政府公表資料等情報

情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案

サイバー関係の法整備の概要

1 刑法の一部改正

(1) いわゆるコンピュータウィルスの作成・供用等の罪の新設

 正当な理由がないのに,人の電子計算機における実行の用に供する目的で,人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録を作成,提供,供用,取得,保管する行為を処罰する。
⇒作成・提供・供用:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
取得・保管:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

(2) わいせつ物頒布等の罪の処罰対象の拡充

 わいせつな電磁的記録の電気通信の送信による頒布行為を処罰する。

※ 不特定又は多数の者に対し,わいせつな画像データを電子メールで送信する行為などを処罰するもの。

(3) 電子計算機損壊等業務妨害未遂の処罰

2 刑事訴訟法の一部改正

(1) 接続サーバ保管の自己作成データ等の差押えの導入

 差し押さえるべき物が電子計算機であるときは,当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって,当該電子計算機で作成・変更をした電磁的記録又は当該電子計算機で変更・消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから,その電磁的記録を当該電子計算機等に複写して,差し押さえることができることとする(裁判官の令状が必要。)。

※ 差押対象物たるコンピュータで作成したメールを保管しているメールサーバや,当該コンピュータで作成した文書ファイルを保管しているストレージサービスのサーバなどからデータを複写して差し押さえるもの。

(2) 記録命令付差押えの新設

 電磁的記録の保管者等に命じて,必要な電磁的記録を他の記録媒体に記録させて,差し押さえることを可能とする(裁判官の令状が必要。)。

※ プロバイダ等をしてサーバコンピュータ等から必要なデータをCD−R等に記録等させて,これを差し押さえるもの。

(3) 電磁的記録に係る記録媒体の差押えの執行方法の整備

 電磁的記録に係る記録媒体の差押えに代えて,電磁的記録を他の記録媒体に複写等して,差し押さえることを可能とする。

※ コンピュータ等の差押えに代えて,必要なデータをCD−R等に複写等した上で,これを差し押さえるもの。

(4) 電磁的記録に係る記録媒体の差押えを受ける者等への協力要請の規定の整備

(5) 通信履歴の電磁的記録の保全要請の規定の整備

 検察官・検察事務官・司法警察員は,差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは,通信事業者等に対し,その業務上記録している通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し,30日を超えない期間(特に必要があり,延長する場合には,通じて60日を超えない期間)を定めて,これを消去しないよう,書面で求めることができることとする。

※ プロバイダ等が業務上保管している通信履歴(通信の送信先,送信元,通信日時など。通信内容は含まない。)のデータについて,暫定的に残しておくよう求めるもの(当該データを入手するためには,別途,裁判官の令状が必要。)。

(6) 電磁的記録の没収に関する規定の整備

3 組織的犯罪処罰法の一部改正

 略。

4 第三者所有物没収手続応急措置法の一部改正

 略。

5 国際捜査共助法の一部改正

 共助に必要な証拠の収集に関し,記録命令付差押え及び保全要請を行うことを可能とする(その具体的内容については,刑事訴訟法の規定による場合と同様)。

6 不正アクセス禁止法の一部改正

 不正アクセス行為の罪について,条約による国外犯の規定を整備する。

強制執行妨害関係の罰則整備の概要

1 刑法の一部改正

(1) 強制執行妨害行為についての処罰対象の拡充
 現行刑法では適切に対処することが困難な妨害行為を処罰できるようにする(=処罰の間隙を埋める)。

現行刑法の罰則 改正により新たに処罰対象とする行為の例
封印等破棄罪(96条) 封印等が除去された後に行われる妨害行為
強制執行妨害罪(96条の2) ○目的建物への廃棄物の搬入等による価格減損行為
○目的財産の無償譲渡
競売等妨害罪(96条の3) 競売開始決定前に行われる入札等の公正を害する行為
  ○執行官の執行行為に対する偽計・威力による妨害行為
○強制執行の申立てをさせない目的等による暴行・脅迫

(2) 上記犯罪等の法定刑の引上げ

  懲役刑:2年→3年      
  罰金刑:20万円(封印等破棄罪)
      50万円(強制執行妨害罪)   → 250万円。懲役刑との併科も可能
      250万円(競売等妨害罪)     とする。

(3) 加重処罰規定の新設

 報酬目的による強制執行妨害行為を加重処罰(5年以下の懲役,500万円以下の罰金,併科可能)。

2 組織的犯罪処罰法の一部改正

○ 加重処罰規定の新設

 組織的態様又は不正権益目的による強制執行妨害行為を加重処罰(5年以下の懲役刑,500万円以下の罰金,併科可能)。 

法律案要綱

 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案要綱

第一 刑法の一部改正

一 封印等破棄

 公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し、又はその他の方法によりその封印若しくは差押えの表示に係る命令若しくは処分を無効にした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するものとすること。(第九十六条関係)

