平成23年新司法試験・予備試験
短答式試験の感想(3)

刑法について

基本的には、例年の新試験の傾向と変わっていない。
判例、条文の知識が主体である。

今年は、平成10年以降の判例がよく問われた。
この辺りの判例は過去問ベースの肢別問題集では、やや対応しにくい。
答練などで判例問題が出たら、もう一度直前にチェックできるようにしておくとよい。
平成17年以降については、当サイトの肢別問題集があるので、それも活用して欲しい。

新試験第2問は、いずれも近時の判例がある。

(新試験第2問)

 次のアからオまでの各事例を判例の立場に従って検討し,( )内の甲の行為とVの死亡との間に因果関係が認められる場合には1を,認められない場合には2を選びなさい。

ア.甲は,深夜,高速道路上で自動車(甲車)を運転中,大型トレーラー(乙車)を運転中の乙とトラブルになり,乙車の進路を妨害した上,追越車線上に乙車を停止させた。甲は,甲車から降り,乙を降車させた上,路上で乙に暴行を加えた後,甲車を運転して立ち去った。乙は,甲が立ち去った後,甲に奪われないためにズボンのポケットにエンジンキーを入れていたのを失念し,乙車を追越車線上に停車させたまま,エンジンキーを探していた。甲が立ち去ってから約5分後,後方から自動車を運転してきたVは,乙車を発見するのが遅れて自車を追突させ,Vはそれにより死亡した。(甲が乙車を追越車線上に停止させた行為)

イ.甲は,人通りの多い路上でVとけんかになり,Vの顔面を殴打したところ,Vは路上に転倒し,脳震とうを起こして一時的に意識を失った。甲がVを放置して逃走した後,日頃からVに恨みを持っていた乙が通り掛かり,意識を失っているVの腹部を多数回足で蹴ったところ,Vは乙のこの暴行で生じた内臓の出血により死亡した。(甲がVの顔面を殴打して転倒させた行為)

ウ.甲は,高速道路のパーキングエリアに駐車中の自動車内で,V女と口論になり,感情が高ぶってV女の顔面を平手で1回殴打した。V女は,腹を立てて一人で帰宅しようと考え,車外に出て,高速道路の本線を横断し,反対車線側に設置された高速バスの停留所に行こうとしたところ,本線上を走行してきた乙運転の自動車にはねられ,全身打撲により死亡した。(甲が車内でV女を殴打した行為)

エ.甲は,Vを不法に逮捕した上,自動車後部のトランク内にVを監禁した状態で同車を発進させ,信号待ちのため路上で停車中,居眠り運転をしていた乙が自車を甲の運転する車両に追突させたため,Vは追突による全身打撲により死亡した。(甲が運転中の自動車のトランク内にVを監禁していた行為)

オ.甲は,Vの後頸部に割れたビール瓶を突き刺し,Vに重篤な頸部の血管損傷等の傷害を負わせたため,Vは病院に搬送された。Vは,病院で手術を受け,容体が一旦は安定したが,医師からなお予断を許さないから安静を続けるように指示されていたにもかかわらず,医師の指示に従わずに病室内を動き回ったため,当初の傷害の悪化による脳機能障害により死亡した。(甲がVの後頸部をビール瓶で突き刺した行為)

アは、最決平16・10・19である。

イ及びウは、それぞれ最決平2・11・20最決平15・7・16である。
ただ、事案が改変されている。
前者は、死因が乙の暴行により生じている点が。
後者は、暴行の程度、高速道路への侵入の動機が異なる。
これらの点から、いずれも判例とは異なり、因果関係は否定されることになるだろう。

エは、最決平18・3・27である。
これは、司法試験平成18年度最新判例肢別問題集で出題した。

司法試験平成18年度最新判例肢別問題集より引用)

【問題】

3:甲は普通乗用自動車後部のトランク内に乙を押し込み、トランクカバーを閉めて脱出不能にし同車を発進走行させた後、路上で停車した。同車が停車して数分後、後方から丙の運転する普通乗用自動車が走行してきたが、丙は前方不注意のために、停車中の甲の車両に至近距離に至るまで気付かず、同車のほぼ真後ろからその後部に追突した。これによって同車後部のトランクは、その中央部がへこみ、トランク内に押し込まれていた乙は、重傷を負い、これによって間もなく死亡した。この場合、甲に逮捕監禁致死罪が成立する。

【解答】

3:正しい(最判平18・3・27)。

 「被害者の死亡原因が直接的には追突事故を起こした第三者の甚だしい過失行為にあるとしても、道路上で停車中の普通乗用自動車後部のトランク内に被害者を監禁した本件監禁行為と被害者の死亡との間の因果関係を肯定することができる。したがって、本件において逮捕監禁致死罪の成立を認めた原判断は、正当である」と判示した。

