平成24年司法試験・予備試験
短答式試験の感想(2)

行政法について

全体の傾向には、変化はない。
形式的にも、内容的にも、憲法より難しい。
1、2型の正誤問題は、憲法は肢が3つが多く、行政法は4つが多い。
また、憲法は基本判例が多いが、行政法はマイナーなものが多い。
従って、行政法の出来が悪くなるのは、やむを得ないところである。

新試験第21問は、面白い論理問題である。

(新試験第21問)

 次の【文章T】の空欄A及びBに補充すべき語句を,それぞれ【語群T】に掲げる1から5までの中から選びなさい。また,【文章U】の空欄C及びDに補充すべき語句を,それぞれ【語群U】に掲げる1から5までの中から選びなさい。

【文章T】

 普通地方公共団体が,既に具体的な金銭債権として発生している国民の重要な権利に関し,法令に違反してその行使を積極的に妨げるような一方的かつ統一的な取扱いをし,その行使を著しく困難にさせた場合,当該普通地方公共団体が当該権利の消滅時効を主張することは,【A】に反し許されない。このような場合には,当該普通地方公共団体による時効の主張を許さないこととしても,地方自治法第236条第2項の趣旨に含まれる【B】に反しない。

(参照条文)地方自治法

第236条 (略)
2 金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利の時効による消滅については,法律に特別の定めがある場合を除くほか,時効の援用を要せず,また,その利益を放棄することができないものとする。普通地方公共団体に対する権利で,金銭の給付を目的とするものについても,また同様とする。
3,4 (略)

【語群T】
1.比例原則 2.平等原則 3.信義則 4.法律の留保の原則 5.説明責任の原則

【文章U】

 租税法規に適合する課税処分を,【C】の適用により違法なものとして取り消すには,租税法規の適用における【D】の要請を犠牲にしてもなお,当該課税処分に係る課税を免れさせなければ正義に反するといえるような特別の事情が存しなければならない。そして,特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては,少なくとも,税務官庁が納税者に対し【C】の適用を根拠付けるような公的見解を表示していたかどうかを,考慮しなければならない。

【語群U】
1.比例原則 2.平等原則 3.信義則 4.侵害留保原理 5.適正手続の原則

まず、文章Tを見てみる。
Aは、これに反すると消滅時効が主張できなくなる。
そして、法令に違反してその行使を積極的に妨げるような一方的かつ統一的な取扱いをし,その行使を著しく困難にさせた場合に、Aに反することになる。
これはもう、信義則しかないだろう。
「法令に違反して」というところから、法律の留保も気にはなる。
しかし、消滅時効自体は、法の規定がある。
だから、法律の留保は、ちょっと違うだろう。
そういうことから、信義則で間違いないと判断できる。
他方で、Bは、地自法236条2項の趣旨に含まれるものである。
そして、同項は参照条文として、挙がっている。
これを見て、考えてみる。
同項によれば、援用せずに消滅時効の効果が発生する。
また、時効の利益の放棄ができない。
すなわち、一律に消滅時効の効果を発生させようとする規定であるとわかる。
これは、ある人に対しては時効を援用し、他方の人には援用しない。
あるいは、特定の人に対してだけ、時効の利益を放棄する。
そのような不公平な取扱いを許さないという趣旨だ、とわかる。
この時点で、平等原則が入るとわかる。

今度は、文章Uを見てみる。
ここでのポイントは、Cが2回出てくることである。
つまり、双方にヒントがあるから、解き易い。
まず、冒頭のCは、その適用により課税処分が違法なものとして取り消される。
また、後半のCは、その適用を根拠づけるためには公的見解の表示があったかが、考慮要素となる。
文章Tを解いた後だと、直感的にこれも信義則ではないか。
そう思いつくところではある。
とはいえ、もう少し慎重に、他に入るものがないか考えてみる。
比例原則は、どうか。
これは、冒頭のCには入りうる。
しかし、後半のCとの関係では、しっくり来ない。
比例原則なら、処分の必要性と被処分者の利益の衡量が考慮要素となるはずである。
公的見解の表示だけでは、比例原則の根拠としては薄い。
同じく、平等原則も後半のCと整合しない。
また、公的見解の表示によって侵害留保原理が根拠付けられるというのも、おかしい。
適正手続は、意味としては入りそうではある。
公的見解の表示を、一つの手続きと考えることは、可能だからである。
しかし、それによって「適正手続の原則の適用」が根拠づけられれるというのは、おかしい。
適正手続の原則の適用によって、公的見解の表示が必要とされる、という関係でなければ、筋が通らない。
これに対して、公的見解の表示によって、信義則の適用が根拠付けられるとするのは、筋が通る。
表示に対する信頼によって、信義則が根拠付けられうるからである。
従って、信義則でよさそうだ、ということになる。
他方、Dは、課税処分取消しによって、犠牲になる租税法規上の要請の一つである。
文章Tを解いた後だと、これも平等原則でよさそうだ、と思う。
その人だけ、課税処分を免れることになるからである。
そして、他に入りそうなものがない。
結局、文章Tと同じ言葉が両方入る、ということになる。
解いた後に、信義則と平等原則の緊張関係を問いたかったのだな。
そういうことが、わかるようになっている。

