政府公表資料等情報

法科大学院特別委員会平成23年6月2日(第44回)議事録より抜粋(下線及び※注は当サイトによる)

【中野専門職大学院室長】
 お手元の資料3-1から資料3-3まで説明をさせていただきます。まず資料3-1ですが、先生方がご覧になればおわかりかと思いますが、法科大学院について極めて簡潔に概要を示したものでございます。御案内のように、平成13年6月の司法制度改革審議会の意見書で、司法制度改革、その中で法曹養成制度の改革ということが提言されまして、質・量ともに豊かな法曹を育てるということになったわけでございます。量という意味では、法曹人口の拡大がありました。質という意味では、それまで司法試験という一点の選抜による養成ということでしたが、それをプロセス養成に変えていこう、法学教育・司法試験・司法修習を有機的に連携させたプロセスとしての法曹養成制度としていこう、ということの中核的教育機関として創設されたのが法科大学院制度でございます。制度の概要ですけれども、修業年限が3年ということで、ただし、法学の基礎を学んだ法学既修者については2年にするということでございます。専門職大学院でございますので、教員といたしまして、従来の研究者・学者の先生だけではなく実務家の方にもお入りいただき、最低ラインとして2割以上は法曹有資格者を中心とした実務家の方に入っていただくことになっております。教育内容にいたしましても、それまでは法学部の講義を中心としたものであったと思いますけれども、それとは違い、授業人数は少人数。授業方法は双方向・多方向授業を基本とすることで、理論と実務の架橋を強く意識した教育を実施いただいているところでございます。
 また認証評価という制度が、同じく法科大学院に対して平成16年からございます。平成16年に認証評価制度ができまして、全ての大学が期間別評価ということで7年に1回評価を受けておりますそれにプラスして法科大学院を含む専門職大学院につきましては、5年ごとに分野別の専門的な認証評価を受けることが義務付けられております。平成16年から始まった法科大学院でございますが、平成23年度現在で74校の大学が法科大学院を設置している状況でございます。4.に新司法試験合格状況を記載しております。平成16年にできた法科大学院への入学者のうち、既修者の方が最初に修了したのが平成18年3月でございますので、平成18年から新司法試験が始まっています合格者数は平成18年の1,009人から伸びておりましたが、平成20年は2,065人平成21年は2,043人平成22年は2,074人ということで、いわばその辺りでとまっているという状況でございます。一方、受験者数は修了してから5年で3回受けられるということになっておりますので、受験者数の方は増えております結果、合格率につきましては当初、平成18年の48.3%から、平成22年には25.4%に落ちているという状況でございます。
 次に5.の法科大学院適性試験受験者の状況でございますが、法科大学院に入りたいという場合には、どこの法科大学院に入るにしても、統一的に適性試験というものを受けるということになっております。昨年までは大学入試センターと日弁連法務研究財団の2機関がこの適性試験を実施しております。その受験者数がここに示したものでございます。平成15年度の適性試験、すなわち平成16年度に入学する方のための試験ですけれども、初年度で非常に多かったということもございますが、その次の平成16年度と比較しても、かなり受験者数が減ってしまっているという状況でございます。
 6.といたしまして、最近の入学定員の見直し状況でございます。平成19年度から書いておりますが、平成19年度が、いわば一番多い数字とみていただければと思います。最大時5,825人でございましたが、その後、後ほど申し上げますが、本委員会での御提言の中で、法科大学院教育の質の向上の観点から、入学定員の見直しが必要だという提言がございまして、各法科大学院で定員の見直しがなされております全ての法科大学院が平成23年度までに定員削減をしています。トータルで申しますと、平成23年度は4,571人という入学定員でございます。これはピーク時と比べて2割以上の減でございます。この本特別委員会の提言の中でも、この入学定員の見直しにつきましては、教育の質の向上のためにということでございましたけれども、これで入学定員が減りますと、司法試験の受験者も全体的には減ってきますそうしますと、司法試験合格率が良くなれば、法曹を目指す人、適性試験を受験する人ということにもなりますが、優秀な法曹志願者が戻ってくることが期待されるところでございます。