二 強制執行妨害目的財産損壊等

 強制執行を妨害する目的で、1から3までのいずれかに該当する行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するものとし、情を知って、3に規定する譲渡又は権利の設定の相手方となった者も、同様とすること。(第九十六条の二関係)

1 強制執行を受け、若しくは受けるべき財産を隠匿し、損壊し、若しくはその譲渡を仮装し、又は債務の負担を仮装する行為

2 強制執行を受け、又は受けるべき財産について、その現状を改変して、価格を減損し、又は強制執行の費用を増大させる行為

3 金銭執行を受けるべき財産について、無償その他の不利益な条件で、譲渡をし、又は権利の設定をする行為

三 強制執行行為妨害等

1 偽計又は威力を用いて、立入り、占有者の確認その他の強制執行の行為を妨害した者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するものとすること。(第九十六条の三第一項関係)

2 強制執行の申立てをさせず又はその申立てを取り下げさせる目的で、申立権者又はその代理人に対して暴行又は脅迫を加えた者も、1と同様とすること。(第九十六条の三第二項関係)

四 強制執行関係売却妨害

 偽計又は威力を用いて、強制執行において行われ、又は行われるべき売却の公正を害すべき行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するものとすること。(第九十六条の四関係)

五 加重封印等破棄等

 報酬を得、又は得させる目的で、人の債務に関して、一から四までの罪を犯した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するものとすること。(第九十六条の五関係)

六 公契約関係競売等妨害

 偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するものとすること。(第九十六条の六第一項関係)

七 不正指令電磁的記録作成等

1 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、イ又はロに掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するものとすること。(第百六十八条の二第一項関係)

イ 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録

ロ イに掲げるもののほか、イの不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録

2 正当な理由がないのに、1イに掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、1と同様とすること。(第百六十八条の二第二項関係)

3 2の未遂は、罰するものとすること。(第百六十八条の二第三項関係)

八 不正指令電磁的記録取得等

 正当な理由がないのに、七1の目的で、七1イ又はロに掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処するものとすること。(第百六十八条の三関係) 

九 わいせつな電磁的記録に係る記録媒体等の頒布等

1 わいせつな電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科するものとし、電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とすること。(第百七十五条第一項関係)

2 有償で頒布する目的で、1の物を所持し、又は1の電磁的記録を保管した者も、1と同様とすること。(第百七十五条第二項関係)

十 電子計算機損壊等業務妨害の罪の未遂

 電子計算機損壊等業務妨害の罪の未遂は、罰するものとすること。(第二百三十四条の二第二項関係)

第二 刑事訴訟法の一部改正

一 差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体からの複写

1 裁判所は、差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって、当該電子計算機で作成若しくは変更をした電磁的記録又は当該電子計算機で変更若しくは消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は他の記録媒体を差し押さえることができるものとすること。(第九十九条第二項関係)

2 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、1の処分をすることができるものとすること。(第二百十八条第二項関係)

3 1又は2の場合には、差押状又は差押許可状に、差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって、その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならないものとすること。(第百七条第二項、第二百十九条第二項関係)

二 記録命令付差押え

1 裁判所は、必要があるときは、記録命令付差押え(電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえることをいう。以下同じ。)をすることができるものとすること。(第九十九条の二関係)

2 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、記録命令付差押えをすることができるものとすること。(第二百十八条第一項関係)

3 記録命令付差押状及び記録命令付差押許可状には、記録させ又は印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ又は印刷させるべき者を記載しなければならないものとすること。(第百七条第一項、第二百十九条第一項関係)

4 3のほか、記録命令付差押えについて所要の規定の整備を行うものとすること。

三 電磁的記録に係る記録媒体の差押えの執行方法

1 差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、差押状の執行をする者は、その差押えに代えてイ又はロの処分をすることができるものとし、公判廷で差押えをする場合も、同様とすること。(第百十条の二関係)

イ 差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写し、印刷し、又は移転した上、当該他の記録媒体を差し押さえること。

ロ 差押えを受ける者に差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写させ、印刷させ、又は移転させた上、当該他の記録媒体を差し押さえること。

2 押収物が1により電磁的記録を移転し、又は移転させた上差し押さえた他の記録媒体で留置の必要がないものである場合において、差押えを受けた者と当該記録媒体の所有者、所持者又は保管者が異なるときは、被告事件の終結を待たないで、決定で、当該差押えを受けた者に対し、当該記録媒体を交付し、又は当該電磁的記録の複写を許さなければならないものとすること。(第百二十三条第三項関係)

3 1及び2は、検察官、検察事務官又は司法警察職員がする差押えについて準用するものとすること。(第二百二十二条第一項関係)

