政府公表資料等情報

参院法務委員会平成23年04月14日より抜粋(下線は当サイトによる)

○古川俊治君 続きまして、自由民主党、古川俊治の方から質問をさせていただきます。
 最初にこの法案についてお聞きしたいんですけれども、今回、判事を四十五人増やすという法案でございますが、判事のみを増やすのは、その理由を聞かせてください

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) この度の増員におきましては、事件増あるいは事件の複雑困難化の中で事件処理を適正迅速に解決するために、事件処理にたけたベテランの裁判官を増員するということで判事四十五名の増員をお願いしたわけでございますが、・・判事補を増員しないという点につきましては、これも当然例年どおり判事補の採用というものは私どもも検討しておるわけでございますが、ただこの定員的措置が必要かということに関しましては、これまでの採用実績など、あるいは今後は判事補から判事へ任官していく者もおります。こういった点を考慮いたしますと、今年度につきましては判事補の増員まではお願いしなくてもやっていけるという判断をしたものでございます。

○古川俊治君 ・・迅速な処理ということでベテランを、即戦力になるベテランを入れるという話でございましたけれども、裁判所法の四十二条一項によれば、判事に任命されるのは判事補としての在職期間が通算で十年以上ということになっておりますね。
 ですから、今回この法案によって仮に判事になられる判事補の方々、この方が別に判事補であってはいけない理由はないはずです。ということは、そうであれば、別に四十五人増やさなくても、判事補を増やせば同じように迅速な解決はできるんじゃないでしょうか

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 委員御指摘の裁判官への採用資格という点でいきますと、判事補を十年、なって任期終了した者がまた再び判事補に任命をするということは一応、法律上それは可能ではございますが、ただ通常は、裁判官、十年いたしますと裁判官は次の再任願というのを出しますが、その再任願は皆さん判事を任官を希望されるわけでございます。
 これは、これまでの採用、裁判所の人事のこれは慣行といいますか、これまでの経過を見ますと、通常、十年間判事補として研さんした者については次は判事に任官を特段問題がなければするという状況がございますので、こういった点に加えまして、さらにやはり事件処理にたけた者という点では、やっぱり判事を我々採用したいということで増員をお願いしたわけでございます。

○古川俊治君 今、慣例に従うというお話でしたけれども、別にそれは慣例であって法律で決まっているわけじゃないんですね。慣例というのは、何か問題があればそれは改めなきゃいけないということで、例えば、今お聞きしたところによりますと、判事補から判事になると給料が十万円ぐらい上がるというお話でしたので、四十五名増やすんであれば四百五十万円は安くなるわけですね、判事補のままでいれば。先ほど、迅速な事件処理というお話でしたけれども、同じく十年目になった人であれば、判事であっても判事補であってもその処理能力は変わらないんじゃないでしょうか

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 経験年数ということでありますと、そういうことですね。
 ちょっと私、先ほど慣例と申し上げましたが、これはあくまで、採用につきましては、まず大前提として、判事補に任命を希望されるか、あるいは判事に任命を希望されるかということを前提に決めていくしかないわけでございます。そういった点で、まずもってどういう形で裁判官が再任を希望されるかということが前提でございますので、仮に判事で任命希望された方を判事補で採用するというのは法律上問題があろうかと思っております
 もう一つは、判事と判事補、最後の方は特例判事補というふうになっているわけでございますが、ただ、権限は、単独事件は処理できますが、例えば高裁の陪席には二人入れないといった制約等もございますので、やはり若干の違いがあろうかというふうに考えております

○古川俊治君 ・・この判事補についてですけれども、じきに、次に判事補から判事になるということも見込まれて、慣例に従いと、非常に慣例をこのまま踏襲していくんだという姿勢がもう御答弁にも表れているんですけれども、先ほど前川委員からも司法制度改革審議会のお話がございました。これで、法曹はもちろん増やすという話ですけれども、その中で裁判官も大幅な増員というのが提言されているんですね。それは御存じのことだと思いますけど。
 当時の事件数を前提として、平成十四年からの十年間、すなわち二十三年まで、この本年までですが、五百人の増員が必要であると。仮に、事件数が一・三倍になればその一・三倍、五百人の一・三倍の数が必要になるんだと、そういう提言が出ているわけですね。ところが、この十年の間に事件数は約一・五倍に増えました。ですから、この七百五十人、五百人が一・五倍ですから七百五十人を増員しなきゃいけないんですね、この十年間の間に。そういう司法制度改革審議会の答申ではそうですね。
 ところが、昨年度までの増員数は五百六十二人でございまして、本法案が可決したとしても十年間で六百七名です。ですから、約百五十人は不足するんですね。なぜ判事補を増やさないんでしょうか