(引用終わり)

オは、最決平16・2・17である。
行為後の介在事情は、論文でも頻出の論点である。
当てはめの参考事例としても、上記は全て知っておきたい。

新試験第3問、予備試験第6問の5は、最決平15・12・9である。

(新試験第3問、予備試験第6問)

 次の1から5までの各事例における甲の罪責について判例の立場に従って検討し,乙に対する詐欺罪(刑法第246条)が甲に成立しないものを2個選びなさい。

5.甲は,乙に対し,乙の居宅は耐震補強工事をしないと地震の際に危険である旨嘘を言い,その旨乙を誤信させて必要のない工事契約を締結させたが,乙には資金がなかったことから,乙が甲の妻丙が経営する家具店から家具を購入したように仮装して,その購入代金について乙と信販会社との間で立替払契約を締結させ,これに基づき,同信販会社から丙名義の預金口座に工事代金相当額の振込みを受けた。

若干事例の改変があるが、判例同様詐欺が成立すると考えてよいだろう。

新試験第5問は、危険運転致傷罪に関する出題である。

(新試験第5問)

 次の1から5までの各事例における甲の罪責について,判例の立場に従って検討し,甲に危険運転致傷罪が成立するものを2個選びなさい。

1.甲は,自動車を運転中,前方の交差点に設置された対面信号機が赤色表示に変わったのに気付かず,時速約50キロメートルで同交差点に進入したところ,歩行者用信号機の青色表示に従って前方の横断歩道上を歩行していた乙に自車を衝突させ,乙に傷害を負わせた。

2.甲は,乙を助手席に同乗させて雨の降る山道を自動車で走行中,指定最高速度が時速40キロメートルであることや,降雨のため路面が滑りやすい状況であることを認識しつつも,対向車もなかったので事故を起こすことはないだろうと思い,時速約100キロメートルの速度で急カーブに進入したところ,後輪が滑走したために同カーブを曲がりきれず,自車を道路脇の樹木に衝突させ,乙に傷害を負わせた。

3.甲は,飲酒の影響で歩行が困難な状態であることを認識しながら自動車の運転を開始し,運転開始後も自車が激しく蛇行していることを認識しながらも,運転技術に自信があったので,事故を起こすことはないだろうと思い運転を継続したところ,飲酒の影響により,自車を蛇行させて,道路の右脇を歩行していた乙に衝突させ,乙に傷害を負わせた。

4.甲は,交通違反を繰り返して自動車運転免許の取消処分を受けていたものの,自動車の運転経験が長く運転技術に自信があったので,事故を起こすことはないだろうと思って自動車の運転を始めたが,運転中脇見をしてハンドル操作を誤り,自車を対向車線に進出させて乙運転の対向車と衝突させ,乙に傷害を負わせた。

5.甲は,片側1車線の道路を自動車を運転して進行中,時速約50キロメートルで走行する乙運転の先行車を追い越すに当たり,対向車両が接近しており,追越しを完了させるには乙車の直前に進入する必要があったので,同車の通行を妨害することになるかもしれないと思いつつ,対向車線に自車を進出させて追越しを開始し,乙車の直前に自車を進入させたところ,乙が驚いてハンドルを左に切り,乙車をガードレールに衝突させ,乙に傷害を負わせた。

参照条文が挙がっていないから、以下の条文を覚えていないと解けない。

刑法208条の2)

 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。

2  人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。

1は、2項後段が問題となるが、殊更無視でないから、不成立。
2は、1項後段に該当。
3は、1項前段に該当。
4は、免許が取り消されているので、1項後段の技能なしに当たりそうにみえる。
しかし、この技能なしというのは、かなり限定されている。

衆院法務委員会平成13年11月07日より引用、下線は筆者)

○西村眞悟委員 ・・一項後段では、今御説明いただいた速度とともに、速度要件を課せずして、「進行を制御する技能を有しない」という概念が出てまいります。
 車両というものは、運転者の技能と運転する車両の性能によって、進行を制御する速度であるかどうか、また進行を制御する技能を有しないのかというのが総体的に、総合的に決まってくると思うのですけれども、「進行を制御する技能を有しない」、この「技能」というのはどういうことか、もう少し説明していただけますでしょうか。

○古田佑紀政府参考人 ・・この一項につきましては、いわば自由に安全な走行をすることが困難な状態ということを類型化したものでございまして、そこで、そういう言葉をあらわすために「進行を制御する」という表現を用いたものでございます。
 そこで、「進行を制御する技能を有しない」という意味は、ハンドルあるいはブレーキの運転装置等を操作する初歩的な技能も持たない、つまり、言ってみれば、どうやってとめればいいかわからない、あるいは、どうやってハンドルを切ればどう曲がるかもよくわからない、そういうふうな非常に未熟な状態といいますか、要するに車の転がし方がわかっていない、そういうことをいうものと御理解いただきたいと存じます。

