明が難しいというのは同感であるが,私たちが経験的な感覚で決めざるを得ないのではないか。据置期間が10年とか20年というのはおかしいということは誰でも分かるわけで,3年から5年という期間が決められている中で5年を選択することは妥当性があるだろうと前回もお話したし,今でもそう思っている。
 また,若い弁護士を取り巻く環境はよくなっていないが,5年ぐらいあれば,いろいろな状況の変化があって,どうにか改善されているかもしれないと期待できることも考えると,5年の据置期間というのは,実際に修習を受ける人たちにとっては少し安心できる数字だろうと思う。
 据置期間を3年から5年にすることについての客観的な根拠を示すことは非常に難しいが,3年よりは5年が選択肢として妥当であるという点については,私の意見は変わらない。
 また,保証人の父母要件については,何の根拠もないと思うので,その要件を外すことは正しい選択と思う。

大橋委員 先ほどのデータの件だが,日本学生支援機構に,法科大学院の学生に対する奨学金についてのデータがないか確認した。結果は,専門職大学院として一括してくくってあるため,法科大学院についてのみ具体的に特定したデータは出てこないということであった。
 修習を終了しても就職する事務所が見つからない状況は,ここ数年の話である。従来は最後には何らかの形で就職できていた。その前はむしろ引く手あまたのようなところもあった。したがって,過去のデータを現在の状況を表すものとして使うことができない。
 また,弁護士事務所の傾向として,どうしても若い人を採用する傾向が強く,社会人経験者で年齢の高い人たちの就職が難しい傾向にある。事務所に就職ができない場合,最終的には独立・開業することになる。弁護士の場合,いろいろな意味での経費がかかるので,例えば年収が400万円,500万円あったとしても,可処分所得はかなり少ない。弁護士会費も支払わなければならないし,その他一切の費用を自分で負担しなければならないとなると,かなり苛酷な負担を負わされるということを,少し考えていただく必要があるのではないか。

翁百合委員 今までの御議論は,実際に弁護士になられる方の立場に立ったものと思うが,もう一つの重要な論点として,回収の可能性を確実にすることがある。私は据置期間を3年から5年にすることについては反対はしない。据置期間を3年から5年にすることでより所得の環境がよくなり,回収の確実性が高まるという判断であれば,納得できる。一方,据置期間を3年から5年にする場合,所在が明らかでなくなるなどの点が,回収の確実性という点ではやや危惧のあるところであるので,そこを確実に担保して対外的に説明できるようにしておくことが重要である。
 私は,日本学生支援機構が回収の局面で苦労しているところを随分見てきた。修習資金の貸与については,借りる方が弁護士なので,恐らくはモラルも高いだろうし,所在もより確実にトレースできると思うが,これを実務として,最高裁判所の経費資源の中で持続的に確実にやっていくということは非常に大変なことだと思う。実務的なことも含め,回収の可能性を確実にしていくということを念頭に置いて,できることをきちんと担保していくということが大事ではないか。

大橋委員 所在のトレースに関しては,弁護士の場合には日弁連に住所,事務所を登録することが要件になっており,少なくとも弁護士の職務をしているのであれば,日弁連の登録名簿を見ることによって現在の所在は確実に把握できる。

笠井幹事 期限の利益喪失事由の中には「最高裁判所が定める事由」というのが入っている。請求による喪失の場合として,住所等の変更の届出をしない場合だとか,それから当然の喪失の場合として,貸与を受けた者の住所等が判明せず行方が知れなくなった場合といったものが考えられている。さすがに法律家であるので,そういった条項も,回収可能性を担保する一つの根拠にはなり得るように思う。

鎌田薫委員 父母を保証人にしなければならないという点につき2点申し上げる。1点目は,最近,父母の離婚等に伴って一方の親とは関係がよくないということも増えてきており,実際問題として,この規則のように,一方が亡くなったときにもう一方を保証人にしなければいけないというような制度は不都合があるのではないか。2点目は,高齢・無収入の父母を保証人にするというのは,親に迷惑をかけてはいけないという心理的圧迫以外に何も期待するところがないが,最も優れた法律家を育てるべき司法研修所でそのような制度の使い方はしないほうがいいのではないか。
 据置期間について,私は前回,3年でないと世間の納得を得られないのではないかという趣旨の発言をした。今日の議論でも唯一懸念するのが,弁護士は,収入が悪くなったとはいえ非常に高額な所得の方もいるのに,日本学生支援機構の奨学金よりもはるかに緩い制度を仲間内だけでお手盛りでつくっているのではないかという批判を受けないかということである。前回も,一律に3年というよりも,むしろ3年を基準にして,いろいろな事情があるときには個別に少し猶予するような制度にしたほうが納得が得られやすいのではないかと申し上げたが,実際にそれをやるとなると,回収コストが非常に上がる。そこで,法科大学院での奨学金の貸与・返済と重なるとどれぐらいの負担が出てくるかというのが1つの大きなポイントになると思う。その点のデータがないとのお話だが,学生支援機構は各法科大学院に一定の数を割り当てているので,それを積算していけば数だけはわかる。ただ,全員が借りているわけでもないし,借りている枠も全員一致してはいないので,やはり最も厳しい人を基準に考えざるを得ない。一番厳しい人は,在学中に1000万円の借金を抱えているというのが先ほど来御指摘のところであり,そういう人でも無理をせずに返済できる条件を整える,しかも,高瀬委員がおっしゃられたように,今までは給費制だったところからの変更であるという要素も無視しきれないとなると,5年を基準にするのもやむを得ないと思うが,やはりほかの世界の人にも十分納得していただけるような説明は尽くすべきではないかと思う。