 (中略)

 続きまして資料3-3をご覧いただきたいと思います。法科大学院を含めます、法曹養成制度全体に関する動きということで、本特別委員会にも関係するということで、御紹介をさせていただきたいと思います。「法曹の養成に関するフォーラム」というものでございます。平成23年5月に内閣官房長官以下6大臣の申し合わせで、こういったフォーラムが設置されたところでございます。

 (中略)

 このフォーラムには、特別委員会からは井上座長代理、それから本日は欠席でございますが、鎌田委員にも御参加いただいているところでございます。事務局からの説明は以上でございます。

【井上正仁(東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授)座長代理】
 フォーラムにも関係するところがあるのですけれども、御承知のように、総務省において、法科大学院ないし法曹養成制度の政策評価に関する研究会の報告を受けて、個別の法科大学院に対する実地調査を含む政策評価のための調査を行うという方針を明らかにしていましたが、具体的に、全国38の法科大学院を対象に調査を行う予定であることが明らかになり、個々の対象校に今、準備のための打ち合わせが開始されている模様です。これにつきましては、いくつか心配な点がありまして、これは本来、行政機関の政策評価が目的ですので、文部科学省あるいは法務省の政策評価であるはずのもので、個別の法科大学院の教育の在り方や内容などを直接の対象とするのは筋違いではないかと思われる上、調査のやり方によっては大学における学問とか教育の自由、あるいは人事なんかに関わりますと、自治の問題にも抵触するおそれがある。また、各法科大学院においてはこれまでも認証評価機関における認証評価のための調査や、本委員会による調査その他にも文科省関係のほかの調査などを二重三重に受けており、調査疲れしている状態にあるので、されに総務省による調査が行われるのは、相当に過重な負担になるものと考えられます。これらの点については、既に法科大学院協会の方から総務省に対して、十分留意し、行政評価としての分を守ったものにしてほしいという意見を表明していたところですけれども、このほど、いくつかの法科大学院に接触がなされた際に総務省から示された調査の概要について漏れ聞いたところによると、非常に細かな項目にわたって調査がなされるようでして、その中には教育の在り方にかなり密接に関連する事項が少なからず含まれていることや、本委員で調査したところと重複する点が非常に多いことが分かりました。その点から、いかがなものかというふうに大学関係者は感じておりますし、またその打ち合わせの過程で、総務省ないしその出先機関の関係者からこの調査はフォーラムに提供するために行っているかのように受け取れる説明があったということですが、フォーラムでそういう決定して総務省に調査をお願いしたわけではありませんのに、総務省の方ではそういう意図でやろうとしているのかどうか、事実確認と適切な対応を文科省にもお願いしたいと思います。
 個々の法科大学院においては、趣旨・目的が必ずしもよく分からなくて、どう対応してよいのか困っているようですので、是非お願いしたいと思います。

【土井真一(京都大学大学院公共政策連携研究部教授、京都大学大学院法学研究科教授)委員】
 京都大学も対象校になっております。それとの関係で、総務省の評価について一言申し上げさせていただきますと、私は、憲法学が専門であることもあるんですけれども、大学の教育の内容について評価をする場合には、中教審でもそうですし、それから評価機関でもそうですが、同じ研究者・教育者を入れてピア・レビューの形でしっかり大学の事情を分かっている人たちが手間暇をかけて判断をして、その結果に基づいて議論をするというやり方をしていただいているわけです。それはむやみに手間をかけているわけではなくて、憲法23条の関係で、そういう手順を踏むということになっているわけです。
 ところが、今回の場合は、先ほど井上委員からもありましたように、元々は文科省及び法務省への政策の評価だということもありまして、行政官の方だけが中心となって色々と評価されるということになります。そうしますと、憲法23条との関係で問題があるわけで、実際にそのヒアリングの事項には特定の教材の利用がどうこうという内容にまで立ち入って書かれていますので、大学としては対応できないというところもあります。政策評価をされること自体に異論はございませんが、そのやり方については十分に配慮していただきたいというのが要望でございます。以上です。

