平成23年司法試験予備試験短答式の結果について

165点で受かった

平成23年の予備試験短答式の結果が公表された(法務省HP)。
合格点は、165点。
合格者数は、1339人だった。

当サイトでは、以前の記事で、下記のような予測をした。

合格者数

合格点

2000

188

1484

192

1000

198

700

203

500

207

合格者数は1484人、合格点192点を当サイトの予測としていた。
合格者数については、それなりに近い数字だった。
しかし、合格点については、目茶苦茶に外した。
安易に新試験の得点分布を使ったからだ、というのはある。
ただ、予備試験の問題は、旧試験受験生の知識水準からすれば、十分解けるレベルだったと思う。
実力者であれば、法律科目(210点満点)の7割、147点は楽に取ってくるだろう。
だとすると、教養(60点)が6割(36点)でも、183点になる。
そういうことからすれば、上記のような感じでもおかしくないだろう。
そんな印象を持っていた。

また、今回の合格点である165点は、270点満点の61.1%。
ほぼ6割である。
旧司法試験択一の60点満点に換算すれば、6割は36点だ。
旧試験択一の合格点が、ここまで下がったことはない。
もっとも低かったのは、平成7年の39点である。
この年は、伝説的ともいえる難しさだった。
同じ肢が、二つある問題もあった。
(これを没問として全員加点すると、合格点は40点だったと言われている。)
今年の短答が、それを上回るほど難しかったとは思えない。
もちろん、下三法あり、行政法あり、教養もありということで、ハードではあった。
しかし、旧試験時代のモチベーションを維持して勉強していれば、十分対処できるレベルだったはずである。
そういう意味で、今回の結果は、全く予想外だった。

仮に、法律科目を8割とったとする。
これは、210*0.8=168点である。
これだけで、後は教養が0点でも合格できた。
今回不合格だった人は、教養のせいにしてはいけない。
法律科目を取れなかったことを、反省すべきである。

科目別得点状況

以下は、各科目の受験者の平均点の一覧である。
平均点の高い順に、並び替えている。
教養については、他科目の倍の配点がある。
そこで、かっこ書で2分の1にした得点を表記し、比較できるようにした。

科目

平均点

民法

19.2

刑法

18.6

憲法

15.8

民訴

14.7

刑訴

14.0

商法

12.9

行政

12.2

教養

23.2
(11.6)

法務省は、受験者や短答合格者の年齢に関する情報を公表していない。
そのため、受験者層の推測が難しい。
合格点の低さからすると、もはや旧試験組は受験していないのか。
そんな風にも思える。
しかし、上記の得点状況からは、やはり旧試験組の存在を感じさせる。
択一のあった上3法は高く、行政法と教養が低い。
上3法でも、旧試験択一で知識重視だった民法が高い。
憲法がやや低いのは、正誤が正確でないと得点できない問題が多かったからだろう。

仮に学生が多かったのであれば、もう少し教養が高くなるはずだ。
また、憲民刑と他科目との差も、ここまで開かないはずである。
旧試験組は存在しているが、もう従来のモチベーションでは勉強していないのだろう。

今回、最高得点者でも240点。
満点の88%にとどまっている。
9割以上得点した人は、一人もいない。
従来、レベルの高い予備試験組がロー生を圧倒するのではと言われていた。
しかし、今回の結果をみると、どうもそうなりそうにない。

論文について

論文試験は、1339人で争われることになる。
その難易度は、どの程度になるだろうか。
下記は、近時の旧司法試験における論文試験の合格率等の推移である。

年度

択一合格者数

論文合格者数

論文合格率

16

7438

1536

20.6%

17

7637

1454

19.0%

18

3820

542

14.1%

19

2219

250

11.2%

20

1605

141

8.7%

21

1599

101

6.3%

22

742

52

7.0%

今年の論文の合格者数は、現時点では予測が難しい。
そこで、いくつかの数字を仮定して、論文合格率を算出したのが以下の表である。

合格者数

論文合格率

500

37.3%

400

29.8%

300

22.4%

253

18.8%

200

14.9%

100

7.4%

300人以上だと、ザルといわれた平成16年より受かり易い。
200人で、ほぼ平成18年と同水準である。
しかし、100人まで絞られてしまうと、平成20〜22年の過酷な論文と同じくらいになる。

当サイトとしては、過去の記事で253人を予想している。
これだと、大体平成17年くらいの水準となる。

気になるのは、法律実務基礎と、それに含まれる法曹倫理だろう。
参考になる資料としては、いわゆるコアカリキュラムのモデル案がある。
実務基礎に関しては、意外と新しいことは少ない、と感じるのではないか。
民事については、要件事実と保全・執行。
刑事については、公判前整理手続をテキスト等で確認しておきたい。
要件事実については、どうやら問題研究 のレベルでよさそうである。
新試験でも、それほど難しいことは問われていない。
また、細かい手続に関する条文は、規則も含めて一度目を通しておくべきだろう。
これらの条文は、新試験の短答でも細かく訊かれているので、合格後も役に立つ。
法曹倫理については、なかなか対策は難しい。
真面目にやろうとすると、案外幅広いことまでやる必要がでてくる。
そもそも、出題されない可能性もある。
そこまでやるべきものか、という感じもする。
時間があれば、テキストのようなものを一読するとよい。
そこまで余裕がなければ、事前準備を諦め、出たらその場で考える。
そういうスタンスでも、やむを得ないだろう。

教養については、以前の記事でも少し触れたが、基本は現代文となりそうだ。
これまでの論文答練等で身に付いた文章力・分析力を信じて、現場で頑張れば足りるだろう。

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