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 今、事件が増えたという、当時の想定に比べて事件が増えたというのは委員御指摘のとおりでございますが、判事補の採用数につきましては、先ほど来議論がございましたように、まず一定の判事補が任官を希望するということが前提でございますが、さらにやっぱり一定の質の確保という観点で、こちらの採否の判断としておるわけでございます。近年では、下級裁判所裁判官指名諮問委員会ということの答申を受けて採用するという結果、現在のような採用数という実績でございます。
 そういう関係で、今、定員もそういった実績を前提とした定員ということで今年はやっていけるんではないかというふうに考えた次第でございます。

○古川俊治君 では、先に進みますけれども、今お話がございました下級裁判所の裁判官指名諮問委員会ですね。これ、裁判官の今新任の希望というものがあるというお話でしたので希望数ということから考えたいんですが、今まで新任の裁判官、質ということもおっしゃいましたけれども、裁判官の質というのは法曹の質と同義か同義じゃないか、この辺が私も大変疑問なんですが、新任の裁判官の採用についてなんですけれども、どういう基準により今まで行ってきたのか。また、それは下級裁判所裁判官指名諮問委員会ができた前後によって違いがあるのかないのか、この点についてお話をいただきたいと思います。

○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
 裁判官の採用に当たりましては、現在の様々な紛争に対しまして適正迅速に対処していくために、資質それから能力の両面におきまして、法的な知識、判断能力はもちろんのこと、教養や視野の幅広さ、洞察力、理解力、決断力、またコミュニケーション能力などが求められるということに考えております。採用に当たりましては、以上のような観点から、司法修習中の成績ばかりでなく人物面においてもふさわしい人物かどうかについて見ております
 指名諮問委員会が立ち上がった後との対比の点でございますけれども、一般有識者委員を含むこの委員会では、先ほど申し上げました観点から、司法修習中の成績のほか、指導担当者の意見など人物に関する情報等も総合的に検討した上で指名の適否を判定しており、指名過程の透明性をより高めることができたものと考えております。

○古川俊治君 安浪局長は私、司法修習中に大変お世話になったので、局長のように見識等も優れて、能力、見識優れている方はそんな多くないと思うんですね。裁判官でもそうではない人を私も存じておりますけれども。
 そうすると、現在、今おっしゃったような基準というのは極めて抽象的で恣意的な判断を妨げられないということがございます。現在も、下級裁判所裁判官指名諮問委員会ができて外部からの評価も可能になった、そういう前提があるのになおそうした裁判所の選択が行われているのかどうか、その点について伺いたいと思います。もし客観的な評価があるんであれば、希望者は全部諮問にかけたっていいんじゃないでしょうか

○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 裁判官を希望する者につきましては、そのとおり指名諮問委員会の方に諮っております。その結果の答申を受けて、適とされた者について任官をしてもらっておるという、こういう状況にございます。

○古川俊治君 確認です。はっきりお答えいただきたいんですが、司法修習中の成績が極めて悪い、それでも、順位を付けますからね、あれ、極めて悪くても、希望すれば今諮問にかけているんですね。確認です

○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 裁判官への希望をしておりながら裁判所の方でそういった任官の希望を絞り込むというようなことはいたしてないものと承知しております。

