政府公表資料等情報

参院法務委員会平成23年04月26日より抜粋(下線は当サイトによる)

○前川清成君 ・・前回、四月十四日、質問をさせていただいた際の大臣の答弁の結論がはっきりしませんでしたので、その結論のところだけまず確認をさせていただきたいと思っています。
 法と正義が社会の隅々まで行き渡る、そのためには私も小さな司法から大きな司法への改革を進めていかなければならないと思っています。この点で私も大臣も恐らく考え方は同じではないかなと思います。ただ、四月十四日に指摘をさせていただきました、法科大学院や、あるいは貸与制、あるいは二回試験、司法制度改革後の法曹養成制度について、ひずみやあるいは改善すべき点があるのではないかと私は考えています。この点、大臣は、司法制度改革後の法曹養成制度について、今のままで手を加える必要がないと考えておられるのか、そうではなくて改善すべき点があると考えておられるのか、まずは結論を明確に御答弁いただきたいと思います。

○国務大臣(江田五月君) 結論的には改善すべき点があると思っております。

○前川清成君 それでしたらもうくどくどと繰り返しませんが、大臣は前回の答弁の中で、法科大学院について法曹養成制度の中心に据えたと、そういう表現をお使いになられました。ところが、前回も指摘をさせていただきましたが、法科大学院の教員二割が実務家教官で足りると、こういうふうになっています。しかも、その二割は裁判官、弁護士、検察官に限らない。この前も申し上げましたが、例えば司法書士さんであっても税理士さんであっても行政書士さんであっても、その法科大学院が適当だと認めれば実務家教員に加えられると。私はこれでは法曹養成の中心に据わるわけにはいかないのではないかなと、そう思っているんです。医学部の教員で医者でない者がいるのか、自動車学校の先生で運転免許の持っていない人がいるのか。しかし、法科大学院だけはなぜか特例が認められている、私はこの点は是非改善をしなければならないと思っています。
 あるいは、弁護士になりたいけれどもお金がない、そんな若者にとって障害は、司法試験に合格した後、修習生になって給料をもらえるか、貸与制にとどまるかではなくて、弁護士になりたいけれどもお金がない子供たちにとっては、いや、そうじゃなくて、普通の家庭に生まれ育った子供たちにとっては、法科大学院の学費こそが私は最大の障害ではないかと、そう思っています。
 大臣が是非、その司法改革の思いを大切にされるのであれば、今年の秋には貸与制の期限がやってきます。それまでに、フォーラムに任せたとか、与党の皆さん、野党の皆さん、御意見を下さいじゃなくて、大臣の是非強いリーダーシップをお願いしたいと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

○国務大臣(江田五月君) 法科大学院というものを法曹養成制度の中核に据える、この考え方は私は今も正しいと思っております。司法制度改革の初めの段階からずっと政治の場でかかわってきて、やはり、従来の一発試験の弊害もいろいろあって、プロセスとして養成をしていこうと。しっかりした指導者が時間を掛けて一つ一つのカリキュラムを通じていい法曹を養っていこうという、この考え方は今も間違っていないと思っておりますが、現実に、ロースクール、法科大学院がどういう教育になっているかということについていろんな御意見があって、私もその御意見が全て当たっているかどうか分からないところもございます。
 今までの制度と比べて、その今までの制度をよしとして現にある制度を判断すると、これはやっぱり間違う。新しい制度の理念から判断していかなきゃならぬと思いますが、それにしても、委員おっしゃるとおりのいろんな問題点があることは確かで、さらにまた、この法科大学院の学生たちがどういう経済的負担を今負っておるのかといったことについても十分研究、検討をして制度を設計をしていきたいと思います。
 これは、今、御主張ではございますが、法曹の養成に関するフォーラムをやっと今立ち上げようとしているところでございまして、そのフォーラムでの検討は私は大いに期待をしているところで、しっかりした方向が出てくると思っております。

 

参院決算委員会平成23年05月16日より抜粋(下線は当サイトによる)

