政府公表資料等情報

衆院法務委員会平成22年11月24日

※司法試験関連部分のみ抜粋

○奥田建委員長 裁判所法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付しましたとおりの起草案を得ることとなりました。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明を申し上げます。

 本年十一月一日に施行された改正裁判所法により、司法修習生に対し給与を支給する制度にかえて修習資金を国が貸与する制度が導入されたところであります。しかしながら、昨今の法曹志望者が置かれている厳しい経済状況にかんがみ、それらの者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう、法曹養成制度に対する財政支援のあり方について見直しを行うことが緊要な課題となっております。

 本起草案は、このような状況にかんがみ、平成二十三年十月三十一日までの間、暫定的に、司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金を国が貸与する制度を停止し、司法修習生に対し給与を支給する制度とするものであります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

○奥田委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。仙谷法務大臣。

○仙谷国務大臣 本法律案につきましては、政府としてはやむを得ないと認めます。

○奥田委員長 お諮りいたします。

 裁判所法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しております起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

○奥田委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

○奥田委員長 この際、辻惠君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、たちあがれ日本、国益と国民の生活を守る会の共同提案による裁判所法の改正に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。稲田朋美君。

○稲田委員 ただいま議題となりました裁判所法の改正に関する件の決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    裁判所法の改正に関する件(案)

  政府及び最高裁判所は、裁判所法の一部を改正する法律の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 改正後の裁判所法附則第四項に規定する日までに、個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

 二 法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

○奥田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 本動議について採決をいたします。

 辻惠君外五名提出の動議のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

○奥田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして、法務大臣及び最高裁判所当局から発言を求められておりますので、順次これを許します。仙谷法務大臣。

○仙谷国務大臣 ただいま可決されました決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

 以上です。

○奥田委員長 次に、戸倉最高裁判所事務総局総務局長。

○戸倉最高裁判所長官代理者 ただいまの委員会決議の裁判所に関する部分につきましては、その問題意識を十分に踏まえまして、最高裁判所として適切に対処してまいりたいと考えております。

○奥田委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 

衆院本会議平成22年11月25日

※司法試験関連のみ抜粋

○本日の会議に付した案件

 日程第二 裁判所法の一部を改正する法律案(法務委員長提出)

 

○議長(横路孝弘君) 日程第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。

○議長(横路孝弘君) 日程第二、裁判所法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。法務委員長奥田建君。

    〔奥田建君登壇〕

○奥田建君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を説明いたします。

 本案は、平成二十三年十月三十一日までの間、暫定的に、司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金を国が貸与する制度を停止し、司法修習生に対し給与を支給する制度とするものであります。

 本案は、昨日の法務委員会において、内閣の意見を聴取した後、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。

 なお、本案に関する決議が行われたことを申し添えます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

○議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

○議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。

 

参院法務委員会平成22年11月25日

※司法試験関連のみ抜粋

○委員長(浜田昌良君) 裁判所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院法務委員長奥田建君から趣旨説明を聴取いたします。奥田建君。

○衆議院議員(奥田建君) ただいま議題となりました裁判所法の一部を改正する法律案について、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
 本年十一月一日に施行された改正裁判所法により、司法修習生に対し給与を支給する制度に代えて修習資金を国が貸与する制度が導入されたところであります。しかしながら、昨今の法曹志望者が置かれている厳しい経済状況にかんがみ、それらの者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう、法曹養成制度に対する財政支援の在り方について見直しを行うことが緊要な課題となっております。
 本案は、このような状況にかんがみ、平成二十三年十月三十一日までの間、暫定的に、司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金を国が貸与する制度を停止し、司法修習生に対し給与を支給する制度とするものであります。
 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。
 以上が本案の提案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。

○委員長(浜田昌良君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○桜内文城君 みんなの党の桜内文城です。
 まず、提案されました衆議院の法務委員長にお伺いいたします。
 今回のこの裁判所法の改正案ですけれども、元々今回議論になりました貸与制への移行というものが国会で通りましたのが二〇〇四年のことであります。その際、当時野党ではいらっしゃいましたけれども、民主党も賛成されております。この六年の間にこの貸与制をもう一度このように強引に、ほとんど衆議院での議論もなく、そしてこのように急に既に施行されている法律をひっくり返すその実質的な理由をお伺いいたします。

