平成24年司法試験・予備試験
短答式試験の感想(1)

憲法について

全体的には、傾向は変わっていない。
全ての肢の正誤が判断できないと、正解にならない問題がほとんどだ。
各肢を1、2で判断するか、全ての組み合わせが、選択肢になっている。
ただ今年は、数は少ないものの、4つから2つの組み合わせを選ぶものも出題された。
また、昨年多かったab型の論理問題が出題されていない。
「a が、b の根拠(または批判)になっているものを選べ」型の問題である。
昨年はやや論理重視だったが、知識重視に戻った、という感じだ。

新試験の第2問は、空知太神社訴訟(最大判平22・1・20)からの出題である。
違憲の結論ではなく、むしろ、理由の方を訊いている。
新判例も、全文をフォローしておく必要がある。
アイウのいずれの肢も、司法試験平成22年最新判例肢別問題集で出題していた。
当サイトの最新判例問題集は、特定の憲法判例の肢がやたらと多い。
それは、憲法では本試験が細かい理由部分を訊いてくるからである。

(新試験第2問)

 いわゆる砂川政教分離(空知太神社)訴訟判決(最高裁判所平成22年1月20日大法廷判決,民集64巻1号1頁)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

ア.国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されるといっても,当該施設の性格や来歴,無償提供に至る経緯,利用の態様には様々なものがあり得るのであって,これらの事情のいかんが政教分離原則との関係を考えるに当たって重要な考慮要素とされるべきである。

イ.無償提供された国公有地上に存在する宗教的施設の宗教性を判断するに当たっては,当該宗教的施設に対する一般人の評価を抽象的に観念するのではなく,当該施設が存在する地元住民の一般的評価を検討することが重要である。

ウ.宗教的施設に対する国公有地の無償提供が憲法第89条に違反し違憲と判断される場合には,このような違憲状態を解消するための手段として,使用貸借契約の解除までは必要ないが,当該土地上に存在する宗教的施設の撤去が必要である。

 

司法試験平成22年最新判例肢別問題集より抜粋)

【問題】

15:重要度:A
 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法の政教分離原則に違反するかが争われた事案において、判例は、国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されているといっても、当該施設の性格や来歴、無償提供に至る経緯、利用の態様等には様々なものがあり得ることが容易に想定されるとし、その具体例として、一般的には宗教的施設としての性格を有する施設であっても、同時に歴史的、文化財的な建造物として保護の対象となるものであったり、観光資源、国際親善、地域の親睦の場などといった他の意義を有し、それらの文化的あるいは社会的な価値や意義に着目して当該施設が国公有地に設置されている場合を例示した。

17:重要度:AA
 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法の政教分離原則に違反するかが争われた事案において、判例は、国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されている状態が、信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えて憲法89条に違反するか否かを判断するに当たっては、当該宗教的施設の性格、当該土地が無償で当該施設の敷地としての用に供されるに至った経緯、当該無償提供の態様、これらに対する当該宗教的施設の存在する地元住民の一般的評価等、諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして総合的に判断すべきものと解するのが相当であるとした。

27:重要度:B
 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法の政教分離原則に違反するかが争われた事案において、判例は、上記利用提供行為の現状を違憲とする理由は、氏子集団に対し、長期にわたって無償で土地を提供していることによるものであって、このような違憲状態の解消には、神社施設を撤去し土地を明け渡す以外にも適切な手段があり得るとし、その具体例として、戦前に国公有に帰した多くの社寺境内地について戦後に行われた処分等と同様に、土地の全部又は一部を譲与し、有償で譲渡し、又は適正な時価で貸し付ける等の方法を例示した。

 

【解答】

15:正しい(最大判平22・1・20(空知太神社訴訟))。

17:誤り(最大判平22・1・20(空知太神社訴訟))。
 判例は、国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されている状態が、信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えて憲法89条に違反するか否かを判断するに当たっては、当該宗教的施設の性格、当該土地が無償で当該施設の敷地としての用に供されるに至った経緯、当該無償提供の態様、これらに対する一般人の評価等、諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして総合的に判断すべきものと解するのが相当であるとした。
 本肢は、「当該宗教的施設の存在する地元住民の一般的評価」を考慮事情としている点が誤っている。なお、このように地元住民の一般的評価を検討すべきと主張したのは、甲斐中、中川、古田、竹内各裁判官の意見である。