○前川清成君 民主党の前川清成でございます。(拍手)久しぶりに拍手もしていただきまして、ありがとうございます。
 今日は、前半部分は法科大学院の問題を中心に議論をさせていただきたいと思っているんですが、二〇〇一年に司法制度改革審議会の最終意見書が提出されました。これに基づいて、例えば二〇〇九年の五月からは裁判員制度というのがスタートをいたしましたし、検察審査会法というのが改正されまして、強制起訴という制度も動き始めています。また、弁護士や裁判官、検察官、いわゆる法曹を養成する仕組みも大きく変わりました。私などはラジカルな変化だというふうにも思っています。
 私事で恐縮ですが、私は今から二十四年前、昭和六十二年に司法試験に通りました。四十二期です。そのときの合格者数が四百八十九人でした。多分、江田大臣のころもあるいはこの後質問に立たれる松野さんのころも五百人ぐらいの合格者であったと思います。それが現在では二千人。司法制度改革審議会の最終意見書どおりであれば、二〇一〇年ごろ、もう既に過ぎておるんですが、三千人と一挙に六倍に増やすことになっています。
 他方で、五百人の時代は、司法試験を受けるのに何の資格も何の学歴も要りませんでした。ですから、例えばあの大平光代さんという方は、中学校のときにいじめられた、自殺も試みた、高校へ進学することができなかった、暴力団の組長と結婚もした。しかし、もう一度やり直そうということで司法試験に挑戦し、弁護士になることもできましたが、現在では大平光代さんのような再チャレンジは許されない仕組みになっています。
 なぜならば、大学を卒業した後、更に二年ないし三年法科大学院に進学しなければ原則として司法試験の受験資格が与えられない。しかも、法科大学院はただでは行けません。国立大学でも初年度百万円、私立大学では二百万円以上というような納付金を払わなければなりません。この学費を二年ないし三年払ってようやく受験資格が与えられるというふうに改正してしまったことは、私は、志は持っているけれどもお金のない若者たちからチャンスを奪ってしまった、この点は問題ではないかと思っています。
 その点で、まず最初に、櫻井財務副大臣、今日お越しいただいておりますのでお尋ねをしたいんですが、二〇〇四年に裁判所法が改正されました。これは、当時与党だった自民党、公明党はもちろん、野党だった私たち民主党も賛成をいたしました。五年間の猶予期間が過ぎて去年の秋から、司法修習生に対する給与の支給、つまり給費制が廃止されて、代わりに給与と同額程度が貸与される貸与制がスタートすることになっていました。ところが、法律の施行期日後に議員立法で改正されまして、貸与制の施行が一年延長されました。これはどのような経緯だったのか、財務省として御存じのところを副大臣にお答えいただきたいと思います。

○副大臣(櫻井充君) 前川委員にお答えいたします。
 これ、本来であれば、財務省にお問合せの件ではなくて法務省にお伺いしていただくべき件ではないのかというふうに思っておりますが、これはあくまで議員立法で出されたものでして、本来であれば、党側の規則では、関係省庁との連絡を取る、若しくは協議を行うという経過を経るはずですが、三党で合意されるまで我々の方に何ら問合せはなかったということでございます。ですから、我々はどういう経緯でそのようなことが決定されたのかについては承知していないということでございます。
 以上です。

○前川清成君 私は、司法修習生に給料を支払って、その分一生懸命勉強してもらう、で、法曹になった後に公益に尽くすことでお返しをしてもらうと、これまでの給費制という仕組みは大変良かったと、そう思っています。
 あるいは、私も二十三年前に月十五万円の給料をもらいました。この十五万円のお金は、その後弁護士として受け取った百万円の着手金よりも、五百万円の報酬金よりもはるかに有り難かった、そう思っています。
 しかし、去年、日弁連などが繰り返したように、貸与制になってしまったら、金持ちの子供しか弁護士になれないというのは本当かと。法科大学院の学費が法外に高い、後で議論をいたしますけれども、合格率も低い、金は掛かるけれどもどうなるか分からない。その結果、金持ちの子供でしか法科大学院に行けないし、したがって金持ちの子供でしか司法試験の受験資格が与えられない現実を放置したまま、法科大学院に進学することができた、司法試験に合格することもできた、その言わば恵まれた立場の者たちの生活費、これを貸与制か給費制かと切り取って議論することは、私は物事の本質を見ていないのではないかと、そう考えています。
 この秋、給費制を維持するか貸与制を実施するか最終結論を出すべきときがやってきます。その際に、是非、物事の本質、つまりは法曹になりたい、しかしお金がない、そんな若者にとって何が必要か、限られた財源の中で、財政状況が厳しい中で何に優先して税金を使うのか、大きな議論を是非財務副大臣にお願いしたいと思っていますが、いかがでしょうか。

○副大臣(櫻井充君) 前川議員の問題意識というのは、私は本当に的を得ている、すばらしいことだと思っております。
 そのことに関しまして、現在、法務省、それから文部科学省、それから財務省などが中心になりまして法曹養成フォーラムをつくらせていただきました。夏までに法科大学院等も含めてある程度の方向性を出させていただきたいと、そう考えているところでございます。