○西村委員 今の御説明では、自動車学校を出て、ハンドルがどこで、右に切れば右に曲がる、ブレーキはどこで、押せばとまる、こういうことは一応知っているという運転者に関しては、そもそも「その進行を制御する技能を有しない」という構成要件には一般的に当たらないということなんでしょうか。

○古田政府参考人 もちろん習熟度の問題はあるわけでございますけれども、間もなく免許の試験を受けられるという程度の技量、車の操縦の仕方、運転の仕方というのがある程度基本は身についている、そういう場合には、ここで言う「進行を制御する技能を有しない」という場合には当たらないのが通常であろうと考えております。

○西村委員 本当に、これは過失犯でございますから、自分が惹起した結果について認識しておったわけでも何でもなくて、運転者自身が起こった結果に驚愕するというふうな類型なんですね。
 では、本当に運転未熟といいますか、初めて車を動かしてみるという親が、うっかりしてバックと前進と入れ間違えてバックして、壁との間に子供を挟んでけがもしくは死亡させてしまった、こういうことはこの犯罪に該当してくるわけでございますか。

○古田政府参考人 お尋ねの場合、どういう場合を想定するか必ずしもわからないところもあるわけでございますが、例えば本当に免許取りたてで焦って間違えるとか、そういうようなケースというのは、こういう場面では該当しないということでございます。

○西村委員 これは該当しないと。
 だったら、免許を取っているか取っていないかということよりも、運転者本人がアクセルはどこか、ブレーキはどこかわからない、こういうふうな事例に限定されると立法者は考えているというふうに記録に残してよろしいのでしょうか

○古田政府参考人 非常に極端な場合を申し上げたわけで、そういう場合は当然該当するわけでございますが、実際問題としてよくありますのは、全く運転の経験がない者が自動車を盗んで、どういうふうに自動車を運転すればいいのかというのがわからないままでいろいろ暴走したりするというような事故が現実にあるわけでございまして、基本的にはそういうものをイメージしていただければよろしいかと思っております。

○西村委員 車というのはやはり人力が果たし得ない能力を有して走行するわけですよね。この車両自体の能力に応じて技能がある。この能力の車両ならこの技量でコントロール可能だが、この技能ではさらに進んだ能力のF1みたいな車両の進行を制御する技能はないだろうと。
 車両に即して、例えば、先ほどの参考人の挙げた例で申しますと、日常買い物に行く、付近を時速四十キロ程度で走行するカローラに乗っており、かつ、カローラしか乗らなかった人が突然F1に乗ったということで事故を起こしてしまったというのは、これはどうなるんですかね。技能は有しないということで、当該構成要件に係ってくるのかどうか。
 例ばかりで申しわけありませんが、私がお聞きしたいのは、車の性能と技能というのは総体的な中で決まるのだろうと思って、これをしつこくお聞きするわけですね。

○古田政府参考人 いわば一般車両の範囲で、一般車両の免許を有しておられるような方であれば、基本的に車両の動かし方というのは御存じ、あるいは少なくとも基本的な技能は持っておられるというふうに考えられますので、たまたま、小さい車を普通運転していた人が例えば三千cc以上の大型の乗用車を運転する、そういうようなケースがこれに当たるということはないと考えております。

○西村委員 ということは、カローラしか乗っていない人がダンプを運転して事故を起こしてしまったということについても、一項後段の「進行を制御する技能を有しないで」云々という構成要件には当たらないということでございますね。

○古田政府参考人 先ほどはいわば乗用車レベルでの比較を申し上げたわけですが、もちろん、非常に特殊な大型の車両とかそういうものがあって、その運転についてはかなり特殊な技能を要するというような場面で、そういうところで特殊な技能が走行を制御する上で必要なものである場合に、そこに全く知識を欠いている、技能を欠いているというようなケースは、それは当たり得る場合があろうかと存じます。

(引用終わり)

単に免許を取り消されただけで、運転経験のある本肢では、技能なしには当たらないだろう。
従って、不成立である。
5は、2項前段が問題となる。
ここは、妨害目的と、速度要件の両方で悩む。
結論的には、速度要件は充たすが、妨害目的を欠くと考えるべきだろう。

衆院法務委員会平成13年11月07日より引用、下線は筆者)