27:正しい(最大判平22・1・20(空知太神社訴訟))。

新試験第4問のイは、直感的に正しいと考えてしまいそうである。

(新試験第4問)

 取材の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

イ.報道機関が専ら報道目的で撮影したビデオテープを,裁判所の提出命令によって提出させる場合よりも裁判官が発付した令状に基づき検察事務官が差し押さえる場合の方が,取材の自由に対する制約の許否に関して,より慎重な審査を必要とする。

しかし、ここは日テレ事件(最決平元・1・30)があり、誤っている。

(最決平元・1・30より引用、下線は筆者)

 報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕するものであつて、表現の自由を保障した憲法二一条の保障の下にあり、したがつて報道のための取材の自由もまた憲法二一条の趣旨に照らし、十分尊重されるべきものであること、しかし他方、取材の自由も何らの制約をも受けないものではなく、例えば公正な裁判の実現というような憲法上の要請がある場合には、ある程度の制約を受けることのあることも否定できないことは、いずれも博多駅事件決定が判示するとおりである。もつとも同決定は、付審判請求事件を審理する裁判所の提出命令に関する事案であるのに対し、本件は、検察官の請求によつて発付された裁判官の差押許可状に基づき検察事務官が行つた差押処分に関する事案であるが、国家の基本的要請である公正な刑事裁判を実現するためには、適正迅速な捜査が不可欠の前提であり、報道の自由ないし取材の自由に対する制約の許否に関しては両者の間に本質的な差異がないことは多言を要しないところである。

(引用終わり)

こういう直感的な判断と異なる部分は、意識して覚える必要がある。

新試験第5問、予備試験第3問は、薬事法判例からの出題である。
この判例自体は、誰もが知っている。
しかし、イウは、やや細かい。
間違えてしまった人も、いたのではないか。

(新試験第5問、予備試験第3問)

 職業の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

ア.職業活動の自由についても精神的自由についても,国の積極的な社会経済政策のために規制することが許されるのは同様であるが,前者の自由を規制する場合には立法府の裁量的判断が広く認められる点が異なる。

イ.憲法第22条第1項が「公共の福祉に反しない限り」という留保を伴っているのは,職業活動は社会的相互関連性が大きく,精神的自由と比較して公権力による規制の要請が強いことを強調するためである。

ウ.職業の許可制は自由に対する強力な制限であるから,その合憲性を肯定し得るためには,原則として重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要する。ただし,この要請は,個々の許可条件の合憲性判断においてまで求められるものではない。

 

(薬事法判例より引用、下線は筆者)

 職業は、前述のように、本質的に社会的な、しかも主として経済的な活動であつて、その性質上、社会的相互関連性が大きいものであるから、職業の自由は、それ以外の憲法の保障する自由、殊にいわゆる精神的自由に比較して公権力による規制の要請がつよく、憲法二二条一項が「公共の福祉に反しない限り」という留保のもとに職業選択の自由を認めたのも、特にこの点を強調する趣旨に出たものと考えられる。

 一般に許可制は、単なる職業活動の内容及び態様に対する規制を超えて、狭義における職業の選択の自由そのものに制約を課するもので、職業の自由に対する強力な制限であるから、その合憲性を肯定しうるためには、原則として、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し、また、それが社会政策ないしは経済政策上の積極的な目的のための措置ではなく、自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的、警察的措置である場合には、許可制に比べて職業の自由に対するよりゆるやかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によつては右の目的を十分に達成することができないと認められることを要するもの、というべきである。そして、この要件は、許可制そのものについてのみならず、その内容についても要求されるのであつて、許可制の採用自体が是認される場合であつても、個々の許可条件については、更に個別的に右の要件に照らしてその適否を判断しなければならないのである。

(引用終わり)

新試験第9問は、新判例問題である。

(新試験第9問)

 被告人の権利に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

ア.いわゆるビデオリンク方式を採用することによって被告人は自ら尋問することができないが,それは証人が受ける精神的圧迫を回避するためであり,弁護人は尋問できるのであるから,被告人の証人審問権を侵害しているとはいえない。