本問は、このように、現場で考えれば解ける。
知識がなくても、確実に取りたい。

なお、文章Tは、最判平19・2・6
文章Uは、最判昭62・10・30である。

最判平19・2・6より引用、下線は筆者)

 論旨は,地方自治法236条2項所定の普通地方公共団体に対する権利で金銭の給付を目的とするものは,同項後段の規定により,法律に特別の定めがある場合を除くほか,時効の援用を要することなく,時効期間の満了により当然に消滅するから,その消滅時効の主張が信義則に反し許されないと解する余地はないというものである。
 ところで,同規定が上記権利の時効消滅につき当該普通地方公共団体による援用を要しないこととしたのは,上記権利については,その性質上,法令に従い適正かつ画一的にこれを処理することが,当該普通地方公共団体の事務処理上の便宜及び住民の平等的取扱いの理念(同法10条2項参照)に資することから,時効援用の制度(民法145条)を適用する必要がないと判断されたことによるものと解される。このような趣旨にかんがみると,普通地方公共団体に対する債権に関する消滅時効の主張が信義則に反し許されないとされる場合は,極めて限定されるものというべきである。
 しかしながら,地方公共団体は,法令に違反してその事務を処理してはならないものとされている(地方自治法2条16項)。この法令遵守義務は,地方公共団体の事務処理に当たっての最も基本的な原則ないし指針であり,普通地方公共団体の債務についても,その履行は,信義に従い,誠実に行う必要があることはいうまでもない。そうすると,本件のように,普通地方公共団体が,上記のような基本的な義務に反して,既に具体的な権利として発生している国民の重要な権利に関し,法令に違反してその行使を積極的に妨げるような一方的かつ統一的な取扱いをし,その行使を著しく困難にさせた結果,これを消滅時効にかからせたという極めて例外的な場合においては,上記のような便宜を与える基礎を欠くといわざるを得ず,また,当該普通地方公共団体による時効の主張を許さないこととしても,国民の平等的取扱いの理念に反するとは解されず,かつ,その事務処理に格別の支障を与えるとも考え難い。したがって,本件において,上告人が上記規定を根拠に消滅時効を主張することは許されないものというべきである。

(引用終わり)

 

最判昭62・10・30より引用、下線は筆者)

 租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。そして、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たつては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ、のちに右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになつたものであるかどうか、また、納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠のものであるといわなければならない。

(引用終わり)

新試験第22問、予備試験第14問は、最判平21・12・17の知識を問うものである。
ただ、ちょっと訊き方に特徴がある。

(新試験第22問、予備試験第14問)

 建築基準法が同法所定の接道義務について条例による制限の付加を認めていることを受け,東京都建築安全条例(以下「条例」という。)は,接道義務を厳格化している。条例の定める安全認定(以下「安全認定」という。)は,接道義務の例外を認めるための制度であり,接道要件を満たしていない建築物の計画であっても,適法に安全認定を受けていれば,建築確認申請手続において,接道義務の違反がないものとして扱われることとなる。安全認定が行われた上で建築確認がされている場合に,建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することの可否について判断を示した最高裁判所の判決(最高裁判所平成21年12月17日第一小法廷判決,民集63巻10号2631頁)に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

ア.この判決は,安全認定に処分性が認められないことを前提として,建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。

イ.この判決は,周辺住民には安全認定の取消訴訟の原告適格が認められないことを考慮して,建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。

ウ.この判決は,建築確認における接道要件充足の有無の判断と,安全認定における安全上の支障の有無の判断は,避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものであることを考慮して,建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。