○西村委員 ・・二項の方では「重大な交通の危険を生じさせる速度」ということが書かれております。この「重大な交通の危険を生じさせる速度」とはどのような速度なのでございましょうか。
 また、いわゆる信号無視とか危険な割り込みとか、別に速度要件がなくても危険だ。事故を惹起すれば、信号を殊さら無視して突っ込んでいくのでありますから、時速四十キロであろうが二十キロであろうが、前方に通行人がおるにもかかわらず、信号を無視して、よそ見をして突っ込めばこれは構成要件に当たってしかるべきだ、そういう構成要件をつくってもいいのではないかという感じもいたしますので、このことについてなぜ速度要件を設けたのか。また、設けた速度要件について、重大な危険を生じさせる速度とはどのようなものであるのかということについて御説明をいただきますように。

○古田政府参考人 まず、進行を制御することが困難な速度と重大な交通の危険を生じさせる速度の使い分けをした理由について御説明申し上げておきたいと思いますが、進行を制御することが困難な速度と申しますのは、先ほど申し上げましたように、走行自体のコントロールができないような速度、一方、重大な交通の危険を生じさせるということは、その速度で走っていれば、仮に衝突などの事故が起きれば相当大きな事故になる、そういうような速度ということでございます。
 したがいまして、重大な危険を生じさせる速度と申しますのは、制限速度とかそういうこととは直接関係がない、そういう著しい高速度である必要はないわけでございます。一般的に申し上げますと、先ほど申し上げましたように、自車が相手方と衝突すれば通常大きな事故になると考えられる速度、あるいは相手方の方でそういうような事故になることを回避することが非常に難しいような速度というふうなことになると考えております。
 ところで、こういう速度を要件といたしましたのは、例えば割り込みあるいは幅寄せみたいな行為でございましても、渋滞中ののろのろ運転の中でそういうことが起こることもしばしばあるわけでございますし、それから、例えば赤信号の無視でありましても、いつでもとまれるようにかなりのろのろと、危険を回避できるようにしながら入っていくという形態も、実はいろいろあるわけでございます。こういう場合には類型的に大きな事故が生ずるということは考えにくいものでございますので、やはり類型的に大きな事故につながるような速度でただいま申し上げたような運転行為をする、それが重く処罰すべき危険な類型に当たると考えるべきであろう、こういうことでございます。

○西村委員 この車は、単なる軽自動車を含めて、十トンのダンプ等々も適用されるわけですね。のろのろ運転であっても、信号を無視して十トンダンプが入ってきて、他方、歩行者は信頼の原則に基づいて幼稚園児が集団登下校をしている。十トンダンプが人体に生で当たればどういう状態になるか。のろのろ運転であっても重大な事故が生じるわけなのですね。そのときには二項後段は適用されない。
 さて、一項前段においてもこれは言えるわけですね。酒酔い運転、酒を飲んで十トンダンプを運転する、ここには速度要件はないわけです。二項の御説明における速度要件とは、のろのろ運転では重大な事故が生じない、だから一定の重大事故を生じさせる危険のある速度が必要だという前提で御説明されておりますが、なぜこの酒酔い運転及びドラッグ、薬物を飲んで運転するのには速度要件がないのか、この差はどこから出てきたのか、この認識をまた御説明いただきます。

○古田政府参考人 ただいまのお尋ねにお答えする前に、のろのろ運転でも、この場合には重大な事故がおよそ起こらないということであるわけではございません。類型的にそういう可能性が低いということで、こういう加重処罰の対象といいますか、それにはしていないということでございます。
 そこで、酒酔い運転の場合等は速度要件がなくてこちらにあるのはなぜかということでございますけれども、酒酔いあるいは薬物の影響による運転の場合に、これは先ほど申し上げましたとおり、自動車の走行のコントロールを失っている、あるいはそれが非常に困難な状態になっているわけで、言ってみれば危険性に十分配慮をできない状態で、例えばふらふらと対向車線に出ていってしまうとか、そして対向車両と衝突する、こういうような状態というのも酒酔い運転とか薬物の影響下の運転については考えられるわけでございますので、そういうことから、一項の前段につきましては速度を要件としなかったということでございます。

○西村委員 ということは、二項に戻りますが、二項の「重大な交通の危険を生じさせる速度」とは、速度メーターの二十キロを超えればそうなるんだというふうな問題ではなくて、当該無視した信号を設置している十字路の状況等によって判断されるんだということですね。

○古田政府参考人 ここで「重大な交通の危険を生じさせる速度」というのは、先ほどちょっとお話の中にもありましたけれども、例えば四十キロで走っている、これが制限速度以内でありましても、やはりそれは一般的には危険が高い速度でございます。したがいまして、本当に十分周りに気をつけながら徐行しているとか、そういう場合は除外されるわけですけれども、具体的にこの数値ということを明確に申し上げるわけにはまいりませんが、通常、二、三十キロのスピードで走っていれば、歩行者も含めて考えた場合には、やはり重大な危険を生じさせる速度に当たると考えられる場合が多いだろうと考えております。