イ.即決裁判手続は,争いがなく明白かつ軽微な事件について,簡易かつ迅速に公判の審理及び裁判を行うことにより,手続の合理化や効率化を図るものであり,一般の事件と異なる上訴制限を定めることに合理的理由があるから,裁判を受ける権利を侵害しているとはいえない。

ウ.ある事件の刑事確定訴訟記録の閲覧請求に対し,刑事確定訴訟記録法の条項に基づいて不許可としても,憲法第21条,第82条の規定は刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまで認めたものではないから,憲法には違反しない。

1.ア○ イ○ ウ○   2.ア○ イ○ ウ×   3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ×   5.ア× イ○ ウ○   6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○   8.ア× イ× ウ×

アは、最判平17・4・14である。
合憲の結論ではなく、理由付けの方を訊いている。
引っかかってしまった人も、多かったのではないか。

最判平17・4・14より引用、下線は筆者)

 証人尋問の際,被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採られた場合,被告人は,証人の姿を見ることはできないけれども,供述を聞くことはでき,自ら尋問することもでき,さらに,この措置は,弁護人が出頭している場合に限り採ることができるのであって,弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから,前記のとおりの制度の趣旨にかんがみ,被告人の証人審問権は侵害されていないというべきである。ビデオリンク方式によることとされた場合には,被告人は,映像と音声の送受信を通じてであれ,証人の姿を見ながら供述を聞き,自ら尋問することができるのであるから,被告人の証人審問権は侵害されていないというべきである。さらには,ビデオリンク方式によった上で被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採られても,映像と音声の送受信を通じてであれ,被告人は,証人の供述を聞くことはでき,自ら尋問することもでき,弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから,やはり被告人の証人審問権は侵害されていないというべきことは同様である。したがって,刑訴法157条の3,157条の4は,憲法37条2項前段に違反するものでもない。

(引用終わり)

ただ、これは本試験ならここを訊くだろう、という感じのところである。
司法試験平成17年度最新判例肢別問題集でも、同じポイントで出題していた。

司法試験平成17年度最新判例肢別問題集より抜粋)

【問題】

3:刑訴法157条の3及び同法157条の4の規定が適用される場合、被告人は自ら尋問することができなくなるが、被告人の証人審問権が侵害されているとまではいえないから、刑訴法157条の3及び同法157条の4の規定は憲法37条2項前段に違反しない。

(参照条文)刑事訴訟法
157条の3 裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が被告人の面前(次条第一項に規定する方法による場合を含む。)において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、被告人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。ただし、被告人から証人の状態を認識することができないようにするための措置については、弁護人が出頭している場合に限り、採ることができる。
2  裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、名誉に対する影響その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、傍聴人とその証人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。
157条の4 裁判所は、次に掲げる者を証人として尋問する場合において、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所以外の場所(これらの者が在席する場所と同一の構内に限る。)にその証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、尋問することができる。
各号略
2項以下略

 

【解答】

3:誤り(最判平17・4・14)。

 「証人尋問の際、被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採られた場合、被告人は、証人の姿を見ることはできないけれども、供述を聞くことはでき、自ら尋問することもでき、さらに、この措置は、弁護人が出頭している場合に限り採ることができるのであって、弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから、前記のとおりの制度の趣旨にかんがみ、被告人の証人審問権は侵害されていないというべきである。ビデオリンク方式によることとされた場合には、被告人は、映像と音声の送受信を通じてであれ、証人の姿を見ながら供述を聞き、自ら尋問することができるのであるから、被告人の証人審問権は侵害されていないというべきである。さらには、ビデオリンク方式によった上で被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採られても、映像と音声の送受信を通じてであれ、被告人は、証人の供述を聞くことはでき、自ら尋問することもでき、弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから、やはり被告人の証人審問権は侵害されていないというべきことは同様である。したがって、刑訴法157条の3、157条の4は、憲法37条2項前段に違反するものでもない」と判示した。

イは、最判平21・7・14である。

最判平21・7・14より引用、下線は筆者)