○前川清成君 それでしたら、またその議論の中身についてもどこかでお尋ねをさせていただきたいと思います。
 法科大学院のことに少し入っていきたいんですが、どうして法科大学院を設立したか。これは司法制度改革審議会の最終意見書等に書かれているんですが、一方では司法試験の合格者を従前の六倍にまで増やすと。合格者を増やすんですから、当然の結果として合格水準は落ちてしまうと。しかし、合格者を増やしても合格水準を落とさない、レベルを落とさない仕組みが法科大学院であったはずです。しかし、法科大学院が当初のもくろみどおりの教育効果を果たしているのか、この点についてまずは文科省にお尋ねをしたいと思います。

○大臣政務官(笠浩史君) 前川委員にお答えをいたします。
 今御指摘のように、この法科大学院については、一つは量といいますか数を増やしていくということと、もう一点、質をしっかりと確保していく。今恐らくこの質についての御質問かと思いますけれども、二十一世紀の司法を担うにふさわしい質の法曹を確保する観点から、司法試験という点のみによる選抜ではなくて、法学教育あるいは司法試験、司法修習を有機的に連携をさせたプロセスを重視した新たな法曹養成の中核的な機関としてこの法科大学院が設置されたものでございます。
 今、文科省としても、その質をしっかりと担保するように、そして優れた法曹を輩出するように努力をしておるところでございますけれども、この評価については、今、一定の法科大学院を修了した司法修習生の素質あるいは能力も、司法修習生の指導に携わる関係者からは、全般的に従来に比べて遜色はないけれども、特に自発的、積極的な学習意欲が高いこと、さらにはコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力に優れていること等々の評価が行われているところでございます。

○前川清成君 笠政務官のせっかくの御答弁ではありますけれども、私は、法科大学院が当初予定したあるいは理想としていた教育効果を上げていないことはもはや誰の目から見ても明らかではないかと、そう思っています。そのことは、まず数字でお示しをいたしたいと思います。
 一つは、司法試験の合格率です。この司法制度改革審議会の最終意見書によりますと、法科大学院卒業生の七、八割が司法試験に合格することになっています。この設定自体、私は大変甘過ぎたと思いますし、法曹を利用する国民の側を考えていなかったと思うんですが、いずれにせよ、当初の制度設計は合格率が七、八割。しかし、実際、現在は二五・四%しかありません。
 法科大学院が全国に七十四校あります。その中で、去年の成績ですが、鹿児島大学や姫路獨協大学は合格率が〇%、青山学院大学や大東文化大学など合計十七校が合格率が一〇%未満。ざっと法科大学院の四校に一校は、卒業しても十人に一人司法試験に合格することができない。これで法曹養成の中核的な施設だというふうには私は恥ずかしくて言えないのではないかと思っています。
 もう一つは、二回試験の不合格者数です。委員の皆さん方にも御説明をさせていただきますが、法科大学院出て司法試験に合格しただけでは弁護士や裁判官や検察官にはなれません。司法修習を終わって二回試験、これは最高裁でいうところの考試というのに合格して初めて裁判官や弁護士や検察官になることができるんですが、ですから、二回試験に落ちるというのはよっぽどのことだし、大変なことでした。私は先ほど申し上げたように司法修習四十二期なんですが、およそ四百九十人ぐらいの四十二期の中で二回試験に落ちた者は一人もおりません。五百人時代、例えば当日体調を崩してしまったとか、そんな方でないと二回試験に落ちるということはありませんでした
 しかし、法科大学院を卒業して司法試験に合格した初年度の皆さん、これは新六十期として司法修習に採用されておりますけれども、新六十期が千五十五名いらっしゃいます。この中で何人が、千五十五名のうち何人が二回試験に落ちたのか、最高裁、お越しいただいていますので、お答えいただきたいと思います。

○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
 新六十期につきましては、千五十五人が受験いたしまして、七十六人が不合格となっております。

○前川清成君 時間を省略したいので私の方で御案内しますが、新六十一期、これは千八百四十四人のうち百十三人新六十二期、七十五人、新六十三期、これは九十名、二回試験に落ちています。念のために申し上げますが、今紹介した数字は法科大学院を卒業された方々だけの人数、いわゆる旧司法試験、現行六十期等々を含まない数字でこれだけの二回試験不合格者を出しています。
 文科省にもう一度お聞きしますが、これでも法科大学院は当初予定した教育効果を上げているというふうにおっしゃるんでしょうか

