最新下級審裁判例

東京地裁民事第2部判決平成22年03月30日

【事案】

(前回からの続き)

6.裁判所の認定した事実

(1) 改正法施行前の医薬品の販売方法に関する規制等

ア.昭和50年6月28日付け薬発第561号各都道府県知事あて厚生省薬務局長通達「薬事法の一部を改正する法律の施行について」には,@薬剤師,薬種商販売業者等が医薬品を販売する際,消費者に対し直接に効能効果,副作用,使用取扱い上の注意事項を告げて販売する等医薬品の対面販売の実施につき指導すること等,また,A薬局等の構造設備は,かかる対面販売が可能となるようなものとするよう指導することとの内容がある。

イ.昭和63年3月31日付け薬監第11号各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局監視指導課長通知「医薬品の販売方法について」は,薬局開設者や一般販売業者がカタログ,ちらし等を配布し,注文書により契約の申込みを受けて医薬品を配送する通信販売(以下「カタログ販売」という。)につき,医薬品の販売に当たっては,その責任の所在が明確でなければならないこと,消費者に対し医薬品に関する情報が十分に伝達されなければならないこと等が要請されるところであり,これらにかんがみ,一般消費者に対し薬剤師等が直接に効能効果,副作用,使用取扱い上の注意事項を告げて販売する医薬品の対面販売を指導してきたところであって,カタログ販売は,このような対面販売の趣旨が確保されないおそれがあり,一般的に好ましくないところであるとした上,カタログ販売に当たって最小限遵守されるべき事項を示すとともに,その内容を周知して監視指導の徹底を図るよう依頼するとしている。なお,同通知は,カタログ販売の取扱医薬品を一定の薬効群に限るものとしており,その薬効群に属する医薬品のうち,@承認基準が定められているものにあっては,当該基準外のもの,A指定医薬品,B新一般用医薬品及びC分服内用液剤は除くものとされている。

ウ.平成8年法律第104号による薬事法の改正により,薬事法に,薬局開設者又は医薬品販売業者の,医薬品を一般に購入し又は使用する者に対する,医薬品の適正な使用のための必要な情報提供の努力義務を定めた規定(77条の3第4項)が追加された。

エ.平成10年12月2日付け医薬発第1043号各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省医薬安全局長通知「薬局等における薬剤師による管理及び情報提供等の徹底について」には,今般の立入検査の結果,一般販売業の店舗において開店中に薬剤師が不在であった多数の例が判明するなどしたため,従前の厚生省薬務局長通知に係る薬局開設者の遵守すべき事項等を,薬局及び一般販売業者の開局中又は開店中は,薬剤師を常時配置し,医薬品の販売に当たり,医薬品を一般に購入し又は使用する者に対し,医薬品の適正な使用のために必要な情報を提供すること等といった趣旨により改正する旨の内容がある。

オ.平成16年4月1日から,深夜早朝の時間帯に,他の一般販売業の店舗と共同して行う医薬品の販売又は授与が認められることとなり(改正省令による改正前の薬事法施行規則140条),具体的には,一般販売業者が,その店舗以外の複数の店舗と共同して,センターに薬剤師を置いて,テレビ電話を用いた医薬品販売を行うことができることとなった。この場合,購入者に対し医薬品を販売するに当たって,必ずその都度,情報通信設備(テレビ電話その他の動画及び音声により情報提供・収集及び医薬品の確認を適正に行うことができるもの)を使用させて,必要な情報提供・収集又は販売される医薬品の確認を行うことが必要とされている(「他の一般販売業の店舗と共同して行う医薬品の販売又は授与に関する厚生労働大臣が定める基準」(平成16年厚生労働省告示第193号))。そして,上記情報通信設備については,平成16年4月1日付け薬食発第0401011号各都道府県知事,各保健所設置市長,特別区長宛て厚生労働省医薬食品局長通知において,顔色や身体の自然な動きを適切に認識することができ,受診勧告の必要性が判断できるとともに,薬剤師が医薬品についての確認をすることができるものであり,現時点では携帯電話は対象とならない旨定められている。

カ.平成16年9月3日付け薬食監麻発第0903013号各都道府県,各保健所設置市,各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知「医薬品のインターネットによる通信販売について」には,医薬品の通信販売については,上記イの通知において,対面販売の趣旨が確保されないおそれがあるため,最小限遵守されなければならない事項を示しているところであり,インターネットによる通信販売についても同様の扱いとしていたところであるが,最近,同通知で示した事項を逸脱した事例が見受けられ,指導が行われているとし,関係業者に対し,同通知に基づく取扱いについて改めて周知するとともに,遺漏のないよう監視指導の徹底を図るよう依頼する旨の内容がある。

(2) 一般用医薬品の販売状況・副作用等に関する調査結果等

ア.厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課が調査した平成9年度ないし平成14年度における薬局等における薬剤師等の不在率は,一般販売業の店舗においては18.7%ないし23.12%であり,平成12年度ないし平成14年度における調査実施時に薬剤師等が不在であり,かつ,薬剤師等不在時に医薬品を販売する等不在時の対応が不適切であった施設の割合は,一般販売業の店舗においては14.6%ないし17.1%であった。

イ.P6協会が行った「日本のドラッグストア実態調査」によれば,ドラッグストアの店舗数は,平成12年に1万1787だったものが,平成15年には1万4103へと増加し,ドラッグストアにおける医薬品の売上高の推計値も平成12年に8234億円だったものが平成15年には1兆1992億円へと増加した。