 (中略)

【中野専門職大学院室長】
 まず資料5に基づきまして、法科大学院修了認定の状況について御説明いたします。今回は22年度の修了認定状況の調査データということですが、17年度からの推移を資料5に示しています。平成22年度の数字でございますが、一番下のところをご覧いただきますと、国公私の合計で標準修業年限で修了したという方は、3,932人、割合として73.6%という数字となっています。平成17年度は既修者のみということですけれども、未修者の平成18年度以降を見ましても、パーセンテージをご覧いただきますと、標準修業年限で修了する方の割合は、ずっと下がっているという傾向でございます。これは数値だけでは判断できませんけれども、この委員会でもですね、修了認定及び成績評価の厳格化ということを御提言いただいておりまして、各法科大学院でも進級制度の導入ですとか、授業の方で厳しくされているということですので、それが数字にも反映されているものと推測されます。
 それから3枚目に修了しなかった者の事由、平成17年度からのものをお示ししております。平成17年度、平成18年度のころは、修了しなかった理由は、要するに退学、しかもその中でも旧司法試験に合格したので退学するという方がかなり多く、パーセンテ−ジ的に多かったということでございますが、平成22年度では退学が全体の38.4%、うち旧司法試験合格者が0.9%、それ以外の理由で退学される方は、37.5%になっているということでございますまた、原級留置、休学等も含みますけれど、進級制ができている、修了認定が厳しくなっているということで、原級留置、休学というところのパーセンテージが引き続き上がっているということでございます。以上、修了認定の状況でございます。
 続きまして、入学者選抜の状況につきましては、・・まず、資料6-1の志願者数、志願倍率をご覧いただきたいと思いますが、平成23年の志願者数は右側の格子の計をご覧いただきますと、22,927人ということでございます。これを経年で見ていただきますと、初年度の平成16年が72,800人というのはかなり特殊でございますが、平成17年の41,756人から比べましても、だんだん志願者数が少なくなってきてしまっているところです。法科大学院の志願者数が減るということは、法曹の志願者が減るということでございますので、このあたりはフォーラムでもワーキングチームでも課題というところでございます。
 平成23年度の状況ですけれども、・・平成22年度に比べて1,087人の減、パーセントにしますと、4.5%でございますが、これは引き続き減少ということでございますが、その下げ幅が大幅に縮小しているというのが非常に特色かと思っております。資料6-1をご覧いただきますと、例えば、平成20年から平成21年が、1万人近くが減少しています。それから、平成21年から平成22年にかけては、5千人以上が減少しています。今回は2千人(※当サイト注、1千人強の誤りと思われる。)ということでございますので、下げ幅が縮小しているということでございます。それから志願倍率でございますが、平成23年は国公私の平均で5.1倍ということでございます。これは、志願者が減っているのですけれども、各法科大学院で入学定員の削減をしていただいているということで、その結果、5.1倍という数字は、昨年の4.9倍から上昇したということで、0.2ポイントの上昇ですけれども、5倍台を回復しております。志願倍率がずっと落ちてきておりましたので、4年ぶりに改善したということでございます。
 それから、資料6-1の1枚をおめくりいただきますと、入学者数についてというのがございます。まず入学者数、総数でございますが、資料6-1の2.の(1)の右下のところをご覧いただきますと、平成23年度の総計がありまして、これは3,620人でございます。机上配布資料の競争倍率のところは、後ほど戻りたいと思います。入学者状況として、入学者総数は3,620人ということで、前年度と比べて502人減っているということでございます。