四 電磁的記録に係る記録媒体の差押状の執行を受ける者等への協力要請

1 差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、差押状又は捜索状の執行をする者は、処分を受ける者に対し、電子計算機の操作その他の必要な協力を求めることができるものとし、公判廷で差押え又は捜索をする場合も、同様とすること。(第百十一条の二関係)

2 1は、裁判所がする検証について準用するものとすること。(第百四十二条関係)

3 1は、検察官、検察事務官又は司法警察職員がする差押え、捜索又は検証について準用するものとすること。(第二百二十二条第一項関係)

五 保全要請等

1 検察官、検察事務官又は司法警察員は、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者等に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、三十日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう、書面で求めることができるものとし、この場合において、当該電磁的記録について差押え又は記録命令付差押えをする必要がないと認めるに至ったときは、当該求めを取り消さなければならないものとすること。(第百九十七条第三項関係)

2 1により消去しないよう求める期間については、特に必要があるときは、三十日を超えない範囲内で延長することができるものとし、ただし、消去しないよう求める期間は、通じて六十日を超えることができないものとすること。(第百九十七条第四項関係)

3 1の求め又は第百九十七条第二項の捜査関係事項照会を行う場合において、必要があるときは、みだりにこれらの要請に関する事項を漏らさないよう求めることができるものとすること。(第百九十七条第五項関係)

六 電磁的記録の没収に関する規定

1 不正に作られた電磁的記録又は没収された電磁的記録に係る記録媒体を返還し、又は交付する場合には、当該電磁的記録を消去し、又は当該電磁的記録が不正に利用されないようにする処分をしなければならないものとすること。(第四百九十八条の二第一項関係)

2 不正に作られた電磁的記録に係る記録媒体が公務所に属する場合において、当該電磁的記録に係る記録媒体が押収されていないときは、不正に作られた部分を公務所に通知して相当な処分をさせなければならないものとすること。(第四百九十八条の二第二項関係)

第三 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正

 略。

第四 刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法の一部改正

 略。

第五 国際捜査共助等に関する法律の一部改正

 略。

第六 不正アクセス行為の禁止等に関する法律の一部改正

 略。

第七 附則

一 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行するものとし、ただし、第二、第三の三、第四及び第五は公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から、第六は条約が日本国について効力を生ずる日から施行するものとすること。(附則第一条関係)

二 この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の規定の整備を行うこと。(附則第二条ないし第六十三条関係)

情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案
新旧対照条文 (傍線部分は改正部分)

○ 刑法(明治四十年法律第四十五号)

改 正 案 現   行

刑法
目次
第一編 (略)
第二編 罪
第一章〜第四章 (略)
第五章 公務の執行を妨害する罪(第九十五条−第九十六条の六
第六章〜第十八章の二 (略)
第十九章 印章偽造の罪(第百六十四条−第百六十八条)
第十九章の二
 不正指令電磁的記録に関する罪(第百六十八条の二・第百六十八条の三)
第二十章〜第四十章 (略)

刑法
目次
第一編 (略)
第二編 (同上)
第一章〜第四章 (略)
第五章 公務の執行を妨害する罪(第九十五条−第九十六条の三
第六章〜第十八章の二 (略)
第十九章 印章偽造の罪(第百六十四条−第百六十八条)



第二十章〜第四十章 (略)

(封印等破棄)
第九十六条 公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し、又はその他の方法によりその封印若しくは差押えの表示に係る命令若しくは処分を無効にした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

(封印等破棄)
第九十六条 公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し、又はその他の方法で無効にした者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する


 (強制執行妨害目的財産損壊等)
第九十六条の二
 強制執行を妨害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第三号に規定する譲渡又は権利の設定の相手方となった者も、同様とする。
 強制執行を受け、若しくは受けるべき財産を隠匿し、損壊し、若しくはその譲渡を仮装し、又は債務の負担を仮装する行為
 強制執行を受け、又は受けるべき財産について、その現状を改変して、価格を減損し、又は強制執行の費用を増大させる行為
 金銭執行を受けるべき財産について、無償その他の不利益な条件で、譲渡をし、又は権利の設定をする行為

 (強制執行妨害)
第九十六条の二
 強制執行を免れる目的で、財産を隠匿し、損壊し、若しくは仮装譲渡し、又は仮装の債務を負担した者は、二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。









 

 (強制執行行為妨害等)
第九十六条の三
 偽計又は威力を用いて、立入り、占有者の確認その他の強制執行の行為を妨害した者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 強制執行の申立てをさせず又はその申立てを取り下げさせる目的で、申立権者又はその代理人に対して暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。


(新設)





 

 (強制執行関係売却妨害)
第九十六条の四
 偽計又は威力を用いて、強制執行において行われ、又は行われるべき売却の公正を害すべき行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


(新設)


 

(加重封印等破棄等)
第九十六条の五
 報酬を得、又は得させる目的で、人の債務に関して、第九十六条から前条までの罪を犯した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