 即決裁判手続について見るに,同手続は,争いがなく明白かつ軽微であると認められた事件について,簡略な手続によって証拠調べを行い,原則として即日判決を言い渡すものとするなど,簡易かつ迅速に公判の審理及び裁判を行うことにより,手続の合理化,効率化を図るものである。そして,同手続による判決に対し,犯罪事実の誤認を理由とする上訴ができるものとすると,そのような上訴に備えて,必要以上に証拠調べが行われることになりかねず,同手続の趣旨が損なわれるおそれがある。他方,即決裁判手続により審判するためには,被告人の訴因についての有罪の陳述(刑訴法350条の8)と,同手続によることについての被告人及び弁護人の同意とが必要であり(同法350条の2第2項,4項,350条の6,350条の8第1号,2号),この陳述及び同意は,判決の言渡しまではいつでも撤回することができる(同法350条の11第1項1号,2号)。したがって,即決裁判手続によることは,被告人の自由意思による選択に基づくものであるということができる。また,被告人は,手続の過程を通して,即決裁判手続に同意するか否かにつき弁護人の助言を得る機会が保障されている(同法350条の3,350条の4,350条の9)。加えて,即決裁判手続による判決では,懲役又は禁錮の実刑を科すことができないものとされている(同法350条の14)。刑訴法403条の2第1項は,上記のような即決裁判手続の制度を実効あらしめるため,被告人に対する手続保障と科刑の制限を前提に,同手続による判決において示された罪となるべき事実の誤認を理由とする控訴の申立てを制限しているものと解されるから,同規定については,相応の合理的な理由があるというべきである。そうすると,刑訴法403条の2第1項が,憲法32条に違反するものでないことは,当裁判所の前記各大法廷判例の趣旨に徴して明らかであって,所論は理由がない。

(引用終わり)

これは、司法試験平成21年最新判例肢別問題集で出題した。

司法試験平成21年最新判例肢別問題集より抜粋)

【問題】

8:刑訴法403条の2第1項は、即決裁判手続の制度を実効あらしめるため、被告人に対する手続保障と科刑の制限を前提に、同手続による判決において示された罪となるべき事実の誤認を理由とする控訴の申立てを制限しているものと解されるから、相応の合理的な理由があり、憲法32条に違反するものでない。

(参照条文)刑事訴訟法
●403条の2第1項
 即決裁判手続においてされた判決に対する控訴の申立ては、第三百八十四条の規定にかかわらず、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について第三百八十二条に規定する事由があることを理由としては、これをすることができない。

●382条
 事実の誤認があつてその誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて明らかに判決に影響を及ぼすべき誤認があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。

●384条
 控訴の申立は、第三百七十七条乃至第三百八十二条及び前条に規定する事由があることを理由とするときに限り、これをすることができる。

 

【解答】

8:正しい(最判平21・7・14)。
 「即決裁判手続について見るに、同手続は、争いがなく明白かつ軽微であると認められた事件について、簡略な手続によって証拠調べを行い、原則として即日判決を言い渡すものとするなど、簡易かつ迅速に公判の審理及び裁判を行うことにより、手続の合理化、効率化を図るものである。そして、同手続による判決に対し、犯罪事実の誤認を理由とする上訴ができるものとすると、そのような上訴に備えて、必要以上に証拠調べが行われることになりかねず、同手続の趣旨が損なわれるおそれがある。他方、即決裁判手続により審判するためには、被告人の訴因についての有罪の陳述(刑訴法350条の8)と、同手続によることについての被告人及び弁護人の同意とが必要であり(同法350条の2第2項、4項、350条の6、350条の8第1号、2号)、この陳述及び同意は、判決の言渡しまではいつでも撤回することができる(同法350条の11第1項1号、2号)。したがって、即決裁判手続によることは、被告人の自由意思による選択に基づくものであるということができる。また、被告人は、手続の過程を通して、即決裁判手続に同意するか否かにつき弁護人の助言を得る機会が保障されている(同法350条の3、350条の4、350条の9)。加えて、即決裁判手続による判決では、懲役又は禁錮の実刑を科すことができないものとされている(同法350条の14)。
 刑訴法403条の2第1項は、上記のような即決裁判手続の制度を実効あらしめるため、被告人に対する手続保障と科刑の制限を前提に、同手続による判決において示された罪となるべき事実の誤認を理由とする控訴の申立てを制限しているものと解されるから、同規定については、相応の合理的な理由があるというべきである。
 そうすると、刑訴法403条の2第1項が、憲法32条に違反するものでない」と判示した。

ウは、最決平2・2・16である。

最決平2・2・16より引用、下線は筆者)