(引用終わり)

 

参院法務委員会平成13年11月22日より引用、下線は筆者)

○井上哲士君 二項前段の妨害行為という問題ですが、これもいわゆるあおり行為などのことも言われておりましたが、例えば本人は、運転手は妨害をするという意図はないけれども、結果としては妨害になるんじゃないかなという思いは持ちつつ、極めて急いでいるときなどにかなり強引な割り込みをしながら一定のスピードで走るというようなことがあると思うんですね。タクシーなどが客にせき立てられてそういうことをやるということもあろうかと思うんです。こういうようなケースの場合はどういうふうに判断をするんでしょうか。

○政府参考人(古田佑紀君) 「人又は車の通行を妨害する目的」と申しますのは、相手方に自車との衝突を避けるため急な回避措置をとらせるなど、相手方の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図するという場面を想定しているわけでございます。ですから、例えば割り込みあるいはあおりみたいな現象が起こったにいたしましても、自分もその後ろからあおられたとか、あるいはとっさに衝突を自分が回避するために割り込まざるを得なかった、こういう場合には、結果的には相手の車両の走行を妨害することにはなるんですけれども、そういうときには妨害の意図があったとは認められないと考えております。

○井上哲士君 そうすると、こういう今言ったようなものの場合は、妨害しようという意図はないわけですから適用にならないということで考えていいんでしょうか

○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおりです。

(引用終わり)

結局、正解は2と3ということになるだろう。
危険運転致死傷罪は、平成20年にも問われている。

(平成20年新試験第12問)

 次のアからオまでの各事例における甲の罪責を検討した場合,危険運転致死罪が成立するものの組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

ア. 甲は,自動車の運転免許を取得したことも運転経験もなく,ハンドル,ブレーキ等の運転装置を操作する初歩的な技能もなかったのに自動車を走行させたため,自車を対向車線に進入させ,対向車に衝突させて同車の運転者を死亡させた。

イ. 甲は,自動車を運転中に交通違反を犯し,パトカーに追跡されて逃走中,赤色信号に気付かずに交差点に進入したため,青色信号に従って左方道路から同交差点に進入してきた自動二輪車に自車を衝突させ,同二輪車の運転者を死亡させた。

ウ. 甲は,自動車を運転中,携帯電話でメールを送信する操作に気をとられ,自車が対向車線に進入しているのに気付かずに進行したため,自車を対向車に衝突させて同車の運転者を死亡させた。

エ. 甲は,覚せい剤を使用した後,自動車の運転を開始したが,運転中,覚せい剤の影響により正常な運転が困難な状態になったのに,それを認識しながらあえて運転を続けたため,自車を電柱に激突させ,同乗者を死亡させた。

オ. 甲は,自動車を運転中,長距離運転の過労から眠気を覚えたにもかかわらず,その状態のままあえて運転を続けたため,運転中に眠り込んでしまい,自車を進路左前方の歩道に進入させ,歩道上の歩行者に衝突させて同人を死亡させた。

1. アエ   2. アオ   3. イウ   4. イエ   5. ウオ

来年以降も、問われる可能性はある。
構成要件については、その内容も含めて、正確に覚えておくべきである。
なお、平成19年改正で二輪車も含まれるようになった。

(平成19年改正前の刑法208条の2、下線は筆者)

 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で四輪以上の自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで四輪以上の自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。

2  人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。

平成19年改正によって、上記下線部が削除された。
古い解説書等では、上記改正が反映されていないものもある。
注意したい。

新試験第6問の4は、一見正しい。
偽造、偽造文書行使、詐欺は牽連犯という知識があるからである。

(新試験第6問の4)

 甲は,真実は,自己の経営する会社の運転資金に使う目的で,質権を設定するつもりもないのに,乙に対して,「2000万円をA銀行の甲名義預金口座に振り込んでほしい。振り込まれた2000万円については,見せ金として使用するので,口座から引き出さないし,振込み後,質権も設定する。」などと嘘を言い,これを信じた乙は,A銀行の甲名義預金口座に2000万円を振り込んだ。その数日後,甲は,同預金に関するA銀行名義の質権設定承諾書1通を偽造し,乙に交付した。この場合,甲には詐欺罪,有印私文書偽造及び同行使罪が成立し,これらは牽連犯として一罪となる。

しかし、詐欺既遂後の行使は上記の例外である。
この事案は高裁判例があり、牽連犯ではなく包括一罪が正しい。

東京高判平7・3・14より引用、下線は筆者)