○大臣政務官(笠浩史君) 今御指摘ありましたように、一定の成果は得られているものの、今後の課題等々はあるというふうに私も認識をしておるところでございます。
 基本分野の法律に関する基礎的な理解や法的思考能力が十分に身に付けていない修了者が一部に見られること、あるいは論理的表現力の不十分な修了者がおるというような、こうした一部の御指摘があることは私も賜っておりますので、そうした点については、今後その質の確保へ向けた努力を続けていきたいというふうに考えております。

○前川清成君 基礎的な学力が一部の者に欠けているというふうなそんな生易しい程度ではないと思います。今申し上げたように、五百人時代は、法科大学院がなかったころはほとんどの人が落ちなかった二回試験に、毎年百人ぐらい落ちているわけです。しかも、これは法科大学院を卒業してすぐ試験を受けたんじゃなくて、司法試験に合格をして、かつ国費を使って司法修習も受けた、その者たちの終了試験で今御紹介した者たちが二回試験に落ちてしまっていると。私は、法科大学院の教育内容、これは極めて劣っていると思います。その劣っている、教育効果が低迷している原因は教員の質だと、そう確信しています。
 そこでもう一度、笠政務官にお聞きしたいんですが、法科大学院は、今、笠政務官もおっしゃったように、裁判官や弁護士、検察官を養成するための学校です。それなのに、なぜ、教員の八割はいわゆる学者、つまり司法試験に合格していないし法廷に立ったこともない、訴状も準備書面も書いたことがない、判決も起訴状も書いたことがない、そんな者で構わないとしてしまったのか
 しかも、文科省の基準によると、この僅か二割のいわゆる実務家教官も、裁判官、弁護士、検察官の経験を有する者に限定しないことになっています。当該法科大学院の判断次第で、税理士さんだって行政書士さんだって構わないと。その結果、極端に言えば、裁判官、弁護士、検察官の経験者が一人もいない法科大学院が存在しても文科省の基準ではオーケーになってしまう。
 これでは私は裁判官、弁護士、検察官を養成することは到底不可能だと考えるんですが、文科省、いかがでしょうか。

○大臣政務官(笠浩史君) 今御指摘ございましたように、この実務家の教員の割合、文科省の方で二割以上というふうに定めているところでございます。そして、現実的には、今平均でこの実務家教員の割合というのが三割を超えておるわけで、中には五割を超えている法科大学院もございます
 ただ、法科大学院においては、司法制度改革審議会の理念を踏まえて、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させたプロセスとしての法曹養成の中核機関として設置されたものであり、体系的な理論を基調として実務との懸け橋を強く意識した教育を行うものであり、この理論と実務の懸け橋を図る観点から、実務家教員と適切な役割分担をしながら、そして連携協力をして共同で授業を担当するということで、それぞれの大学院において様々な工夫がなされているというふうに承知をいたしております。

○前川清成君 今、笠政務官の方は、中には三割、五割のところもあるという御説明でした。それならば、基準を三割に改正すればいいと思います。
 御存じのとおり、法科大学院の教員に関する専門職大学院設置基準、これではそもそも実務家教員は三割以上となっている。ところが、法科大学院についてはわざわざ二割に引き下げたんです。今そのようにおっしゃるのであれば、この基準を三割ないし五割に引き上げるべきだと思います。
 それともう一点。これは別に笠政務官に悪いところはないんですが、文科省は分かりもしないのに、プロセスとしての法曹養成だとか理論と実務の懸け橋だと、こういうふうにおっしゃいます。笠政務官でなくて結構ですが、プロセスというのはどういう意味なんですか。どなたでも結構です。(発言する者あり)いやいや結構、これは通告しておりませんでしたから結構ですが、要するに、文科省の答弁はいつもこのようにプロセスだとかそういう抽象的な言葉だけ出てきて中身がない。だからプロセスという言葉が説明できない
 江田先生、せっかくですから、また後でいっぱい答えていただくんですが、先日、私この質問通告で、法科大学院の室長さんにお越しをいただきました。その方が、法科大学院をなぜつくったかという理由について、今までの司法試験は丸暗記をすれば合格できたんです、そんな人では優秀な法曹を得られないので法科大学院をつくりましたと、こういうふうに胸を張っておっしゃいましたので、失礼ですがあなたは司法修習何期ですかとお聞きしたら、いや、私は司法試験受けたこともありませんと。司法試験を受けたこともない人に丸暗記で司法試験に合格するというふうに言われて、その結果、法科大学院ができたことになっているんです。
 江田先生の「出発のためのメモランダム」、これ通告していないんですが、かつて拝読させていただきました。その中によると、江田先生が司法試験を受けられたときのことも記述されておられます。結論だけ、できたら短くですが、司法試験というのはかつては丸暗記で合格できた、そんなものだったんでしょうか