 平成23年度における入学定員は4,571人ということでございますので、総数で持ちますと、入学定員の約8割、これは前年度からの引き続きということでございます。この定員より入学者数が少ないということでございますが、これにつきましては、志願者数の減少ということもございますけれど、この特別委員会でも入学者の質の確保が重要である、とりわけ、プロセス養成の入口のところですので、しっかりと適性のある方を選んでいただくということをやっていただいておりまして、各法科大学院において、入学者の質の確保という観点から入学者選抜を厳しく実施しているという結果として定員の8割、3,620人となっているという考え方ができると思っております。
 それから、内訳でございますが、既修、未修別で申しますと、これも合計欄をご覧いただきますと、既修が1,915人、未修が1,705人というのが平成23年度の数字でございまして、約半々ということで、既修者の方が未修者の方を上回っているということでございます。それから社会人の入学状況について、(2)のところですけれども、こちらも右下の計のところをご覧いただきますと、合計が764人全入学者に対する割合として21.1%ということです。平成16年、平成17年からずっと見ていただきますと、絶対値としてもあるいは割合としても、減ってきているということでございます。1枚めくっていただきまして、(3)としまして、学部系統別の入学状況がご覧いただけます。国公私別と全体の計がございますけれど、計の一番下、平成23年度におきましては、法学部出身という方が2,872人、割合として79.3%ということで、いわゆる非法学部出身者というところが700人強となっているということで、こちらも法学部出身者の割合が伸びているということで、・・法学部卒の方、あるいは社会人以外の方が多くなっているということが、もともと司法制度改革で謳われています、多様なバックグラウンドを持った方を法曹にしていくという理念から考えますと、課題ではないかということでございます。
 次に資料6-2をご覧いただきたいと思います。資料6-2は入学者選抜実施状況調査の表でして、平成23年と比較するため、平成21年、平成22年も載せておりますけれども、入学者選抜実施状況を各校別にお示ししたものです。大学名は、国公私の順で北から順に並べております。入学者選抜実施状況としては、入学定員、募集人員、志願者数、受験者数、合格者数、入学者数、競争倍率とお示ししておりまして、参考として、新司法試験の合格率を記載しております。その中で、特に特別委員会での提言では、入学者の質の確保という観点から、入学者選抜において、いわゆる競争性が確保されないといけないということで、競争倍率、これは受験者の人数に対して合格者が何人出ているかということでございまして、これが1倍ということになりますと、全員が合格しているということでございますが、特別委員会の提言では、目安として2倍ということを提言いただいておりますつまり二人に一人が合格するということでございますけれども、最低限のレベルとしてそのくらいでないと競争性が担保されているとは言いづらいのではないかということでございました。そのため、黒く囲っております競争倍率のところを中心にご覧いただきたいと思いますけれど、・・平均競争倍率は2.89倍ということで、前年度は2.75倍でしたので、0.14ポイント上昇しています。なかなか平均値で議論するということはどうかと思いますが、全体として上昇しているということでございます。それから個々の法科大学院の状況を見ますと、今申し上げました2倍というものについて、実は昨年度の調査、この委員会でも報告させていただきましたが、競争倍率2倍を切っているという法科大学院が40大学ありましたけれども、平成23年度の調査では18大学に減少しております。これは、各法科大学院が入学者の質の確保という観点から厳しく選抜したという結果であると推測されます。ただ、数が減ったということですが、いずれにしましても18大学においては、競争倍率が2倍を切っているということで、個々に平成23年のところを見ていただきますと、低いところでは1.16倍ですとか、そういうところもございまして、競争性が担保されていないと言わざるを得ませんし、入学者の質の確保について疑問があると言わざるを得ないとう状況につきまして、そこは課題として事務局としても受け止めています。

