TPPと法曹人口問題の関係を理解するための資料(4)

新たなイニシアティブに関するファクトシート(仮訳)平成22年11月13日より抜粋(下線は当サイトによる)

本日,横浜APEC首脳会議の機会をとらえ,菅総理とオバマ米大統領は以下の新たなイニシアティブを立ち上げた。

 (中略)

日米経済調和対話,イノベーション・起業・雇用創出促進のための日米対話,及びインターネットエコノミーに関する日米政策協力対話。これら3つの経済政策対話は,日米間の経済関係を更に強化することを意図している。経済調和対話は,貿易円滑化,ビジネス環境及び個別の問題への対応並びに共通の関心を有する地域の課題における連携推進への取り組みを調和させるための協力を促進することによって,両国の経済成長に貢献することを目指す。イノベーション・起業・雇用創出促進のための対話及びインターネットエコノミーに関する政策協力対話は,二国間の政策面での協力を深め,国際場裡における日米間の更なる協力の土台を作ることを意図した,政策レベルの対話である。

 (後略)

「日米経済調和対話」事務レベル会合の開催について(外務省 平成23年3月4日)より抜粋(下線は当サイトによる)

1.2月28日(月曜日)から4日(金曜日),東京において,「日米経済調和対話」事務レベル会合を開催した。

2.「日米経済調和対話」は,昨年11月に横浜で行われた日米首脳会談で発表された「新たなイニシアティブに関するファクトシート」において立ち上げが発表された。今回が初めての事務レベル会合となる。本対話は,貿易の円滑化,ビジネス環境の整備,個別案件への対応,共通の関心を有する地域の課題等について日米両国が協力をして取り組んでいくために開催するものであり,これにより,両国の取組の調和を促し,両国の経済成長に貢献することを目指すものである。

3.事務レベル会合は,日本国外務省及び米国通商代表部を含む,日米双方の関係省庁の参加を得て,以下の4つの議題の下で,幅広い協議を行った。

(1)日米双方の経済・貿易政策に関する最新状況:我が国の「新成長戦略」や米国の「国家輸出イニシアティブ」等,両国の経済・貿易関連政策に関する最新状況について情報交換を行った。

(2)日米二国間経済協力関係の更なる促進の方途:日米両国が二国間の枠組みで近年協力を継続している事項について確認した。また,高速鉄道にかかる日米協力を引き続き推進していくことについて日本側の関心を改めて表明した。さらに,米側から,情報通信技術,知的財産権保護,ワクチンにかかる日米協力について提案があった。また,今後本対話を進めていく中で更なる二国間の協力分野を模索していくことについても意見の一致をみた。

(3)貿易円滑化,ビジネス環境の整備,及びその他の個別案件への対応:日米双方がそれぞれのビジネス界の要望を踏まえて作成した個別関心事項(日本側関心事項/ 米国側関心事項)を基に,協議を行った

(4)地域・グローバル課題への連携:地域・グローバルにおける通商・ビジネス環境面等の課題に関する日米間の連携・協力につき,協議した。また,地域・グローバル課題への新たな協力分野の模索も含め,引き続き協議していくこととなった。

4.日米双方は,本年中に,2,3回程度会合を行い,その上で協議の結果をとりまとめ,公表するべく,協議を継続していくことで一致した。

日米経済調和対話 米国側関心事項(2011年2月)より抜粋(下線は当サイトによる)

法務サービス:外国法事務弁護士(外弁)による専門職法人の設立を認めること、外弁の法律事務所が国内に複数の支所を設置することを認めること、インターナショナル・リーガル・パートナーシップにおいて弁護士が対等なメンバーになることを認めること、また外弁の資格要件の見直しを行なったり認可手続きおよび報告義務の簡素化を図ること等によって、日本における国際的法務サービスへのアクセスを拡大する。

参院法務委員会平成23年03月25日より抜粋(下線は当サイトによる)