○古川俊治君 この新任の裁判官については、私も修習中にいろんな事情がございまして、今日そのような御答弁ありましたのでこれで多分成績の悪い人も希望を持って裁判官を選ぶというふうに思いますから、それはそれでいいんですけれども、できるだけ自由な選択を認めるということをお願いしたい。従来は、成績が悪いと何となく肩たたきで、おまえはきっと無理だよというようなお話があったということも私伺っておりますので、そうした恣意的な選択がないようにお願いをしたいと考えております。
 もう一つ、判事補の増員で申し上げますと、医療過誤あるいは建築関係、こうしたものは非常に専門化しております。ですから、この十年間、数だけではなく、事件の専門性ということも増したという観点からは、当時の数の状況以上に、そういった意味では、七百五十人と言われていますけど、もっと、千人、それ以上に増やす努力をされるということも必要だと私は考えていますので、裁判所の方でも、この辺、開かれた司法という司法改革の理念に沿うためには是非より多くの裁判官になっていただくようにリクルートを活発にやっていただきたい。そのぐらいの姿勢で取り組んでいただくのが国民のためだと思います。よろしく御尽力いただきたいと思っております。
 では、次に移りますけれども、憲法七十六条三項、「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と、基本的な条文でございますけれども。江田大臣も、一昨日の本委員会、私も質問させていただきましたけれども、その場で、裁判官の場合も一人一人の裁判官が独立して職権行使をするんだということをお話をされております。
 ところが、裁判所も多くの訴訟というのは合議制で、特に重要な訴訟は合議制で行われております。そうすると、検察と同様に同一体として判断することが求められることになるわけですね。
 先日は検察のこの独任官庁と検察官同一体の原則という相反する原理でございましたけれども、今回の場合も裁判官の独立と合議制、この相反する要請がございますけれども、これもどのように調整されているのか。江田大臣、是非裁判官の御経験からお話をいただきたいと思っています。

○国務大臣(江田五月君) 法務大臣としてお答えするのはなかなか困難なテーマで、いや、これは笑い事ではないんで、本当に司法の独立がありますし三権分立もありますから、私が合議の在り方についていろんなことを言うことは差し控えなきゃいかぬことだと思いますが、せっかくの委員の御質問ですから私の経験から申し上げるので、これは法務大臣が司法の方に介入しているというふうに受け取られたら大変心外ですが、審議の参考のために申し上げますと、合議というのは、検察官の場合とは違いまして、これは合議は、やはり一人一人の裁判官が全部独立して合議に参加をいたします。そして、いろんな議論をして、その結果まとまらなければ多数決です。ですから、三対一という、いや、二対一ということはあり得る話です。ただ、合議の秘密がありますから、これは二対一でしたとか三対ゼロでしたということは外には出しません。下級裁判所の場合はその合議で多数決で、あるいは全会一致で決まった結論は一つの判決として外へ出てまいります
 その合議の場合に、まずは普通は主任の裁判官が意見を述べます。これは大体の場合が判決を起案して、そして合議の合議体を構成している裁判官に順次回して、そして筆が入ってまいります。そして、その主任の裁判官というのは、私の経験ではやはり一番若手の裁判官が行うと。
 これは、実は合議といいましても、独立といいましても、やっぱりキャリアを積んだ先輩裁判官と、そしてまだなりたての、これは本当にそうなんです、なりたての裁判官が自分の意見を独立して先輩の裁判官に対して堂々とこれが私の意見だとして言うのは本当に大変なことであるし、そして勇気の要ることでもあるし、あえてそれを一番若手の裁判官がまず最初に起案して出していくというところに鍛えられていくというプロセスがあるんですね。
 そういうことをやりながら、そして合議というのは今の起案の過程だけでなくていろんなところで行われます。法廷が終わります、法服を脱ぎます、昼飯を食べに行きます、そこでいろんな議論を食べながらやるということもあるし、様々な合議がございまして、その生きた合議体の議論というものが実は裁判官を鍛えていく、そういう道筋にもなっていると。
 裁判官の独立と言うけど、本当は独立して物を言うというのは物すごく大変なことだと、そのことは是非お分かりをいただきたいと思います。