 (中略)

【笠井治(弁護士)委員】
 ・・資料6-2を丹念に見ますと、実はですね、1.16倍とか1.18倍とか1.20倍とかですね、かなり底辺にいるだろうという学校がある。これは本当に競争とはちょっと言えないのかなと言えますし、それから、もう一つ、固有名詞を上げるほどのことはありませんけれど、国立系の旧帝大と言われるような大学の中にも、2倍の競争倍率を切っているという学校があるんですが、そういう大学というのは、努力をしなかったということには中々ならないとは思うのですけれども、いったいどういう背景があって、そういう入学試験を、選抜実施をしているのか、そこら辺を何かわかる情報などございますでしょうか。

 (中略)

【井上座長代理】
 実地調査で、いくつかの大学の関係者の方とお話した際に、この点についてはより厳しい認識を持っていただきたいということを申し上げました。それは単に2倍というその数字だけではなく、適性試験の成績が著しく低い人を入学させているところでは、入ってからの学業成績も振るわないといった一連の問題点が連動しているように見えたために、そういうことを申し上げたわけです。それらの問題点の中で、この競争倍率ということだけが、各校が自ら上げたり下げたりできるものでして、つまり、受験者を母数にして競争倍率2倍以上を確保するためには合格者を何名以下にしなければならないかが容易に分かるわけですので、実際にも、たくさんの法科大学院がそのように努力されたのですけれども、一部とはいえ、受験者数がかなり減っているのに、合格者数を逆に増やしているところや、昨年とほぼ同じくらいの数合格させているところがある。これはヒアリングでのそれらの法科大学院からの説明でも、やはり、一定の入学者数を確保したいということが先行して、そこから逆算して合格者数をはじき出していることによるものだと言えます。大学の学部の入試などではそういった力学というか心理が働くのですけれども、法科大学院ではそれでは困る、競争性の確保による入学者の質の確保ということが優先するのだと何度も申し上げてきたのですけれども、なかなか理解が得られなかったのかなと思っています。
 今、指摘されたところを含め、いくつかの所で逆行するような現象が見られますので、これは恐らく、今後のフォローアップにあたって、その状況・原因を明らかにしていく必要があるのではないかと思います。

 (中略)

【永田眞三郎(関西大学法学部教授)委員】
 笠井委員の御質問の件ですけれども、全体としてご覧になったらわかりますけれども、個別の若干の違いはありますが、関東、東京中心に、これは一定の母数があって、どの私学でもある程度の受験者があるのですけれども、この全体の現象におきまして、関西、東京よりも西の方におきましては、著しく志願者数が減っているわけです。そういう意味では、国立につきましてもそういう傾向がございまして、逆に言いますと、関西は、力量の割に定員が多すぎるのではないかと、私学も含めまして言えるのではないかと。そういう状況で、どこも関西は苦戦しているという状況にあります。東京以外はですね。そういう状況でございます。それから、今、井上委員がおっしゃったように、2倍を非常に守ろうとして、随分、改善されたんですけれど、それによって、入学者が半数くらい減っているというところもあるし、中規模でしたら関西大学も半数まで、定員より半数で。それに対して学んだところとか維持できているところはあるんですけれど、しかし、それをほとんど入学者がいないということで、それを1倍程度でやっている。それを1.何倍、1.5倍以下でやっているところは、それで成功している、ギリギリ定員に近いものを確保しているのと、逆に少しでも、一人でも入らない、5名でも入らないというような大学もあって、非常に厳しい状況にあるということは事実です。一部の大学にそういうことが起こっているということです。大方の大学は、2倍というものを守ろうとして、実は定員が欠けているという状況がありますけれども、それを、定員を確保するために、確信犯に近いんですけども、メッセージが伝わっているはずなんですけど、それを取ってしまうという状況が、1.5以下のところもかなりありますけれど、それは、おそらくメッセージを知りながらもそれを選択したと。経営的な意味もあると思いますし、それから、大学の教員自身もその法科大学院の存亡に関わるというところもあって、なんとか入学者を確保したいというような思考が働いて、こちらの2倍以上というメッセージが、十分果たせなかった、応じていただけなかったという感じがいたします。以上です。

【笠井(治)委員】
 よくわかりました。ただ、いろんな背景があって、それだけの倍率を確保できないというお話もよくわかるんですけれど、そうである場合には、入学者の質の点で、これを確保できなくなるという問題も起きると思うんですね。適性試験との関連だけという部分で取り上げますけど、確かに適性試験と入学者の質、あるいは、その後の成績の向上というのが完全に正の相関線を持っていることなんかはやや疑問がないわけではないとは思いますが、ただ、我々がこの委員会で提言した時にですね、適性試験の統一した最低基準点というのを設定しようじゃないかと。少なくとも、その程度はできないという問題じゃないかという議論もあったと思うんですね。今の適性試験の最低基準点との関係でいうと、それらの倍率が確保できていない大学では、そうした入学者、入学志願者を合格点を与えて入れてるのかというような点については、実情をお分かりになっているのでしょうか。