○衆議院議員(奥田建君) 桜内委員からの御指摘、またしっかりと受け止めたいと思います。
 ただ、強引にということに関しては、各会派の中で慎重な審議等プロセスを経て、また衆議院の法務委員会では全会一致という形で成立しているということを御承知いただきたいというふうに思います。
 まず、この六年間の間、やっぱり法曹を取り巻く状況というのが大きく変わってきたということもあるかと思います。一度、司法制度改革という中で提起されたことではありますけれども、そのときと比べて法曹を取り巻く状況が大変厳しいものになっている、これは提案の趣旨にも書いてございますとおりであります。
 そして、やはり法曹の志望者、志願者というものがここ数年大きく減ってきてしまっている。司法制度改革の大きな目的でもあります、目標でもあります法曹人口の拡大ということにやはりまだめどが立っていないと。一つでも、そういう法曹志望者、法曹人口の拡大とともに、国民に対してその権利を擁護するその点を広げていくという大きな目標というものに到達していないという点が挙げられるかというふうに思います。

○桜内文城君 今委員長おっしゃいましたけれども、残念ながら衆議院の法務委員会では我が党みんなの党は会派として参加できておりませんので、そういった意味で各党各会派の議論をしっかりしたという点は当てはまらないというふうに指摘させていただきます。
 事ここに至るまで、既にこの改正法が施行されたこの時期に至るまで、なぜここまで来たかといいますと、それは与党である民主党、あるいは野党、自民党そして我々みんなの党を始め大変異論が多かった、議論もその分たくさんあった、論点といいますか、法律であります。それをここに来て突然、先週から一気に委員長提案でこのように衆議院を通過させてこの参議院に付託されてくるということは、国会対策上の政治的配慮あるいは国民不在の党利党略に基づくものと言わざるを得ません。その点について、委員長、どうお答えになりますか。

○衆議院議員(奥田建君) 異論が多かったといいますか、そういう意見があったことは事実だというふうに思います。
 ただ、この法が平成十六年に施行される際にもまた貸与に対する異論というものがあったのも事実ですし、また日弁連としても一貫して給費制の維持ということを訴えていたわけでもあります。そして、先ほど言った、また法曹界を取り巻く就職の状況あるいは経済状況といったものの中から、やっぱり有為なそしてまた優秀な人材を育成するというところの大きな危機感というものが各会派にも訴えられてきて、そのことをまた真摯に受け止めて、今暫定の措置ではあるけれども、この一年足らずの間に修習生に対する財政支援という在り方を政府も、そして最高裁も、そしてまた日弁連も協議の上でしっかりと決めていただきたいというのがこの法案の趣旨でもあります。

○桜内文城君 実質的なこの給費制維持の理由が私はないと考えております。
 最高裁から日弁連に対しまして、この九月に二度にわたりまして質問状が出されております。最高裁及び、できれば法務大臣にもお答えいただきたいんですけれども、その質問状の中では、経済的事情によって法曹を志すことを断念せざるを得ないというような日弁連の主張に対して、それが本当に給費制維持との論理的な関係があるのか、これについて最高裁も尋ねております。確かに、日弁連はその後二回にわたりまして回答書を出しておりますけれども、私が見ましても、恐らく国民の多くが見ましても、十分な説得力のある理由をそこに書いてあるとはとても思えません。
 最高裁は、これに納得しているのか、そしてまた実際にこのような法曹養成制度を所管する法務大臣、どのようにお考えか、お聞きいたします。

○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) お答えいたします。
 裁判所といたしましては、日本弁護士連合会に、今御指摘のとおり、例えば弁護士となって五年を経過した以降の収入の状況等、日弁連の主張の根拠となる具体的なデータの提供を求めていたわけでございますが、こういった点につきまして日弁連から十分な提供ないし説明があったとは必ずしも考えておりません。
 ただ、最高裁といたしましては、今後この論点についての検討がされる際には、関係機関との間で実証的なデータに基づいた意見交換をしてまいりたいと、このように考えております。