 一般的には有印私文書偽造、同行使、詐欺との間には順次手段結果の牽連関係があると認められるが、本件の事実関係においては、欺罔されたEの担当者からC支店のG名義の普通預金口座に約五〇億円が振込送金され、Aが同普通預金口座から五〇億円を同社名義の通知預金に振り替えた後に同人においてC支店長名義の質権設定承諾書を偽造してこれをEの担当者であるMに交付して行使しており、詐欺が既遂に達してから偽造質権設定承諾書を行使していることが認められるから、偽造有印私文書行使が詐欺の手段となっているとはいい難く、両者を牽連犯とするのは相当でない
 ところで、一般に銀行預金を担保として第三者から融資を受ける場合には、当該第三者に質権設定承諾書を交付し、その後融資金の交付を受けるのが通常予想される形態と考えられる。ところが、本件においては、融資金が銀行預金の原資となっている関係で、まず融資金が入金されて預金に当てられてこれに関する質権設定承諾書が作成され、それが融資先に交付されているのである。しかし、元々(偽造)質権設定承諾書の交付は、融資金の入金(騙取)につき必要不可欠なものとして、これと同時的、一体的に行われることが予想されているのであって、両者の先後関係は必ずしも重要とは思われないところである。事実、本件と同様の不正融資事件において、事務処理の都合等から融資金の入金前に預金通帳等を作成して質権設定承諾書を偽造し、これを交付するのと引き換えに不正融資金が振込入金された事例もあることは当裁判所に顕著な事実であり、かつその場合には、当然のことながら、有印私文書偽造、同行使、詐欺とは順次手段結果の関係にあり結局一罪であるとして処断されているのである。そして、右の場合と偶々その担当者の事務処理の都合等から偽造質権設定承諾書の交付と振込入金との時間的先後が逆になった本件のような場合とで罪数処理に関する取り扱いを異にすべき合理的な理由を見い出し難いことからすると、偽造有印私文書行使罪と詐欺罪との法益面での関連性が必ずしも強くないことを考慮に入れても、両者は包括一罪として処断するのが相当と解される。

(引用終わり)

これは、細かい。
保留して次の5の肢で判断できればよい。

5は、最判平17・4・14であり、正しい。
これは、司法試験平成17年度最新判例肢別問題集で出題した。

(新試験第6問の5)

 甲は,乙を監禁した上で現金を恐喝しようと企て,乙をマンションの一室に監禁し,暴行・脅迫を加えて現金を脅し取った。この場合,甲には監禁罪と恐喝罪が成立し,両罪は併合罪となる。

司法試験平成17年度最新判例肢別問題集より引用)

【問題】

3:恐喝の手段として監禁が行われた場合、両罪は牽連犯となる。

【解答】

3:誤り(最判平17・4・14)。

 「恐喝の手段として監禁が行われた場合であっても、両罪は、犯罪の通常の形態として手段又は結果の関係にあるものとは認められず、牽連犯の関係にはないと解するのが相当である」と判示した。

(引用終わり)

本問は、一見すると4が牽連犯で良さそうにみえる。
それだけに、上記判例を知らないと、間違えてしまいやすい。
5の肢は単純な作りなので、上記判例を知っていれば、明快に正しいと判断できる。
上記判例を知っていたかどうかが、ポイントだった。

新試験第12問は、処断刑と執行猶予の可否を問う問題である。

(新試験第12問)

 次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。

1.前科のない甲が強盗致傷罪を犯して同罪で起訴された場合,裁判所は,酌量減軽をする事由があれば,甲に対し,懲役3年,5年間執行猶予(保護観察なし)の判決を宣告することができる。

2.前科のない甲が窃盗罪を犯して同罪で起訴された場合,裁判所は,甲に対し,罰金30万円の判決を宣告するに当たり,その執行を猶予することができる。

3.甲は,判決により,懲役2年,3年間執行猶予(保護観察なし)に処せられたが,その後犯した窃盗罪で起訴され,前記執行猶予期間の経過前に判決宣告日を迎えた。この場合,裁判所は,甲に対し,懲役2年,3年間執行猶予(保護観察付き)の判決を宣告することができる。

4.甲は,判決により,懲役1年,2年間執行猶予(保護観察なし)に処せられたが,その後犯した窃盗罪で前記執行猶予期間の経過前に起訴され,同執行猶予期間経過後に判決宣告日を迎えた。この場合,裁判所は,甲に対して,懲役3年,5年間執行猶予(保護観察付き)の判決を宣告することができる。