【中野専門職大学院室長】
 申し訳ありませんが、適性試験の最低点ということにつきましても、各大学に調査をしてみますと、データの性格として、個人が特定されてしまうということで、お示しするのが難しいということで、また、今回は震災の影響で調査自体が遅れておりまして、まだ集計の方が完全にできておりません。ただ、個々には、確かにおっしゃるように競争倍率2倍を切っているところで、再確認する必要のあるところはありますけれども、適性試験の最低点がきわめて低い、20点台とか、30点台のところはですね。この特別委員会で一定の目安とされた、下位15%を基準として下の点数を入れているという調査結果はありますが、網羅的に何校ということは、今、数値を精査中でございます。申し訳ございません。

【土井委員】
 一点確認してからお話させていただきたいのですけれども、志願者数という数字、これは延べですよね。だから、22,927の志願者数と考えていますけど、これは、延べで合算するとこうなるというわけで適性試験の受験者数からいくと、平成22年度が14,800、14,900くらいの人数がいるわけですけれど、これも、両方の試験を受けている人が相当数いますので、実は、志願者数がかなり絞られてきているんだと思うんですね。ということは、この競争倍率の問題は、実際はもっと限られた人を大学が奪い合っている状態になってきていて、しかも、受験生は複数受験をしていますので、合格者がほかの大学に流れて、入学者を採れなくなっている大学があるということだと思うんです。やはりこの問題を制度全体の中で考えていただかないといけないのは、優秀な人材を確保していくことが、教育あるいはこれからの司法の観点から重要だとしても、18歳人口が明らかに減ってきていて、それとあわせて大学を卒業する人口も、当然、減ってきているという状態になっているのですから、その中で、できる限り優秀な人材を法曹にリクルートしていこうとしますと、新卒だけでは、なかなか十分採れないので、社会人経験者から、優秀な人たちを法曹に還元していく必要があるわけなんですね。もちろん法科大学院側も、いろいろと教育改善をしなければいけませんので、非常に努力はしてきているわけですけれど、法曹養成制度は、やはり司法試験等々を含めて、全体として動いているものですから、法科大学院側だけが、こういう形でギリギリ入学者をしぼっていくだけではなく、いろんな人たちが希望を持って受け入れるという状況を作っていただかないと、最終的には、縮小傾向が続くだけになってしまって、優秀な人材を集めきれないという状態になるわけです。
 最近、法学部なんかでもよく言われていることですけれども、景気が悪くなってきて、理系へのシフトが非常に強くなってきている文系や法学系に優秀な人材をリクルートするのは、大変難しい状況になってきている中では、法曹養成制度が安定して、優秀な人材を集めて社会に輩出していくという期待が全体として維持できないといけません。関係機関がお互いに嫌なことを言い合っている中で、全体が進んでいくということは、あまり望ましくないことで、中教審としては、法科大学院の教育についていろいろ検討していくということになると思うんですが、法曹養成制度全体について、きちっと検討をしていただかないと、一部だけに過剰な負担を負わせる形になっていくとゆがんできます。先ほど、フォーラムの話もあったと思うんですけれど、こういう社会人の状況とか、志願者数とかいろいろなことを考えると、制度全体をお考えいただいた方がいいんじゃないかという印象を私は持っています。