ウ.製薬企業や医薬関係者から厚生労働大臣に対してされた副作用報告に基づく一般用医薬品によるものと疑われる副作用事例(副作用報告の対象となっている重篤な症例及び中等度の症例)は,平成10年度から平成14年度までに約950件に上り,死亡事例は,平成12年4月から平成15年5月までの間に,アナフィラキシー・ショック(血圧低下,呼吸困難等のショック症状)関連やスティーブンス・ジョンソン症候群(発熱,発疹,粘膜のただれ,眼球の充血等の症状を特徴とし,予後が悪い場合,失明や致命的になることもあるもの)関連によるものなど10件となっている。
 また,平成14年度の一般用医薬品の副作用報告265件の中には,風邪薬を長期間にわたり多量に服用して肝機能障害を起こした例,併用禁止薬を併用したため間質性肺炎を発症した例,解熱鎮痛剤によるアレルギー歴があり投与禁忌であった者が再度解熱鎮痛剤を服用したためアナフィラキシーショックを発症した例,授乳中の母親が風邪薬を服用した結果乳児に発赤が発症した例など,薬剤師等から十分な情報提供が行われていれば副作用の発生を防止することが可能であったものが,約30件含まれている。
 その後,平成16年度から平成19年度までの一般用医薬品の副作用報告数は,合計1052件である。
 厚生労働大臣に対する副作用報告書の様式には,当該医薬品をどのように入手したかを記入する欄がないことから,インターネット販売により入手した医薬品の使用による副作用の件数を把握することはできないが,他の欄の記入内容からインターネット販売により入手した医薬品の使用による副作用と判明したものとして,生薬成分であるカシュウを含む滋養強壮剤を購入して服用したところ,肝障害の副作用を発症し,20日間程度の入院の後軽快した事例が1件あった。この副作用がインターネット販売により入手したという販売方法に起因するものかどうかについて,当該報告書の記載中には言及されていない。

エ.平成14年度の薬局及び一般販売業の店舗に対する指導状況は,各都道府県が,全国に約4万9000ある薬局のうち五十数%の施設に立入検査をしており,悪質なところには年に二,三回これを行うこともあり,一般販売業に対しては,一万二千余の施設に対して,延べ約1万回の立入検査が行われている。

オ.検討部会での検討のため,平成17年1月に行われたアンケート調査によると,市販薬を購入する際の最も多い買い方を回答する質問に対しては,店舗で症状や目的を言って勧めてもらうとするものが42.1%,パッケージや店頭の案内などを見て自分で選ぶとするものが38.9%,名前を指定して買うとするものが16.9%であり,市販薬に対する意識につき,医師が処方する医薬品と比較して,市販薬では副作用を生ずることはほとんどないと思うかとの質問についてそう思うとの回答が約18%,医師が処方する医薬品と比較して,市販薬では服用する量や時期を守らなくても危険はないと思うかとの質問についてそう思うとの回答が約13%あった。

カ(ア) 平成18年2月に,P7新聞社が同紙に掲載された広告上のアンケートに応募した1491人の回答の中から1000人の回答(うち354人がウェブにより回答を寄せている。)を抽出して集計した結果によれば,一般用医薬品の添付文書について,分かりやすいとの回答が44.1%,分かりにくいとの回答が21.2%,どちらでもないとの回答が34.7%であって,分かりにくいと回答した者に対する分かりにくい点を複数回答で尋ねる質問に対する回答は,198人の回答者のうち,122人が文字が小さく読みづらい旨,44人が説明が長い旨,28人が専門用語が多く,分かりにくい旨,11人が副作用についての説明が不十分である旨の回答をしている。

(イ) 平成21年5月に,P7新聞社が上記(ア)と同様に広告上のアンケートに応募した2150人の回答の中から1000人の回答(うち380人がウェブにより回答を寄せている。)を抽出して集計した結果によれば,1000人のうち,一般用医薬品についての意見を求める自由回答欄に記入した者が651人おり,そのうち,薬局・薬品・ドラッグストアに対する意見・要望として,薬剤師に詳しく薬の説明ををしてほしい,相談に乗ってほしい,どの店舗にも常駐してほしいとする旨の意見の数が43,薬の勉強をしてほしい,きちんと説明してほしいとする旨の意見の数が35であった。

キ.平成18年ころの研究者らの調査によれば,薬局の名称を使用して一般用医薬品のインターネット販売を行っていたインターネットサイトの24%で,第一類医薬品の販売が行われていた。

ク.財団法人P8が平成19年1月から同年12月までに受信した中毒症状の発症件数3万3932件のうち,一般用医薬品を起因物質とするものは3293件であった。また,自殺企図をもって使用したことを原因とするもの1851件のうち,一般用医薬品を起因物質とするものは405件であった。

ケ.厚生労働省が平成16年9月に取りまとめた「2003〜2004年海外情勢報告」には,2003年(平成15年)9月に成立したドイツの医療保険近代化法の内容として,医薬品の通信販売を認めるとの記載がある。また,ドイツ連邦憲法裁判所の判決として,ワクチンの医師への配送及びその宣伝行為を法律によって禁じることは薬剤師の基本法12条1項に基づく基本的権利を侵害する旨の2003年(平成15年)2月11日の判決があり,当該判決には,当該規定が薬剤師に医師へのワクチン配送及びその宣伝行為を禁じる限り,基本法に違反して無効である旨の判示がある。さらに,EU司法裁判所の判決として,医薬品の通信販売のドイツ国家による禁止は,ドイツにおいて発売承認を得た非処方せん医薬品に適用される場合,EU法に反する旨の2003年(平成15年)12月11日の判決があり,当該判決の被告はオランダの薬局及びその代表者の1人である。同判決は,医薬品の輸入に対して制限的な効果を持ち得る規制は,それが人類の健康と生命を効果的に保護するために必要な限度でのみ,EC条約と両立するとし,非処方せん医薬品の場合,その禁止は正当化されないと判示している。

