最新下級審裁判例

東京地裁民事第2部判決平成22年03月30日

【事案】

(前回からの続き)

(5) 改正法案の国会における審議の経過等

ア(ア) 前記(3)ノの報告(厚生科学審議会検討部会報告書)を受けて,厚生労働省において,厚生科学審議会の審議の結果としての検討部会報告書の内容を踏まえ,改正法案(薬事法の一部を改正する法律案)の立案作業が行われ,平成18年3月7日,閣議決定を経て第164回国会に改正法案が提出された。

(イ) なお,厚生労働省が平成18年3月に作成した「薬事法の一部を改正する法律案想定問答集」には,外国における一般用医薬品の販売制度に関する質問に対し,「基本的には欧米諸外国については,日本における一般用医薬品に当たるものは,アメリカを除き,概ね薬剤師等による対面販売が求められていると承知している」との答が記載されており,参考として,ドイツにおいては薬剤師又は薬局助手等による対面販売であるとする内容がある。

イ.改正法案は,第164回国会において審議され,平成18年4月10日の参議院本会議において,厚生労働大臣が,改正法案の趣旨説明を行った。趣旨説明においては,「国民の健康意識の高まりや医薬分業の進展等の医薬品を取り巻く環境の変化,店舗における薬剤師等の不在など制度と実態の乖離等を踏まえ,医薬品の販売制度を見直すこと」が求められているとした上で,「今回の改正では,医薬品の適切な選択及び適正な使用に資するよう,医薬品をリスクの程度に応じて区分し,その区分ごとに,専門家が関与した販売方法を定める等,医薬品の販売制度全般の見直しを行う」との内容がある。

ウ.平成18年4月11日の参議院厚生労働委員会において,改正薬事法案につき,上記イと同様の趣旨説明が行われた。

エ.平成18年4月13日の参議院厚生労働委員会において,改正法案の審議が行われた。

(ア) P39議員からは,今回の改正のポイントとして,国はめりはりと実効性の向上を考えているようであるが,自らの薬害被害の経験を踏まえ,購入者,患者への安全性を第一に考えてほしいという旨の質問があり,これに対し,厚生労働省の医薬食品局長(以下,単に「医薬食品局長」ともいう。)からは,改正により必要な情報提供が実効性をもって行われるようになると考えており,消費者の安全性がより確保される仕組みが構築されると考えている旨の答弁がされ,それに対し,P39議員から,二度と薬害被害を発生させないために安全性の強調を強く求めていきたいと思う旨の発言があった。また,P39議員からは,検討部会報告書でB分類の医薬品のうちアスタリスクが付せられたもの(新施行規則210条5号の指定第二類医薬品に相当するもの。以下「指定第二類医薬品」という。)について,オーバー・ザ・カウンターによる陳列・販売を義務付けるべきではないかという旨の質問があり,医薬食品局長からは,検討部会報告書においては,指定第二類医薬品については,オーバー・ザ・カウンターを義務付けるべきであるとはされておらず,オーバー・ザ・カウンターそのものではないとしても,それに準ずる方法も考えられ,積極的な情報提供を行う機会がより確保されることが最も重要であり,そのための手段としてどのような陳列・販売方法が適当か,法案成立後に検討をしていきたいと考えている旨の答弁がされた。P39議員からは,さらに,指定第二類医薬品については,オーバー・ザ・カウンターでないと売れないとか,薬剤師による面談をしながらやっていくというやり方の方がより安全性を担保できるのではないか,薬にはリスク・副作用があり,常習性もあるものがあることが認知されているのであるから,きっちりとした販売の形態を採らなければならないのではないかという質問がされ,それに対し,医薬食品局長からは,法案成立後にオープンな場で検討をしていきたい旨の答弁がされた。P39議員からは,再度検討してほしい,ただ売ればいい,売上げが上がればいいという発想ではなくて,薬には危険がつきものであることを国民に周知徹底するためにも,オーバー・ザ・カウンターといった販売形態を採ってほしいと提案しているのであり,積極的な答弁をしてほしい旨の質問がされ,医薬食品局長からは,よく検討する旨の答弁が,厚生労働大臣からは,法案成立後に関係者の意見を詰めていきたいとの答弁がされた。
 また,P39議員の既存配置販売業者に関する質問に答えて,厚生労働大臣からは,既存配置販売業者は,販売品目がこれまで限定的に認められているものであること,購入者や事業活動への無用の混乱を与えないようにすること等の観点から,経過措置を設けたものである旨の答弁がされた。

(イ) P40議員からは,医薬食品局長から,第二類医薬品及び第三類医薬品については,専門家である薬剤師や登録販売者が直接対応するだけでなく,専門家の管理下で非専門家である他の従業員が補助的に販売に従事することも可能とすることを考えている旨の説明がされたのを受けて,資格者の管理監督下の販売・授与ということになると,通信販売やインターネット販売に道を開くことにならないのかとの質問がされ,これに対し,医薬食品局長からは,検討部会報告書において,第三類医薬品については一定の要件の下で通信販売を認めざるを得ないとされていることを紹介し,医薬品の販売については,対面販売が重要であるということが基本であり,インターネット技術の進歩にはめざましいものがあるものの,現時点では検討部会報告書を踏まえて慎重な対応が必要であると認識している旨の答弁がされ,これに関連して,P40議員からも,対面販売は必要であると思う旨の発言がされた。