5.懲役刑に処せられた甲が,その執行終了の1年後に犯した窃盗罪で起訴され,執行終了後5年を経過する前に判決の宣告を受ける場合,裁判所は,甲に対して,執行猶予付きの懲役刑を言い渡すことができない。

(参照条文)

刑法第235条 他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第240条 強盗が,人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し,死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

この辺りが出たら、捨てる。
そう思っている人は、結構いるだろう。
しかし、この分野は毎年のように出題されている。

(平成19年新試験第8問)

 刑罰に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。

1. 殺人と傷害の併合罪を犯した者について,殺人につき有期懲役刑,傷害につき懲役刑をそれぞれ選択した場合,処断刑は,5年以上30年以下の懲役となる。

2. 窃盗の正犯を幇助した者について,懲役刑を選択した場合,処断刑は,1月以上5年以下の懲役となる。

3. 強盗致傷を犯した者について,有期懲役刑を選択して酌量減軽した場合,処断刑は,3年以上10年以下の懲役となる。

4. 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその執行を猶予された者が,1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け,情状に特に酌量すべきものがあるときは,その執行を猶予することができる場合がある。

5. 刑の執行猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ,その刑について執行猶予の言渡しがないときは,猶予の言渡しを取り消さなければならない。

(平成20年新試験第19問)

 次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。

1. 禁錮以上の刑に処せられてその執行を猶予され,猶予の期間中保護観察に付された者が,同期間中に罪を犯し,1年以下の懲役刑の言渡しを受ける場合には,情状に特に酌量すべきものがあるときに限り,その刑の執行を猶予することができる。

2. 刑の執行猶予の言渡しを受けた者が,猶予の期間内に更に罪を犯し,100万円の罰金に処せられたときは,同期間が経過するまでは刑の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。

3. 牽連犯について有期の懲役又は禁錮に処するとき,その刑は,その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。

4. 懲役に処せられた者がその執行を終わった日から5年以内に更に罪を犯し,その者を有期懲役に処するとき,その刑は,その罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。

5. 心神耗弱者の行為は,情状により,その刑を減軽することができる。

(平成21年新試験第18問)

 次のアからオまでの各記述を検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

ア.犯罪行為を組成した物が共犯者に属するときは,その物を没収することができない。

イ.死刑又は無期の懲役若しくは禁錮を減軽して有期の懲役又は禁錮とするときは,その長期を20年とする。

ウ.前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者が5年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは,情状により,裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間,その執行を猶予することができる。

エ.法律を知らなかったとしても,そのことによって,罪を犯す意思がなかったとすることはできないが,情状により,法律上の減軽のみならず,更に酌量減軽もすることができる。

オ.懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは,有期刑についてはその刑期の2分の1を経過した後,仮に釈放することができる。

(平成22年新試験第19問)

 次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい(ただし,甲には,刑の減免事由及び各記述に記載された以外の前科はないものとする。)。

1.甲は,併合罪関係にあるA罪(法定刑は5年以下の懲役)とB罪(法定刑は20万円以下の罰金)を犯して両罪で起訴された。この場合,裁判所は,甲に対し,懲役2年及び罰金10万円の判決を言い渡すことができる。

2.甲は,併合罪関係にあるA罪(法定刑は10年以下の懲役)とB罪(法定刑は3年以下の懲役)を犯して両罪で起訴された。この場合,裁判所は,甲に対し,懲役15年の判決を言い渡すことができる。

3.甲は,判決により懲役2年,3年間執行猶予(保護観察なし)に処せられ,同判決が確定してから1年後,A罪(法定刑は3年以下の懲役)を犯して同罪で起訴され,同年中に判決宣告日を迎えた。この場合,裁判所は,甲に対し,懲役1年,3年間執行猶予(保護観察なし)の判決を言い渡すことができる。

4.甲は,判決により懲役3年,5年間執行猶予(保護観察なし)に処せられ,同判決は確定した。その1年後,甲は,A罪(法定刑は5年以下の懲役)を犯して同罪で起訴され,裁判所は,その半年後,甲に対し,懲役10月の判決を言い渡し,同判決は直ちに確定した。この場合,甲に対する執行猶予の言渡しは取り消さなければならない。

5.甲は,判決により懲役2年,4年間執行猶予(保護観察付き)に処せられ,同判決は確定し,その後執行猶予が取り消されることはなかった。同判決の確定から5年後,甲は,A罪(法定刑は5年以下の懲役)を犯して同罪で起訴された。この場合,裁判所は,甲に対し,懲役7年6月の判決を言い渡すことができる。