○丸山和也君 自由民主党の丸山和也です。
 ・・外弁、いわゆる外国法事務弁護士、いわゆる外弁と言われているこの問題についてお聞きしたいと思うんですけれども、まず、質問に入る最初ですけれども、そもそも今日本に現在どれくらいの正式な外弁という方がおられるのか、それから昨今のあるいは増加ないし減少というか、そういう傾向という、そこら辺についてまず概略的にお尋ねしたいと思います。

○政府参考人(後藤博君) お答え申し上げます。
 三月一日現在で、日本で登録されている外国法事務弁護士の数は三百五十四人でございます。毎年徐々に増えてきていると承知しております。

○丸山和也君 これは経済動向と関係なく、やはり基本的には増加しているんでしょうか。一時減ったという、あるいはクローズした事務所がたくさんあるということも聞いたんですけれども、そういうリーマン・ショックとかバブルの崩壊とか、いろんな関係とほとんど関係なく漸増というふうになっているんでしょうか。

○政府参考人(後藤博君) 統計の数字でございますけれども、例えば、平成五年、六年辺りは七十人、八十人というレベルで推移をしておりまして、その後、平成十二年、十三年辺りから百五十名、十四年に百八十六名となりました。その後も徐々に毎年二、三十人ずつ伸びてまいっておりまして、リーマン・ショックがあった後も、昨年ですと三百二十三名でございましたが、先ほど申しましたように、本年は三百五十四名となっておりますので、増加しておるということでございます。

○丸山和也君 それだけ需要があるというふうにとらえていいかと思うんですけれども、そうなりますと、極めて外弁問題というのは今後も基本的に増加していくというふうに一般的には考えられるんで。
 ここで、いわゆる外国人弁護士という中に、外国法事務弁護士という正規に登録された資格を持った人と、そのほかに、いわゆる外国で資格を持っていて日本でそういう登録、外国法事務弁護士じゃない形で働いている人も相当な数があると思うんですけれども、むしろこちらの方が多いのかなとも思ったりするんですけれども、ここら辺の実態は把握されておるんでしょうか。

○政府参考人(後藤博君) 外国法事務弁護士として登録されている者の数は先ほど申し上げたとおりですけれども、そうではなくて、外国の弁護士で、日本の事務所において研修員、研修生、トレーニーのような形で働いておられる方の人数については承知しておりません。

○丸山和也君 結構いろんな仕事やっていますと、外国法アドバイザーという名前であったり、研修生という名前であったり、顧問というか、そういういろんな肩書を付けてやっている方がたくさんおられたり、あるいは肩書一切なしで雇用されている方が相当いると思うんですけれども、これはいわゆる、例えば外国法アドバイザーというような形で外弁に登録しなくて働くということは許容されていると考えていいんですか、それともこれは問題があるいわゆる潜りなんでしょうか、そこら辺はどのようにとらえるんでしょうか。

○政府参考人(後藤博君) 一般的には、弁護士法七十二条によりまして、弁護士でない者が法律事件に関する法律事務を取り扱うことは禁止されております。外国法事務弁護士の制度は、その例外として、日本においてこの弁護士法で禁止されているところの法律事件に関する法律事務、法律に関する一般的なアドバイスということではなくて、弁護士法に言うところの法律事務をできるかできないかということで、その資格を取得した国の法律事件に関する法律事務を日本で行うことができるというのがこの外国法事務弁護士の制度でございますので、その制度に触れない範囲で、禁止されているものでないことを活動されるということについては、私どもとしては特段この外国法事務弁護士制度に触れるものではないというふうに理解しております。

○丸山和也君 少し注意する必要があると思うのは、いわゆる資格要件を満たさない人、あるいはとにかく、出稼ぎと言ったらおかしいんですけれども、日本に来て、やっぱり外国で弁護士資格があるということで結構安易に雇用されて、外国文書の翻訳とかそういうことをやっているというんですが、実際は、これ内部ですることですから、外国法についてのアドバイスをやっていたり、もちろん文書に名前は出さないんですけれども、かなりの範囲で活動が行われていると私は思うんですね。
 だから、ここら辺については、野放しにするんじゃなくて、やはりこういう外弁制度があるんであれば、その周辺についてきちっとやっぱり調査とか回答を求めるとか、あるいは場合によっては指導をするとか、そういうこともする必要があるんじゃないかと思うんですけれども、ここら辺はかなり緩やかに放置されていると思うんですが、これについて、法務大臣、どのように思われますか。