○国務大臣(仙谷由人君) 個人的には、この麗しい司法研修制度、そしてこれが給費制であったという戦後の歴史の中で受益を受けてきた者といたしましては、なかなかこれについての論評を特に今の立場としてはし難いわけでございます。
 個人的な感慨、見解は多々あるわけでございますが、今日は法務大臣として参っておりますので、特にこの本法案は議員立法として提出されておりますので、国会の意思を尊重すべきものと考えておりまして、私の個人的な見解は、さすがの丸山先生や森先生も、あるいは江田先生も小川先生もいらっしゃいますけれども、ここは差し控えさせていただきます。

○桜内文城君 この法案の一番の問題というのは、法曹の志願者が減少する、そういった原因に対して真の回答を示していないからだと私は考えております。経済的な負担が生ずるその大半は、むしろロースクールの修学期間に生じております。給費制維持のために約百億円の税金を投入し、そのことは別の言葉で言えば、ロースクールで頑張って学びながらも残念ながら司法修習生となれなかった、そういった人たち、ロースクールで多額の負債をしょってしまった人たち、その人たちからも税金という形で、言わば勝ち組の司法修習生に対して年間百億円もの税金を投入する、言わば強い者が弱い者いじめをする、そういった構図だからこそ、恐らくは、様々な新聞の社説にもここ数日にぎわしておりますけれども、国民の大多数の賛同を得られていない、こういった法案になぜ、私どもみんなの党としましては、大きな巨大与党であります民主党、そして自民党さん、公明党さん、皆が議論もなく賛成されるのか理由が分からない、このように考えております。
 今日、仙谷法務大臣は、常に国民の目線に立ち、こういうふうなことを述べていらっしゃいます。そしてまた、とりわけ法曹養成制度の在り方については云々と抱負を述べられておりますけれども、その初日からこういったまさに弱い者いじめをする、強い者がむしろ給費制を維持することによって弱い者から税金をむしり取る、こういった制度をこの国会において通してしまおう、それも衆議院ではほとんど全く議論もされずに委員長提案でやってくる。私どもみんなの党は、そういった国民の目線から乖離したこの永田町の常識に対して異議を唱えたいと考えております。
 委員長、どのようにお考えになりますか。

○衆議院議員(奥田建君) 桜内委員御指摘のとおり、経済的な問題というのは何も修習の期間だけではないというのは全くそのとおりであるというふうに思います。そして、先ほどの質問のところに戻る部分ありますけれども、なぜ最高裁からの質問が今年の九月なのかということがちょっと私にも疑問に残る点でもあります。六年もの間それだけの議論が真摯にされてきていなかったのかと。やっぱり、関係機関の間で納得し合える制度というものを私たちは提示していきたいということであります。

○桜内文城君 私、法務委員会の理事をしているということで、ロースクールの学生さんからもたまに電子メールをいただくことがあります。大変悲痛な声であります。それは、給費制維持という、そういうものでは全然ありません。むしろロースクールの在り方そのもの、そして今の制度であります三回受験に失敗したらという、三振したらというその制度、あるいはまさに人生を懸けて彼らは、会社を辞めた人もロースクールに行っているわけですね、社会人の方は。そして、お金も掛けて、若い時間、時間を掛けて、二年なり三年なり、社会人として周りの人間が頑張っているところを横目で見ながら耐え忍んで、経済的な苦境にも耐えて、しかしながら法曹になる道がないかもしれないというこのリスクにおびえながら一生懸命やっている学生さんがいっぱいいるわけです、若い人が。その人たちが望んでいるのはこんな給費制の維持じゃないんですよ。まさに勝ち組に対して負けた人たちが税金でもって、年間百億円も彼らに対して援助をしていくことになるんです、結果として。
 確かに、司法修習生の方々が貸与制に替わることによってその分負担が増えるというのも十分理解できますし、不満を述べられるのも分かります。しかし、今のこの世の中、就職が大変だ、あるいは経済が大変だという時期に、負け組を更にいじめるようなこういった制度を、それも国会での議論なく、ほとんどなくしてこういうふうに提案されてくるということに私は大変憤りを感じております。
 最後の点、一つ予算の点についてお伺いいたします。
 最高裁にお伺いいたしますけれども、今回の法案、非常に、私が言うのも大変失礼ですけれども、予算措置、財源措置というものについてほとんど全く触れられておりません。しかし、これを一年間とはいえ延長するということは、百億円程度の予算が、財源が必要とされてまいります。これにどういうふうに対応されていくおつもりなのか、お聞きいたします。