オ.平成18年4月14日の参議院厚生労働委員会において,参考人からの意見聴取と参考人に対する質疑が行われた。

(ア) 参考人であるP10部会長からは,検討部会の審議の経緯及び検討部会報告書の内容についての説明がされ,改正法案は,検討部会での審議結果及び検討部会報告書を十分に踏まえたものであり,医薬品はその本質として効能効果だけではなくて副作用などのリスクを併せ持つものであるから,適切な情報提供が伴ってこそ真にその医薬品は安全で有効なものとなる旨の陳述がされた。

(イ) P41協議会理事長・P42大学薬学部客員教授(一般用医薬品学)のP43参考人からは,一般人が信頼感をもって医薬品を購入できるための要件としては,専門家から個々の一般人の状況に応じた情報が示されること,その示された情報で当該一般人が納得できること等が挙げられ,特に,情報及び情報を提供する人がどのようなものであるかということが注目される旨,情報を提供する人には,情報を個々の一般人にふさわしいものにして提供していく技量,情報を提供する者が医薬品を買いに来た人の状況を判断できること,専門家が一般人にとって平滑かつ分かりやすい言葉で提供すること,目の前の買いに来た人の身体的・精神的な状況をある程度判断できることが必要であり,また,専門家と買いに来た人が互いにコミュニケーションをきちんと取れることが必要である旨の陳述がされた。

(ウ) P11協議会代表世話人のP44参考人からは,薬害被害者のみから構成されている自分たちの団体の願いは薬害の根絶ということ以外にはない旨,インターネット販売に関しては,陳列方法,相談応需及び情報提供に関する法案の規定を素直に読めば第三類医薬品以外のインターネット販売は不可能に読めるところ,第一類・第二類医薬品についても消費者のニーズを理由に売りたいという業者がいるが,第一類・第二類医薬品のインターネット販売を認めてしまうと,相談応需又は情報提供は全く実効性がなくなり,改正法は台なしになってしまうので,これをどのような形で改正法の政省令で定めるかということが行政の手腕に期待されるところであって,第一類・第二類医薬品のインターネット販売は断固としてできない体制を採ってほしい旨の陳述がされた。

(エ) 質疑においては,P40議員から,第三類医薬品について,通信販売を認めることと対面販売の原則の関係についてどう考えるかという質問がされ,これに対し,P10部会長からは,対面販売が医薬品の場合には望ましいということはそのとおりであるが,現在一定の時間帯には薬剤師の電話での相談応需による販売が認められていることに配慮をしたものと思われる旨の説明がされた。また,P45議員の質問に対し,P10部会長からは,情報提供の努力義務が課されているにもかかわらずドラッグストアなどでほとんどそれが行われていないという実態に対し,情報提供が対面販売という形で行われるようにしていこうというのが今回の議論の出発点である旨の説明がされた。また,P40議員の質問に対し,P11のP44参考人からは,第一類・第二類医薬品についてインターネット販売を禁止すべきであるという意見としたのは,一般の国民の利便性からすればインターネットを全部禁止するということは不便であるという意見になってしまい,その結果として事実上規制の実効性が全くなくなってしまうことを懸念したことから,第一類・第二類医薬品については絶対に禁止するというめりはりを付けるべきであると考えたものである旨,薬害被害者という立場からは,一般の方のアンケート結果は理解するが,医薬品の危険性は身にしみており,強く心配されるため,第一類・第二類医薬品についてはインターネット販売を断固禁止してほしい旨の陳述がされた。

カ.平成18年4月18日の参議院厚生労働委員会において,改正法案の審議が行われた。

(ア) 既存配置販売業者に関する経過措置により資格のない者が配置員として販売を続けることがダブルスタンダードになるのではないかというP46議員からの質問に対し,医薬食品局長からは,改正法に基づく登録販売者を置いて業務を行う配置販売業者は既存配置販売業者よりもかなり多くの品目を取り扱えるようになること,既存配置販売業者でも新制度に基づく情報提供義務を負うことなどからすれば,ダブルスタンダードには当たらない旨の答弁がされた。

(イ) P47議員からは,重篤な副作用,薬害被害がまた出るというようなことがあってはならないと思うとした上で,その点について,今後の厚生労働大臣の薬事行政の推進,特に医薬品の安全の問題についての考えを決意も含めて聞かせてほしいとの質問がされ,これに対し,厚生労働大臣からは,今回の薬事法の改正に当たっては,効能効果とリスクを併せ持つ医薬品の本質を踏まえることが最も重要である旨,今回の薬事法の改正は,購入者による医薬品の適切な選択,適切な使用に資するものであり,議員の懸念される副作用の大きな被害を二度と起こしてはならないというスタンスの中で努力をしていくとともに,今回の制度改正をその趣旨が生かされるよう実施し,医薬品全体の安全体制の充実強化に積極的に取り組んでいく旨の答弁がされた。それに続けてP47議員からは,規制改革という流れには一定の必要性を認める一方で,医薬品の安全性の問題については,悲惨な歴史があるとともに,今後も同じような事態が発生するのではないかという懸念が非常に強くある状況であるので,信頼,安全,安心をどのように作っていくかについては抜かりなく油断なく対応してほしい旨の発言がされた。