○古川俊治君 くしくも、今お話ししていただきました。江田大臣の個人的な御意見というふうに伺っておきますけれども。
 私もそれはそうだろうと思うんですね。やっぱり若い人たちがその組織の中で物を反対して言っていくというのは非常に難しいと。だけど、お分かりのように、最高裁の判断なんかでは、例えば八対七、九対六というふうに極めて微妙なところで判断しなきゃいけない法律判断ですから、そういう事例はあるわけですよ。ですから、逆に言えば、意見がみんな一致する方がおかしいと思うんですね、私も。ただ、そうすると、上司になかなか物を言いにくいと。この状況のその裁判官の独立というのは、そうすると非常に憲法で保障されていながら危機的ではないかと私は非常に懸念をするんですね。
 この点で、裁判官の人事評価というのは私は極めて重要だと思うんですね。その点で、この透明性を確保するために、司法制度改革審議会の意見を受けて、平成十六年四月から新しい人事評価制度が行われておりますただ、この中では、人事評価は、判事、判事補についてはその所属する裁判所の長、簡易裁判所についてはその所属する簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の所長がそれぞれ行う。すなわち、上司が行っているんですね、やっぱり
 人事評価の基準ですけれども、客観的でかつ透明性のあるものにしろという審議会の意見でございましたけれども、先ほど安浪局長がおっしゃったような、何とかの能力とか何とかの資質とか、そういうふうに書いてあるわけですよ。それ、とても客観的で透明性があるとは思えないんですね、とてもじゃないけど。それを上司が判断するということになると、これは裁判官独立ということになると、これ極めて危機的じゃないかと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。どなたでも結構です。

○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 議員御指摘のとおり、個々の裁判官は独立してその職権を行使するものでございます。したがいまして、裁判官の人事評価ということにつきましては、その独立性に影響を与える危険ということについて常に慎重な配慮が必要になるものと考えております。

○国務大臣(江田五月君) 再度全く個人的なことを申し上げますが、上司とその部下という、そういう関係に裁判官は立ちません。一つの部をつくった場合だって、部を総括する裁判官と右陪席、左陪席とおりますが、全部対等です。上司じゃありません
 上司に物が言いにくいんじゃなくて、先輩にはやっぱり後輩というのは、だって先輩の方がそれは優秀だということ、そのくらいが分からない独立性ではそれはいけないんで、やっぱり先輩の言うことはよく自分は聞いてみるという、そういう気持ちを持ちながら物を言うんです。先輩の方は、やっぱりそういう若手を育てるためにそういう若手に物が言いやすいような、そういう合議の雰囲気をつくっていくという、そういうところが重要なんで、したがって今の人事評価についてもそうした、私なんかは随分裁判所の中で生意気な裁判官でした。それでも自分が生意気にその先輩にいろいろ物を言って、それで何かにらまれたりしたようなつもりは毛頭ありません

○古川俊治君 検察の場合は事情が違うのかもしれませんけれども、検察の場合はもう独任官庁制ですから、ある意味では上司といってもそれは先輩という形だと思います。これは多くの官僚の方にも言えるんではないかと思うんですけれども。そうであれば、やっぱり先輩に物を言いにくいとすれば、上司ではなくてですね、そうすれば、やっぱり裁判官の良心の独立というのは、法的な考え方、先ほど申し上げましたように分かれるのが自然なんですね。それであるのにそれを一つにしなきゃいけない、かつ先輩に物が言えない、この事情がやっぱり問題ではないかと私は考えていると、それを意見として言わせていただきたい。
 もう一つ、不服申立ての制度がそこでやっぱりあるわけですね。これ、人事評価、客観的にやらなきゃいけないと。残念ながら、透明性、客観性、いずれもない基準で相変わらず行われているということは今分かりましたけれども。
 それで、この不服申立てができればまだいいんではないかと、そのために不服申立て制度をつくりなさいということを審議会の方から言われてつくったわけですね。これ、平成十六年につくりました。十六年度四件、十七年度五件ありました。ですから、一応機能しているように見えた。ところが、十八年度から二十二年度までは五年間で一件しかないんですね。すなわち、当初やってみたんだけれども、やっぱりそんな不服申立てするととっても不利に扱われちゃって、やっぱりやらない方がいいよという文化ができちゃったんじゃないか。実際この五年間を見ると、この不服申立て制度が機能しているとはとても思えないんですね。その点いかがなんでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 裁判官の評価が終わりまして、評価書というのができ上がります。それに対しまして、裁判官の方から評価書の開示請求というのを行うことができることになっております。その件数は大体年間で百五十人ほどの者から請求がございます。その開示を受けた者の中で更に不服を申し出るという数が先ほど議員がおっしゃられた数でございます。
 この人事評価の過程ではいろいろ裁判官と評価権者が面談を行ったりしておりますので、そうした過程で評価書に書かれていることと同じような内容を評価権者の方で面談を通じて説明などもしておりますので、それなりの納得が得られているということもあるんだろうと思っております。