(3) 厚生科学審議会(検討部会)における審議の経過等

ア.厚生労働大臣の諮問機関である厚生科学審議会は,平成16年4月,厚生労働大臣から,医薬品のリスク等の程度に応じて,専門家が関与し,適切な情報提供等がされる実効性のある制度を構築するための医薬品販売の在り方全般の見直しについて諮問を受け,その調査審議を行うため,同審議会の下に,関係各界の専門家・有識者等を委員とする検討部会を設置した。検討部会の検討事項は,@医薬品のリスク等の程度に応じた区分,A医薬品販売に当たっての情報提供の在り方((ア)必要な情報提供の内容,(イ)医薬品販売に従事する者の資質とその確保,(ウ)情報提供の手法(情報通信技術の活用等),B販売後の副作用発生時等への対応,C上記@ないしBの法令上の位置付け及びその実効の確保方策,Dその他(特例販売業の在り方等)であった。

イ.平成16年5月14日,第1回検討部会が開催された。第1回検討部会では,厚生労働省の医薬食品局長から,一般用医薬品の販売の実態と法律の建前との間に乖離があるという指摘があり,そのような乖離をどのように埋めていくかが課題であり,医薬品の販売時における実効性ある情報提供の方法を議論し,その成果を制度改正につなげるという検討課題等の説明がされ,P9大学名誉教授(以下,役職はすべて当時のものである。)のP10委員(以下「P10部会長」という。)が部会長として選出され,事務局から医薬品販売制度の現状と課題等について説明がされた後,各委員が意見を述べた。P11協議会のP12委員からは,医薬品は普通の商品と違って健康を損なって初めてその商品の欠陥が分かるという品物であることを今一度確認して,今後検討の中で情報提供がどうあるべきか,あるいは一般用医薬品の販売の在り方がどうあるべきかということを悲惨な薬害が発生したことを踏まえて審議する必要がある旨の発言があった。また,P13大学医学部教授・薬剤部長のP14委員からは,医薬品は生体に作用するなにがしかの薬理作用があるので,副作用が絶対にない医薬品はあり得ず,薬剤師が関与していようがいまいが副作用がある確率で起こることは避けられないものの,早期に発見して軽微な状態で処置をすれば大事に至らないことがあり,もし起こったときにどのような形で使用者を守れるかという仕組みが大事であって,そこに薬剤師の情報提供の必要性があると考える旨の発言があり,社団法人P15副会長のP16委員からは,医薬品の有効性と安全性をどのように担保しながら供給していくかが重要であり,消費者・国民にとっての医薬品の供給の利便性というものの本当の意味について,商業主義ではなく真の国民の視点に立った観点から議論する必要がある旨の発言があった。

ウ.平成16年6月8日,第2回検討部会が開催された。第2回検討部会では,諸外国における医薬品販売制度の現況等についての事務局からの報告,報告に対する意見交換,意見陳述人からのヒアリング,意見陳述人に対する質疑が行われた。
 第2回検討部会の資料である「諸外国における一般用医薬品販売規制等について」には,ドイツの状況について,すべての医薬品を取り扱うことができる薬局においては,薬剤師の監督下による一定の知識経験を有する者による対面販売が必要であり,自動販売機及び郵送による販売は禁止されている旨,具体的な効能や明白な治療効果がない自由販売医薬品を取り扱う薬店(ドロゲリー)においては,インターネットを使用した郵送販売は可能である旨の記載がある。
 ヒアリングにおいては,P17連盟の意見陳述人からは,薬害は未来永劫にわたる重大な課題であって,国やメーカーが責任を問われてきた薬害の歴史を繰り返さないためには安全対策を基本原則とすべきで薬事法の規制は強化すべきであり,医薬品の規制緩和については非常に慎重な議論が必要である旨,薬害を防止して医療の質を高めて,適切な医薬品を適切に使用することが本当に必要であると考えており,医薬品の安全確保に関しては規制強化を辞さない姿勢で臨む必要がある旨,現在の日本の状況はセルフメディケーションを進めるような環境にはなく,一般用医薬品を一般店で販売するための条件整備は現状では不備である旨,安易な規制緩和には消費者としては非常に危ぐを抱いている旨,医療・医薬品の専門家がいない会議で決めたのでは,国民の命と健康にかかわることについて消費者不在のまま決められることとなってしまう旨,消費者と薬剤師との間での情報のきちんとした提供と対話が必要であり,特に添付文書の提示の上で分かりやすい説明を受けられることが必要である旨,薬害の被害者団体が各政党に対して行ったアンケートによれば,薬剤師が適切にかつ親切に情報提供することが必要だとすべての政党が回答した旨の意見等が述べられた。国民生活センターの意見陳述人からは,同センターに寄せられる医薬品に関する相談の中で,件数の多いものは,配置薬に関するもののほか,漢方薬に関するもの,薬が効かなかったり服用して具合が悪くなったというもの,同じ症状について販売店によって勧められる医薬品が違うというもの,薬剤師の不在に関するもの等がある旨の説明がされた。
 さらに,医薬品を販売する各業態の意見陳述人から,各業態の実情の説明があったところ,P12委員からは,意見陳述人に対する質問に当たって,深夜の販売の利便性ということが言われるが,深夜に薬が欲しい場合には緊急医療に掛かるべきであり,一般用医薬品で対応するというのは望ましくないと考えている旨の発言があった。

エ.平成16年6月23日,第3回検討部会が開催された。第3回検討部会では,委員及び事務局から医薬品販売制度の現状についての報告,報告に関する質疑応答,事務局の作成した論点整理案の説明及び論点整理案に対する質疑が行われた。論点整理案には,「インターネット販売及びカタログ販売について,専門家による情報提供の観点から,どう考えるか」という項目が明記されていた。