(ウ) P40議員からは,第一類医薬品についてもインターネット販売で売られているという実態について,何らかの対策を講ずべきではないかという質問がされ,これに対し,厚生労働大臣からは,法改正後については,改正後の薬事法において,第一類医薬品を販売する場合には,省令で定めるところにより,薬剤師が適正な使用のために必要な情報を提供しなければならないものとされていて,これに基づき対面販売により情報提供することを求めるという方向性になっており,その定めの違反は行政処分による強制力のある取締りの対象となり,従来は通知に基づく行政指導がされてきたインターネット販売はその取締りの対象となる旨の答弁がされた。

(エ) P45議員の配置販売業者に関する質問に対し,厚生労働大臣からは,配置販売は,三百余年もの長い伝統の中で培われてきた利便性の高い我が国固有の販売形態であり,購入者の家庭において対面による適切な情報提供や相談対応を行い,医薬品を購入するため外出することが困難な家庭に対する一般用医薬品の供給等という社会的役割も担っていると認識している旨の答弁がされた。

(オ) これらの審議の後,同日の参議院厚生労働委員会において,改正法案は採決され,賛成多数で可決された。

キ.平成18年4月19日,参議院本会議で改正薬事法案が議題とされ,採決が行われ,賛成多数で可決された。参議院厚生労働委員会の本会議への報告では,改正法案は,「医薬品の適切な選択及び適正な使用に資するよう,一般用医薬品をその副作用等により健康被害が生ずるおそれの程度に応じて区分し,その区分ごとに,専門家が関与した販売方法を定める等,医薬品の販売制度全般の見直しを行う(中略)こと等により,保健衛生上の危害の発生の防止を図」ることを改正の趣旨・目的とするものと報告された。また,参議院の附帯決議として,政府に対し,「医薬品の適切な選択及び適正な使用の確保のため,新たな一般用医薬品の販売制度が実効あるものとなるよう十分留意すること」,「新たな一般用医薬品の販売制度について,国民が,医薬品のリスク分類によって,販売者,販売の在り方等が異なることを理解し,適正に販売がなされていることを容易に確認できるよう必要な対策を講ずること。また,制度の実効性を確保するよう薬事監視の徹底を図ること」及び「一般用医薬品のリスク分類については,安全性に関する新たな知見や副作用の発生状況等を踏まえ,不断の見直しを図ること」を求める旨の決議がされている。

ク.平成18年6月2日,衆議院厚生労働委員会において,改正法案の趣旨説明が行われた。その内容は,参議院におけるものと同様であった。

ケ.平成18年6月7日,衆議院厚生労働委員会において,改正法案の審議が行われた。P48議員から,対面販売とはいえない医薬品のインターネット販売については大変危険であると思っており,薬害被害の実態を考えれば,少なくとも特にリスクの高い第一類医薬品はインターネット販売や通信販売を禁止すべきであるがどう考えるかという質問がされたのに対し,医薬食品局長からは,医薬品のインターネット販売についての検討部会報告書の考え方として,対面販売が原則であることから情報通信技術を活用することについては慎重に検討すべきであるとされ,第三類医薬品については一定の要件の下で通信販売を認めざるを得ないとされていることを紹介した上,厚生労働省としては,医薬品の販売は対面販売が重要であり,インターネット技術の進歩にめざましいものがあるとはいえ,現時点においては,検討部会報告書を踏まえた慎重な対応が必要であると考えている旨の答弁がされた。また,P49議員からも,医薬品のインターネット販売に関する質問があったのに対し,医薬食品局長からは,検討部会報告書の内容を紹介し,対面販売の原則ということから厳しく制限をすべきであるという意見がある一方で,利便性あるいはIT技術の活用により対面販売に準じた対応も可能として規制を緩和すべきであるという意見もあるが,厚生労働省としては,医薬品の販売は対面販売が重要であるという基本的な考え方に立って,インターネット技術の進歩にはめざましいものがあるとはいえ,現時点では,検討部会報告書を踏まえて慎重な対応が必要であると考えている旨の答弁がされた。
 これらの審議の後,同日の衆議院厚生労働委員会において,改正法案の採決が行われ,賛成多数で可決された。

コ.平成18年6月8日の衆議院本会議において,改正法案の採決が行われ,賛成多数で可決され,改正法案が成立した。衆議院厚生労働委員会の本会議への報告でも,改正法案の趣旨・目的について,上記キと同旨の報告がされた。

サ.平成18年6月14日,改正法が平成18年法律第69号として公布され,その後の政令による施行期日の定めにより平成21年6月1日から改正法が施行され,これにより,薬事法に36条の3,36条の5,36条の6等の規定が新設された。

(6) 第一次検討会における議論及び改正省令の制定に至る経過等

ア.P4(※原告P1の代表者が理事長を務めるNPO法人)は,平成20年1月,第一次検討会への参加を求める要望書を厚生労働大臣あてに提出したが,同年2月,厚生労働省から,検討会委員に選出されなかった旨の連絡を受けた。

イ.平成20年2月8日,第一次検討会第1回会議が開催された。第一次検討会の座長にはP10部会長が選出された(以下,第一次検討会との関係では「P10座長」という。)。第一次検討会第1回会議の議論においては,P16委員から,第一類医薬品は直接的に対面販売等が基本であり,これは検討部会でも委員全体の総意だったと思う旨,第二類医薬品及び第三類医薬品もそうだと思うが,情報提供という概念を維持するためにはインターネット販売との絡みできちんと整理しておく必要がある旨の発言があった。

ウ.平成20年2月22日,第一次検討会第2回会議が開催された。第一次検討会第2回会議では,リスク区分に関する表示の取扱いや情報提供等の内容・方法等について議論が行われた。