○最高裁判所長官代理者(林道晴君) お答えします。
 給費制が一年間延長された場合には、まず、平成二十二年度予算におきまして、この十一月二十七日に採用される予定の修習生、司法修習新六十四期の修習生になりますが、それに係る司法修習生手当あるいは共済組合の関係の負担金等として、合計約二十七億円の予算を計上する必要があります。これにつきましては、裁判所の他の予算を流用する手続を速やかに取ることになると考えております。また、平成二十三年度の予算につきましては、本年の十一月から貸与制に移行することを前提として概算要求を行っておりますので、給費制が一年間延長された場合には、それに応じた予算要求に改めることが必要になります。
 以上です。

○桜内文城君 予算ですので、財政法の関係になってくるんですけれども、財政法三十三条二項、流用するためには財務大臣の承認を経なければならないということでありますが、今回、報道なりで聞くところによりますと、報道というと仙谷長官に怒られますけれども、財務副大臣が聞いていないよというふうにお怒りになったとも仄聞しております。
 確かに、手続上は同じ最高裁判所という項の中の話ですので、流用は確かに可能であります。国会の議決を経ることなく財務大臣の承認があればもちろん認められるわけですけれども、しかし、これ、修習資金貸与金というものを司法修習生手当に変えるということでございまして、これは言わば貸付金をあげっ放しのお金にしてしまうというものでありますので、お金に色はないとはいいますけれども、その性質は全く違います。
 これが財政法上も、もちろん財政法上認められる手続とはいえ、そういったまさに無理強いをしてまでこのような法案をそもそも通そうとする、そういった与党及び大政党の皆様方に一言抗議を申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 給費制を一年間継続させるという法案であります。様々な議論、困難ありましたけれども、この法案、取りまとめられました法務委員長を始め関係者の皆さんに敬意を表したいと思います。
 我が党は、公的な役割を担う法曹の養成に受益者負担主義を持ち込むべきでない、そして経済的な理由で法曹を断念する事態が生まれれば、多様な人材を法曹界に取り込むという、取り入れるという司法制度改革の趣旨にも反するとして、当時、法改正に反対をいたしました。その後、関係者の懸念が現実のものとなり、また法改正時に、必ずしも予想されていなかった事態も生まれました。その中で、法曹を目指す若い皆さん、ビギナーズ・ネットや日弁連、市民からのいろんな世論と運動が広がる中で、今回の改正になったんだろうと思います。
 勝ち組、負け組というお話があったんですが、私はやっぱり若い法曹の皆さんとお話をしていて、司法試験受かって弁護士になったら勝ち組だと、そういう発想で弁護士活動をしたくないからこそちゃんと給費制をしてほしいという、そういう声だったんだろうと思います。
 その上で、まず提案者にお聞きいたしますが、これを一年間継続させるということが必要だと判断した事情、理由について改めてお聞きしたいと思います。

○衆議院議員(大口善徳君) ただいま井上委員からこの法案に対して賛意の御指摘がございまして、ありがとうございます。
 まず、衆議院法務委員長も答弁いたしましたけれども、本当に最近の法科大学院の志願者が急減しています。平成十六年に比べても、それこそ三分の一になっているんですね。また、平成十五年から見ますと、これはもう四分の一以下になっています。ですから、法曹の志願者が激減しているという、ここをやはり我々がしっかりこの原因を究明しなきゃいけない、こう思っているわけですね。
 その中には当然、例えば法科大学院を修了して、そして合格者が二割と、こういう非常に合格率が低いということもあります。それから、やはり司法試験合格して修習終了しても就職できない人が、例えば今年の七月ですと三五%がまだ内定が出されていない、こういう諸事情もあると思います。それとともに、やはり法曹を目指す人に対する時間的あるいは経済的な負担が非常に大きいと。特に、我々の場合は例えば現役で合格をして、それで修習をしてということがございました。しかし今は、学部を卒業しても二年とか三年とかいう期間が掛かります。そういうことからいきまして、非常にそういう点でも経済的にも負担があると。
 このことも、やはり志願者が急減している要素一つ一つを取っていかなきゃいけない。そのために一年掛けてしっかりと、この財政支援の在り方も、これは政府もまた最高裁判所も当事者としての意識を持って検討していく。また、我々国会も、あるいは立法府の怠慢ということがあったと思います。我々もしっかりやっていく、それによってこの議論をしていく、そして法曹養成制度全体のことにつきましてもしっかり議論をしていく、そのための一年間であるということでございます。