エ.この判決は,安全認定の適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難であることを考慮して,建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することができるとしたものである。

 

最判平21・12・17より引用、下線は筆者)

 建築確認における接道要件充足の有無の判断と,安全認定における安全上の支障の有無の判断は,異なる機関がそれぞれの権限に基づき行うこととされているが,もともとは一体的に行われていたものであり,避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものである。そして,前記のとおり,安全認定は,建築主に対し建築確認申請手続における一定の地位を与えるものであり,建築確認と結合して初めてその効果を発揮するのである。
 他方,安全認定があっても,これを申請者以外の者に通知することは予定されておらず,建築確認があるまでは工事が行われることもないから,周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない(これに対し,建築確認については,工事の施工者は,法89条1項に従い建築確認があった旨の表示を工事現場にしなければならない。)。そうすると,安全認定について,その適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難である。仮に周辺住民等が安全認定の存在を知ったとしても,その者において,安全認定によって直ちに不利益を受けることはなく,建築確認があった段階で初めて不利益が現実化すると考えて,その段階までは争訟の提起という手段は執らないという判断をすることがあながち不合理であるともいえない。
 以上の事情を考慮すると,安全認定が行われた上で建築確認がされている場合,安全認定が取り消されていなくても,建築確認の取消訴訟において,安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当である。

(引用終わり)

まず、理由付けを訊いてきた。
上記判例引用の下線部分から、ウエは正しいことがわかる。
憲法ではよくあることだが、行政法では、少し珍しい。
また、この判例は、そこまで著名な新判例というほどでもない。
当サイトの司法試験平成21年最新判例肢別問題集でも、結論だけしか問うていなかった。

司法試験平成21年最新判例肢別問題集より抜粋)

12:東京都建築安全条例(本件条例)4条3項に基づく安全上支障がないと認める処分(安全認定)が行われた上で建築確認がされている場合に、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することができる。

(参照条文)東京都建築安全条例4条
 延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合は、その延べ面積の合計とする。)が千平方メートルを超える建築物の敷地は、その延べ面積に応じて、次の表(※略)に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。
2 略。
3 前二項の規定は、建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合においては、適用しない。

今後、この傾向が続くのであれば、行政法も全文フォローということになる。
しかし、それはちょっと負担が重過ぎる。
今のところは、もう少し様子をみた方がよさそうである。

それから、アイは、判例が言及していないことを知っているか。
それを問うている。
この訊き方も、少し珍しい。
すなわち、アイは、処分性や原告適格に言及していないから、誤りとなる。

本問は、相当出来が悪いはずである。
無理に、取りに行く必要はない。
本問で時間をロスすることが、現場では一番よくないことである。

新試験第26問、予備試験第16問は、単なる条文問題だが、迷わせる部分がある。

(新試験第26問、予備試験第16問)

 A市は,行政手続条例に,行政指導に関して次の1から5までの内容の規定を設けようとしている。この中から,行政手続法に同様の規定が置かれているものを2個選びなさい。ただし,1から5までの文中にある「条例」は,「法律」と読み替えるものとする。

1.行政指導に携わる者は,当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならない。

2.申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導を行う場合には,原則として,行政指導の相手方に対し,行政指導の趣旨及び内容を記載した書面を交付しなければならない。

3.条例の定めるところにより,行政指導の相手方が行政指導に従わなかった旨を公表する場合には,原則として,行政指導の相手方に意見を述べる機会を与えなければならない。

4.行政指導指針を定めようとする場合には,原則として,広く一般の意見を求める意見公募手続を採らなければならない。

5.行政指導の相手方は,行政指導が本条例に違反することを理由に,行政指導をした行政機関に対し,行政指導の中止その他必要な措置を採るように求めることができる。

まず、1が行手法32条1項で、答えになる。

(行政手続法32条1項)

 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。

もう一つの答えは4であるが、これには若干の条文操作を要する。

(行政手続法、下線は筆者)

39条1項 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない

2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

八 命令等 内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいう。
イ 法律に基づく命令(処分の要件を定める告示を含む。次条第二項において単に「命令」という。)又は規則
ロ 審査基準(申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)
ハ 処分基準(不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)
ニ 行政指導指針(同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項をいう。以下同じ。)

39条1項の「命令等」に、行政指導指針が含まれる。
そこまで知っていないと、正解できない。

新試験第28問、予備試験第17問の2は、最判平21・11・26である。

(新試験第28問、予備試験第17問)