○古川俊治君 自分がどう評価されているかというのは恐らく知ってみたいと思うところなんですね。私も司法修習所を卒業するときの成績を開示していただきましたけれども、それは不満がありましたけど、別に文句言ってもしようがないと思って不服申立てはしませんでした。だから、それは見たいということと不服を実際に申し立てるという行為とは全然違う次元でございますから、みんなが見たいと言っているからいいという話には私はならないと思っております
 今後もより客観性そして透明性ある基準にやはり変えていただく、こういうことが必要だと思います。検察の件、これも今いろんなことが言われましたけれども、その評価制度も含めて検察の例にならないように御検討をいただきたいと思います。
 前川委員と同様に、これ、私も司法改革のことにはもうほとんど同じ意見なんですが、やはり法曹養成の在り方は変えていかなきゃいけない、そういう時期に来ているんだろうと思っております。
 端的にお聞きしますけれども、二十二年度まで新司法試験の合格者約三千人にしよう、この目標は残念ながら達成できなかったわけですけれども、二十三年度、本年度、もうすぐです、決めなきゃいけないんですが、どのようにお考えなのか、お答えをいただきたいと思っております。

○国務大臣(江田五月君) 委員、残念ながらとおっしゃっていただきましたが、私も本当に残念に思っております。
 司法制度改革のスタートのときに三千人という目標を立てて、そこへ持っていこうといろんな努力をしましたが、それが実現できていないということはこれは大変残念なことで、しかし、できていないにはできていない理由があるわけですから、これと真正面と向き合いながら、合格者数のことについても、何が何でも三千というわけではなくて、やはりそこはいろんな工夫をしながら、しかし法曹人口を増やしていく、日本の法的サービスというのをもっと層の厚いものにしていくという努力はしていかなきゃいかぬと思っております。
 そういったいろんな、毎年の試験の結果、合格者数というのはいろんな状況の中で変動していくものでありまして、現段階で合格者数について言及することはできないものでございますが、いずれにしても法科大学院において司法制度改革の理念を踏まえた充実した教育が行われるように、そして多くの有為な人材が新司法試験に合格していただくことを期待をしております。

○古川俊治君 法科大学院のことも前川先生もおっしゃいました。私も今度どうするのかと大変不安に思っております。文科省の方から、今日、政務官に来ていただきましたので、法科大学院の今後の方針について伺いたいと思います。

○大臣政務官(笠浩史君) 先ほど来御指摘ありますように、今後、本当に法科大学院の組織の在り方というものは、これまで法務省の方とも検討してまいりました。
 もちろん、この見直しについては各大学において自主的そして自律的に判断すべきものであるということが大前提ではございますけれども、この質の課題を抱えている法科大学院について、私どももその質の向上を促進するとともに、特に深刻な課題を抱える大学院に対しては、この自主的、自律的な見直しを促進するため、新司法試験の合格率やあるいは入学者選抜の競争倍率を指標として公的な支援を見直すということも公表をしたところでございます。こうした方針を踏まえて、各大学において主体的な組織の見直しが行われるものというふうに考えております