旧試験時代には、この分野は参照条文が付いていた。
従って、時間を余してじっくり条文を照らし合わせれば、解くことができた。
知識問題というより、論理問題として出題されていた。
しかし、新試験になって、参照条文が付かなくなった。
平成19年の第8問などは、法定刑も暗記していないと解けない。
もっとも、平成20年以降はそのようなものはなく、今年も法定刑は参照できた。
従って、当面は法定刑まで覚える必要はない。
厄介ではあるが、頻出の分野なので、できる限り事前準備をしておきたい。

新試験第13問の3は、最決平20・2・18である。
これは、司法試験平成20年最新判例肢別問題集で出題した。

(新試験第13問の3)

 甲は,別居している乙(5歳)の祖母であり,家庭裁判所によって乙の未成年後見人に選任され,後見人の事務として乙の預金口座を管理していたが,その口座から現金を引き出して自らのために費消した。この場合,甲には業務上横領罪が成立するが,その刑は免除される。

司法試験平成20年最新判例肢別問題集より引用)

【問題】

2:家庭裁判所から選任された未成年後見人甲が、業務上占有する未成年被後見人乙所有の財物を横領した。この場合、甲が乙の祖母であったとしても、刑法244条1項を準用して刑法上の処罰を免れるものと解する余地はない。

(参照条文)刑法
244条1項 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

第38章 横領の罪
255条 第二百四十四条の規定は、この章の罪について準用する。

【解答】

2:正しい(最決平20・2・18)。

 「本件は,家庭裁判所から選任された未成年後見人である被告人が,共犯者2名と共謀の上,後見の事務として業務上預かり保管中の未成年被後見人の貯金を引き出して横領したという業務上横領の事案であるところ,所論は,被告人は,未成年被後見人の祖母であるから,刑法255条が準用する同法244条1項により刑を免除すべきであると主張する
 しかしながら,刑法255条が準用する同法244条1項は,親族間の一定の財産犯罪については,国家が刑罰権の行使を差し控え,親族間の自律にゆだねる方が望ましいという政策的な考慮に基づき,その犯人の処罰につき特例を設けたにすぎず,その犯罪の成立を否定したものではない(最高裁昭和25年(れ)第1284号同年12月12日第三小法廷判決・刑集4巻12号2543頁参照)。
 一方,家庭裁判所から選任された未成年後見人は,未成年被後見人の財産を管理し,その財産に関する法律行為について未成年被後見人を代表するが(民法859条1項),その権限の行使に当たっては,未成年被後見人と親族関係にあるか否かを問わず,善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負い(同法869条,644条),家庭裁判所の監督を受ける(同法863条)。また,家庭裁判所は,未成年後見人に不正な行為等後見の任務に適しない事由があるときは,職権でもこれを解任することができる(同法846条)。このように,民法上,未成年後見人は,未成年被後見人と親族関係にあるか否かの区別なく,等しく未成年被後見人のためにその財産を誠実に管理すべき法律上の義務を負っていることは明らかである。
 そうすると,未成年後見人の後見の事務は公的性格を有するものであって,家庭裁判所から選任された未成年後見人が,業務上占有する未成年被後見人所有の財物を横領した場合に,上記のような趣旨で定められた刑法244条1項を準用して刑法上の処罰を免れるものと解する余地はないというべきである」と判示した。

(引用終わり)

今年の特徴として、論理問題が出題されたという点がある。
知識に不安のあった受験生にとっては、ありがたいという感じだっただろう。
昨年の新試験の刑法では、論理問題は出題されていない。
この論理問題の復活には、予備試験との関係がありそうである。
論理問題は、新試験第4問予備試験第3問、新試験第7問予備試験第12問、新試験第11問予備試験第2問、新試験第14問予備試験第7問、新試験第16問予備試験第5問、予備試験第10問である。
新試験で出題された論理問題は、全て予備試験との共通問題となっている。
論理的思考力の差が出るか、調べようとしているのだろう。
ロー卒と予備試験組との論理問題の正答率の違いは、確かに興味がある。
予備試験組の多くは、旧試験受験経験者だろう。
旧試験受験生は、刑法のパズルを解き慣れている。
また、予備試験組には、在学中の学生も含まれている。
若手の在学生は、論理問題を得意にする傾向がある。
そうすると、予備の方が、ロー卒より正答率は上がりそうである。
ただ、出題された論理問題はいずれも易しい。
それほど有意な差は出ないのではないか、という気はする。
比較調査のためだとすれば、今後もしばらく論理問題は出題されるだろう。
継続調査したいと考えるのが、通常だからである。
新試験と予備試験は、かつての旧試験択一よりも、一問にかけることのできる時間が少ない。
2分強程度である。
問題自体は旧試験より易しいが、油断すると時間不足になる。
苦手な人は、旧試験の論理問題を解く等、それなりに対策をしておくべきだろう。

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