高橋委員長 保証人の父母要件については,これはもともと国の他の貸与制度の横並びのようだが,社会人が入ってくるように勧誘している法科大学院修了者につき,父母を保証人にするというのはやはり無理がある。保証人の父母要件は外すということでよろしいか。

出席委員全員 了承

高橋委員長 次に据置期間については,前回,高瀬委員が医師の例をあげたが,医師・弁護士というのはヨーロッパでも昔から3つのプロフェッションということで,対価を得ることを目的とした職業ではないという位置付けもあるところであり,社会的に多少優遇するに値する職業ではあるということであろう。
 あと,最近の若手弁護士は収入が少ないということであるが,別の観点から言うと,法律家というのは一人前になるのにやはり5年ぐらいかかるのだろうと思う。弁護士会が,段階的ではあるが5年までは会費の減額措置をとっているというのもそのあらわれだろうし,性質は違うかもしれないが,判事補も5年までは半人前で,5年経つと特例がついて一人前の裁判官になる。大体5年ぐらいは一人前のちょっと前ぐらいということなのだろう。
 また,学生支援機構だと金額によって変わるようだが,返還の期間が12年だったり20年だったりするが,修習資金は据置期間を5年にしても,全額回収するまでの期間は15年である。
 そして,今日の議論で出たところだが,給費制から貸与制に変わるというドラスティックな転換に対するソフトランディング的な配慮は必要であろう。
 私が付け加えた部分もあるが,これらが考慮するポイントということであろう。その上で,どのようにすべきかにつき,もうお一方,お二方から結論的な御意見をいただければと思うが,まだ御発言のない方でいかがか。

酒井邦彦委員 数字で説得力ある説明をとの今田委員の御発言には非常に共感を覚えた。しかし,法科大学院の学費や修習資金については,数字としてある程度は出てくるが,収入に関しては,初任給で1000万円もらう弁護士もいれば,収入に事欠く弁護士もおり,非常にばらつきが大きい。さらに,そのうち可処分所得はどの程度なのかという問題もあり,例えば所帯かどうなのかといったところまで考慮しないとなかなか適正な数字は出てこない。その中で,どこに合わせるかとなると,やはり収入が低い人に合わせていかざるを得ないという感じがする。
 弁護士は,当番弁護士とか,いわゆるプロボノというボランティアをやっているような人たちほど収入が低いという面もあり,収入・支出がはっきりした数字で出てこないとなると,やはりある程度,アバウトなところで決めていかざるを得ない面がある。そのときには,高瀬委員がおっしゃったようなソフトランディング的な発想というのが非常に説得力がある。
 今田委員のおっしゃる話は非常に魅力があるし,据置期間がなぜ5年なのかと問われたときには最高裁は対外的に説明をしなければいけないが,結論としては,5年でよろしいのではないか。

鈴木健太委員 先ほど来,弁護士の初任給が少し下がりぎみであるというお話があったが,3年後や5年後については全くわからないところであり,3年と5年を比較して,データとしてこうだという説明はなかなか難しいのではないか。
 裁判官の場合は,一人前という意味で特例の話が出たが,給与的にも特例がつくと少し上がるので,資力的にも説明がつくところもあるが,いずれにしてもデータとして一々説明はできないという気がする。
 もっぱら考えなければいけないのは,一般の方に理解していただけるかどうかということだと思う。法曹ばかり優遇されているのではないか,もともと所得が高いのではないかと思われていると思うのだが,従前の給費制が貸与制に変わるので,そのような中で,多少据置期間が長くなっても理解が得られるのではないか。
 いずれにしても据置期間であり,早く返済したい人は,繰上返済も認められているので,早期返済をしてもらえるだろうから,据置期間が長くなるということについては,それでいいのではないかと思う。