○国務大臣(江田五月君) 委員が御自身が司法試験を受けられた当時のことから大平さんのことなどいろいろお話になりまして、ここでいろいろお答えをしたいんですが、短く答えろというので全て省略をしますが、丸暗記で通った人もいるとは思います。しかし、私は全く暗記はしていなくて、何か人によっては私が六法全書を一ページ一ページ全部食べてしまってなんていうようなことを言う人がいますが、そんなことは全くありません。丸暗記で通るような試験ではなかったと思っています。

○前川清成君 私は、法務省の法科大学院を設計した人あるいは法科大学院を今運用している人たちというのは随分偏った考え方だなというふうに思っています。
 それで、先ほど笠政務官のお答えの中で、実務と理論の懸け橋の役割を法科大学院が果たさなければならないというふうなお話がありました。今日、その点に関連して、委員の皆さん方にもこの「法学セミナー」という雑誌の今年の四月号、法学入門というののコピーをお配りをさせていただいています。
 ここの中に、皆さん方のお手元にも配っていますが、東大の法科大学院の先生が、まず青線のところを御覧いただきたいんですが、法曹養成機関である法科大学院の授業は司法試験にも役立つべきもののはずである、その意味で、法科大学院でなされる限り、授業は必然的に受験指導的側面を有していると、こう書いておられます。このとおりだろうと思います。法曹養成の学校で司法試験に通らないと法曹になれないのだから、法科大学院、当然、司法試験に合格するための指導になって当然だろうと思います。
 ところが、赤線のところ、笠政務官も御覧いただきたいんですが、東大の法科大学院の先生が、私も受験指導は法科大学院がなすべきでないと思っています、それはそもそも受験指導ができるだけの能力と体制が法科大学院という組織には通例備わっていないからであると。東大の法科大学院で司法試験に合格するための指導する能力と組織が備わっていなければ、七十四校ある法科大学院の一体どこが備わっているのか
 しかもこれは、この宍戸という先生がどこかの居酒屋で愚痴っておられるのではなくて、全国の法学部の一年生が読むかもしれない雑誌、全国の学者が読むかもしれない雑誌にわざわざ書いて、印刷して配っておられる。今の法科大学院の能力と実力というのはこの程度だということを是非御認識を私はいただきたいと思います。
 この点で、笠政務官、いかがでしょうか。法科大学院の教員は学者でも構わない、しかも二割以下でもいい、その二割も行政書士さんでも税理士さんでも構わない、この基準、私は見直すべきだと考えますが、いかがでしょうか

○大臣政務官(笠浩史君) 今日、今、前川委員の方から様々御指摘をいただいております。
 先ほどもありましたように、本当に教員の質というものがやはりこの法科大学院の質を上げていくための最も重要なことであると私も認識をしておりますので、そうした点も踏まえて、法曹養成フォーラム、今日は櫻井財務副大臣もおっしゃっていましたけれども、法務省、文科省、そして財務省と今協議をしておりますので、この中でまた検討をしていただきたいというふうに考えております。

○前川清成君 医学部の教授というのはお医者さんです。自動車学校の先生は自動車の運転免許を持っておられます。私は自動車をよう運転しませんけれども自動車の運転を教えるのは上手ですと、そんな先生ばっかりの自動車学校に生徒が集まるか、しかもその自動車学校を卒業しても四人に一人しか免許が取れないと、法科大学院を自動車学校に例えたらそういうことだろうと思います。こんな自動車学校ならとっくに倒産してしまいますが、法科大学院はどうなのかと。私は、今や倒産目前ではないかと思っています。
 法科大学院に入るには適性試験というのを受けなければなりません。これは、大学入試センターと日弁連がそれぞれ行っています。その適性試験の受験者数ですが、平成十五年、大学入試センターは三万九千三百五十人、日弁連は二万四十三人いました。それが、平成二十二年、大学入試センター分は八千六百五十人、日弁連は七千八百二十人、合計したら約六万人いた志願者が一万六千人、僅か七年の間で四分の一程度にまで落ち込んでいます
 これは、法科大学院に高い金を払ってもあかんと、法科大学院を国民が見限った、その証拠ではないかと思います。社会の片隅にあった小さな司法を法と正義を社会の隅々まで行き渡す大きな司法に変えていくという基本的な方向は私は大賛成ですが、法科大学院の在り方、これは先ほど笠政務官もおっしゃいました。教員の質だけではなく、法科大学院そのものを大きく見直す必要があると私は考えますが、笠政務官、いかがでしょうか。