○国務大臣(江田五月君) 今司法法制部長の方からお答えをいたしましたが、なかなかそこの仕分は難しいんだろうと思います。
 例えば、日本の企業の中で企業の法務部というのがございますね。もちろん法曹資格を持っていない者がそこの従業員として法律関係のことをいろいろ検討して、もちろん法律事務を処理するということになるとそれは弁護士さんにやっていただくんですが、その弁護士さんの手足としていろんな手助けをするようなことは、これは弁護士法七十二条に抵触するというものではないという仕切りなんだろうと思います。
 同じように、外国の多少法律に詳しい者がある企業の中でそういう仕事を外国法についてやって、それがすぐ外国法事務弁護士制度に違反するかどうかという仕切りは非常に困難だと思いますが、いずれにしても、外国法事務弁護士制度というものを潜脱するような形で外国の法律の専門家がこの資格をしっかり取らずに日本で外国法につき仕事をしますと、これはこの制度によって認められるものでないので、そこは適切に見ていきたいと思います。

○丸山和也君 おっしゃるとおりだと思うんですね。非常にこれ活動の実態が把握が難しい。しかも組織の中ですし、それから対外的には名前出したりをしませんから。
 ただ、実際は、やはり外弁問題が規制緩和とかの、サービスとか貿易の自由化の一環としてずっと、外圧とは言いませんけれども、まあ一種の外圧ですかね、開かれた司法、国際的にも開かれた司法という流れの中で外弁制度が生まれてきて今日に至っている経過を考えますと、この流れは、外弁の増加も含めまして、やはり基本的には日本の司法制度、司法市場ですね、に要するに外国人弁護士が活躍していくと、これはいい面もいっぱいあると思うんですけれども、そういう中で日本の司法制度、資格制度の根幹とやっぱり微妙に絡んでくる、また問題も起こりやすいところなんで、やはりこれ、司法制度の根幹にも触れる部分がありますので、例えば外弁制が今活動がかなり、資格要件も徐々に、三度ぐらい緩和されて今に来ていると思うんですね。それから、活動形態も、共同事業がやられるということになってきたり、いろんな形で活動が、規制が緩和されてきていると。
 この中で、さらに将来、例えばどういう方向に行くのかなと。例えば、外国人弁護士が直接例えば日本人弁護士を雇ってそれでやれるのかとか、いろんな課題が出てくると思うんですね。あるいは資格要件をもっと、今三年、現に資格を三年というのを一年でもいいんじゃないかとか、あるいはいろんな形での要求が出てくると思うんで、非常に、どこかで基本的な理念を持っていないと、これは徐々に徐々に自由化で、最終的には資格制度の根幹にかかわってはいけないと思うんですが、今後の方向について、どのレベルまでというか、どの程度まで日本の弁護士との関係において活動が許容されていいというようなお考えをお持ちなのかどうか。やや抽象的なんですけれども、大臣、お答え、できればお願いしたいと思います。