(新設)



 (公契約関係競売等妨害)
第九十六条の六
 偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。   
2 (略)

 (競売等妨害)
第九十六条の三
 偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札の公正を害すべき行為をした者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。     

2 (略)

第十九章の二 不正指令電磁的記録に関する罪
(不正指令電磁的記録作成等)
第百六十八条の二
 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
 正当な理由がないのに、前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。
 前項の罪の未遂は、罰する。

(新設)

(新設)











 

(不正指令電磁的記録取得等)
第百六十八条の三
 正当な理由がないのに、前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。


(新設)


 

(わいせつ物頒布等)
第百七十五条 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

(わいせつ物頒布等)
第百七十五条 わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。


(新設)
 

(電子計算機損壊等業務妨害)
第二百三十四条の二 (略)
 前項の罪の未遂は、罰する。
 

(電子計算機損壊等業務妨害)
第二百三十四条の二 (略) 
(新設)
 

○ 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)


改 正 案

現   行

第九十九条 (略)
A 差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、当該電子計算機で作成若しくは変更をした電磁的記録又は当該電子計算機で変更若しくは消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。
B
 (略)

第九十九条 (略)
(新設)








A (略) 

第九十九条の二 裁判所は、必要があるときは、記録命令付差押え(電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえることをいう。以下同じ。)をすることができる。

(新設)




 

第百六条 公判廷外における差押え、記録命令付差押え又は捜索は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状を発してこれをしなければならない。

第百六条 公判廷外における差押又は捜索は、差押状又は捜索状を発してこれをしなければならない。
 

第百七条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状には、被告人の氏名、罪名、差し押さえるべき物、記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者又は捜索すべき場所、身体若しくは物、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長が、これに記名押印しなければならない。
A 第九十九条第二項の規定による処分をするときは、前項の差押状に、同項に規定する事項のほか、差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならない。
B
 第六十四条第二項の規定は、第一項の差押状、記録命令付差押状又は捜索状についてこれを準用する。

第百七条 差押状又は捜索状には、被告人の氏名、罪名、差し押えるべき物又は捜索すべき場所、身体若しくは物、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長が、これに記名押印しなければならない。


(新設)




A 第六十四条第二項の規定は、前項の差押状又は捜索状についてこれを準用する。

第百八条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。ただし、裁判所が被告人の保護のため必要があると認めるときは、裁判長は、裁判所書記官又は司法警察職員にその執行を命ずることができる。
A 裁判所は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行に関し、その執行をする者に対し書面で適当と認める指示をすることができる。
B (略)
C 第七十一条の規定は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行についてこれを準用する。

第百八条 差押状又は捜索状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。但し、裁判所が被告人の保護のため必要があると認めるときは、裁判長は、裁判所書記又は司法警察職員にその執行を命ずることができる。
A 裁判所は、差押状又は捜索状の執行に関し、その執行をする者に対し書面で適当と認める指示をすることができる。
B (略)
C 第七十一条の規定は、差押状又は捜索状の執行についてこれを準用する。

第百九条 検察事務官又は裁判所書記官は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行について必要があるときは、司法警察職員に補助を求めることができる。

第百九条 検察事務官又は裁判所書記は、差押状又は捜索状の執行について必要があるときは、司法警察職員に補助を求めることができる。

第百十条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状は、処分を受ける者にこれを示さなければならない。

第百十条 差押状又は捜索状は、処分を受ける者にこれを示さなければならない。

第百十条の二 差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、差押状の執行をする者は、その差押えに代えて次に掲げる処分をすることができる。公判廷で差押えをする場合も、同様である。
 差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写し、印刷し、又は移転した上、当該他の記録媒体を差し押さえること。
 差押えを受ける者に差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写させ、印刷させ、又は移転させた上、当該他の記録媒体を差し押さえること。

(新設)










第百十一条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行については、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる。公判廷で差押え、記録命令付差押え又は捜索をする場合も、同様である。
A (略)

第百十一条 差押状又は捜索状の執行については、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる。公判廷で差押又は捜索をする場合も、同様である。
A (略)

第百十一条の二 差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、差押状又は捜索状の執行をする者は、処分を受ける者に対し、電子計算機の操作その他の必要な協力を求めることができる。公判廷で差押え又は捜索をする場合も、同様である。

(新設)



 

第百十二条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行中は、何人に対しても、許可を得ないでその場所に出入りすることを禁止することができる。
A 前項の禁止に従わない者は、これを退去させ、又は執行が終わるまでこれに看守者を付することができる。

第百十二条 差押状又は捜索状の執行中は、何人に対しても、許可を得ないでその場所に出入することを禁止することができる。
A 前項の禁止に従わない者は、これを退去させ、又は執行が終るまでこれに看守者を附することができる。