高橋委員長 それでは,反対や懸念を示された御意見は議事録に残した上,当委員会としては,据置期間は5年という意見でまとまったということでよろしいか。

出席委員全員 了承

イ.選択型実務修習の実情と課題

高橋委員長 御承知のように,選択型実務修習には,全国プログラム,自己開拓プログラム,各配属庁で提供される個別修習プログラムがあるが,幹事会でも実情の報告があったとのことであり,逐次報告をお願いしたい。

笠井幹事 幹事会では,全国プログラム及び自己開拓プログラムについて,関係の幹事から実情の報告があり,意見交換も実施した。
 まず,林前幹事から選択型実務修習の概要の説明があり,新61期から法テラスのプログラム,新62期から外務省経済局,国連難民高等弁務官事務所(UMHCR),国際移住機関駐日事務所(IOM),JICAの4つの国際機関のプログラムが提供されており,非常に人気があることなどが報告された。また,林前幹事から,裁判所が提供する全国プログラムである東京地裁及び大阪地裁の知財部修習及び法テラスの全国プログラムの報告があり,上野幹事から,法務省提供の法務行政修習プログラムの報告があった。いずれも修習の内容に加え,プログラムを有意義であったとする指導担当者や修習生の感想等が紹介された。最後に,小林幹事から,日弁連が実施したアンケート結果に基づき自己開拓プログラムにつき,これまでの修習先や志望の動機,修習生の感想等の報告があった。その他,巻之内幹事から,日弁連が実施した新61期司法修習生に対する選択型実務修習に関するアンケートに現れた感想等が紹介された。
 意見交換では,選択型実務修習につき,意欲のある修習生にはかなり大きな成果があったと思われ,今後,制度として建設的に発展させていただきたいといった意見があったほか,海外での修習の可否,自己開拓プログラムに対する司法研修所等のサポートのあり方,他事務所修習のあり方等が話題になり,最後のものについては,日弁連の修習委員会等を通じての情報収集を求める意見があった。さらに,A班の修習生につき,非常に熱心な者もいる一方,ホームグラウンドで二回試験の勉強をするなど選択型実務修習に意欲的ではない者がいるとの指摘もあった。

奥田正昭幹事 民事裁判関係の個別修習プログラムの概要について説明する。
 まず,大規模庁である東京地裁における民事通常部のプログラムでは,分野別実務修習より少人数とし,事前に修習生にアンケートをとった上,深化型を基本としつつ,修習生の状況等に応じて補完型としても対応しており,より密度の濃い手厚い指導を行っている。このほか,保全部,執行部,破産・再生部,特殊部である行政部,交通部,労働部,商事部,建築部においてもプログラムが実施されている。保全部,執行部,破産・再生部,労働部,商事部のプログラムについては,いずれも多数の修習生から応募があった。
 中規模庁である名古屋地裁においても,民事通常部のプログラムでは,修習生の要望に応じて,深化型・補完型にも対応して手厚い指導を行っているほか,保全,執行,破産,労働,交通,行政・知財部でのプログラムがあり,いずれも多数の修習生から応募があった。
 小規模庁である釧路地裁では民事通常部のプログラムを深化型と位置づけ,高知地裁においては補完型と位置づけて実施しているほか,これらの庁においても,保全事件や破産事件についてのプログラムが実施されている。
 これらのプログラムに対しては,指導官から,修習生が目的意識をもって取り組んでいたとの感想が寄せられ,修習生からも,実務に役立つものであったなどの感想が寄せられている。

河合健司幹事 刑裁の個別修習プログラムについて説明する。
 まず,大規模庁である大阪地裁だが,「アドバンスド刑裁修習」として,どちらかというと分野別実務修習の深化・発展をねらいとし,少人数ずつ各部に配属して,刑事裁判に関する実質的理解を深めさせることに重点を置いたプログラムを行っている。次に,中規模庁の札幌地裁においては,3週間コースと2週間コースのプログラムを提供しており,小規模庁である静岡地裁においても5日間のプログラムを2つ実施している。
 これらのプログラムに対しては,指導官から,修習生の意欲やレベルが高いなどの感想が寄せられ,修習生からも,集合修習で学んだことを実際の事件で検証することができたなどの感想が寄せられている。
 次に,家庭裁判所であるが,大阪家裁では,家事・少年の双方を対象とするもの,少年を対象とするもの,家事を対象とするものの3つのプログラムが提供されている。分野別実務修習では取り扱えない成年後見,人事訴訟,遺産分割等の事件,少年院訪問等が実施されており,修習生からは,非常に有意義だったなどの意見が多数寄せられている。