 本件抗告の趣意のうち、刑事確定訴訟記録法四条二項が憲法二一条、八二条に違反しないとした原決定は憲法の解釈を誤っているという点は、憲法の右の各規定が刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものでないことは、当裁判所大法廷判例(昭和二九年(秩ち)第一号同三三年二月一七日決定・刑集一二巻二号二五三頁昭和六三年(オ)第四三六号平成元年三月八日判決・民集四三巻二号八九頁)の趣旨に徴して明らかである。

(引用終わり)

新試験第14問は、憲法9条に関する論理問題である。

(新試験第14問)

 次のaの@及びAは憲法第9条第1項についての見解であり,bのB及びCは同条第2項についての見解である。また,次のアからウまでの各記述は,それらの見解を組み合わせて考えた場合に,憲法第9条による戦争放棄の範囲等がどのように帰結されるかを述べたものである。アからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

a.@.第1項は,戦争と,武力による威嚇又は武力の行使を,国際紛争を解決するための手段として放棄したものであり,自衛目的によるものは放棄していない。

  A.およそ戦争とは全て国際紛争解決の手段として行われるものであり,その目的のいかんを問わず,戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,第1項により一切放棄されている。

b.B.「前項の目的を達するため」とは,第1項による戦争放棄の目的を達するためという意味であり,第2項はそのための戦力の保持を禁止したものである。

  C.「前項の目的を達するため」とは,戦争を放棄するに至った動機を一般的に示すものであり,第2項は一切の戦力の保持を禁止したものである。

ア.@及びBの見解を前提とすると,自衛のための戦争は認められるので,そのための戦力保持は許されることになる。

イ.@及びCの見解を前提とすると,一切の戦力の保持が禁止される結果として,自衛のための戦争も放棄されることになる。

ウ.A及びCの見解を前提とすると,侵略戦争はもとより,自衛のための戦争も認められず,そのための戦力の保持も一切許されないことになる。

1.ア○ イ○ ウ○   2.ア○ イ○ ウ×   3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ×    5.ア× イ○ ウ○   6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○    8.ア× イ× ウ×

旧司法試験では、こういう問題は参照条文がついていた。
しかし、本問では、参照条文がついていない。
その分、形式としては、難易度は高くなっている。
とはいえ、内容的には難しくはない。
@Bだと、「国際紛争を解決するための手段としての戦力保持」だけが禁止される。
従って、自衛戦力保持は許される。
よって、アは正しい。
@Cだと、1項では自衛戦争を放棄していないが、2項で戦力保持が一切禁止となる。
戦力なしに戦争はできない。
結局、自衛戦争も放棄される。
よって、イは正しい。
ACだと、1項で一切の戦争が放棄され、2項で一切の戦力保持が禁止となる。
よって、ウも正しい。
正解は、1ということになる。
この種の問題は、焦っていると、うまく読み取れないときがある。
そういうときは、一度保留しておく。
そして、一通り解き終わった後で、落ち着いてじっくり解くのがよい。

新試験第18問のイは、趣旨はわかるが、書きぶりに問題がある。

(新試験第18問)

 違憲判決の方法に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

イ.国籍法第3条第1項を全体として違憲無効とせず,同項の規定の一部である準正要件を違憲無効とすることで,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し,かつ,その後に父から認知された子は,準正要件を除いた所定の要件を満たすときには,日本国籍の取得が認められる。

これは、国籍法違憲判決(最大判平20・6・4)から正しい、という趣旨の肢だろう。

(最大判平20・6・4より引用、下線は筆者)