第百十三条 検察官、被告人又は弁護人は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行に立ち会うことができる。ただし、身体の拘束を受けている被告人は、この限りでない。
A 差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をする者は、あらかじめ、執行の日時及び場所を前項の規定により立ち会うことができる者に通知しなければならない。ただし、これらの者があらかじめ裁判所に立ち会わない意思を明示した場合及び急速を要する場合は、この限りでない。
B (略)

第百十三条 検察官、被告人又は弁護人は、差押状又は捜索状の執行に立ち会うことができる。但し、身体の拘束を受けている被告人は、この限りでない。

A 差押状又は捜索状の執行をする者は、あらかじめ、執行の日時及び場所を前項の規定により立ち会うことができる者に通知しなければならない。但し、これらの者があらかじめ裁判所に立ち会わない意思を明示した場合及び急速を要する場合は、この限りでない。

B (略)

第百十四条 公務所内で差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をするときは、その長又はこれに代わるべき者に通知してその処分に立ち会わせなければならない。
A 前項の規定による場合を除いて、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内で差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をするときは、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代わるべき者をこれに立ち会わせなければならない。これらの者を立ち会わせることができないときは、隣人又は地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。

第百十四条 公務所内で差押状又は捜索状の執行をするときは、その長又はこれに代るべき者に通知してその処分に立ち会わせなければならない。

A 前項の規定による場合を除いて、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内で差押状又は捜索状の執行をするときは、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代るべき者をこれに立ち会わせなければならない。これらの者を立ち会わせることができないときは、隣人又は地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。

第百十六条 日出前、日没後には、令状に夜間でも執行することができる旨の記載がなければ、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行のため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることはできない。
A 日没前に差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行に着手したときは、日没後でも、その処分を継続することができる。

第百十六条 日出前、日没後には、令状に夜間でも執行することができる旨の記載がなければ、差押状又は捜索状の執行のため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることはできない。

A 日没前に差押状又は捜索状の執行に着手したときは、日没後でも、その処分を継続することができる。
 

第百十七条 次に掲げる場所で差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をするについては、前条第一項に規定する制限によることを要しない。
一 (略)
二 旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入りすることができる場所。ただし、公開した時間内に限る。

第百十七条 左の場所で差押状又は捜索状の執行をするについては、前条第一項に規定する制限によることを要しない。
一 (略)
二 旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入することができる場所。但し、公開した時間内に限る。

第百十八条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行を中止する場合において必要があるときは、執行が終わるまでその場所を閉鎖し、又は看守者を置くことができる。

第百十八条 差押状又は捜索状の執行を中止する場合において必要があるときは、執行が終るまでその場所を閉鎖し、又は看守者を置くことができる。

第百二十条 押収をした場合には、その目録を作り、所有者、所持者若しくは保管者(第百十条の二の規定による処分を受けた者を含む。)又はこれらの者に代わるべき者に、これを交付しなければならない。

第百二十条 押収をした場合には、その目録を作り、所有者、所持者若しくは保管者又はこれらの者に代るべき者に、これを交付しなければならない。
 

第百二十三条 (略)
A (略)
B 押収物が第百十条の二の規定により電磁的記録を移転し、又は移転させた上差し押さえた記録媒体で留置の必要がないものである場合において、差押えを受けた者と当該記録媒体の所有者、所持者又は保管者とが異なるときは、被告事件の終結を待たないで、決定で、当該差押えを受けた者に対し、当該記録媒体を交付し、又は当該電磁的記録の複写を許さなければならない。
C
 前三項の決定をするについては、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。

第百二十三条 (略) 
A (略)
(新設)







B 前二項の決定をするについては、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。

第百四十二条 第百十一条の二から第百十四条まで、第百十八条及び第百二十五条の規定は、検証についてこれを準用する。

第百四十二条 第百十二条乃至第百十四条、第百十八条及び第百二十五条の規定は、検証についてこれを準用する。

第百五十七条の四 (略)
A 前項に規定する方法により証人尋問を行う場合において、裁判所は、その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められることがあると思料する場合であつて、証人の同意があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その証人の尋問及び供述並びにその状況を記録媒体(映像及び音声を同時に記録することができるものに限る。)に記録することができる。
B (略)

第百五十七条の四 (略)
A 前項に規定する方法により証人尋問を行う場合において、裁判所は、その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められることがあると思料する場合であつて、証人の同意があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その証人の尋問及び供述並びにその状況を記録媒体(映像及び音声を同時に記録することができる物をいう。以下同じ。)に記録することができる。
B (略)