エ.平成20年3月13日,第一次検討会第3回会議が開催された。第一次検討会第3回会議では,医薬品の販売の実情に関して,P6協会副会長のP50委員から,大規模店舗の状況について,P16委員から,薬局の状況について,社団法人P22副会長のP51委員から,薬種商販売業の状況について,P52協会常任理事長のP53委員及びP54協会副会長のP55委員から,配置販売業の状況について,それぞれ説明があり,その後,情報提供等を適正に行うための販売体制について議論が行われた。その議論においては,情報通信技術を活用した販売について,検討部会報告書のとおり,第三類医薬品の販売のみ認めるべきである趣旨の意見と,第三類医薬品の販売も認めるべきではないとの意見が出され,一致をみなかった。また,P16委員からは,インターネット販売は国内より国外のものの方が多い現状やインターネットを通じた偽薬の販売の問題が発生したことからも分かるように,インターネット販売に対する実効的な規制は難しく,第三類であっても医薬品にはリスクがあるので,現状を考えれば,医薬品については情報通信技術を通じた販売は認めるべきではないというのが原則論である旨の意見が述べられた。

オ.平成20年3月25日,第一次検討会第4回会議が開催された。第一次検討会第4回会議における情報通信技術を活用した販売に関する議論においては,インターネットを使用した一般用医薬品以外の薬の販売に対する規制の実効性の問題が指摘されたり,第三類医薬品について規制なく販売することは相当ではないという趣旨の意見が出されたりしたほか,P12委員から,上記(1)イの通知(※カタログ販売の取扱医薬品の範囲に係るもの)において販売が認められた医薬品を,第三類医薬品のみインターネット販売を認めることが望ましいという検討部会報告書の趣旨に沿って再度分類し,第三類医薬品に該当するもののみインターネット販売を認めるという形を取るべきではないかという旨の意見が述べられ,P56会のP57委員からも,第一類及び第二類医薬品については,対面販売をすることが原則であり,売り手と買い手の対話が成立しないインターネット販売には反対である旨の意見が述べられ,これらの意見を踏まえ,P10座長からは,ほとんどの委員はP57委員の上記意見と同様の意見ではないかという旨の発言がされ,これについて特に異議が述べられることはなかった。また,議論において,事務局から,対面の原則に関し,検討部会報告書に,「購入者と専門家がその場で直接やりとりを行うことができる」販売方法である対面販売を医薬品販売の原則とすべきである旨の記述があるとの紹介がされた。

カ.平成20年4月4日,第一次検討会第5回会議が開催された。第一次検討会第5回会議では,原告P1代表者(P4理事長)からのインターネット販売の実情についてのヒアリングが行われた。原告P1代表者は,インターネット販売における顧客とのやりとりの概要についての説明を行い,インターネット販売の安全・安心及び利便性について,@正規の薬局・薬店による運営がされていること,A添付文書及び内容物の画像・禁忌情報の提示等による十分な情報提供を行っていること,Bアンケート形式で個別に購入申込受付前の確認ができること及び電子メールや電話による個別の相談に応じられること,C薬局・薬店に出向くことが地理的・時間的に困難な顧客の要望に応えられること,D販売した医薬品の追跡が可能であることを挙げ,店舗販売を行っている薬局・薬店が対面販売による安全・安心な店舗販売を心がける一方,生活弱者からの強いニーズがあって,そのニーズにこたえるべくインターネット販売を行っており,対面販売の趣旨にのっとった安全・安心を確保すべく,発展著しい情報通信技術を活用している旨の説明をした。その後の質疑応答については,以下のようなやり取りがあった(以下の回答は,いずれも原告P1代表者(P4理事長)の回答である。)。P12委員から,(a)ホームページ上で正規の薬局・薬店であるかどうかを表記するルールがあるかどうか,(b)購入する際に医薬品と医薬品に類似しているが医薬品ではないサプリメント等の区別を確認できる形になっているかという質問があり,これに対し,上記(a)について,P4で策定している自主規制案の中でそのような枠組みを強く求め,P4の会員にはそのような表記を強く求めている旨,上記(b)についても,インターネット上で陳列の表示をする際に,医薬品であるかどうかを確認できるように自主規制案で定めている旨の回答がされ,同じくP12委員からの質問に対し,日本で普通に薬局・薬店を営んでいる者がきちんとインターネットで安全・安心を追求しながら販売することと,未承認薬といった正規のルートでないところで医薬品が流通することをはっきりと分けて考え,未承認薬や海外からのさまざまな安全でない入り方については徹底的に遮断していくといった施策が必要と考える旨の回答がされた。また,P50委員から,顧客側から見て相対している者が薬剤師かどうかという判断や店舗できちんと取り扱われているかの判断を可能とする方法があるかという質問があり,これに対し,誰が薬剤師であるか,どういう薬局・薬店であるかをインターネット上に掲示している旨の回答がされたが,さらにP50委員からは,それでは顧客側からは事実の確認はできないとの指摘がされた。また,P55委員から,スイッチOTCを含め薬局に置かれている医薬品全部がインターネット販売の対象となっているのかという質問があり,これに対し,薬剤師が適否を判断した上でスイッチOTCを販売することもあり得る旨の回答がされ,同じくP55委員からの初回購入者の適格性についてどのような判断をしているのかという趣旨の質問に対し,基本的には顧客の申告をよほどの事がない限りは信頼して販売する旨の回答がされた。P36委員から,急性期の患者に対しニーズにあった時間内に薬を届けることができるかという趣旨の質問及び顧客の地域的な広がりの質問がされ,これに対し,急性期の症状が出かかっているような顧客は店頭に行くことになり,余りインターネット販売は利用せず,インターネット販売は常備薬としてあらかじめ買われる場合などに利用され,状況に応じて顧客が使い分けているのではないかという趣旨の回答,また,地域的には必ずしも近隣ではなく,漢方薬の場合などのように,距離に関してはもう少し広がりがあるであろうという趣旨の回答がされ,それを受けて,P36委員から,常備薬であれば,店頭や配置薬で対応できるので,利便性が最も問題となる緊急時の対応についてはインターネット販売の利便性はあまりないと思う旨の指摘がされたのに対し,歩くのが不自由な方など情報通信技術の活用を求めている顧客は少なからずいる旨の回答がされたが,P36委員からは,今の話では,ある程度限定された集団になるという印象をもった旨の発言がされた。また,P10座長からの質問に対し,P4の自主規制案は策定中のものである旨の回答がされ,自主規制案自体は第一次検討会第5回会議には示されなかった。ヒアリング後の議論において,P50委員からは,安全と安心のための対面の原則が根底にあって,そのために専門家が常駐していることが必要であるとする改正法の趣旨からすると,対面販売の点は譲れない旨の発言があり,P16委員からは,きちんとしている業者でも難しい問題はあり,医薬品の販売において情報通信技術は限定された範囲で使うべきものであると再認識したところであり,これを使うのは第三類医薬品と上記(1)イの通知で認められた範囲を超えるべきではない旨の発言があり,P12委員からは,インターネットのホームページでは販売許可を受けているかどうか判然としないものもあり,ホームページを見る限りでは,当該業者について店舗の有無や本当に専門家が対応しているかどうかを見分けることができない旨の発言があった。