 国籍法3条1項の規定が本件区別を生じさせていることは,遅くとも上記時点以降において憲法14条1項に違反するといわざるを得ないが,国籍法3条1項が日本国籍の取得について過剰な要件を課したことにより本件区別が生じたからといって,本件区別による違憲の状態を解消するために同項の規定自体を全部無効として,準正のあった子(以下「準正子」という。)の届出による日本国籍の取得をもすべて否定することは,血統主義を補完するために出生後の国籍取得の制度を設けた同法の趣旨を没却するものであり,立法者の合理的意思として想定し難いものであって,採り得ない解釈であるといわざるを得ない。そうすると,準正子について届出による日本国籍の取得を認める同項の存在を前提として,本件区別により不合理な差別的取扱いを受けている者の救済を図り,本件区別による違憲の状態を是正する必要があることになる。
 このような見地に立って是正の方法を検討すると,憲法14条1項に基づく平等取扱いの要請と国籍法の採用した基本的な原則である父母両系血統主義とを踏まえれば,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し,父から出生後に認知されたにとどまる子についても,血統主義を基調として出生後における日本国籍の取得を認めた同法3条1項の規定の趣旨・内容を等しく及ぼすほかはない。すなわち,このような子についても,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したことという部分を除いた同項所定の要件が満たされる場合に,届出により日本国籍を取得することが認められるものとすることによって,同項及び同法の合憲的で合理的な解釈が可能となるものということができ,この解釈は,本件区別による不合理な差別的取扱いを受けている者に対して直接的な救済のみちを開くという観点からも,相当性を有するものというべきである。
 そして,上記の解釈は,本件区別に係る違憲の瑕疵を是正するため,国籍法3条1項につき,同項を全体として無効とすることなく,過剰な要件を設けることにより本件区別を生じさせている部分のみを除いて合理的に解釈したものであって,その結果も,準正子と同様の要件による日本国籍の取得を認めるにとどまるものである。この解釈は,日本国民との法律上の親子関係の存在という血統主義の要請を満たすとともに,父が現に日本国民であることなど我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を満たす場合に出生後における日本国籍の取得を認めるものとして,同項の規定の趣旨及び目的に沿うものであり,この解釈をもって,裁判所が法律にない新たな国籍取得の要件を創設するものであって国会の本来的な機能である立法作用を行うものとして許されないと評価することは,国籍取得の要件に関する他の立法上の合理的な選択肢の存在の可能性を考慮したとしても,当を得ないものというべきである。
 したがって,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し,父から出生後に認知された子は,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた国籍法3条1項所定の要件が満たされるときは,同項に基づいて日本国籍を取得することが認められるというべきである。

(引用終わり)

この点は、司法試験平成20年最新判例肢別問題集でも、出題した。

司法試験平成20年最新判例肢別問題集より抜粋)

【問題】

44:日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた当時の国籍法3条1項所定の国籍取得の要件が満たされるときにおける日本国籍の取得の可否について、最高裁大法廷判決の多数意見は、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知された子は、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた同項所定の要件が満たされるときは、同項に基づいて日本国籍を取得することが認められるとした。

45:日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた当時の国籍法3条1項所定の国籍取得の要件が満たされるときにおける日本国籍の取得の可否について、最高裁大法廷判決の多数意見は、同項の規定自体を全部無効として、準正子の届出による日本国籍の取得をもすべて否定することは、血統主義を補完するために出生後の国籍取得の制度を設けた同法の趣旨を没却するものであり、立法者の合理的意思として想定し難いものであって、採り得ない解釈であるとした。

【解答】

44:正しい(最大判平20・6・4)。
 「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知された子は、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた国籍法3条1項所定の要件が満たされるときは、同項に基づいて日本国籍を取得することが認められるというべきである」と判示した。

45:正しい(最大判平20・6・4)。
 「国籍法3条1項が日本国籍の取得について過剰な要件を課したことにより本件区別が生じたからといって、本件区別による違憲の状態を解消するために同項の規定自体を全部無効として、準正のあった子(以下「準正子」という。)の届出による日本国籍の取得をもすべて否定することは、血統主義を補完するために出生後の国籍取得の制度を設けた同法の趣旨を没却するものであり、立法者の合理的意思として想定し難いものであって、採り得ない解釈であるといわざるを得ない。そうすると、準正子について届出による日本国籍の取得を認める同項の存在を前提として、本件区別により不合理な差別的取扱いを受けている者の救済を図り、本件区別による違憲の状態を是正する必要があることになる」と判示した。

ただ、国籍法3条1項は、現在、既に改正され、施行されている。

国籍法3条)

 父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。

法令は、租税法や知財法の例外を除き、試験当日施行のものが前提となる。

平成24年司法試験に関するQ&Aより引用)

【出題に係る法令】

Q27 出題に係る法令には,基準はありますか?
A   原則として,司法試験が実施される日に施行されている法令に基づいて出題することとされています。

Q28 試験の近い時期に法令の改正があった場合,出題は,どの時点の法令に基づいてなされるのですか?
A   法令の改正があった場合も,原則として,試験日に施行されている法令に基づいて出題されます。