○古川俊治君 自然淘汰という方針というふうに伺いますけれども、私も前川委員と同じように、どこかの既得権益がはびこっていて、なかなかこれは一回つくっちゃったものは難しいということでありまして、ただ、現に一〇%以下でずっと来ているとか、もっとひどいのになると数年に一回しか合格者が出ない。このような大学院に在学していても受かる気になりませんよね、やっぱり在学生だって。それから思うと、つくってしまった責任というのは文科省にもかなりあると思うんですね、国の方にも。ですから、その辺の議論をしっかりして、大学当局もかなりの出資をしているわけですから、その辺を合意を取ってしっかりと収拾をしていただきたいと。
 江田大臣おっしゃいました国民に開かれた司法、まさにこの理念は私も失ってはいけないと思うんです。ただ、その手段についてはいろいろ考えなきゃいけない。ただ、それはみんなが、国民に開かれた司法というのは誰でも考え付く理念なんですよ。それがいいに決まっている。多様な人材から法曹になっていただきたい、誰でも思いますよ。ただ、そのための手段を考えるのがまさに政治の場じゃないですか。ですから、これはもう江田大臣として、法務大臣でいらっしゃいますから、是非ともここはしっかりとした方針を打ち出していただきたい
 司法修習生の給費制のお話、前川委員からもありましたけれども、あと半年になっちゃったんですね。この半年間、ほとんどそういった議論が進んでいないと思うんですね。そうすると、あと半年でまた一年間どうするんだと必ず議論になりますよ、大騒ぎになります。実は、この一年間の間に司法制度改革の大きな見直しをするんだと、あのときに超党派でお話をしたと思います。
 ところで、私も、このことはまさに中長期的な司法制度という国民生活に非常に深く関連するものの基盤をつくっていく話ですから、是非超党派の合意でもって変えていくべきだと思うんですね。この超党派の議論の場というのが全くないというのにも非常に私、時間的な迫りもございますし、不審に思うんですが、江田大臣、いかがなんでしょうか。

○国務大臣(江田五月君) 超党派の議論の場というのは、司法制度改革のときにはいろいろとできました。司法制度改革についての議員連盟もできましたし、また個別の議員連盟もできました。そして、これは私が法務大臣に就任する以前の話ですが、給費制、貸与制の問題をめぐってと、それからもう一つは司法制度全体についてと、超党派の議員連盟をつくろうというような機運が若干起きたことがございました。
 しかし、今のような現状になっているわけでありまして、私は、議員連盟という形であるかどうかは別として、司法制度というのはやはり与党、野党を超えた課題ですから、是非とも与党、野党を超えて皆さん、ひとつ本当にどういう司法制度がいいのか、よく超党派で議論していただくことは大変大切だと思っております。歓迎いたします

 

○桜内文城君 まず、裁判所職員の定員数を増加させる背景について、戸倉総務局長にお伺いしようと通告もしておるんですが、既に古川委員からも同趣旨の質問がなされておりますので、時間の関係もありますので、そこは省略させていただきます。
 特に、民事訴訟におきまして、過払い金返還請求訴訟が激増しているというふうに聞きますけれども、その実態について、例えば件数ですとか金額等についてどうなっているのか、御教示お願いいたします。

○最高裁判所長官代理者(永野厚郎君) お答えいたします。
 過払い金事件という形で統計を取っておりませんので、過払い金事件がかなりの割合を占めていると考えられます金銭その他の事件の累計についての数字でもってお答えをさせていただきたいと思います。
 まず、事件数でございますけれども、御指摘のとおり平成十八年以降急増しております。全国の地方裁判所に提起された金銭その他の事件の事件数は、平成十七年には三万八千三百六十八件であったのが、平成二十一年には十三万九千八百二十五件にまで増加いたしました。平成二十二年には、若干減少して、十二万五千八百七十三件となっております。
 次に、請求の平均額でございますけれども、統計上の制約がありますので正確な数字を申し上げることは困難ではございますけれども、例えば訴額が五百万円までの事件については実数値に基づき、五百万から一千万円までの事件、一千万円以上の事件については、それぞれ七百五十万、二千万を代表値に設定した上で、訴額の平均額を推計してみますと、平成二十二年では約二百六十万円という数字が得られます。
 最後に、訴訟のてんまつでございますけれども、平成二十二年に判決で終局した事件が全体の二七・五%を占めております。そのうち原告の請求が全部又は一部認容された事件の割合は九三%となっております。判決で終わったもの以外の大部分は、和解又は取下げで終わっておりますが、経験的にはこれらのうちのかなりのものが原告の請求が満足される形で終局しているものと思われます。