○井上哲士君 給費制が廃止をされた二〇〇四年の改正の際に当委員会で附帯決議を付けたわけでありますが、その中身は、統一・公平・平等という司法修習の理念が損なわれることのないよう、また経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことがないよう、法曹養成制度全体の財政支援の在り方も含め、関係機関と十分協議を行うことと、こういう決議を付けたわけですね。
 私は、この決議が実際十分に行われてこなかったということが非常に大きな問題だと思うんです。先ほどありましたように、最高裁が今回給費制の維持を求める日弁連に対して質問状を出されましたけれども、この決議の趣旨からいいますと、やっぱり最高裁や法務省自身がそういうデータをしっかり持っておくべきだったと思うんですね。そういう調査をしてこなかった、そしてまともな検討をしてこなかったということが問題だと思うんです。
 私は、今回のこの一年の延長、継続ということを受けて、最高裁そして法務省自身がそういう実態についての幅広い調査をして検討することが必要だと思いますが、最高裁それから法務大臣、それぞれいかがでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) お答えいたします。
 法曹養成制度に対する財政支援の在り方につきましては、多分に立法政策にかかわるものでありますため、今後政府を中心に検討がなされるものと承知しておりますが、法曹養成の最終段階である司法修習を所管する最高裁判所といたしましても、経済的事情から法曹への道を断念するような事態が生じないように、司法修習生の経済状況等につきましてどういう調査を行うことがデータ収集として適切かといったことについて検討いたしまして、そして関係機関に対して必要な協力をしてまいりたいと、このように考えております。

○国務大臣(仙谷由人君) 先ほどからお伺いしているんでありますが、結局この問題は、とりわけ法曹の場合には、弁護士のみならず、出口は検察官と裁判官の養成ということにもなります。あるべき法曹一元がそもそも実現しておれば、こんな議論にはならないのかも分かりません。
 というのは、先ほど御質問された桜内先生、僕はそれ非難して言うんじゃありませんが、やっぱり国費で留学していただいて、外国の世界でも通用されるリーダーシップになっていただきたいというのが多分今の霞が関人材の外国留学というふうな制度だと思います。つまり、だから法律とか司法の世界の人材養成を、これ裁判官も検察官も含めて、国民の理解の下でどのように税金を使って養成していくのかと。これは、例えば医療もそうであります。皮肉なことに、法律家というか、法曹養成のところで税金を使わないことになった瞬間に、それまでいわゆる無給インターンという制度だった医者の養成のところにお金が入れられるということになったのが多分二〇〇四年だったと私記憶しておるんでありますが、ここはやっぱり改めてこの機会に国民的な議論をしていくと。
 つまり、この法律の世界を、あえて国費を投入して人材養成していくに値する世界なのかどうなのかということを、議論をもう一遍していかなければいけないのではないかというのが最近の私の気分でございまして、政府の中にワーキングチームもできたということでありますから、人材養成あるいは教育という観点から、改めて、この百億という、巨額と思うか、百億程度のお金で人材養成ができるのであれば大いにやるべしというふうになるのか、あるいは百億は高いから五十億で何とか事を済まそうとするのか、その種の議論を大いに闊達に私はやってみるべき価値のあることだと思っております。

○井上哲士君 その上で最後ですが、そういう議論を通じて、やっぱりこの公的な役割を成す法曹の養成については給費制が必要だと、こういう結論になった場合は、この法案自身は一年間の継続でありますけれども、再改正もして、制度自身の存続ということも法律としては排除をされていないと、そういうことを確認をしておきたいんですが、よろしいでしょうか。