だとすれば、単に「国籍法3条1項」といえば、改正後のものを指すことになる。
改正後の国籍法3条1項には、準正要件はない。
そうすると、「同項の規定の一部である準正要件を違憲無効とすることで」とする本肢は、厳密には誤りである。
従って、「平成20年12月12日法律第88号による改正前の国籍法3条1項」などと表記すべきである。
または、「当時の国籍法3条1項について、最高裁は・・」というような言い回しにすべきだろう。
あるいは、「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知された子につき、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したことを日本国籍取得の要件とする規定がある場合に・・」というように、一般論として書く方法もあった。
とはいえ、現場で上記の疑問を持った人は、いなかったはずである。
受験上は、どうでもいいことかもしれない。

新試験第18問イは、最大判18・3・1である。

(新試験第18問)

 条例に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

イ.市町村が行う国民健康保険の保険料方式での強制徴収は租税に類似する性質を有するので,条例で定める賦課要件の明確性の程度は,憲法第84条において要求される明確性の程度と同等のものが求められる。

 

 

最大判18・3・1より引用、下線は筆者)

 国又は地方公共団体が,課税権に基づき,その経費に充てるための資金を調達する目的をもって,特別の給付に対する反対給付としてでなく,一定の要件に該当するすべての者に対して課する金銭給付は,その形式のいかんにかかわらず,憲法84条に規定する租税に当たるというべきである。
 市町村が行う国民健康保険の保険料は,これと異なり,被保険者において保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるものである。前記のとおり,被上告人市における国民健康保険事業に要する経費の約3分の2は公的資金によって賄われているが,これによって,保険料と保険給付を受け得る地位とのけん連性が断ち切られるものではない。また,国民健康保険が強制加入とされ,保険料が強制徴収されるのは,保険給付を受ける被保険者をなるべく保険事故を生ずべき者の全部とし,保険事故により生ずる個人の経済的損害を加入者相互において分担すべきであるとする社会保険としての国民健康保険の目的及び性質に由来するものというべきである。
 したがって,上記保険料に憲法84条の規定が直接に適用されることはないというべきである(国民健康保険税は,前記のとおり目的税であって,上記の反対給付として徴収されるものであるが,形式が税である以上は,憲法84条の規定が適用されることとなる。)。
 もっとも,憲法84条は,課税要件及び租税の賦課徴収の手続が法律で明確に定められるべきことを規定するものであり,直接的には,租税について法律による規律の在り方を定めるものであるが,同条は,国民に対して義務を課し又は権利を制限するには法律の根拠を要するという法原則を租税について厳格化した形で明文化したものというべきである。したがって,国,地方公共団体等が賦課徴収する租税以外の公課であっても,その性質に応じて,法律又は法律の範囲内で制定された条例によって適正な規律がされるべきものと解すべきであり,憲法84条に規定する租税ではないという理由だけから,そのすべてが当然に同条に現れた上記のような法原則のらち外にあると判断することは相当ではない。そして,租税以外の公課であっても,賦課徴収の強制の度合い等の点において租税に類似する性質を有するものについては,憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきであるが,その場合であっても,租税以外の公課は,租税とその性質が共通する点や異なる点があり,また,賦課徴収の目的に応じて多種多様であるから,賦課要件が法律又は条例にどの程度明確に定められるべきかなどその規律の在り方については,当該公課の性質,賦課徴収の目的,その強制の度合い等を総合考慮して判断すべきものである。
 市町村が行う国民健康保険は,保険料を徴収する方式のものであっても,強制加入とされ,保険料が強制徴収され,賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから,これについても憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきであるが,他方において,保険料の使途は,国民健康保険事業に要する費用に限定されているのであって,法81条の委任に基づき条例において賦課要件がどの程度明確に定められるべきかは,賦課徴収の強制の度合いのほか,社会保険としての国民健康保険の目的,特質等をも総合考慮して判断する必要がある。

(引用終わり)

これは、司法試験平成18年度最新判例肢別問題集で出題している。

司法試験平成18年度最新判例肢別問題集より抜粋)

【問題】

6:租税以外の公課であっても、賦課徴収の強制の度合い等の点において租税に類似する性質を有するものについては、憲法84条の趣旨が及び、その場合における賦課要件が法律又は条例にどの程度明確に定められるべきかなど、その規律の在り方についても、租税と異なるところはない。