○桜内文城君 続いて、法務大臣にお尋ねいたします。
 今、お聞きになりましたとおり、過払い金請求訴訟、非常に件数も、そして金額的にも大きいものがございます。この四、五年といいますか、で見ましても、恐らく、これしっかりとまだ統計を取っていないということ自体も私は問題だと考えますけれども、それはさておき、一年間当たりどのぐらい過払い金請求訴訟によって支払がなされているのか。先ほどおっしゃいました数字から推計しますと、年間約三千億円前後、あるいは超えるんではないかというふうに考えられます。これが四、五年続いておるわけですので、恐らく一兆円軽く超えているような状況になっておると思われます。
 これに対して私がお尋ねしたいのは、弁護士会あるいは弁護士の報酬の関係、報酬金ですね、の関係でございます。非常に高率の報酬金を手にしていらっしゃる弁護士もたくさんいると聞いております。また、一部には、実際の原告と申しますか、請求を申し立てた方に十分な情報を開示せずに非常に高額の報酬金を手にしていらっしゃるとの批判も報道等で出てきておるところでございます。
 この四月一日に施行されました日弁連の規程がございまして、その十五条では、過払い金報酬金として「二十五パーセント以下の範囲内で」というような文言がある。ということは、逆に言うと二五%以上取っていた事例も恐らくはこれまであったんではないかというふうに推測されるところでございます。
 これらについて、弁護士あるいは弁護士会においてこの期間どのぐらいの報酬金といいますか売上げがあったのか、その利益率等について法務省として把握されているかどうか、まずお尋ねいたします。

○国務大臣(江田五月君) 弁護士の報酬というのは、これはもう委員御承知のとおり、原則としては各弁護士が個々の事案に応じて依頼者との合意によって定めるものでございまして、さらにまた、消費者金融の過払い金返還請求訴訟というそういうカテゴリーというのが社会にはあるんですが、今の最高裁の統計といってもなかなかそういうことで事件がふるい分けられないというようなこともあって、なかなかその実態というのは統計的に正確な把握の仕方が非常に困難でございまして、弁護士報酬というのはそういう個々の相対の契約で決まるものでもあるということもあり、過払い金返還請求訴訟の弁護士報酬の実態は把握をすることは大変困難でございます。
 しかし、困難だと言っているだけではいけないんで、いろんな報道の関係、あるいはいろんな人の生の声、そういうものを聞いておりますと、確かにこの報酬に関していろんな問題があるということは察知されるわけでございまして、しかしこれは、それを察知したからどうというんじゃなくて、やっぱり日弁連においていろんな努力をしていただきたいということで、日弁連において批判がいろいろあることに鑑み、主として過払い金返還請求事件における弁護士報酬額を適正化するため、本年二月に今委員おっしゃいました債務整理事件処理の規律を定める規程というものを定めて上限の定めなどを行っておると、そういう取組をしているものと承知をしております。
 法務省としては、日弁連が引き続き適切な対応をすることを期待をしております