 次のアからウまでの各記述について,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

イ.最高裁判所の判例によれば,C市が特定の市立保育所を廃止する条例(以下「条例」という。)を制定した場合において,廃止される保育所で保育を受けている児童及びその保護者は,保育の実施期間満了まで当該保育所で保育を受けることを期待し得る法的地位を条例により違法に侵害されたと主張して,条例制定行為に対する取消訴訟を適法に提起することができる。

 

最判平21・11・26より引用、下線は筆者)

 被上告人における保育所の利用関係は,保護者の選択に基づき,保育所及び保育の実施期間を定めて設定されるものであり,保育の実施の解除がされない限り(児童福祉法33条の4参照),保育の実施期間が満了するまで継続するものである。そうすると,特定の保育所で現に保育を受けている児童及びその保護者は,保育の実施期間が満了するまでの間は当該保育所における保育を受けることを期待し得る法的地位を有するものということができる。
 ところで,公の施設である保育所を廃止するのは,市町村長の担任事務であるが(地方自治法149条7号),これについては条例をもって定めることが必要とされている(同法244条の2)。条例の制定は,普通地方公共団体の議会が行う立法作用に属するから,一般的には,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものでないことはいうまでもないが,本件改正条例は,本件各保育所の廃止のみを内容とするものであって,他に行政庁の処分を待つことなく,その施行により各保育所廃止の効果を発生させ,当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して,直接,当該保育所において保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから,その制定行為は,行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができる。
 また,市町村の設置する保育所で保育を受けている児童又はその保護者が,当該保育所を廃止する条例の効力を争って,当該市町村を相手に当事者訴訟ないし民事訴訟を提起し,勝訴判決や保全命令を得たとしても,これらは訴訟の当事者である当該児童又はその保護者と当該市町村との間でのみ効力を生ずるにすぎないから,これらを受けた市町村としては当該保育所を存続させるかどうかについての実際の対応に困難を来すことにもなり,処分の取消判決や執行停止の決定に第三者効(行政事件訴訟法32条)が認められている取消訴訟において当該条例の制定行為の適法性を争い得るとすることには合理性がある。
 以上によれば,本件改正条例の制定行為は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。

(引用終わり)

これは、司法試験平成21年最新判例肢別問題集で出題した。

司法試験平成21年最新判例肢別問題集より抜粋)

【問題】

9:市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるかについて、最高裁は、条例の制定は普通地方公共団体の議会が行う立法作用に属するから、一般的には抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものでないとした上で、特定の保育所で現に保育を受けている児童及びその保護者が保育の実施期間が満了するまでの間、当該保育所における保育を受けることを期待し得る地位は事実上のものに過ぎず、法的地位とまではいえないが、当該条例が特定の保育所の廃止のみを内容とするものであって、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により上記保育所廃止の効果を発生させるものであることからすれば、その制定行為は行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができ、また、処分の取消判決や執行停止の決定に遡及効が認められている取消訴訟において当該条例の制定行為の適法性を争い得るとすることには合理性があるから、当該条例の制定行為は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると判示した。

 

【解答】

9:誤り(最判平21・11・26)。
 「被上告人における保育所の利用関係は、保護者の選択に基づき、保育所及び保育の実施期間を定めて設定されるものであり、保育の実施の解除がされない限り、保育の実施期間が満了するまで継続するものである。そうすると、特定の保育所で現に保育を受けている児童及びその保護者は、保育の実施期間が満了するまでの間は当該保育所における保育を受けることを期待し得る法的地位を有するものということができる。
 ところで、公の施設である保育所を廃止するのは、市町村長の担任事務であるが(地方自治法149条7号)、これについては条例をもって定めることが必要とされている(同法244条の2)。条例の制定は、普通地方公共団体の議会が行う立法作用に属するから、一般的には、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものでないことはいうまでもないが、本件改正条例は、本件各保育所の廃止のみを内容とするものであって、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発生させ、当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができる。
 また、市町村の設置する保育所で保育を受けている児童又はその保護者が、当該保育所を廃止する条例の効力を争って、当該市町村を相手に当事者訴訟ないし民事訴訟を提起し、勝訴判決や保全命令を得たとしても、これらは訴訟の当事者である当該児童又はその保護者と当該市町村との間でのみ効力を生ずるにすぎないから、これらを受けた市町村としては当該保育所を存続させるかどうかについての実際の対応に困難を来すことにもなり、処分の取消判決や執行停止の決定に第三者効(行政事件訴訟法32条)が認められている取消訴訟において当該条例の制定行為の適法性を争い得るとすることには合理性がある
 以上によれば、本件改正条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である」と判示した。
 本肢は、「特定の保育所で現に保育を受けている児童及びその保護者が保育の実施期間が満了するまでの間、当該保育所における保育を受けることを期待し得る地位は事実上のものに過ぎず、法的地位とまではいえない」としている点、「処分の取消判決や執行停止の決定に遡及効が認められている取消訴訟」としている点が誤りである。なお、取消判決には遡及効を認めうる(形成訴訟説)が、執行停止の決定には遡及効はなく、将来効と解されている(最判昭29・6・22)。