○大臣政務官(笠浩史君) まさに、委員と同じような思いで、本当に今この法科大学院の在り方自体をどうするのかという問題意識を持って法曹養成セミナー等々の中で、議論をここでしっかりしていこうということでございますので、そういう大局に立った抜本的な改革案というものをまとめることができるように、しっかりと頑張ってまいりたいというふうに思っております。

○前川清成君 政務官、今、セミナーじゃなくフォーラムですね。

○大臣政務官(笠浩史君) フォーラムです。

○前川清成君 それで、司法制度改革審議会の意見書、これは先ほども申し上げましたが、司法試験の合格者を三千人に増やす、法科大学院の卒業生の七、八割が司法試験に合格すると、こういう制度設計でした。そうであれば、割り算をすると分かるんですが、法科大学院の学生定数は三千七百五十人から四千二百八十五人程度であったはずなのに、実際は、初年度、平成十六年は六十八校で定員は五千五百九十人、翌年には七十四校に増えて定員は五千八百二十五人。最終意見書の制度設計を尊重するならば、定員はざっと二千人も多いことになります。何でこれほど多くの法科大学院をつくってしまったのかと、これは私は反省をしなければならないのではないかと思っています。
 その七十四校をつくったんですが、この七十四校の中には、従前、旧司法試験当時実績のなかった大学、つまりは教員の側も準備ができていなかった大学が法科大学院を設立した、その結果が七十四校にまで膨れ上がった。現に、そのような大学では今総じて合格率が低迷しています。法科大学院がたくさん設立されて、しかも学費は高い、少人数教育で教員の八割は学者。その結果として学者の就職先バブルが生じたのは事実で、法科大学院の専任教員だけで何と千七百二十一人、学者の就職先が増えました。私は、この点である種の疑念、司法制度改革審議会の中心メンバーだった者たち、法科大学院を推進した学者たちの中に隠された思惑はなかったんだろうかと、そう思ってしまうんです。
 そこで、文科省にお尋ねします。司法制度改革審議会の会長をお務めになったのは、審議会当時京大教授だった佐藤幸治さんです。この佐藤幸治さんは、その後どこへ就職されましたか

○大臣政務官(笠浩史君) この佐藤幸治先生の方は、今、近畿大学の法学部の教授をやられて、そして法科大学院の院長を務められた後、現在の常勤職員としての勤めは承知をしておりません

○前川清成君 結局、法科大学院というのは学者の就職先や天下り先をつくるためだったのかと、そう思うんですが、笠政務官、いかがですか。

○大臣政務官(笠浩史君) 私は、必ずしもそういう意図があったとは思っておりません
 佐藤先生についても、私も、先生のような専門家ではございませんけれども、憲法の一つの大家であり、多くの司法試験を目指す学生さんが佐藤先生のやはり教科書なども十分に参考にされ、また、それで学んでおられるということも承知しておられますので、やはり必ずしもこの天下り先を求めるために議論をそういう方向にリードしていったというふうには私は考えておりません。