○桜内文城君 その方向で法務省としても対応していただければ幸いでございます。
 なぜこのようなことが起きるのかということから考えますと、やはり弁護士自治の範囲がやや曖昧な部分が多いのではないかというふうに考えております。昨日質問通告の折に法務省の方にもお尋ねしましたけれども、弁護士自治の原則というのは一体法的な根拠としてどういったところにあるのかということで一緒に弁護士法なども見ておったわけですけれども、特に明確な根拠、これだっていう条文がなかなかないんですね。
 ただ、私が考えますに、これは意見として申し上げますけれども、弁護士がなぜ独立して職務を遂行することが認められているのかということを考えますと、やはりそれは社会正義の実現、もうちょっと具体的に言いますと、例えば政府から介入されないように、政府から例えば政治的な自由あるいは言論の自由が侵害されそうな方がいたときに権力と対峙していくという非常に重要な役割を担っているからではないかというふうに私は考えております
 ただ、その観点からしますと、こういった弁護士の報酬ですとか、あるいは先ほど話ありました修習生の貸与制かどうかというのは、これは経済的な利益に関する事柄でありまして、直接、例えば憲法訴訟上にありますようないわゆる二重の基準論、精神的自由とそれから経済的自由において、特に精神的自由あるいは政治的自由についてより厳格に考えていくべきじゃないかというふうなことからしますと、このような今回の過払い金請求訴訟によって貸金業という一つの業種が消滅したんですね。まあそれはいい面もいっぱいあったと思うんですけれども、それだけの経済的なインパクトがあったのは確かです。これに対して、その報酬というものが法務省もほとんど把握できていないということが、私はそこが問題だと考えております。
 私は会計士補でして、会計士の端くれでありますけれども、公認会計士の場合、もちろん職務の独立性というのはあるんですけれども、プロフェッションとしてあるんですけれども、同時に日本公認会計士協会の懲戒の規則とともに金融庁によって監督されるという部分もあります。なぜならば、公認会計士の目的というのは資本市場を守る、公正な資本市場をつくっていく、こういった公益にあると私は考えておりますけれども、弁護士も恐らく先ほど言いましたような社会正義を実現するという意味で公益に携わっているプロフェッションとして独立性が認められているわけですけれども、こういった経済的な利益についてまで法務省が口出しできない、あるいは情報開示すら十分に求められないという現状は改めるべきだと考えますが、大臣の所見をお伺いいたします。

○国務大臣(江田五月君) 本質的な問題点を指摘をされたと思っております。ただ、社会正義の実現を超えて、私は、自由な社会というものにおける公権力の在り方という、これはもう桜内委員がいろいろなところで御指摘いただいていることでございますが、その辺りにかかわってくることだろうと思っております。
 弁護士自治というのは、やはり弁護士という、これはもちろん一人一人の人権の保障であり、裁判の場でまさにもう検察官と真っ正面から向き合う職種であり、そしてそれだけではなくて、社会のいろんな隅々で、弁護士がそれこそ正義の実現、時には社会から見ると、おいおいそこまでやっていいのかというようなことをあえてやる、それをやることによって私の言いたいことがやっと言えたという、そういう人もいるわけですから、そういう立場に立つ弁護士活動というもので、これは弁護士一人一人の自治もありますが、やっぱり弁護士会自治、これが非常に重要なことで、そこに我々は極力介入をせずに、そこは頼みますよと、そういう重要な役目を弁護士会は担っているし、弁護士は担っているんだよと、こういうことを自覚をしてやってくださいよという思いで見守っていく以外にないものだと思っております。
 さはさりながら、報酬はちょっと物言ってもいいんじゃないかと言われますが、やっぱり報酬というのは、そういう弁護士さん方が自分の生活を立てながら、子供を養いながら自分の人生を全うしていく一番の基礎ですから、そこに対して余りいろんなことは言いたくない。しかし、世の中が、いやいや、しかしこの今の過払い金請求事件の報酬などでこんなむちゃがあるじゃないかという声が聞こえる。これはやはり何かしらのことは、希望の表明ぐらいはさせていただくことはあっていいのかなと思ったりしております。
 日弁連において、今、先ほど御意見が、御議論があったようないろんな報酬規程について一定のアクションを起こされ、そしてそういうことに従って過払い金請求訴訟においても弁護士報酬の適正化が今図られているんだろうと期待をしているところでございます。

○桜内文城君 大臣のおっしゃるとおりだと思っております。
 一言だけ付け加えますと、言わば、やはり弁護士会ですね、日弁連さん、大変に政治的な力もお持ちの業界といいますか団体でもありまして、例えば昨年の貸与制に関する話におきましても、私はあえて本会議でも反対討論に立たせていただいたところでありますけれども、それほど非常に政治的な力をお持ちの団体であり、たまたま宇都宮会長が私同郷の出身だと知らなかったんですけれども、そうやってけんか売ったりもしたんですけれども、少なくともやはり業界の売上げ動向ですとかあるいは利益水準ですとか、個々の報酬あるいは個々の弁護士が幾ら稼いでいるかというのはもちろん開示する必要はないんですけれども、業界全体としてどういった状況にあるのかということぐらいは情報開示を求めていっていいんではないかなというふうに考えていることを意見として申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

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