新試験第32問、予備試験第19問のウは、迷う肢である。

(新試験第32問、予備試験第19問)

 抗告訴訟における判決の効力に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

ウ.課税処分を取り消す判決が確定した場合,当該課税処分を前提とする滞納処分としての差押処分がそのまま維持されることはない。

内容的にみれば、これは正しいと考えるのが普通である。
しかし、語尾が気になる。
「ことはない」となっている。
これは、一切の例外を許さない趣旨と読める。
こういう語尾の場合、大体誤りというのが、短答のテクニックである。
そうすると、誤りなのか。
迷うところである。

確かに、差押処分が維持される場合が一切ないかというと、悩む面はある。
しかし、その場合でも、「そのまま維持される」といえるのか。
当該課税処分とは異なる理由によって、維持されることになるのではないか。
だとすれば、いずれにせよ、そのまま維持されることはない。
すなわち、正しいと考えることになる。

本肢と類似の肢は、平成19年に出題されている。

(平成19年新司法試験短答式公法系第36問)

 行政事件訴訟において,処分又は裁決を取り消す判決の効力に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

ウ. 課税処分をした税務署長が,その税の滞納処分として納税義務者の財産を差し押さえていたときに,その課税処分が取消訴訟の判決により取り消され,それが確定したときは,税務署長は,滞納処分を続行してはならない。

1. ア○ イ○ ウ○  2. ア○ イ○ ウ×  3. ア○ イ× ウ○
4. ア○ イ× ウ×  5. ア× イ○ ウ○  6. ア× イ○ ウ×
7. ア× イ× ウ○  8. ア× イ× ウ×

法務省公表の正解:5(ウは正しい)

これと同旨の肢として、本肢が作られた可能性はある。
だとすれば、本肢も同様に正しい、ということになりそうだ。
こういう問題で大事なことは、あとで公表される正解と同じ判断ができるかではない。
正しいとも誤りとも判断できることに、現場で気付くこと。
時間をロスすることなく、適当にどちらかに決め打ちすること。
結果的に本肢が正解できたか否かにかかわらず、他の問題で合格点が取れること。
これらの方が、はるかに大事である。

新試験の第35問は、基本的には参照条文を当てはめれば解ける。
ただ、ウエは、判例を知っていると、自信を持って解くことができる。

(新試験第35問)

 普通地方公共団体であるA市においては,観光の振興のために,宗教法人Bの主宰により長年にわたり行われている行事と提携する事業が企画されたが,A市の住民であるXは,この事業の内容については政教分離の原則等との関係で慎重に検討すべき問題があると考えている。このような場合において,Xが地方自治法(以下「法」という。)第242条の2第1項の規定に基づいて提起する住民訴訟に係る各事例に関する次のアからエまでの各記述(いずれにあっても,各記述に係るもの以外の訴訟要件については問題はなく,権限の委任についての定めもないものとする。)について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

ウ.A市から町内会Dが貸付けを受けていた土地の上に宗教法人Bの礼拝の施設が存在する事例において,Xは,法第242条の2第1項第3号の規定に基づき,市長Cが町内会Dに上記の施設が存在する状態の解消を求めること等の当該土地の管理を怠る事実の違法確認を求める住民訴訟を,適法に提起することができる。

エ.町内会DがA市から貸付けを受けていた土地の貸付料の支払を滞っていた事例において,Xは,法第242条の2第1項第4号本文の規定に基づき,市長Cが町内会Dに契約による債務の履行としての貸付料の支払を請求することを求める住民訴訟を,適法に提起することができる。

 