○国務大臣(江田五月君) 私もこの外国法事務弁護士制度導入のころのことを思い出すんですが、日本の弁護士さん方は非常に警戒をされまして、アメリカ等からいろいろ言ってこられるのに対して厳しく対応していこうというような雰囲気がございました。しかし、一方で、経済界の中で、やはり外国法について適切な資格を持った人のアドバイスが身近に欲しいというような要求もあって、それが両々相まってこの導入ということになって、しかし、あくまで日本の国内で日本法について法律事務を、法的サービスを提供するのはこれはもう日本の弁護士じゃなきゃいけないと、この線はこれはもうどうしても崩せない線でございまして、たとえ日本の弁護士法人に雇われている外国法事務弁護士であろうとも、その雇用形態の中で外国法事務弁護士が日本の法律について法的サービスを提供することは、これは駄目というような辺りはしっかりしております。
 今のお話の資格というよりも、むしろ取り扱う範囲がだんだん広がってきて、国際仲裁事件の手続の代理であるとか、あるいは書面による助言を得て資格取得国法以外の外国法についての法律事務を取り扱ったり、あるいは共同事務所をつくったり、あるいは外国法事務弁護士が日本の弁護士を雇うということもできたりとか、その辺まで今広がってきているわけで、これから今検討中なのが、外国法事務弁護士の法人化というものが果たして可能かどうか、これを今鋭意検討中のところでございます。
 いずれにしても、必要な職務経験年数の短縮とかあるいは日本に現に住んでいるという在留義務の短縮とか、こうしたような改正要望がございまして、今の法人化についてはできるだけ早期に国会への法案提出も目指していきたいと思っているところでございますが、その他についても、関係の皆さんとよく相談をし、調整をしながら、間違いのない進め方をしていきたいと思っております。

○丸山和也君 法人化についてもいろんな議論がありますので、是非慎重に進めていただきたいと思います。
 それから、外国法事務弁護士にはいわゆる保険に入る義務といいますかね、業務に関して損害を与えたときにはそれを賠償するということで保険に入らせるように義務が課されているんじゃないかと思うんですが、これは特に日本の弁護士にはないんですけれども、外国法事務弁護士にというのは、やっぱり外国に帰国してしまった場合とか、そういうことで損害賠償が難しくなるからという、こういう配慮からなんでしょうか、事務当局で結構ですけれども。

○政府参考人(後藤博君) 委員の御指摘は、法律、外弁法上は、外弁法の十条に承認の基準を定めておりますけれども、その中に「誠実に職務を遂行する意思並びに適正かつ確実に職務を遂行するための計画、住居及び財産的基礎を有するとともに、依頼者に与えた損害を賠償する能力を有すること。」という承認のための基準が定まっておりまして、この最後の「損害を賠償する能力を有すること。」を担保するために多くの方に保険に入っていただいているということでございまして、これは当然ながら、委員御指摘のように、依頼者の保護のための規定であると考えております。

○丸山和也君 念のためお聞きします。すると、保険に入っていない場合は事実上登録は認めていないんですか、その点を。

○政府参考人(後藤博君) 事実上、ほとんどの外国法事務弁護士として登録される方は保険に入っていただいております。

○丸山和也君 この問題で、最後にTPPの関係で、日本がそれに加盟した場合に外弁、外国法事務弁護士制度に何か劇的な影響があるのか、今まで述べられた、大臣を含めて述べられた、そういうこととは基本的に余り関係ないのか、あるいはどういう部分が影響があるのかないのかについて少しお聞きしたいと思います。

○国務大臣(江田五月君) TPPについては、現在政府においてこれに、協議を始めるかどうかということをこの六月をめどに結論を出そうと検討を進めているところでございますが、外国法事務弁護士始め弁護士資格については、これは人の移動の関係でこのテーマにはなりますが、現在のところ私どもTPPの中でこの法律事務についてのことが問題になっているとは理解しておりません

江田法務大臣閣議後記者会見平成23年2月15日より抜粋

Q:TPPは貿易問題,経済の自由化の問題であって,そこで障害や影響のあるのは農業分野だけというふうに喧伝されておりますが,実際は24の作業分野があって,国内の様々な活動,これまで経済活動とか貿易活動とかかわらない分野にも影響が出ることになる。そのうちの一つが法制度,あるいは司法の分野にも影響が出るということが明らかになってきました例えばアメリカの弁護士は日本では開業ができたり,大規模な事務所を開くことができるようになる。いわゆる法人化,これをしていくことが可能となる。他方で日本の弁護士は自由に開業できるわけではない。極めて不平等なことになりかねない。紛争解決に関してもこれもまた不平等なものとなるということがいろいろな情報で分かってきました。こうした問題について,先日,民主党内で作られたTPPを慎重に考える会の会長である山田正彦前農林水産大臣が日弁連の会長の宇都宮さんにお会いしてお話したところ,宇都宮さんは何も知らなかったと言って大変驚かれた。それから早期に研究するというふうにおっしゃっていました。日弁連も知らなかった,こういうような状態というのは司法の世界でまかり通っているのかと大変危惧しております。法務省はTPPのはらむ危険性,問題性について十二分に研究をしておられて,なおかつ,政府の平成の開国なのか何か分からない姿勢に賛同されているのか,その点についてお聞きしたいと思います。