オ.平成16年7月21日,第4回検討部会が開催された。第4回検討部会では,論点整理を基にした議論が行われた。その議論においては,P12委員から,添付文書をきちんと理解しなくても飲む人がいるということも含めた上で医薬品は扱われなければならず,そのために厳格な規制をしていると思う旨の発言があった。

カ.平成16年9月6日,第5回検討部会が開催された。第5回検討部会では,厚生労働省室長から上記(1)カの通知について説明があり,その後,論点整理を基にした議論が行われた。その議論においては,P12委員から,インターネット販売やカタログ販売において本当に情報提供されているといえるかどうかは非常に疑問である旨の発言があった。また,第5回検討部会では,検討部会の下に,医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等について検討する専門委員会を置くことが決められた。

キ.平成16年9月27日,第6回検討部会が開催された。第6回検討部会では,医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等についての議論が行われた。その議論においては,P16委員から,一般用医薬品には,自分の疾患をよく分からずに自己の判断で薬を選ぶことにより疾患が悪化するというリスクや,自己の判断で定められた用法・用量を守らずに服用することにより副作用が発生するというリスク等があり,特に後者はアメリカにおいては非常に問題となっており,こういった一般用医薬品の使用環境におけるリスクに注意する必要がある旨の発言があり,社団法人P19常任理事のP20委員から,医師からは考えられない薬の飲み方をする患者も多く,町の診療所の患者の場合,いくら口で言っても分からず,ましてや注意書を読まない者も多い旨の発言があった。

ク.平成16年11月22日,第7回検討部会が開催された。第7回検討部会では,一橋大学大学院法学研究科教授で検討部会の部会長代理のP21委員の「一般用医薬品の販売におけるリスクと販売活動の規制についての考え方」に関する講義,それに対する質疑,専門委員会での医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等についての検討状況の報告,それに対する質疑が行われた。専門委員会の検討状況の報告に対する質疑において,社団法人P22常務理事のP23委員から,店頭において消費者から情報提供を受ける場合に,「アレルギーがありますか。」,「いいえ。」,「胃腸は弱いですか。」,「はい。」という単純なことだけで済むものではなく,知識と経験を基にして,機械ではできない人と人との会話を通じて正しい情報がつかめるように努力をしている旨の発言があった。

ケ.平成16年12月22日,第8回検討部会が開催された。第8回検討部会では,専門委員会での医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等についての検討状況の報告,P11協議会の副代表世話人によるこれまで発生した薬害の概要についての講義,東京工業大学フロンティア創造共同研究センター教授のP24委員による情報通信技術の活用についての講義が行われた。P11協議会の副代表世話人からは,講義の中で,インターネット等の医薬品の販売では実際に売っている人が資格のある人なのかどうなのか分からず,また,実際にその薬が自分にとって適切なものなのかどうなのかを判断する人がいない状態で買って使用しているのは問題なのではないかという問題意識でフォーラムを開催した旨,今後被害者を出さないこと,専門家に加害者になってほしくないことが自分たちの願いである旨の発言があった。また,P24委員の講義には,テレビ電話等で顔色や血液の色を正しく伝送するためには,カメラ,照明,表示装置の調整等が必要となる旨の内容があり,その具体的内容は,現在のテレビは,より美しく見えるように工夫されているため,色を正しく表示することができず,また,被写体と見ている人のいる場所とで照明の条件が違う場合には人間の色に対する感じ方の特性からも正しい色の認識はできないため,@デジタルカメラに通常組み込まれている画像処理機能を外した上で,色票を撮影してカメラの特性を計測すること,A被写体のある場所と見る人のいる場所の照明環境を測定すること,B受像器の調整をすることが必要になるというものであった。

コ.平成17年2月10日,第9回検討部会が開催された。第9回検討部会では,事務局による諸外国の医薬品販売制度の調査結果についての報告,それに対する質疑,専門委員会での医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等についての検討状況の報告,それに対する質疑等が行われた。諸外国の医薬販売制度の調査結果についての報告に対する質疑において,P12委員からインターネット販売及びカタログ販売についての質問があり,それに対して,事務局が,インターネット販売及びカタログ販売は,現地調査の調査項目には入っていたが,確認したところ一部不正確なところがあったので,第9回検討部会の資料では提示しなかった旨の回答があった。その後,P16委員から,P15でも外国の調査を行ったので,その内容と第9回検討部会の資料とを照らし合わせた結果を申し上げたい旨発言し,インターネットによる販売については,「ここに書かれていますように,まず不正確とはいいながら,ドイツ,フランス,イギリスでは何らかの制限を持っているというのがここに書いています。」との発言があった。

サ.平成17年2月28日,第10回検討部会が開催された。第10回検討部会では,専門委員会での医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等についての検討状況の報告,それに対する質疑,消費者及び薬局・医薬品販売業者等に対するアンケート調査の結果の報告,それに対する質疑,事務局による特例販売業に関する調査の結果の報告,それに対する質疑が行われた。特例販売業について,事務局から,制度が設けられた昭和35年当時には10万店舗程度あったものが平成15年3月末には約9900店舗になっている旨の報告があった。

シ.平成17年3月24日,第11回検討部会が開催された。第11回検討部会では,医薬品の販売に当たっての必要な情報提供等について議論が行われた。

ス.平成17年4月15日,第12回検討部会が開催された。第12回検討部会では,医薬品販売業務の内容・方法等についての議論が行われ,また,上記サのアンケート調査の結果に関する追加報告が行われた。