キ.平成20年4月24日,第一次検討会第6回会議が開催された。第一次検討会第6回会議では,事務局が作成した論点整理案が示され,これを基に議論が行われた。同会議の議論においては,医療用医薬品がインターネットを通じて販売されていることに対する規制の実効性に関する意見も出されたが,P21委員からは,インターネットで違法な販売方法が行われているものは医薬品以外にも多数あり,インターネットでの違法な取引をどのように摘発して止めさせるかは大きな問題としてあるが,例えば外国から発信されている情報には日本政府は直接規制をかけられないということもあり,そういった問題がある中で,インターネットの世界は闇であるからインターネットを利用した医薬品に関係する取引はすべて規制するということではなく,薬局・薬店等の店舗が一定の通信技術を用いてきちんと行うものはルールを定めて許容するという形で考えていくべきではないかという趣旨の意見が出され,これに対して特に異論は出なかった。

ク.平成20年5月16日,第一次検討会第7回会議が開催された。第一次検討会第7回会議では,事務局が作成した報告書案を基に議論が行われた。この報告書案中の通信販売に関する「販売時の情報提供を行うことが努力義務となっている第二類医薬品については,販売時の情報提供の方法について対面の原則が担保できない限り,販売することを認めることは適当ではない。」という記載の意味について,委員の質問に答えて,事務局からは,例えば,東京に店舗を有する業者が他の地域の顧客に通信販売をする場合に,東京の店舗で対面販売をすることができるからといって対面の原則が担保できる場合に当たるとはいえず,具体的に認められると考えられる方法は現在のところ出てきていないが,実際にそのようなことをしようとする業者から何かアイディアが示された場合には,対面の原則が担保されているかどうかを個別に判断していくという趣旨のものである旨の説明がされた。

ケ.平成20年7月4日,第一次検討会第8回会議が開催された。第一次検討会第8回会議では,修正された報告書案を基に議論が行われ,報告書案は了承された。第一次検討会報告書には,「情報通信技術を活用する場合の考え方」として,@医薬品の販売に当たって専門家が対面によって情報提供することが原則であることから,販売時の情報提供に情報通信技術を活用することについては慎重に検討すべきであり,第一類医薬品については,書面を用いた販売時の情報提供が求められていることなどから,情報通信技術を活用した情報提供による販売は適当ではない,Aテレビ電話を活用して販売することについては,深夜早朝における薬剤師の確保が困難であることを発端として制度が設けられたものであり,登録販売者制度の導入により,深夜早朝における専門家が十分に確保されるのであれば,時間帯にかかわらず専門家が対面により確実に情報提供が行われる体制を求めるべきであって,今後,深夜早朝においても専門家が十分に確保されるよう努めることにより,テレビ電話を活用した販売については廃止することとし,新制度施行後,経過措置期間として専門家が十分に確保された体制で医薬品販売を行うことについての猶予が認められているまでの間,現行認められている条件の下で,テレビ電話を活用して第二類及び第三類医薬品を販売することを引き続き認める,B(T)薬局又は店舗販売業の許可を受けている者が,当該薬局又は店舗に来訪していない購入者から医薬品の購入の申込みを受け,当該薬局又は店舗から,購入された品目を配送する方法による販売(通信販売)を行うことについては,購入者の利便性,現状ある程度認めてきた経緯にかんがみると,その薬局又は店舗での販売の延長で販売時及び相談時の情報提供が行われるものであれば,一定の範囲の下で認めざるを得ず,この場合,販売時や販売後の相談においても,相談があった場合の情報提供が専門家によって行われていることが購入者から確認できるような仕組みを設けるとともに,相談の内容によって,薬局又は店舗で対面により相談に応ずることが可能な体制を確保する必要があり,また,購入者に薬局又は店舗において掲示しなければならない情報の伝達を図るべきであり,これらの点を確認するため,通信販売を行う場合,薬局又は店舗販売業の許可を受けている者はあらかじめ通信販売を行うことを届け出ることが適当である,(U)また,取り扱う品目については,情報通信技術を活用する場合は,販売時に情報提供を対面で行うことが困難であることから,販売時の情報提供に関する規定がない第三類医薬品を販売することを認めることが適当であり,販売時の情報提供を行うことが努力義務となっている第二類医薬品については,販売時の情報提供の方法について対面の原則が担保できない限り,販売することを認めることは適当ではない,(V)なお,本項目の検討に当たって,薬局又は販売業の許可を受けて通信販売を行う事業者の団体から,現状の通信販売の実態,自主的な取組等について意見聴取を行ったことを申し添えるという内容の記述がある。