第百九十七条 (略)
A (略)
B 検察官、検察事務官又は司法警察員は、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務のために不特定若しくは多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、三十日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう、書面で求めることができる。この場合において、当該電磁的記録について差押え又は記録命令付差押えをする必要がないと認めるに至つたときは、当該求めを取り消さなければならない。
C 前項の規定により消去しないよう求める期間については、特に必要があるときは、三十日を超えない範囲内で延長することができる。ただし、消去しないよう求める期間は、通じて六十日を超えることができない。
D
 第二項又は第三項
の規定による求めを行う場合において、必要があるときは、みだりにこれらに関する事項を漏らさないよう求めることができる。

第百九十七条 (略)
A (略)
(新設)












(新設)



(新設)

 

第二百十八条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。
A 差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、当該電子計算機で作成若しくは変更をした電磁的記録又は当該電子計算機で変更若しくは消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。
B
 身体の拘束を受けている被疑者の指紋若しくは足型を採取し、身長若しくは体重を測定し、又は写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、第一項の令状によることを要しない。
CE (略)

第二百十八条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押、捜索又は検証をすることができる。この場合において身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。

(新設)








A 身体の拘束を受けている被疑者の指紋若しくは足型を採取し、身長若しくは体重を測定し、又は写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、前項の令状によることを要しない。
BD (略)

第二百十九条 前条の令状には、被疑者若しくは被告人の氏名、罪名、差し押さえるべき物、記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者、捜索すべき場所、身体若しくは物、検証すべき場所若しくは物又は検査すべき身体及び身体の検査に関する条件、有効期間及びその期間経過後は差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。
A 前条第二項の場合には、同条の令状に、前項に規定する事項のほか、差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならない。
B
 (略)

第二百十九条 前条の令状には、被疑者若しくは被告人の氏名、罪名、差し押えるべき物、捜索すべき場所、身体若しくは物、検証すべき場所若しくは物又は検査すべき身体及び身体の検査に関する条件、有効期間及びその期間経過後は差押、捜索又は検証に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。


(新設)




A (略)

第二百二十条 (略)
A 前項後段の場合において逮捕状が得られなかつたときは、差押物は、直ちにこれを還付しなければならない。第百二十三条第三項の規定は、この場合についてこれを準用する。
B・C (略)

第二百二十条 (略) 
A 前項後段の場合において逮捕状が得られなかつたときは、差押物は、直ちにこれを還付しなければならない。

B・C (略)

第二百二十二条 第九十九条第一項、第百条、第百二条から第百五条まで、第百十条から第百十二条まで、第百十四条、第百十五条及び第百十八条から第百二十四条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条、第二百二十条及び前条の規定によつてする押収又は捜索について、第百十条、第百十一条の二、第百十二条、第百十四条、第百十八条、第百二十九条、第百三十一条及び第百三十七条から第百四十条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条又は第二百二十条の規定によつてする検証についてこれを準用する。ただし、司法巡査は、第百二十二条から第百二十四条までに規定する処分をすることができない。
A (略)
B 第百十六条及び第百十七条の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条の規定によつてする差押え、記録命令付差押え又は捜索について、これを準用する。
C〜F (略)

第二百二十二条 第九十九条、第百条、第百二条乃至第百五条、第百十条乃至第百十二条、第百十四条、第百十五条及び第百十八条乃至第百二十四条の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条、第二百二十条及び前条の規定によつてする押収又は捜索について、第百十条、第百十二条、第百十四条、第百十八条、第百二十九条、第百三十一条及び第百三十七条乃至第百四十条の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条又は第二百二十条の規定によつてする検証についてこれを準用する。但し、司法巡査は、第百二十二条乃至第百二十四条に規定する処分をすることができない。

A (略)
B 第百十六条及び第百十七条の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条の規定によつてする押収又は捜索について、これを準用する。

C〜F (略)

第四百九十八条の二 不正に作られた電磁的記録又は没収された電磁的記録に係る記録媒体を返還し、又は交付する場合には、当該電磁的記録を消去し、又は当該電磁的記録が不正に利用されないようにする処分をしなければならない。
A
 不正に作られた電磁的記録に係る記録媒体が公務所に属する場合において、当該電磁的記録に係る記録媒体が押収されていないときは、不正に作られた部分を公務所に通知して相当な処分をさせなければならない。

(新設)







 

第四百九十九条の二 前条第一項の規定は第百二十三条第三項の規定による交付又は複写について、前条第二項の規定は第二百二十条第二項及び第二百二十二条第一項において準用する第百二十三条第三項の規定による交付又は複写について、それぞれ準用する。
A
 前項において準用する前条第一項又は第二項の規定による公告をした日から六箇月以内に前項の交付又は複写の請求がないときは、その交付をし、又は複写をさせることを要しない。

(新設)







 