セ.平成17年4月28日,第13回検討部会が開催された。第13回検討部会では,医薬品販売に従事する者の資質と責務について及び医薬品販売における情報通信技術の活用等についての議論が行われた。その議論において,P6協会事務総長のP25委員からは,P12委員からの質問に答えて,例えば真っ白い顔をしているなどの相手の状態を見て,薬を勧めたり医師のところへ行くことを勧めたりするのは医療行為とはいえないのではないかと思う旨の発言があり,この点の医師法との関係について当初に言及した疑問の趣旨をこの考え方に沿って説明する発言がされ,この点に関し,P16委員からも,受診勧告は診断ではないので医療行為ではない旨,リスクを伴う医薬品を取り扱う以上,供給者側にも責任があることは明確にしなければならないし,販売店としてはそのような認識を持って業務を行うべきである旨の発言があった。また,P13大学医学部教授(小児科学)のP26委員からは,医師として仕事をしていても,基本的な知識とか経験に基づいて分かりやすく患者に伝えるということが一番難しく,添付文書を単純に整備しただけでは,自動的に消費者に伝わるとは思われず,説明の実効性に限界がある旨,販売側は半分近くの人が説明したと思っていても買う側では10人に1人もそうは思っていないということを示すアンケート結果があった点からしても説明の実効性の問題があることに留意する必要がある旨の発言があり,P27協会副会長のP28委員からは,添付文書の中だけで説明をするということになるとインターネットで販売するのと何ら変わらないことになるところ,リスクの程度に応じて実効性のある情報を会話によっていろいろと提供することは対面販売でなければできない内容であると思う旨の発言があったほか,専門委員会の委員でP29大学薬学部教授のP30専門委員から,これからの時代はセルフメディケーション時代,自己責任の時代であることは明らかであるから,添付文書に書いてあることをきちんと理解すれば問題ないが,現実問題として,添付文書を各消費者がきちんと自分のこととしてかみ砕いて理解して読むかどうかは別問題であり,個々の消費者によっても全く環境は異なるのであるから,原則として,薬に対するきちんとした知識を持った者が,対面販売で,例えば運転手のような環境にある消費者には眠くならない薬を勧めるといったことを指導することが必要である旨の発言があった。第13回検討部会の資料には,情報通信技術の活用に関する論点として,消費者への対面による情報提供や医薬品の実地における管理と,情報通信技術を活用した情報のやりとりとの違いは何か等の内容,インターネット販売及びカタログ販売に関する論点として,「@インターネット販売及びカタログ販売と対面販売との違いは何か。特に,消費者の状況の把握とそれに伴う情報提供が困難である可能性があることについて,どう考えるか,A@を踏まえ,インターネット販売及びカタログ販売についてどう考えるか」という内容が記載されていた。

ソ.平成17年5月20日,第14回検討部会が開催された。第14回検討部会では,医薬品販売における情報通信技術の活用等について議論が行われた。その議論において,P16委員からは,消費者の個別のいろいろな細かい情報を正確に吸収して集め,そこから正確な個別の情報提供ができるという流れの中で,細かく個別の正確な情報を収集することは,経験上インターネットでは無理であると思われ,人と人との会話,顔の色,表情,行動といったものの総合的な中で収集することになり,それを踏まえて専門家の立場で正しく情報提供することが必要で,それを支えるものとして情報通信技術を用いるのが適当である旨の発言があった。また,P31大学経営学部教授のP32委員からは,インターネットは,医薬品の販売に関しては,対面に代わるというものではないが,それをうまく組み込む工夫をすることによって,消費者に対しての情報量は相当に増えるし,全体としてはリスクを吸収していくことがある旨の発言があり,P24委員からは,情報通信技術を用いることについては,消費者にとって必ず利便性が向上するのは明らかであり,ビジネスの観点は別にして,消費者と販売者がお互いに納得できる安全基準を作って,実証実験のようなことを行ってみる意味もあるのではないかという旨,そのようにした場合に5年後,10年後には普及しているということになるかもしれないし,安全性のレベルを上げなければならないということになるかもしれない旨,便利さとセキュリティのレベルを両方成り立たせることは可能であり,ある程度のレベルをまず要求した上で仕組みを作っていくべきではないかという旨の発言があったが,他方で,P25委員からは,電子メールやインターネットでの健康情報の提供には,内容については自己判断であり責任は負えない旨の免責条項を入れることが常識となっており,限界がある旨の発言があり,P30専門委員からは,インターネットやメールといった新しい技術の情報をユーザーのどれくらいの割合の人が理解できて使いこなせるかはかなり疑問であり,本当に必要な人たちが使う場合には,基本的には対面で説明をきちんとする方法が重要になると思うので,方法論が広がることは否定しないものの,それがすべてのように考えることには非常に疑問がある旨の発言があり,P20委員からは,インターネットや添付文書による情報提供では提供される情報の正確性には問題がないものの,インターネットや添付文書を実際に読む人の誤解や思い違いという問題も大きく,その面では対面販売にもかなり長所がある旨の発言があった。