○衆議院議員(奥田建君) 井上委員のおっしゃるように、こうであらなければならないという将来のことを断じている法案ではありません。あくまで暫定的な措置として、そして修習生の財政支援、あるいはその以前の、今桜内委員から御指摘のありましたように、ロースクールのところの負担というもの、あるいは修習生を終えて法曹界にデビューしてからの方たちがどういう財政状況にあるのかと。やはり、しっかりとしたデータをお互いに持った上で、国会も含めて、先ほど言った法曹の三者と、そしてまた国会での議論というものを通じてこれからの在り方を決めていきたいというところに対しての暫定的措置であるということを御理解いただきたいのとともに、またそれからの道は皆さんとともに見付けていくんだということを御了承いただきたいと思います。
 なお、付け加えてになりますけれども、人材養成ということに関しても、中期的な視点でしっかりとその在り方というものを、教育のプログラムであるとかそういうことも含めて考えていただきたいということを決議の一つに付け加えさせていただいております。

○井上哲士君 ありがとうございました。

○委員長(浜田昌良君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○桜内文城君 私は、みんなの党を代表して、裁判所法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 この法律、給費制を維持するための実質的な法律がない、そのことを反対の第一の理由とさせていただきます。
 経済的な理由の大半は、むしろロースクール修学期間に生じております。給費制維持のために約百億円の税金投入をすることは、ロースクールで学びながらも残念ながら司法修習生となれず、多額の負債だけを抱えた者からも税金という形で勝ち組に対する経済的援助を強制するということになりますけれども、これを合理化する理由はありません。
 そして、反対する第二の理由でありますけれども、一つには、今回のこの国会での議論が十分になされていない、その手続上の瑕疵を指摘させていただきます。
 六年前、この貸与制が決まった際に、当時野党でいらっしゃいました民主党も賛成して成立した法律でございます。そして、この十一月からいよいよ施行がされております。それをこの時期に、事ここに至るまで民主、自民両党でも異論が多かった本件につきまして、突然委員長提案で衆議院を通過させてこちらに付託する、これは国会対策上の政治的配慮、国民不在の党利党略に基づくものと非難せざるを得ません。
 例えば、今、先ほどの質疑でも仙谷法務大臣もおっしゃいましたけれども、本来であれば法曹の人材育成制度等については大いに闊達な議論をすべきである、そのように私たちも考えております。また、最高裁も先ほどの質疑の中で答弁されましたが、今回の給費制維持の日弁連さんからの回答にも十分納得はしていないけれども、そのような御答弁もありました。
 今回、私どもが反対する理由としまして、その二つ目に挙げました手続が十分でないということは、まさにこの議論をすべき国会の場でほとんど議論もなくこのような法律が今まさに通ろうとしていることにあります。
 例えば、議論すべきところといたしまして、ここで挙げさせていただきますが、例えば貸与制を補完する他の制度といたしまして、弁護士過疎地域での勤務や国選弁護、介添え人活動に従事する弁護士について貸与金の返還免除を認める、このようなことも考えられます。あるいは、日弁連がこれほどのごり押しをしようとするのであれば、優秀な後進育成のために返還不要な奨学金制度を創設する、あるいは司法修習生の修習専念義務の緩和を行い、少なくとも法律事務所でのアルバイト等を認めてやる、いろんなやり方はあろうかと思います。
 そのような他の補完する制度について何の議論もなされることなく、単に過去の制度を復活させる、それも先ほども質疑の中で述べましたけれども、年間百億円もの税金を投入してそのような制度を維持することにどれだけの理由があるのか、少なくともそういった議論をこの国会で私どもはさせていただきたかった、このことを申し上げまして、以上、反対の討論を終わります。

○委員長(浜田昌良君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 裁判所法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(浜田昌良君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

 

参院本会議平成22年11月26日より抜粋

○議長(西岡武夫君) ・・日程第八 裁判所法の一部を改正する法律案(衆議院提出)・・を・・議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長浜田昌良君。

   〔浜田昌良君登壇、拍手〕

○浜田昌良君 ・・裁判所法の一部を改正する法律案は、衆議院法務委員長提出によるものでありまして、平成二十三年十月三十一日までの間、暫定的に、司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金を国が貸与する制度を停止し、司法修習生に対し給与を支給する制度とするものであります。
 委員会におきましては、衆議院法務委員長奥田建君より趣旨説明を聴取した後、貸与制導入の経緯と給費制を一年延長する理由、法曹志願者への経済的支援の在り方及び法曹養成制度の見直しの必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、みんなの党を代表して桜内理事より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)