最大判平22・1・20(空知太神社訴訟)より引用、下線は筆者)

 本件は,砂川市(以下「市」という。)がその所有する土地を神社施設の敷地として無償で使用させていることは,憲法の定める政教分離原則に違反する行為であって,敷地の使用貸借契約を解除し同施設の撤去及び土地明渡しを請求しないことが違法に財産の管理を怠るものであるとして,市の住民である被上告人らが,上告人に対し,地方自治法242条の2第1項3号に基づき上記怠る事実の違法確認を求める事案である。

(引用終わり)

 

最判平14・10・15より引用、下線は筆者)

 ・・本件賃貸借契約により承諾料7954万5887円の支払義務があると主張して,法242条の2第1項4号に基づくものとして,市に代位し,上記承諾料及びこれに対する遅延損害金の支払を請求した事件である。

 ・・上記請求のうち遅延損害金請求は同号所定の怠る事実に係る相手方に対する損害賠償の請求に該当するから,同請求に係る訴えは適法であるが,承諾料請求は,契約に基づき債務の履行を求めるものであり,同号所定のいずれの請求にも該当せず,他にこのような請求を許容する法律の定めはないから,同請求に係る訴えは不適法である

(引用終わり)

新試験第37問は、判例問題であるが、細かいという印象だ。

(新試験第37問)

 次のアからウまでの各記述の下線部について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

ア.固定資産税の納税者は,固定資産税の登録価格について不服がある場合,地方税法に基づく審査の申出及びその決定に対する取消しの訴えによってのみ争うことができるとされている。したがって,当該納税者がこれら手続を経ることなく,登録価格が過大であったとして,国家賠償法に基づき固定資産税の過納金相当額の損害賠償請求をすることはできない。

イ.不動産の強制競売事件における執行裁判所の処分については,民事執行法に定める救済の手続により是正することができる。こうした手続が予定されているから,執行裁判所自らその処分を是正すべき場合等特別の事情がある場合を除き,権利者がその手続による救済を求めることを怠ったため損害が生じたとしても,国家賠償法に基づき損害賠償請求をすることはできない。

ウ.犯罪の被害者は,公訴提起により利益を受けることから,検察官の不起訴処分の違法を理由として,国家賠償法に基づき損害賠償請求をすることができる。

1.ア○ イ○ ウ○   2.ア○ イ○ ウ×   3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ×   5.ア× イ○ ウ○   6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○   8.ア× イ× ウ×

アは、最判平22・6・3である。
これは、司法試験平成22年最新判例肢別問題集で出題した。

最判平22・6・3より引用、下線は筆者)

 たとい固定資産の価格の決定及びこれに基づく固定資産税等の賦課決定に無効事由が認められない場合であっても,公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して当該固定資産の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定したときは,これによって損害を被った当該納税者は,地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく,国家賠償請求を行い得るものと解すべきである。

 

司法試験平成22年最新判例肢別問題集より抜粋)

【問題】

9:重要度:A
 判例は、公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して固定資産の価格を過大に決定したときは、これによって損害を被った当該納税者は、地方税法に基づく審査の申出及び取消訴訟等の手続を経るまでもなく、国家賠償請求を行い得るとした。

【解答】

9:正しい(最判平22・6・3)。

イは、最判昭57・2・23である。

最判昭57・2・23より引用、下線は筆者)

 不動産の強制競売事件における執行裁判所の処分は、債権者の主張、登記簿の記載その他記録にあらわれた権利関係の外形に依拠して行われるものであり、その結果関係人間の実体的権利関係との不適合が生じることがありうるが、これについては執行手続の性質上、強制執行法に定める救済の手続により是正されることが予定されているものである。したがつて、執行裁判所みずからその処分を是正すべき場合等特別の事情がある場合は格別、そうでない場合には権利者が右の手続による救済を求めることを怠つたため損害が発生しても、その賠償を国に対して請求することはできないものと解するのが相当である。

ウは、最判平2・2・20である。

最判平2・2・20より引用、下線は筆者)