A:平成の開国ということの理解ですが,私はもうちょっと大きな視点で考えていきたいと思っています。御承知のとおり日本は明治維新で,これは黒船がやってきた。しかし,日本人の決断で江戸時代の日本の統治構造というものを変えたわけですよね。で,近代日本という時代に入った。これがしかし戦争へと突き進んでしまって,第二次大戦後の昭和の改革といいますか,戦後改革,これは戦争に負けたポツダム宣言の受諾ということがあって,諸外国,まあアメリカですが日本に入ってきて日本の制度を変えて,民主主義日本というもので,世界に第二の開国をやった。しかし,この民主主義というものが,本当に政権交代のある民主主義になったかというとなかなか困難があって,やっと今,国民が政権を選ぶという時代に入って,しかもこの十年,あるいは二十年,日本がずっと停滞の時期を続けている間に世界の状況が大きく変わって,中国の経済発展であるとか,あるいは韓国であるとか,いろいろな世界の状況が変わってきて,今日本は,外国が日本は開国しろと言って日本のことを気にするような状況ではなくて,日本は国際社会の中の役割を果たさないのであればどうぞ勝手にしてくださいというような状況なので,しかしそれでもやはり日本の独自の,日本の自主的なイニシアチブで国を開いて,そして世界の中の一員として,今のTPPであれ,FTAAPであれ, ハーグ条約であれその他のいろいろな,もちろん法曹サービス提供のシステムであれ,いろいろなことで世界の中でこういう世界の姿勢を作っていこうじゃないかと,そういうイニシアチブをとっていかなければいけない,そういう時代が来ているので,だからTPPというのはほんのその中の一例であって,もっと世界の中で日本というのはやっぱりなければいけない国だと,日本の言うことを聞いてみようという体制に日本がなっていく必要がある,そんなことを考えながら第三の開国ということを言っているというような理解を私はしています。だから,個別に挙げれば農業の問題であれ,あるいは今の法律サービスのこともその中にあるかもしれません。いろいろなことがあるけれども,例えばハーグ条約だって,世界のハーグ条約に関する事例を見ると,こんなに日本にとってつらいことがあるということがあると思います。あると思うけれども,それはまた逆の面もあるので,いずれにしてもそういうものを直していくためには,やっぱり外から直せというのではなくて,そこに入っていって,国際秩序の中で日本が役割を果たして直していかなければいけないんで,私はそこは決断を持って国を開くという発想をとるべき時代が来ていると思っています

Q:平成の不平等条約になるのではないかという懸念もあります。幕末の例でいえば,井伊大老の結んだ通商修好条約,これで主権を失ってしまった,これを復活するまで大変な苦労を重ねなければならない。慎重のうえに慎重を期さなければいけないのではないかという議論もあります。特に具体的な法制サービスについて,法律家だけが損をするという話だけではなく,もしそれが外国の法律家が優位に立つようなことがあれば,これは日本国民全体がいろいろな意味で不利益をこうむる可能性もある。この点に関しては非常に研究が必要なのではないかと思うのですけれども,その点は十分な研究をなされたのでしょうか

A:今,研究をしていくところですから。私たちは,不平等条約という一定の歴史的経験を持っているわけですよ。だけれども,あのときに明治維新で国を開かなかったらどうなるかということもあるわけでしょう。ですから国を開いた。しかし,不平等条約ということで大変な苦労をしたという経験を持っているわけですから,だからそこはそういうことを繰り返さないように,前車の轍にはまり込むことのないように一生懸命研究をして国を開いていくという方法があるのではないかと思いますね。それが必要なんで,ああいう苦労をしたからもう閉じこもって,内向きでじっとしていればよろしいといったら,どんどんどんどん谷間に沈んでいくだけではないかという心配を私は持っています。