コ.P4は,平成20年7月,第一次検討会報告書に対する意見書を厚生労働省に提出し,同年8月,「対面の原則を担保し,安全・安心な医薬品インターネット販売を実現する自主ガイドライン」を発表した。

サ.厚生労働省は,平成20年9月17日から同年10月16日まで,改正省令案の概要を示し,これに対する意見公募手続を行った。

シ.政府の規制改革会議は,平成20年11月11日,上記サの改正省令案に関する見解を示した。その内容は,@薬事法上インターネット販売を含む通信販売を禁止する明示的な規定がなく,省令で当該規制を行うことは法の授権範囲を超えていること,A消費者の利便性を阻害すること,B地方の中小薬局のビジネスチャンスを制限すること,Cインターネット販売を含む通信販売が店頭での販売に比して安全性に劣ることが実証されていないことを挙げ,改正省令案のうち,インターネット販売を含む通信販売に係る規制に該当する部分をすべて撤回し,IT時代にふさわしい新たなルール整備を早期に行うべきであるというものであった。

ス.改正省令案によるインターネット販売の規制に関し,平成20年11月から12月にかけて,厚生労働大臣に対し,規制に賛成し規制を強化すべきであるとするP11等からの要望書及びP15等の薬業に関係する団体からの声明書,規制に反対するP4からの意見書及びP4を含む販売事業者等からの要望書並びにP58協議会からの伝統薬存続に関する要望書が提出された。

セ.厚生労働省は,平成20年12月19日,同月16日付けの規制改革会議からの質問事項について,上記シの見解に対する回答を含め,回答した。

ソ.P4は,平成20年11月20日,インターネット販売を行う事業者による自主規制案として,「安全・安心な医薬品インターネット販売を実現する自主ガイドライン」を発表し,同年12月11日,同ガイドラインを改訂した。改訂後の同ガイドライン(以下「P4ガイドライン」という。)の主な内容は,別紙「P4ガイドラインの主な内容」のとおりである。

【別紙】P4ガイドラインの主な内容

1.会員は,購入者が医薬品を適切に選択・購入し,かつ,適正に使用することができるよう,@専門家による情報提供,A購入者のその時点における状態に応じた情報提供,B添付文書を基本とした情報提供の原則を遵守するものとする(3条)。

2.会員は,医薬品のインターネット販売を行う場合は,あらかじめ住所,氏名,電話番号などを登録した購入者に対してのみ行う。会員は,登録された情報を基に,各購入者の状況に応じて必要な情報を提供した上で商品を販売するよう努める(5条)。

3.会員が郵便等販売を行う場合は,薬局又は店舗ごとに,その薬局又は店舗の所在地の都道府県知事等に,@当該薬局又は店舗の名称及び所在地,A当該薬局又は店舗の許可番号及び許可年月日,B当該薬局又は店舗の郵便等販売の方法を届け出るものとする(6条1項)

4.会員が特にインターネット販売を行う場合は,上記3の事項のほか,@インターネット販売を行うウェブサイトの名称,Aインターネット販売を行うウェブサイトのURL,Bインターネット販売における責任者,C取り扱う医薬品の種類,D相談に応ずる方法,専門家の種別・氏名,相談に応ずることができる時間,Eインターネット販売において,その適正な使用のために必要な情報提供を行うために講ずる措置を届け出るものとする(6条2項)。

5.会員は,医療用医薬品,毒薬・劇薬,毒物・劇物,乱用薬物(大麻,覚せい剤,麻薬及び向精神薬などの乱用の危険性の高い物質),指定薬物,違法ドラッグ,個人輸入ドラッグ(個人が自分で使用する目的でしか輸入が認められておらず,国内での販売が禁止されている医薬品),化学物質及び危険物に該当するものをインターネット販売では取り扱わないものとする(27条)。

6.会員は,第一類医薬品については,その薬局又は店舗に貯蔵し又は陳列している医薬品であって,後記8から23までに定める情報提供を書面を用いて行うことを条件として,インターネット販売で取り扱うものとする。なお,会員は,購入者が医薬品を受領する以前にかかる書面を購入者に届けなければならない(28条)。

7.会員は,第二類医薬品及び第三類医薬品については,その薬局又は店舗に貯蔵し又は陳列している医薬品であって,後記8から23までに定める情報提供を行うことを条件として,インターネット販売で取り扱うものとする(29条1項)。