○前川清成君 私も、司法試験の受験の最後のころ、佐藤幸治先生の教科書を読みまして、端書きに立憲主義へのアフェクションと書いてあって、ちょっとその端書きで感動したことがあって、できれば善意で解釈したいと思うんですが、結果として見ると、学生たちから毎年百万円、二百万円の学費を召し上げて、文科省から多額の補助金を受け取って、七十四校の法科大学院をつくって、二千名近い学者の就職先をつくりました。しかし、四人に一人しか司法試験に通らないし、法科大学院の四校に一校は卒業生の十人に一人も司法試験に通らないし、せっかく通っても毎年百人近く二回試験に落ちてしまうと。
 結果として言えば、法科大学院というのは学者の再就職先をつくってしまっただけと。現時点において歴史的な評価をすると、私はそう言われても仕方ないし、きっとこの場所に佐藤幸治さんがお越しになって、佐藤幸治さんが正直な方だったら、現在においてはそのとおりですというふうにお認めになると思います。
 それで、予備試験の問題に入りたいんですが、あと時間が少ししかなくなってきましたが、日弁連が去年言ったように、金持ちの子供でしか弁護士になれないのはあかん、しかし法科大学院の学費は高いと。そこで、予備試験というのを実施して、予備試験に合格したら法科大学院を修了しなくても司法試験の受験資格を付与することにしました。つまりは、予備試験は、お金はないけれども志を持っている、自分でこつこつ勉強を続けてきた若者へのチャンスのはずです。
 ところが、この予備試験、一般教養の問題も出されることになっています。なぜ司法試験を受けるために、司法試験の受験資格を得るために一般教養も試されるのか
 時間がなくなってきましたので私の方で紹介させていただきますが、二十一年十一月十一日の司法試験委員会の予備試験の実施についてという決定の中では、法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判断することを目的にすると、こういうふうに書かれています。この方針には私は全く異論はありません。しかし、この方針どおりの出題がなされるのかが大変心配しています。
 そこで、ちょっと通告もしていなくて誠に恐縮なんですが、今目が合ってしまいましたので、安浪さん。安浪さんというのは最高裁の人事局長で、恐らく僕は法曹界のトップに上り詰められる立派なお方だと、常々そう敬服しておるんですが、その方にお聞きしたいんですが、形式論理学における矛盾対当というのは何か御存じでしょうか。あるいは、「いま幾日春しなければ鶯も物はながめて思ふべらなり」、これは誰の何を歌った歌かお分かりでしょうか。お分かりでなければ、もう簡単に分かりませんと言っていただいたらそれで満足です。

○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 突然の御質問でございますけど、今お尋ねの質問に対しては、私の方でどれが正解か答えを持ち合わせておりません

○前川清成君 時間がない中、自慢するわけじゃありませんが、私は去年、自民党の丸山先生と一緒にテレビ朝日の「Qさま」というクイズ番組に出まして、ファインプレーを三回ぐらい取って、司会の優香ちゃんにすてきと、こう言われて喜んでいるんですが、私もこの形式論理学という学問あることも知りませんでしたし、矛盾対当と言われても何のことか全く分かりません。この「いま幾日」というのは、これは古今和歌集らしいんですが、これが法務省のサンプル問題として公開されてしまったら、受験生としては、じゃ万葉集も新古今和歌集も勉強しなきゃあかんね、傾向と対策的にはそうなります
 あるいは、時間がないので櫻井副大臣に当てずに申し訳ないんですが、メタンを八グラム燃やしたら何リットルの二酸化炭素が発生しますか。これを法曹としての一般教養として必要なのか私は岡倉天心という方は知っています。しかし、岡倉覚三と言われても誰か知りませんでした。サンプル問題の第九問の枝では、岡倉天心ではなくて岡倉覚三と書いてあるんです。これは、私はたちの悪い引っかけ問題だと思っています。
 今日、皆さん方のお手元にサンプル問題の四十問というのを、最後の問題もお出しをしました。お配りをしました。一般教養の試験時間は一時間三十分。四十問出されて、うち二十問に答えたらいいらしいんですが、一時間三十分で二十問なら一問当たり四分半。ただ、どの問題を答えるかというのを見ないといけませんので、実際は三分ぐらいしか割けられないと思います。この今委員の皆さん方にお配りした問題、私はこれは英語の問題なのか数学の問題なのかも分かりませんが、これを三分間で解くだけの英語か数学の学力も持ち合わせていないと司法試験を受けたら駄目ですと、こういうことになっているんです。
 それで、最後にお尋ねしますが、このサンプル問題、一般教養のサンプル問題は一体誰が作ったのかと。法曹として、裁判官、弁護士、検察官として今活動している者が作ったのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

○国務大臣(江田五月君) もう時間がないので簡単に答えるべきですが、佐藤幸治先生が立憲主義へのアフェクションと言われたと。私も、リーガルマインド、リーガルプロフェッションに対してアフェクションを持って今のこの大変困難なプロセスの中、いろんなことをやっていくつもりでおります。
 是非、そういう意味で、温かいところを温かく見てやってほしいと思いますが、この予備試験の一般教養科目短答式試験のサンプル問題は、これは有識者による作成ということでありますが、司法試験委員会において昨年十一月に作ったものでございまして、人文科学、社会科学、自然科学、英語、その四科目から十一名の専門分野と省内の実務家二人で、平成二十一年、作ったものでございます
 そして、サンプルは四十問ですが、二十問を選ぶということなので、一部もちろん自然科学に、あるいは人文科学に偏りございますが、全体に一定の教養を満たしている者であれば二十問は選択できると思っております。