タ.平成17年6月17日,第15回検討部会が開催された。第15回検討部会では,医薬品販売における情報通信技術の活用等について,意見陳述人からのヒアリングとそれに対する質疑応答が行われた。P33会の意見陳述人からは,医薬品は医薬品としてカウンター越しに買うのが当然だと思う旨,薬剤師が,薬のプロとして利用者からの症状や他に飲んでいる薬の情報などを会話によって得て,より的確なアドバイスをすることによって,症状にあった薬を選べると考える旨,P33会の会員で一般薬で発症した者はほとんど添付文書を読んでいなかった旨,日本では薬を安易に飲む傾向があるので,国民の薬に対する知識レベルを徐々に上げていってほしい旨の意見が陳述された。また,大阪府健康福祉部薬務課の意見陳述人は,使用後の安全問題の取組などの医薬品の特性から,その供給は原則として有資格者による対面販売にこだわるべきであり,消費者の利便性のために供給体制を変更するというのは本末転倒である旨の意見が陳述された。質疑において,P33会の意見陳述人からは,医薬品の性質を分かっていない人が多いと思われ,P33会の会員にも薬店で売っているからそれほど強い薬ではないだろうと思っていた者がおり,そのような間違った考えを元に戻すために規制を強化してもらうのがよい旨の発言があったほか,P12委員からは,もともと医薬品というものは利便性を追求する商品とは異なる性格のものではないかということが検討部会の中でずいぶん議論された旨の発言があった。さらに,第15回検討部会では,インターネット販売,カタログ販売及び個人輸入の問題について議論が行われた。この議論において,東京都福祉保険局健康安全室薬務課長のP34委員からは,違法サイト的なインターネットの問題とは別に,医薬品製造業者,薬局及び一般販売業者がインターネット上で医薬品を販売することの適否について議論すべきであるとした上で,このような販売方法は,国から発出されている通知に定められた品目に限られているかどうかが確認しにくく,また,店舗における対面販売が原則であるという意見が多い中で,双方向性をどのように保っていくのかが問題であり,インターネット上で広く宣伝をして注文を集めるという形の販売は店舗による販売ではないと思う旨の発言があった。

チ.平成17年7月8日,第16回検討部会が開催された。第16回検討部会では,第11回検討部会から第15回検討部会までの議論の取りまとめが行われた。事務局が上記各部会における意見の取りまとめとして作成した資料には,情報通信技術の活用の仕方について,「情報通信技術は,消費者のメリットになる場合等,活用できるところは活用すべきであるが,消費者の誤解の防止等には対面での販売にメリットがあることや,情報通信技術に親しみのない世代がいること等を踏まえ,情報通信技術に過度に偏った仕組みを作るべきではなく,補助的・補完的な選択肢として使用するべきである」との内容,「インターネット販売やカタログ販売,個人輸入については,対面販売,情報提供,適正使用の観点から,対策を講じるべき」との内容がある。同部会の議論において,P13大学大学院経営管理研究科委員長兼教授のP35委員からは,情報通信技術というのは非常に広い意味があり,医薬品販売との関係では,どちらかというと対面販売をしないでテレビ電話を活用するといった方向に流れがちになるが,情報通信技術は薬剤師が顧客をサポートする際に非常に効果を発揮すべきものである旨,既存のネットワークやIT(情報通信技術。以下同じ。)を活用した一般用医薬品の販売はどうあるべきかという議論は,検討部会以後にいずれ出てくる旨の発言があり,P10部会長から,インターネット販売,カタログ販売,個人輸入に関し,何らかの対策を講ずるべきであるという意見が圧倒的に多かったとのまとめでよいか各委員に確認され,了承された。

ツ.平成17年9月14日,第17回検討部会が開催された。第17回検討部会では,第11回検討部会から第15回検討部会において出された意見の取りまとめに関する議論が行われた。その議論において,P21委員からは,インターネットでは,相談に対応している専門家と称する者が本当に専門家であるかどうかというリスクがあり,実際の店舗で実地に営業している者が嘘をつくケースは余り考えられないので,その方が安全であろうという発言があった。

テ.平成17年9月29日,第18回検討部会が開催された。第18回検討部会では,医薬品販売に際しての情報提供について議論された。事務局の作成した論点整理の資料には,対面販売の意義・必要性について,@現在,医薬品販売に当たっては,「適切な情報提供」及び「適切な相談対応」が行われるよう,薬剤師等の専門家の関与が求められていること,Aこの「適切な情報提供」及び「適切な相談対応」が全うされるためには,消費者と専門家との間で円滑な意思疎通が行われること及び専門家において消費者側の状態を的確に把握できることが必要であること,Bこれらが確実に行われるためには,消費者と専門家がその場で直接やりとりを行うことができ,例えば,消費者側の顔色等も含めた全体の様子を見ることができる「対面販売」が必要であり,これを医薬品販売に当たっての原則とすべきではないかとの内容があった。この「対面販売」について,P25委員の質問への回答として,厚生労働省担当官から,消費者が直接医薬品を手に取ることができないような陳列をして専門家が医薬品を手渡しするいわゆるオーバー・ザ・カウンターの場合に限らず,消費者が自由に医薬品を手に取れる場合を含めて,最終的な販売までのいずれかの時点で消費者が専門家と対面することを「対面販売」であると考えている旨の説明があった。