 犯罪の捜査及び検察官による公訴権の行使は、国家及び社会の秩序維持という公益を図るために行われるものであって、犯罪の被害者の被侵害利益ないし損害の回復を目的とするものではなく、また、告訴は、捜査機関に犯罪捜査の端緒を与え、検察官の職権発動を促すものにすぎないから、被害者又は告訴人が捜査又は公訴提起によって受ける利益は、公益上の見地に立って行われる捜査又は公訴の提起によって反射的にもたらされる事実上の利益にすぎず、法律上保護された利益ではないというべきである。したがって、被害者ないし告訴人は、捜査機関による捜査が適正を欠くこと又は検察官の不起訴処分の違法を理由として、国家賠償法の規定に基づく損害賠償請求をすることはできないというべきである(最高裁昭和二五年(オ)第一三一号同二七年一二月二四日大法廷判決・民集六巻一一号一二一四頁参照)。

新試験第38問、予備試験第23問は、損失補償に関する問題である。
土地収用法の知識を問うもので、かなり細かい。

(新試験第38問、予備試験第23問)

 損失補償に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

ア.Aが所有する一団の土地の一部が収用された事例において,残地部分が不整形になり,その価格が収用前に比べて減少した場合には,起業者はAに対して,残地に関する損失を補償しなければならない。

イ.ある土地が道路用地として収用され,道路が建設された結果,道路面とその隣接地との間に高低差が生じた事例において,隣接地の所有者Bが高低差を解消するために通路の設置を余儀なくされた場合には,Bは起業者に対して,通路設置に要した費用の補償を請求することができる。

ウ.Cの土地が収用される事例において,権利取得裁決により起業者はCの所有する土地を取得することから,事業認定の時点ではなく,当該裁決の時点における土地取引価格を基準として,Cが近傍において被収用地と同等の代替地を取得することができるだけの補償金額が,算定されなければならない。

エ.自己の所有する土地を収用されたDは,権利取得裁決に定められた補償額を不服として増額請求訴訟を提起して勝訴した場合には,正当な補償額と裁決で定められた補償額との差額のみならず,その差額に対する,裁決で定められた権利取得の時期からその支払済みに至るまでの民法所定の法定利率相当額を請求することができる。

アは、土地収用法74条1項の残地補償であり、正しい。

(土地収用法)

68条 土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者及び関係人が受ける損失は、起業者が補償しなければならない。

74条1項 同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、又は使用することに因つて、残地の価格が減じ、その他残地に関して損失が生ずるときは、その損失を補償しなければならない。

イは、土地収用法93条の第三者補償であり、収用土地所有者でなくても補償が受けられる場合である。
よって、正しい。

(土地収用法93条1項、下線は筆者)

 土地を収用し、又は使用(第百二十二条第一項又は第百二十三条第一項の規定によつて使用する場合を含む。)してその土地を事業の用に供することにより、当該土地及び残地以外の土地について、通路、溝、垣、さくその他の工作物を新築し、改築し、増築し、若しくは修繕し、又は盛土若しくは切土をする必要があると認められるときは起業者はこれらの工事をすることを必要とする者の請求により、これに要する費用の全部又は一部を補償しなければならない。この場合において、起業者又は当該工事をすることを必要とする者は、補償金の全部又は一部に代えて、起業者が当該工事を行うことを要求することができる。

ウは、土地収用法71条、最判平14・6・11から、誤りである。

(土地収用法71条)

 収用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額は、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額とする。

 

最判平14・6・11より引用、下線は筆者)

 土地の収用に伴う補償は,収用によって土地所有者等が受ける損失に対してされるものである(土地収用法68条)ところ,収用されることが最終的に決定されるのは権利取得裁決によるのであり,その時に補償金の額が具体的に決定される(同法48条1項)のであるから,補償金の額は,同裁決の時を基準にして算定されるべきである。その具体的方法として,同法71条は,事業の認定の告示の時における相当な価格を近傍類地の取引価格等を考慮して算定した上で,権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて,権利取得裁決の時における補償金の額を決定することとしている。
 事業認定の告示の時から権利取得裁決の時までには,近傍類地の取引価格に変動が生ずることがあり,その変動率は必ずしも上記の修正率と一致するとはいえないしかしながら,上記の近傍類地の取引価格の変動は,一般的に当該事業による影響を受けたものであると考えられるところ,事業により近傍類地に付加されることとなった価値と同等の価値を収用地の所有者等が当然に享受し得る理由はないし,事業の影響により生ずる収用地そのものの価値の変動は,起業者に帰属し,又は起業者が負担すべきものである。また,土地が収用されることが最終的に決定されるのは権利取得裁決によるのであるが,事業認定が告示されることにより,当該土地については,任意買収に応じない限り,起業者の申立てにより権利取得裁決がされて収用されることが確定するのであり,その後は,これが一般の取引の対象となることはないから,その取引価格が一般の土地と同様に変動するものとはいえない。そして,任意買収においては,近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業認定の告示の時における相当な価格を基準として契約が締結されることが予定されているということができる。
 なお,土地収用法は,事業認定の告示があった後は,権利取得裁決がされる前であっても,土地所有者等が起業者に対し補償金の支払を請求することができ,請求を受けた起業者は原則として2月以内に補償金の見積額を支払わなければならないものとしている(同法46条の2,46条の4)から,この制度を利用することにより,所有者が近傍において被収用地と見合う代替地を取得することは可能である。
 これらのことにかんがみれば,土地収用法71条が補償金の額について前記のように規定したことには,十分な合理性があり,これにより,被収用者は,収用の前後を通じて被収用者の有する財産価値を等しくさせるような補償を受けられるものというべきである。
 以上のとおりであるから,土地収用法71条の規定は憲法29条3項に違反するものではない。