理由

 近年におけるサイバー犯罪その他の情報処理の高度化に伴う犯罪及び強制執行を妨害する犯罪の実情に鑑み、情報処理の高度化に伴う犯罪に適切に対処するため、及びサイバー犯罪に関する条約の締結に伴い、不正指令電磁的記録作成等の罪の新設その他の処罰規定の整備を行うとともに、記録命令付差押えの新設その他の電磁的記録に係る記録媒体に関する証拠収集手続の規定の整備等を行い、並びに悪質な強制執行妨害事犯等に適切に対処するため、強制執行を妨害する行為等についての処罰規定の整備を行うほか、所要の規定の整備を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

Q&A

Q1 この法案は,一部では,コンピュータ監視法案などと批判されているようですが,コンピュータに対する監視を強化するものではありませんか。

A 「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(サイバー刑法)は,コンピュータに対する監視を強化するものではありません。
 そもそも,この法案は,増加を続けるサイバー犯罪などに適切に対処するため,

○ コンピュータ・ウィルス作成罪の新設などの罰則の整備
○ 情報技術(IT)の発展に対応できる捜査手続の整備

などを行うものです。
 今や,私たちの生活や企業活動は,コンピュータ・システムやネットワークなしでは成り立たなくなっており,この法案は,むしろ,そのような社会の重要な基盤を守り,私たちが安心して日常生活を送り,円滑に企業活動を行えるようにするものです。
 また,この法案が成立した後においても,例えば,捜査機関がコンピュータを差し押さえたり,プロバイダなどから,いつ誰が誰と通信を行ったかというような通信履歴を手に入れる場合には,これまでと同じように,裁判官の発する令状が必要です。
 この法案によって,コンピュータの監視を可能とするような特別の捜査手法が導入されるわけではありませんし,コンピュータに対する監視が強化されるものでもありません。

Q2 なぜ,この時期にこの法案を提出したのですか。

A 近年,コンピュータ・ウィルスによる攻撃やコンピュータ・ネットワークを悪用した犯罪など,サイバー犯罪は増加を続けています。
 そこで,法務省としては,これらの犯罪に適切に対処するため,この法案を国会に提出することとしたものです。
 この法案におけるサイバー関係の法整備は,法制審議会において取りまとめられた内容(法制審議会における議論の内容などについては,http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi_keiji_haiteku_index.htmlを御覧ください。)に基づくものであり,平成17年に国会に提出した法案の内容をベースとしつつ,さらに,国会における御議論なども十分踏まえ,より良い内容としたものです。
 なお,この法案を国会に提出することは,東日本大震災の発生前に既に閣議決定されていましたが,その当日に震災が発生したため,実際の提出は震災発生後となりました。

Q3 コンピュータ・ウィルス作成罪は,共謀罪と同様に,思想・良心の自由や表現の自由を制約するものではありませんか。

A コンピュータ・ウィルス作成罪は,最近,コンピュータ・ウィルスのまん延などが深刻な社会問題となっていて,国民が安心してコンピュータを使用するためには,社会に害悪を与え得るウィルスの作成行為を処罰することが必要であることから,そのようなウィルスの作成という客観的な行為を処罰するものです。
 したがって,思想・良心の自由や表現の自由を不当に制約するものではありません。

Q4 コンピュータ・ウィルスの作成・提供罪が新設されると,ウィルス対策ソフトの開発等の正当な目的でウィルスを作成した場合や,ウィルスを発見した人がそれを研究機関に提供した場合,あるいは,プログラマーがバグを生じさせた場合まで処罰されることになりませんか。

A コンピュータ・ウィルスの作成・提供罪は,

@ 正当な理由がないのに,
A 無断で他人のコンピュータにおいて実行させる目的で,

コンピュータ・ウィルスを作成,提供した場合に成立するものです。
 ウィルス対策ソフトの開発などの正当な目的でウィルスを作成する場合には,そのウィルスを,自己のコンピュータにおいてのみ実行する目的であるか,あるいは,他人のコンピュータでその同意を得て実行する目的であるのが通常であると考えられますが,それらの場合には,@とAの要件をいずれも満たしませんので,この罪は成立しません。
 また,ウィルスを発見した人が,ウィルスの研究機関やウィルス対策ソフトの製作会社に対し,ウィルスの研究やウィルス対策ソフトの更新に役立ててもらう目的で,そのウィルスを提供した場合についても,@とAの要件をいずれも満たしませんので,やはりこの罪は成立しません。
 さらに,この罪は故意犯ですので,プログラミングの過程で誤ってバグを発生させても,犯罪は成立しません。

Q5 コンピュータ・ウィルスを作成しただけで処罰されることになると,コンピュータを監視することができるようになるのではありませんか。

A コンピュータ・ウィルス作成罪が新設された後においても,例えば,捜査機関がコンピュータを差し押さえたり,プロバイダなどから,通信履歴を手に入れる場合には,これまでと同じように,裁判官の発する令状が必要です。
 この法案によって,コンピュータの監視を可能とするような特別の捜査手法が導入されるわけではありませんし,コンピュータに対する監視が強化されるものでもありません。