8.販売する際に行う情報提供は,第一類医薬品にあっては販売に従事する薬剤師,第二類及び第三類医薬品にあっては販売に従事する薬剤師又は登録販売者が行うものとする(30条1項)。

9.上記8の情報提供は,情報提供時に購入者側のその時点における状態を的確に把握する方法として,原則として店舗等において行うこととする(30条2項)。

10.会員は,医薬品を郵便等販売する場合であっても,情報提供時に購入者側のその時点における状態に合わせて,適切な情報提供を行うことができる方法を用いて行うものとする(30条3項)。

11.専門家(第一類医薬品にあっては薬剤師,第二類及び第三類医薬品にあっては薬剤師又は登録販売者)は,購入者側のその時点における状態について,購入者自身がその時点で使用する場合のほか,購入後の別な時期に使用する場合や購入者の家族等が使用する場合等にも留意して情報提供を行うものとする(30条4項)。

12.会員は,医薬品をインターネット販売するに当たって,自己の運営するウェブサイト,電子メール,電話,ファクシミリなどの情報通信技術を活用して,医薬品の適切な選択に資するよう,@購入の動機は何か,A使用する者は誰か,B服用してはいけない人,してはいけないことに該当するか否か,C医師等による治療を受けているか否か,D治療を受けている場合,使用前に医師・薬剤師等に相談する必要がある人か否かについて,購入者の申出により確認し,必要に応じて質問するものとする(31条1項)。

13.会員は,上記12の購入者の申出又は購入者への質問に対する返答を中心として,販売名,第一類医薬品・第二類医薬品・第三類医薬品の別,成分及び分量,効能又は効果,用法及び用量,製造・販売元,その他外箱に記載される内容,服用してはいけない人及びしてはいけないことに関する情報,医師等による治療を受けているか否かに関する情報,治療を受けている場合,使用前に医師・薬剤師等に相談する必要がある人に関する事項,添加剤に関する情報,その他添付文書に記載される重要と思われる事項とその出典及び情報の最終確認年月を始めとする添付文書を基本とした情報提供を,自己の運営するウェブサイト,電子メール,電話,ファクシミリ等の情報通信技術を活用して確実に行うものとする(31条2項)。

14.会員は,医薬品をインターネット販売するに当たって,自己の運営するウェブサイト,電子メール,電話,ファクシミリ等の情報通信技術を活用して,医薬品の適正な使用に資するよう,購入者に対して,@外箱,添付文書を保存しておくようにする旨の情報,A添付文書をよく読んでから使用する旨の情報,B併用してはいけない薬剤に関する情報,C副作用が発現したと思われる場合は,直ちに使用を中止し,医師・薬剤師等に相談する旨の情報,D一定期間服用しても病状が改善しない場合には,医師・薬剤師等に相談する旨の情報,E一定期間服用しても病状が改善せずに悪化した場合は,医療機関での診療を受ける旨の情報,F後日相談するために必要な情報(専門家の氏名,連絡先等),G健康被害救済制度に関する情報について,情報提供をするものとする(32条)。

15.会員は,医薬品のリスク区分の別にかかわらず,また,購入者側から情報提供を不要とする旨の申出があったか否かにかかわらず,申込みに対する承諾後に,販売時に提供した情報を電子メールや文書等により送付し,改めて使用の注意を促す。ここで,不要と明示する場合とは,購入者側から常備薬として日常使用しているものであると申出がされた場合,使用中の同一製品を持参又は送付してきた場合,又は店舗等において購入者が過去に同一の製品を購入していたことが購入履歴から明確に確認できる場合を意味するものとする(33条1項)。

16.上記15の電子メール・文書による情報提供には,添付文書をよく読んでから使用する旨の情報,併用してはいけない薬剤に関する情報,後日相談するために必要な情報(専門家の氏名,連絡先等)を含む(33条2項)。

17.相談を受けて対応する場合,相談に応ずる専門家は,購入者にとって不利益がもたらされることがないよう慎重な対応をとるものとする。登録販売者は,自らの専門性の範囲を超える相談に対しては薬剤師や医師に相談することを勧めるものとする(34条1項)。

18.上記17の情報提供についても,第一類医薬品に係るものは薬剤師が,第二類及び第三類医薬品に係るものは薬剤師又は登録販売者が行わなければならないものとする(34条2項)。

19.上記17に基づき相談に応ずる専門家は,購入時に情報提供を受けた内容を確認する場合,相談の時点で使用するに適当な医薬品か否かを確認する場合等,相談を受けて対応する場合の情報提供についても原則として店舗で行うものとする(35条1項)。

20.ウェブサイトや電子メール,電話,ファクシミリ等の情報通信技術を活用して相談を受けて対応する場合は,購入者や購入した医薬品が特定されない限り,不確実かつ不適切な対応になってしまうおそれがあることに注意し,専門家は,原則として,単純な事実関係の確認のほか,@店舗等への来訪を求めること,A医療機関への受診を勧めること(受診勧奨),B店舗等への来訪や受診勧奨を前提とした,使用者側の情報収集にとどめるものとする(35条2項)。

21.会員は,情報通信技術を活用して行う販売時や販売後の相談においても,相談があった場合の情報提供が専門家によって行われていることが購入者から確認できるような仕組みを設けるよう努めるものとする(35条3項)。

22.営業時間外に相談が行われる場合や店舗等が遠方である場合など,店舗等において即時的に行われることが困難である場合,相談の内容によっては近隣の医療機関を紹介するなど積極的に受診勧奨するように努めるものとする(35条4項)。