ト.平成17年10月12日,第19回検討部会が開催された。第19回検討部会では,医薬品販売に従事する者の資質等について議論が行われた。

ナ.平成17年10月31日,第20回検討部会が開催された。第20回検討部会では,適切な情報提供や相談対応のための環境整備等について議論が行われた。事務局が作成した資料には,ITの活用について,「医薬品販売に関するITの活用については,大きく分けて,@ITを活用した一般的な情報提供,普及啓発,AITを活用した販売方法(対面販売に代替する手段としての活用)の2つが考えられ,@については,ITの積極的活用について異論はないと考えられるため,Aについて検討するとした上,販売時に行われるべきものとして「リスクの程度に応じた情報提供」と「相談対応」があるが,ITを活用した販売方法に関して検討する際には,この2つを分けて,それぞれについて考察すべきではないか,「リスクの程度に応じた情報提供」については,販売側からいわば一方的に働きかけるものであることから,ITを活用してこれを行おうとしても,消費者側の注意を引きつけ,情報を確実に伝達するのは難しい場合があるのではないか,これに対し,「相談対応」の場合には,消費者側からの働きかけが端緒となっているため,消費者側も注意を払って意思疎通を図ろうとすることから,ITの活用になじみやすい部分もあるのではないか」という内容及び「現在,薬局,一般販売業等の許可を得ている者が,一定の範囲内の医薬品(リスクの程度が低いものが中心となっている)について,インターネット等を活用した通信販売を行っているが,これについてどう考えるか,現在,取締りの法的根拠はないとして,通知の範囲を超えた医薬品についても取り扱う通信販売業者が存在しているが,今後こうした業者についてはどのような対応を行うことがが適切か」という内容がある。同部会の議論において,P16委員からは,店舗販売でさえも非常に指導の限界があるといわれており,ましてやインターネットの販売における規制は必ずしもできないというのが現状である旨の発言があり,P26委員からは,将来安全が担保される時代がすぐそこに来ているとしても,まだそれが目に見えない時点で,安全性を確保しながらの運用というのを議論するのは空虚な気がするので,消極的な意見である旨の発言があり,また,P9大学薬学部教授のP36委員からは,インターネット販売や通信販売は,フェース・トゥ・フェースではないという定義になり,これからのリスク分類での情報提供の在り方がフェース・トゥ・フェースでなければならないものは取扱商品の範囲から除外しなければならず,それ以外のものが真にインターネット販売や通信販売に適しているかどうかもまた議論を要する旨発言があった。これに対し,P24委員からは,対面販売の実効性が本当に担保されるかは疑問である一方,購入の際は急いでいて説明を受けられなかったが後から説明を受けたい場合にはITは大変有効であり,一つの型にはめるのではなく,実際に本来の目的にあった効果を残しておく方がよいのではないかという発言もあったが,P10部会長からは,インターネット販売については,対面販売に準ずるか又は対面販売より優れているという考え方もあり得るものの,委員らが現状で認識されているところでは,対面販売に勝っているとはいえないようであり,インターネット販売について規制を考える必要があるというのが検討部会の意見の大勢であったというまとめでよいかとの確認がされ,各委員からこれに異論を呈する発言はなかった。

ニ.平成17年11月18日,第21回検討部会が開催された。第21回検討部会ではリスク分類と販売時における対応等について議論された。事務局の作成した資料には,一般用医薬品を,A(第一類医薬品に相当),B(第二類医薬品に相当),C(第三類医薬品に相当),D(平成11年及び平成16年に医薬品から医薬部外品に移行されたもので,現在は医薬品に該当しないもの)に分類した上,@積極的な情報提供の要否,A文書の使用の要否,B専門家の関与の要否,Cオーバー・ザ・カウンターとすることの要否,D販売時におけるIT(情報通信技術)の活用の可否について,(a)Aについては,積極的な情報提供及び文書の使用を必須の義務とし,薬剤師の関与を必要とし,オーバー・ザ・カウンターを必須の義務とし,ITの活用については,対面販売の原則を徹底すべきであり,認められないとし,(b)Bについては,積極的な情報提供及び文書の使用を努力義務とし,薬剤師又は新制度下において資質の確認を受けた者の関与を必要とし,オーバー・ザ・カウンターを努力義務とし,ITの活用については,対面販売を原則とすべきではあるが,消費者の利便性に配慮し,販売方法によっては,限定的に認めることも検討する余地はあるとし,(c)Cについては,積極的な情報提供を努力義務として法令上規定するほどではなく(ただし,相談応需義務はある。),文書の使用は必要ではないが,薬剤師又は新制度下において資質の確認を受けた者の関与を必要とし,オーバー・ザ・カウンターは不要とし,ITの活用については,対面販売を原則とすべきではあるが,消費者の利便性に配慮し,販売方法によっては,限定的に認めることも検討する余地はあるとし(リスクの程度や消費者の利便性,現状ある程度認めてきた経緯にかんがみると,薬局,一般販売業等の許可を得ている者が通信販売を行うことについても認めざるを得ないと考えられるが,どのように考えられるかと注記されている。),(d)Dについては,積極的な情報提供,文書の使用,専門家の関与及びオーバー・ザ・カウンターはいずれも不要とし,ITの種類を問わず,これを活用した販売方法も認められるとされている。同部会の議論においては,P10部会長及び事務局から,上記資料におけるITの活用とは基本的にはテレビ電話に限定したものを想定しており,インターネット販売は,Cについて場合によっては認めるとされている「通信販売」に含まれると考えているとの説明があった。また,P24委員から,販売時に情報提供するのが非常に重要であることはよく分かるが,買った人が服用するとは限らないし,また,常備薬として家庭に置いておく場合などの現状を考えると,最も重要なことは医薬品の危険性が消費者にとってよく分かるようにすることであり,消費者が後からでも必要に応じて情報を得ることができるようにすることが重要ではないか,そうすると,医薬品のインターネット販売を規制する必要もないのではないかという旨の指摘があり,これに対し,厚生労働省担当官から,情報を適切に伝達する最大の機会は販売の際であり,家族が使用する場合でも家族の状況が一応分かることを前提に情報を伝えることができる機会として,対面販売を重視すべきであり,検討部会の従来の議論でも対面販売を原則とすることで意見がまとまりつつあるのではないかとの回答がされ,これを受けて,P24委員から,多くの意見がそのようなものであることは大体分かるしある程度は納得でき,その判断はそれで結構であると思うが,時代とともに状況は変わるので,この状態が今後何十年も固定化されることがないようにしてほしいとの発言があった。これらのやり取りを含む委員全体の議論の結果,上記AないしDの各医薬品に係る上記@,A,B及びDの各項目については上記資料の内容が基本的に了承された。