○議長(西岡武夫君) ただいま委員長報告がありました・・裁判所法の一部を改正する法律案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。桜内文城君。

   〔桜内文城君登壇、拍手〕

○桜内文城君 私は、みんなの党を代表して、裁判所法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 反対の第一の理由は、今、司法修習生に対して国が資金を貸与する制度を停止し、国から給与を支給する制度に戻す実質的かつ合理的な理由がないことにあります。
 発議者である衆議院法務委員長は、本法律改正案の実現のために執拗な政治的介入を続けた日弁連の主張を引用し、経済的理由により法曹を志すことを断念せざるを得ないという状況をなくすため、給費制への復活を主張しています。しかし、法曹志望者の減少の原因は、むしろロースクールにおける教育の在り方、その修学期間中の経済的負担、そして三回不合格になると司法試験の受験資格そのものを失うという、いわゆる三振制度等にあると考えます。
 法務委員会の理事を務めている私の元には、厳しい経済環境の下で一生懸命法律の勉強をしている若い方々からのメールが舞い込みます。彼らは若い時間の二年又は三年間、言わば人生を懸けて法曹への夢を実現しようともがいています。しかし、今のロースクールに係る経済的負担、そしていわゆる三振制度によって夢を絶たれるリスクの大きさに押しつぶされてしまう者も多いのが現状であります。仮に給費制を復活したとしても、決して法曹志望者が増加するような現状ではないということを我々国会議員は知るべきであります。
 確かに、給費制から貸与制への移行によって司法修習生の経済的負担が幾らか増加することは否めません。しかし、先ほども述べたとおり、現実には法曹志望者の経済的負担の大半はロースクールの修学期間中に生じています。給費制維持のために約百億円の税金投入を行うことは、ロースクールで学びながらも残念ながら司法修習生となれず、多額の負債だけを抱えた者からも、税金という形で勝ち組とも言える司法修習生に対して経済的支援を強要することにもなります。これを正当化し、無理やりにでも給費制を復活させる合理的な理由は見当たりません。
 反対の第二の理由は、仮に同じ百億円の税金投入を行うとすれば、給費制の復活だけを求めるのではなく、国会において他の選択肢をしっかりと議論すべきだったということ、すなわち議論が尽くされていないということであります。
 そもそも、戦後長く続いた司法修習生の給費制を貸与制に改めるという現行法への移行には、当時は野党であった民主党も賛成しております。その後、本年十一月一日から既に施行されている本法律について、ここに至って突然、衆議院の委員長提案により、衆議院では一切の質疑もないまま改正案が参議院に送付されてまいりました。事ここに至るまで民主、自民両党でも異論が多かった本案について、ほとんど何の議論もなく、突然数の力で本案を成立させようとするのは、国会対策上の政治的配慮、国民不在の党利党略に基づくものと非難せざるを得ません。
 本来であれば、貸与制を補完するための他の選択肢として、例えば弁護士過疎地域での勤務や国選弁護活動に従事する弁護士について貸与金の返還免除を認める、あるいはこれほどまでに理屈のないものをごり押しする日弁連自身が優秀な後進育成のために返還不要な奨学金を支給する、あるいは司法修習生の修習専念義務を緩和し、法律事務所でのアルバイトを兼ねた研修等を認めるなど、いろいろなやり方があるはずです。しかし、そのような他の選択肢も、比較考量も国会での議論も何もなされていないのが現状であります。
 以上にかんがみれば、少なくとも国会において将来の法曹養成制度の在り方について徹底的に議論すべきであったと考えております。したがいまして、我々みんなの党としては、裁判所法の一部を改正する法律案にあえて反対いたします。
 以上を申し上げ、反対の討論を終わります。(拍手)

○議長(西岡武夫君) これにて討論は終局いたしました。

○議長(西岡武夫君) これより採決をいたします。
 ・・裁判所法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。

   〔投票開始〕

○議長(西岡武夫君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。

   〔投票終了〕

○議長(西岡武夫君) 投票の結果を報告いたします。

  投票総数         二百三十五  
  賛成           二百二十四  
  反対              十一  

 よって、本案は多数をもって可決されました。(拍手)

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