23.会員は,店舗等及び自己の運営するウェブサイトにおける情報提供のほか,電子メール,電話,ファクシミリ等を利用した相談窓口を設け,ウェブサイト上に表示する。会員は,相談窓口において適切な情報提供及び相談応需ができるよう,営業時間中(又は相談を受ける時間中),情報提供を行うための場所の数や方法に合わせて専門家を必要数確保する(36条)。

24.会員は,自己の運営するウェブサイト上で,購入者が適正に医薬品を購入する観点から,薬局・薬店として,@薬局又は店舗の基本情報(名称・住所・店舗地図),A薬局又は店舗の外観及び営業時の様子を撮影した写真,B許可の区分の別,C郵便等販売を行うことを届け出た旨の表示及び届け出た事項,D開設者の氏名又は名称,E管理者の氏名,店舗等において業務に従事する際の顔写真(ただし,顔写真については,着衣・名札が明瞭に識別できるよう工夫すること),F勤務する専門家の種別,氏名,店舗等において業務に従事する際の顔写真(ただし,顔写真については,着衣・名札が明瞭に識別できるよう工夫すること),G取り扱う医薬品の種類,H従事者の着衣・名札等による区別に関する説明,I営業時間及び営業時間外に相談に応ずることができる時間,J緊急時や相談時の連絡先(電話番号・ファクシミリ番号・電子メールアドレス等)の各基本情報を掲示するものとする(37条)。

25.会員は自己の運営するウェブサイト上で,販売制度の実効性を高める観点から,@第一類医薬品,第二類医薬品及び第三類医薬品の定義・説明,A第一類医薬品,第二類医薬品及び第三類医薬品の表示に関する説明,B第一類医薬品,第二類医薬品及び第三類医薬品の情報提供に関する説明,C指定第二類医薬品に関する陳列等についての説明,D医薬品の陳列に関する説明,E相談時の対応方法に関する説明,F健康被害救済制度に関する説明,G苦情相談窓口に関する情報の各情報を表示するものとする(38条)。

26.会員は,自己の運営するウェブサイト上で,医薬品は原則としてかかりつけの店舗等で専門家に相談してから購入するよう促すための掲示を行う(39条)。

27.会員は,上記24から26までに定める情報を,自己の運営するウェブサイト上において,購入者が容易に見ることができる場所に掲示するとともに,購入者にとって理解が深まるよう,分かりやすい記載に努めるものとする。また,必要に応じて,同じ掲示情報を複数の場所からリンクすることにより,購入者が頻繁に見ることができるよう工夫するよう努めるものとする(40条)。

28.会員は,医薬品のインターネット販売を行う場合は,@購入者から購入者(又は使用者)のその時点の状態を申告させたり,購入者に対して質問したりするなどの方法により,購入者側の状態を把握すること,A専門家によって購入者側のその時点の状態に応じた適切・適正な情報を購入者に提供すること,B購入者が,自己の申し込んだ医薬品の販売名,個数,価格等の情報を申込みの確定前に確認できる仕組みを設け,必要に応じて購入者に対して申込みを受け付けた旨を通知すること,C購入者に対して当該医薬品を販売してもよいか否かの判断を,必ず専門家が行うこと,D上記@からCまでの条件を満たしている場合に限り,購入者の申込みを承諾し,購入者に対して当該申込みを承諾した旨を通知すること,E売買契約の対象となった医薬品が確実に購入者に到達するための工夫をすることというすべての条件を満たすことにより,安心・安全を確保した販売を実現する(42条1項)。

29.会員は,購入する医薬品の個数,注文頻度,同一又は類似の薬効群の医薬品の注文状況等から総合的に判断して,購入者の安全を害するおそれがあると判断した場合は,当該購入者への販売を取りやめるなどの対応を取る(43条)。

30.会員は,医薬品のインターネット販売において,逆オークション,共同購入,価格比較等の方法による販売価格のみを強調するような販売方法は採らないものとする(44条1項)。

31.会員は,医薬品のインターネット販売において,レビュー機能を始めとした専門家以外の者による推奨情報,クチコミ情報は表示しないものとする(44条2項)。

32.会員は,一般用医薬品の使用によって,購入者の体調に変化が生じた場合の対応を案内するため,緊急連絡先等を自己の運営するウェブサイト上の分かりやすい部分に表示する(45条1項)。

33.会員は,一般用医薬品の使用によって発現した副作用について,購入者が健康被害救済制度を利用できるよう,自己の運営するウェブサイト上に当該制度についての案内を表示する(45条2項)。

タ.厚生労働省は,平成21年2月6日,上記サの意見公募手続の結果を発表した。その内容は,全体の意見数は3430件であること,郵便等販売に関する意見は2353件あること,賛成意見及び反対意見とそれらに対する厚生労働省の回答等であり,郵便等販売は第三類医薬品に限って認めるべきであるとする賛成意見に関しては,11の主な理由とそれに対する回答,郵便等販売により販売可能な一般用医薬品の範囲を第三類医薬品以外の医薬品についても認めるべきであるとする反対意見に関しては,34の主な理由とそれに対する回答が示されている。

チ.平成21年2月6日,改正省令(薬事法施行規則等の一部を改正する省令)が平成21年厚生労働省令第10号として公布され,これにより,薬事法施行規則に本件各規定が新設され,同年6月1日(改正法の施行日)から施行されることとなった。

(次回へ続く)

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