○前川清成君 時間がないのでこれで終わりますが、数学の専門家が数学の問題を作りました、化学の専門家がメタンの問題を作りました、で、こういう問題を一般教養として出題されて、一定の教養があれば答えられると言われても、私は答えられません、胸を張って
 このままであれば、この司法試験の予備試験というのは、お金がないけれども志がある若者たちにチャンスを与える場ではなくて、お金がないけれども、お金がない子供たちにやっぱり法科大学院行かないと駄目なんだよと、無理にでも法科大学院行かんかいと、チャンスを摘んでしまう、そんな試験になってしまっているのではないかと、これでは予備試験の存在理由がないのではないかと、そんなふうに思っています。
 その感想を申し上げまして、残念ですが、時間が参りましたのでこれで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

 

○又市征治君 ・・昨秋の臨時国会で裁判所法の一部改正案が議員立法で提案され、可決をいたしました。これによって司法修習生に対する修習資金の国による貸与制度が暫定的に今年の十月三十一日まで停止をされる、引き続き給付金が支給されることになりましたが、これは大変良かったなと私は思います。
 そもそもこの修習資金の貸与制度は、冒頭に民主党の前川さんからもありましたけれども、二〇〇四年の百六十一国会で、私どもは反対をいたしましたけれども、賛成多数で可決されたものであります。その背景は、司法改革に伴う司法試験合格者数の増加を見込んだ、つまり財政的理由と言われているわけですが、改めて、そういうことであればそのとおりですというふうに言っていただければいいんですが、貸与制度その他の理由がありましたら、お伺いしたいと思います。

○国務大臣(江田五月君) これは、委員御承知のとおり、当時の司法制度改革審議会で議論をされたもので、私どももいろんな意見ございましたが、まあああいう結果になって、その理由というのは、今委員御指摘のその修習生を大幅に増やしていくというので、財政負担の問題が一つあります。まあ、財政負担です

○又市征治君 給付制度から貸与制度への移行によって、じゃ、弁護士の人たちは、さっきもありましたけど、お金のない人は最初から借金抱えたスタートという格好というのを余儀なくされる。それでは一体全体、仕事上でも金銭面に縛られてしまって本当に市民の立場に立った弁護士活動ができるのかという疑問が呈されている。また、それが司法制度改革にかなうのか、こういう疑問があります。
 当初、今言われたように、年間三千人ぐらい新司法試験の合格者を増加させる意図があったというように思うんですが、現実には、二〇〇八年が二千六十五名、二〇〇九年が二千四十三名、二〇一〇年が二千七十四名という数字でありまして、また法科大学院への志願者数も減少している。だから、財政支出増の懸念というのは今はないわけですね。さらに、今述べた数字を見れば、司法界で働こうという人材がむしろ減少している、こういう実態にあります。その下で貸与制度への移行は逆にこの傾向に拍車を掛けているのではないか、こう懸念があります。
 また、報道によりますと、司法研修所の教官が取材に答えて、貸与制について、大手事務所で一千五百万円ぐらいの年収が約束される上位層はいいけれども、下位の弁護士に対しては貸倒れになるだろうと、こんなことをしゃべっているわけですね。
 やはり、貸与制度は再検討してしかるべきだろうと思います。それが昨年の両院の意思でもあったというふうに私は思うんですが、これに対して、江田法務大臣は、法曹養成についてのフォーラムを立ち上げる準備を鋭意進めたいと、こうおっしゃっているわけですけれども、このフォーラムについてその後どのような進展状況か、お伺いしたいと思います。

○国務大臣(江田五月君) 昨年のこの貸与制のまあ一時停止といいますか、これは昨年の法改正によっても、そのまま今年の一定の期間に期限が来ますと貸与制に移行してしまうわけですが、そのときの衆議院の法務委員会の決議がございまして、そこで、修習生に対する経済負担の在り方はどうなのかを含めて法曹養成制度全般を検討しろということでございまして、実はこのフォーラムは、準備を重ねまして、先日、五月十三日でございますが、内閣官房長官、総務大臣、法務大臣、財務大臣、文科大臣、経産大臣共同で法曹の養成に関するフォーラムを開催をするということを決めました。我々大臣同士の合意で決めたわけですが、フォーラムのメンバー、これは佐々木毅さんを座長にお願いし、その他の皆さんも今お願いをして、いよいよそのフォーラムがスタートをするというところに今来ております。

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