Q6 コンピュータ・ウィルス保管罪が新設されると,単にコンピュータ・ウィルスを送り付けられて感染させられた被害者まで処罰されることになりませんか。

A コンピュータ・ウィルス保管罪は,正当な理由がないのに,

○ 無断で他人のコンピュータにおいて実行させる目的で,

コンピュータ・ウィルスを保管した場合に成立するものです。
 単にコンピュータ・ウィルスを送り付けられて感染させられたにすぎない場合には,そもそもウィルスであるとの認識を欠く場合も多いと考えられる上,仮にウィルスであることを知ったとしても,この目的要件を満たしませんので,この罪は成立しません。

Q7 接続サーバ保管の自己作成データ等の差押え(リモート・アクセス)が導入されると,捜査機関は,1台のパソコンについて差押許可状を得るだけで,ネットワーク中の全てのデータを取得できるようになるのではありませんか。

A 接続サーバ保管の自己作成データ等の差押えは,コンピュータが差押えの対象とされている場合において,例えば,メールサーバやリモートストレージサービスのサーバなど,ネットワークで接続しているサーバなどのうち,そのコンピュータで作成するなどした電子ファイルを保管するために用いられているものから,電子ファイルをコピーすることを可能にするものです。
 しかも,コピーすることができるのは,

○ そのコンピュータで作成,変更した電子ファイルか,
○ 他のコンピュータで作成されたものの,差押えの対象とされているコンピュータで変更,消去することが許されている電子ファイル

に限られます。
 この場合,そのコンピュータ自体について,裁判官によって差押許可状が発付されていることが必要であることは当然ですが,それだけでなく,コピーが可能な範囲についても,裁判官による審査を経た上で,差押許可状において明示されることになり,捜査機関がその範囲を超えてコピーすることはできません(例えば,そのパソコンの使用者のメールアドレスに対応するメールボックスの記録領域という形に限られます。)。
 したがって,この制度の導入後も,捜査機関が,1台のパソコンについて差押許可状の発付を受けるだけで,ネットワーク中の全てのデータを手に入れることができるようになるものではありません。

Q8 保全要請の規定が新設されると,捜査機関は,無令状で通信記録を簡単に取得できるようになり,一般市民のコンピュータの使用が監視され,個人の思想,信条,趣味などが丸裸にされてしまうのではありませんか。

A 保全要請は,プロバイダなどに対し,差押え等をするため必要があるときに,業務上実際に記録している通信履歴(通信の送信先,送信元,通信日時などであり,電子メールの本文等の通信内容は含まれません。)のうち必要なものを特定した上で,一時的に消去しないよう求めるものにすぎず,それだけでは,捜査機関は通信履歴を見ることはできません。
 また,保全要請の対象となるのは,要請があった時点においてプロバイダなどが業務上記録しているものに限られ,プロバイダなどがそもそも記録していないものや,要請があった時点で未だ記録されていない将来の通信履歴は対象になりません。
 捜査機関がそのようにして保全された通信履歴を手に入れるためには,これまでと同じように,別途,裁判官の発する令状の発付を受ける必要があります。
 したがって,保全要請の規定が新設されても,捜査機関が無令状で通信履歴を手に入れることができるようになるなどということにはならず,一般市民のコンピュータの使用が監視され,個人の思想,信条,趣味などが丸裸にされてしまうということにもなりません。

Q9 保全要請の規定が新設されると,捜査機関は,プロバイダ等の通信会社から半ば強制的に通信履歴を取得できるようになるのではありませんか。

A Q8でお答えしたとおり,保全要請は,差押え等をするため必要があるときに,プロバイダなどに対し,業務上実際に記録している通信履歴を一時的に消去しないよう求めるものにすぎず,そのようにして保全された通信履歴を捜査機関が手に入れるためには,これまでと同じように,別途,裁判官の発する令状の発付を受ける必要があります。
 また,プロバイダなどは、要請の際に捜査機関において特定された通信履歴の存在自体を答える義務はなく,要請に応じなかったとしても,罰則などの制裁はありません。
 このように,保全要請の規定が新設されても,捜査機関がプロバイダなどから半ば強制的に通信履歴を取得できるようになるものではありません。

Q10 この法案は,捜査権強化の第一段階にすぎず,これを成立させた後は,共謀罪の成立や通信傍受の拡大等の更なる捜査権限の拡大を進めることを狙っているのではありませんか。

A 共謀罪の新設を含む「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」の締結に伴う法整備の在り方や,通信傍受を含む捜査手続の在り方については,それぞれ,その必要性や我が国の国内法制との整合性などを踏まえて,サイバー関係の法整備とは別個に検討すべき課題です。
 この法案を共謀罪の成立や更なる捜査権限の拡大と結び付けるのは正しくありません。   

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