衆院外務委員会平成23年05月11日より抜粋(下線は当サイトによる)

○西村康稔委員 ・・TPPの議論の中で、これも反対派の人たちからよく言われる議論ですけれども、例えば弁護士や医師、こうした人たちの相互承認、つまり、日本でアメリカの医師、TPPのほかの国々の医師、ほかの国々の弁護士の方々が仕事をするというようなことをTPPの中で認めていこうという議論がある。つまり、これに入ってしまうと、そういう人たちも反対をする、医師会、弁護士会も反対をする、あるいは、さらに言うと医療制度まで、国民皆保険の日本の医療制度に対して変更を求められるというような議論がありますけれども、こういう議論がTPPで行われているのかいないのか、このことについてお伺いをしたいと思います。

○松下忠洋経済産業副大臣 九カ国でTPPは現在交渉中であります。我が国は情報収集しているというところなんですけれども、今後、資格の相互承認に関する事項が議論の俎上にのる可能性はあると見ております。しかし、いずれの国においても、相手国との間の資格付与の条件が同等のレベルでない場合には相互承認しないというのが通例になっております。

 ですから、そういうことで現在進んでいるわけですけれども、そのために、多様な国が参加するこのTPP交渉で医師資格の相互承認がなされる可能性は低いと私たちは見ております。外国人医師が大量に流入するという事態になることは想定されない、私たちはそう見ております。

 以上でございます。

○西村(康)委員 私が聞いてる範囲でも、例えば医師免許の相互承認であったり、あるいは医療制度を九カ国、TPPで統合していくのは、こんなことはとてもあり得ない、全然ばらばらな制度ですから。つまり、日本の国民皆保険を変えろというようなことがTPPの場で議論を、まあ、あるかもしれません、これはまだ我々、我々というか今日本政府はその交渉の外側にいますから、外側で情報収集しているだけですので、実際に交渉に入らないとわからないわけですけれども、そういう意味でも、ぜひ交渉に入っていただいて、そういう懸念がないということ、あるいは、もしそういうことになれば、制度が全然違うんだからそんなのは無理だということを主張していただきたいと思います。

 仮に日米で、二国間でFTA、EPAをやろうとすると、これは日本とアメリカの、お互い高いレベルの先進国ですから、アメリカはアメリカの医師の免許を日本で認めてくれ、医療制度を変えろ、あるいは弁護士を認めろ、こういう二国間の方がきつい議論になる

 TPPのマルチの場でやると、アメリカがこれを主張すると、マレーシアのイスラム系の医師、イスラム系の弁護士がその資格でアメリカで仕事をすることになるわけですから、これはアメリカは恐らく今の感情的にもなかなか認められない部分もあるでしょうし、それぞれのレベルも相当違う、九カ国が違うという意味で、九カ国でもちろん高いレベルのルールをつくっていくわけですけれども、すべての国々の制度を一緒にするものじゃない、相互承認するものじゃない。むしろ二国間で、日米でやるほど厳しい要求が突きつけられる可能性もあると思います。

 そういう意味で、申し上げたいのは、TPPの中で、ぜひ交渉に入って、今みたいなところの疑念も払拭しながら、しかし経済行為にかかわる投資や知財の保護、貿易、こうしたものについては高いレベルのルールをつくるということで推進をしていただきたいと思いますけれども、私のこういう考えに対して、大臣、どういうふうに思われますか。

○松本(剛)国務大臣 私どももさらに努力をしなければいけないと痛感をしております点は、まさに今委員が御指摘をいただいたように、TPPに関するいわば適切な理解を広げるということが一番重要なことだろうというふうに思っております。部分でもなくまた誤解でもなく、TPPについて、その意義と内容について適切に、正確に理解をいただくことで、私どもは、おのずと判断は収れんをするのではないかと。

 努力をしていきたいと思っております。

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