(引用終わり)

エは、最判平9・1・28であり、正しい。

最判平9・1・28より引用、下線は筆者)

 土地収用法一三三条所定の損失補償に関する訴訟は、裁決のうち損失補償に関する部分又は補償裁決に対する不服を実質的な内容とし、その適否を争うものであるが、究極的には、起業者と被収用者との間において、裁決時における同法所定の正当な補償額を確定し、これをめぐる紛争を終局的に解決し、正当な補償の実現を図ることを目的とするものということができる。右訴訟において、権利取得裁決において定められた補償額が裁決の当時を基準としてみても過少であったと判断される場合には、判決によって、裁決に定める権利取得の時期までに支払われるべきであった正当な補償額が確定されるものである。しかも、被収用者である土地所有者等は右の時期において収用土地に関する権利を失い、収用土地の利用ができなくなる反面、起業者は右の時期に権利を取得してこれを利用することができるようになっているのであるから、被収用者は、正当な補償額と裁決に定められていた補償額との差額のみならず、右差額に対する権利取得の時期からその支払済みに至るまで民法所定の年五分の法定利率に相当する金員を請求することができるものと解するのが相当である。

(引用終わり)

新試験第40問は、地方自治に関する出題である。
アウは、判断できるが、イエはかなり細かい。

(新試験第40問)

 都道府県知事が自治事務又は法定受託事務として,法律を根拠に私人に対し行政処分を行う場合に関する次のアからエまでの各記述について,法令に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。なお,本問にいう「法律」には,当該法律に基づく政令も含まれるものとする。

ア.処分の根拠となる法律が特に都道府県の自治事務とする旨を定めているときに限り,処分を行う事務は,都道府県の自治事務とされる。

イ.処分を行うことが都道府県の自治事務である場合,及び法定受託事務である場合のいずれにおいても,国が都道府県の事務処理について関与をするに際しては,法律の根拠が必要である。

ウ.処分を行うことが都道府県の自治事務である場合,及び法定受託事務である場合のいずれにおいても,私人が処分の取消しを求める訴えの被告は,都道府県である。

エ.処分を行うことが都道府県の自治事務である場合において,法律が定める処分の基準を,都道府県は条例により変更することができる旨が,地方自治法に定められている。

アは、自治事務が原則であり、特に定めた場合が法定受託事務である。
よって、誤りとなる。

(地方自治法2条、下線は筆者)

8項 この法律において「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。
9項 この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。
一  法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第一号法定受託事務」という。)
二  法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第二号法定受託事務」という。)

イは、245条の2で、正しい。

(地方自治法245条の2)

 普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。

ウは、行訴法11条1項1号で、正しい。
エは、そのような規定はないから、誤り。

新試験で、確実に取りたいのは、6問(15点)。
21、27、28、33、34、39である。
ここで13点は、確保したい。
できれば取りたい問題が、10問(25点)。
23、24、25、26、29、30、31、31、35、36である。
このうち、13点は取りたい。
合計26点が、ここでの最低ラインだろう。
憲法(32点)と合わせて58点が、公法系の最低ラインとなる。

予備試験で、確実に取るべきは、4問(10点)。
17、20、21、24である。
ここは、全て取って、10点を確保する。
できれば取りたいのは、6問(14点)。
13、15、16、18、19、22である。
この半分を取って、7点。
合計17点が、最低ラインという感じだ。
憲法(20点)と合わせて、37点ということになる。

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