ヌ.平成17年11月25日,第22回検討部会が開催された。第22回検討部会では,従来の議論の結果を取りまとめた報告書案について議論が行われた。

ネ.平成17年12月15日,第23回検討部会が開催された。第23回検討部会では,修正された報告書案について議論が行われ,報告書として了承された。報告書には,(a)薬事法においては,医薬品販売について,薬剤師等の店舗への配置により情報提供を行うことを求めているが,現実には薬剤師等が不在であったり,薬剤師等がいても情報提供が必ずしも十分に行われていないなどの実態に対応するため,医薬品のリスクの程度に応じて,専門家が関与し,適切な情報提供等が行われる実効性のある制度を構築するため医薬品販売の在り方全般について見直しを行うこととし,(b)国民の健康意識の高まりを始め,一般用医薬品を取り巻く環境の変化を踏まえ,セルフメディケーションを支援する観点から,安全性の確保を前提とし,利便性にも配慮しつつ,国民による医薬品の適切な選択,適正な使用に資するよう,薬局,薬店等において,専門家による相談応需及びリスクの程度に応じて情報提供等が行われる体制を整備するという改正の理念の下に,(c)医薬品の販売時の適切な情報提供及び購入者の疑問や要望を受けた場合の適切な相談応需が必要であるという観点から,専門家において購入者側の状態を的確に把握でき,購入者と専門家の間で円滑な意思疎通が行われるよう,購入者と専門家がその場で直接やりとりを行うことができる「対面販売」を医薬品販売に当たっての原則とし,(d)情報通信技術の活用については,行政,製造業者等による啓発や情報提供については積極的に進めるべきである一方,医薬品の販売については,対面販売が原則であることから情報通信技術を活用することについては慎重に検討すべきであって,@第一類医薬品については,対面販売とすべきであり,情報通信技術を活用した販売を認めることは適当でないと考えられ,A第二類及び第三類医薬品については,対面販売を原則とすべきであるが,購入者の利便性に配慮すると,深夜早朝に限り,一定の条件の下で,テレビ電話を活用して販売することについては,引き続き認めることも検討する余地はあると考えられ,B第三類医薬品については,リスクの程度や購入者の利便性,現状ある程度認めてきた経緯にかんがみると,薬局・店舗販売業の許可を得ている者が,電話での相談窓口を設置する等の一定の要件の下で通信販売を行うことについても認めざるを得ないと考えられるという内容があり,同報告書は,上記(a)ないし(d)の内容を含め,検討部会の検討結果を取りまとめた内容として了承された。なお,同部会の議論の中で,P10部会長からは,検討部会の議論の前提になったのは,医薬品供給の安全性の確保ということであり,これは委員の中でも異論がないことであると認識しており,今後の法制化に当たっては,その点が遺漏なく法案に盛り込まれるようにしてほしい旨の発言があった。

ノ.平成17年12月15日,検討部会の検討結果として取りまとめられた検討部会報告書は,厚生労働大臣に報告され,公表された。

(4) 原告P1らの国に対する要望の提出状況等

ア.原告P1らは,平成16年11月,「(仮称)P37協議会」として,国の規制改革・民間開放推進会議に対し,上記(1)カの通知による医薬品のインターネット販売の規制の緩和又は撤廃を求める要望を提出した。厚生労働省からは,インターネット販売の在り方については今後検討部会で議論する予定であり,必要な事項を平成18年通常国会提出予定の法案に盛り込む予定である旨の回答があった。

イ.原告P1は,平成17年6月,規制改革・民間開放推進会議に対し,上記アと同様の要望を提出し,検討部会では適切な審議結果が期待できない旨を指摘した。これに対し,厚生労働省は,上記アと同様の回答をした。

ウ.原告P1は,平成17年,厚生労働省医薬食品局総務課の担当官からのヒアリングを受けた。

エ.原告P1は,平成17年11月,規制改革・民間開放推進会議に対し,上記アと同様の要望とともに,医薬品販売の免許を有する薬店がインターネット販売を行う際に,適切な販売を行っている旨を消費者に証明する仕組みとして,オンラインマーク制度の導入の検討を求める要望を提出した。厚生労働省は,検討部会の報告書の趣旨等を踏まえて必要な制度改正を行う旨及び同報告書の該当部分を紹介する内容の回答をした。

オ.原告P1は,平成18年1月ころ,自社の医薬品販売サイトにおいて,医薬品の購入の際,@注意事項のチェック欄を設け,チェックに応じた薬剤師のアドバイスを表示し,禁忌事項にチェックされた場合には,販売しないようにすること,A販売前に必要な注意事項の画面を必ず表示し,当該画面を確認した旨のボタンを押して注文を受けること,B注文者に対し,注文した医薬品の使用時の注意事項を記載した電子メールを送信することを開始した。

カ.原告P1らは,平成18年1月19日,「P38の会」として,厚生労働大臣に対し,要望書を提出した。

キ.P4は,平成18年4月,厚生労働省に対し,医薬品のオンライン販売に関する自主規制案を提出したところ,この経緯は次のとおりである。原告P1の担当者は,同年3月13日,自主規制案の原案を添付した電子メールを厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課の担当官に送付して意見を求め,その後,同年4月21日,改訂した自主規制案を添付した電子メールを送付して,自主規制案について説明し,また,完成後の自主規制案についてニュースリリースをする時期,内容,方法等について相談するため,厚生労働省担当官との面会を申し込んだ。この電子メールには,改正法案が国会審議中であるため無用な刺激を避けるためにも第一類ないし第三類医薬品の分類についてはあえて言及しなかった旨記載されている。そして,同月25日,原告P1の担当者は,厚生労働省担当者あてに電子メールを送付して,自主規制案への意見を求めるとともに,その対外発表について是非を含めた感触を知りたいとして面会を求めたところ,返信の電子メールの文面には,面会可能な日程の連絡とともに,国会審議等においてインターネット販売については厳しい意見しか出ていない状況であり公表には慎重になられた方がよろしいかと思われ,この点については,面会時によく意見交換したい旨の回答があった。

(次回へ続く)

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