 

【解答】

6:誤り(最大判平18・3・1)。
 「憲法84条は、課税要件及び租税の賦課徴収の手続が法律で明確に定められるべきことを規定するものであり、直接的には、租税について法律による規律の在り方を定めるものであるが、同条は、国民に対して義務を課し又は権利を制限するには法律の根拠を要するという法原則を租税について厳格化した形で明文化したものというべきである。したがって、国、地方公共団体等が賦課徴収する租税以外の公課であっても、その性質に応じて、法律又は法律の範囲内で制定された条例によって適正な規律がされるべきものと解すべきであり、憲法84条に規定する租税ではないという理由だけから、そのすべてが当然に同条に現れた上記のような法原則のらち外にあると判断することは相当ではない。そして、租税以外の公課であっても、賦課徴収の強制の度合い等の点において租税に類似する性質を有するものについては、憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきであるが、その場合であっても、租税以外の公課は、租税とその性質が共通する点や異なる点があり、また、賦課徴収の目的に応じて多種多様であるから、賦課要件が法律又は条例にどの程度明確に定められるべきかなどその規律の在り方については、当該公課の性質、賦課徴収の目的、その強制の度合い等を総合考慮して判断すべきものである」と判示した。

新試験では、確実に取りたい問題は、12問(29点)。
1、3、7、8、11、12、13、14、15、17、18、20である。
ここで、25点は取りたい。
頑張って取りたい問題は、6問(15点)。
2、4、5、9、10、19である。
これらのうち、7点は取りたい。
合計32点が、最低ラインという感じである。

予備試験では、第2問、第5問以外の25点分は確実に取りたい。
2問程度落としたとして20点くらいが、最低ラインではないか。

今年は、新試験の予備試験の両方で、出版差止めの仮処分が問われた。
しかし、難易度が違いすぎる。

(新試験第3問)

 出版物の頒布等の仮処分による事前差止めの許否等をめぐる北方ジャーナル事件判決(最高裁判所昭和61年6月11日大法廷判決,民集40巻4号872頁)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

ア.裁判所の事前差止めは,思想内容等の表現物につき,その発表の禁止を目的として,対象となる表現物の内容を網羅的一般的に審査する性質を有するものではあるが,裁判所という司法機関により行われるものであるから,憲法第21条第2項前段の「検閲」には当たらない。

イ.裁判所の事前差止めは,表現行為が公共の利害に関する事項の場合は原則として許されないが,表現内容が真実でなく,又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白で,かつ,被害者が重大で著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときは,例外的に許される。

ウ.公共の利害に関する事項についての表現行為に対し事前差止めを命ずる仮処分命令を発する際には,口頭弁論又は債務者の審尋を行い,表現内容の真実性等の主張立証の機会を与えることが原則として必要である。

1.ア○ イ○ ウ○   2.ア○ イ○ ウ×   3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ×    5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○    8.ア× イ× ウ×

 

(予備試験第2問)

 国会議員の娘の離婚記事の出版差止めを認めた仮処分の保全異議に対する決定(東京地方裁判所平成16年3月19日決定,判例時報1865号18頁)と,その抗告審決定(東京高等裁判所平成16年3月31日決定,判例時報1865号12頁)との異同に関する次のアからウまでの記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

ア.両決定は,いずれも,差止めの実質的要件について,北方ジャーナル事件判決(最大判昭和61年6月11日)を参照し,公共性,公益性,重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれ,という3要件を用いた。

イ.両決定は,記事内容の公共性について判断を異にした。抗告審は,婚姻や離婚という出来事自体は私事であるが,娘は政治家一家の長女であって後継者となる可能性があることを理由に,記事内容の公共性を認めた。

ウ.両決定は,損害の程度の評価をめぐって判断を異にした。抗告審は,本件記事で取り上げられた私事自体は人格に対する評価に常につながるものではないし,日常的にどうということなく見聞する情報の一つにすぎない,と判断した。

新試験の方は、基本的な判例問題。
他方で、予備の方は下級審の裁判例を訊いてきた。
しかも、知っていないと、解きようのない問題である。
捨て問といってよい。
予備は、新試験の受験資格を得るための試験である。
しかし、作問する側には、その意識はあまりなさそうである。

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