上野友慈幹事 検察の個別修習プログラムについて説明する。
 検察の個別修習プログラムの基本的な形は,約1か月間の期間を設定し,検察実務に関する高度な知識や技法等を習得することを希望する修習生が選択することを想定する捜査・公判補完修習A,約2週間の期間を設定し,検察実務修習の深化を望むものの,裁判所,弁護士会が提供するプログラムにも関心があるため捜査・公判補完修習Aを選択できない修習生や,刑事事件に関心を持つ修習生が選択することを想定している捜査・公判補完修習Bの二つのプログラムからなる。さらに,施設見学を約1週間設定している庁が多くある。このうち,捜査・公判補完修習Bについては,捜査期間としてはやや短いということで,公判修習にした庁や,4週間・2週間ではなく3週間・3週間にした庁もある。
 なお,選択型実務修習の申込時期が若干早すぎるために,修習生の志望等が決まっておらず,深化ないし補完すべき対象の見極めができないうちに申込みをしなければならないという問題を指摘する意見もある。

巻之内茂幹事 弁護士会提供の個別修習プログラムにつき,大,中,小の単位会の中から一例ずつ紹介し,説明する。
 大規模会である東京弁護士会においては,多数のプログラムの1つとして,専門委員会が担当となって,講義,ロールプレイ,施設見学,起案,問題演習といった内容の1週間プログラムを行っており,内容も大変密度が濃いものになっている。3庁会共催の刑事模擬裁判や民事模擬裁判も実施しているが,受講者数が定員を大きく割り込む状況にある。人気があるのは,倒産法実務,成年後見,刑事弁護といった基本的なもの,弁護士になってすぐ直面するようなものである。また,裁判外紛争解決,医療過誤などの1日,2日程度であまり時間を取られないプログラムも人気が高い。配属数が多い割に定数に達していないプログラムが多いのが,東京弁護士会の特徴である。この傾向は,東京三会とも共通しており,直後に二回試験を控えたA班であることが影響しているように思われる。
 次に広島弁護士会だが,東京弁護士会と大分違っており,ホームグラウンドとは違う形態または取扱事件が異なる事務所で1週間または2週間修習する「里親修習」について,必ず受講しなければならないということになっている。また,プログラムが個々の細分化されたものではなく,刑事事件深化コース,特殊事件深化コース,不法行為深化コースという概括的なものにしてあり,その中で幾つかのプログラムをこなしていく方法がとられていて,受講率は高くなっている。
 続いて青森弁護士会だが,ここは公設事務所の修習が多くあるが,人気は今一つのようである。講義については,7人の弁護士が1日ずつ担当するという形になっているが,小規模会では,弁護士一人の負担が大変高くなっているのが実情である。
 愛知県弁護士会では,講義型のプログラムがなく,他の事務所や隣接士業等で修習する内容となっている。
 弁護士会提供の個別修習プログラムについては,全国的に日弁連が集計したところによっても,A班の修習生が配属される大規模会での受講率が低い傾向があり,また,大規模会と小規模会でプログラムの内容に格差も認められる。この状態を良しとするのか,やはり何らかの改善をしなければいけないのかは,検討しなければいけない問題だと思っている。

小林克典幹事 弁護士会提供の全国プログラムは,東京・大阪で実施しており,東京では大規模事務所,渉外,知財,企業法務のプログラムが設けられており,大阪では,渉外と知財の二つの類型のプログラムが設けられている。
 受入事務所の評価だが,やはり自ら主体的に希望しただけあって,短期間ではあったが,非常に熱心に修習に取り組んでいたとするものが圧倒的な多数を占めている。また,修習の成果についても,肯定的な評価がほとんどであった。
 他方,問題点等として,例えば,知財については,知財村と呼ばれるほど業界が狭いところ,応募者の中には知財事務所に既に就職予定の者がいることから,案件についての秘密開示の問題や依頼者との関係に必要以上に注意を払わざるを得ないという指摘があった。また,渉外系の事務所では,これもまた応募する修習生の大半が既に他の渉外事務所に内定している現状があり,任官希望者とか,渉外事務所以外の事務所に就職する者が履修することが,本来の全国プログラムの趣旨にかなうとする見解もある。さらに,二回試験前の全国プログラムの実施は,あまり現実的ではないとの意見もあった。

高橋委員長 個別修習プログラム等につき,詳しく御報告いただいた。
 今日はこれについて何か方向性を見出すということではなく,次回以降に論点整理をしてさらに議論をする予定である。
 参加した修習生から,有意義だったという意見が出ているプログラムもたくさんある反面,募集しても受講しなかったプログラムがあったりとか,A班とB班の違いとかの御指摘もあった。そういった点をまず幹事会で御議論いただき,次の委員会でさらに議論を深めることにしたいと思う。

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