【土屋美明(一般社団法人共同通信社論説委員・編集委員)委員】
 入学の問題ではなくて、修了認定をご覧いただきたいのですが、資料5を拝見しますと、法学未修者の修了者が厳しいんですね。これは法学未修者のコース設定である3年というのが未修者にとって厳しくて、未修者コースの設計そのものを見直すような必要が生じているという事態なのか、あるいは単純にと言いますか、未修者自身の質の方に問題があるというような言い方をすべきなのか、分析結果によっては大きな問題に発展する兆しが、そこにあるんですね。ちょっと、気になる部分なんです。法学未修者の話は今の土井委員の話とつながってくることなんですが、きちんと養成して、法曹に育てるというのは、大きな一つの目標だと思うんですけれど、その目標に反するような結果が修了認定で、ここででているのではないか。そうすると、これは修了認定の見直しに関わる話なのか、それともそれ以前の教育にまで関係してくる話なのか、ちょっと外部の者には問題の所在がわからないのですけれど、その辺りは、法科大学院の先生方はどういうふうに考えておられるのでしょうか。それからまた、文科省としてはどう見ていらっしゃるのでしょうか。

【永田委員】
 調査した側から申し上げますと、やはり司法試験の合格率で一定の合格率、そして、特に直近の合格者をきちっと出すことが、法科大学院の力量なんだということで以前からこの特別委員会のワーキング・グループでやってきましたので、そういう意味で厳格な成績評価、個別にですね、個々の試験問題まで見てチェックしていたということで、やはり、修了させない、進級させない、そうしないと合格率が、たくさんの修了者が出て、受験者が増えて合格率が減るということで、各法科大学院がそういう意味で修了者を絞ってきたという傾向があります。そういう意味で合格率をきちっと考えないと駄目だと、そういう意見が全体的には言えると思います。現場がどういう判断をしているかはわかりませんが、厳格な成績評価という点からこれはきているということは事実だと思います

【日吉由美子(弁護士)委員】
 実体験から、多少、感想めいたものを申しますと、多様な人材を確保するという観点で、法学未修者をできるだけ、入口でもたくさん入ってもらって、妥当な教育課程を通して、できれば3年である程度まで達成させると、あるレベルまで行くというのが理想であるというのは間違いないと思うのですが、先ほど、土井委員がおっしゃったように、全部が制度的なものに関わってくると思うのですが、法学未修者にとって、例えば多数の法学未修者は社会人であり、家庭があり、子供がいる。そんな中で3年間の教育費をどのように、あるいは、生活費をどのように捻出していくのか。3年では持つけれど、4年以上は到底持たないとか。教育の観点からいくと、3年よりも4年に例えば標準コースを設定した方が、これは多分、修了認定を受けるレベルまで達成する可能性は高いと、率が上がるだろうと、これは間違いないだろうと。実際、私の周りでも、3年では、あるいは1年では司法試験に受からなかったけれども、2年目になると受かってくるという人も、絶対数では、率は下がりますけれど、明らかに上がるわけですし、じゃ、4年にすればいいやというと、ほかの要素、一緒に生活費だとか、あるいは私のように仕事をしながら通っている人間にとって、3年では耐えられるけど、4年では耐えられないか、ロースクールに通わせている企業の方も3年は受忍するけれども、4年は受忍しないのか、あるいは、2年だけだったら休職でもいけるけど、それ以上はダメなのかそういった社会状況、企業の認識、経済問題、あらゆることを見合いを考えながら、どちらかというと、法学部出身でそのまま学生がロースクールに入ってくるというコース以外のところから人をリクルートしていくということを考えなければいけないのかなというふうに考えております。お答えになるのか大変申し訳ないのですが、それが周りを見ていた実感です。

【井上座長代理】
 私は現場の教員でもありますので、その観点から申しますと、未修者とひとくくりに言っても、未修者コースに属しているということだけであって、いわゆる純粋未修の人ばかりとは限らない。全国的に見ると、むしろ、多くが法学部出身者で占められているというのが実態です。で、司法試験の合格率だけを見ますと、純粋未修者の人の方がちょっと良いくらいの数字が出ています。レベルの問題があることは間違いありませんけれども、そういった点にも留意して見る必要がある。もう一つ、制度設計する時に、未修を3年、既修を2年としたわけですけれども、これ自体、本当にベストであるのかどうかは不断に検証していかなければならない事柄でして、言ってみればまだ試行錯誤の段階にあるのです。実際、皆さんが言われたような面もあって、なかなか未修者にとって3年では難しいかなと思うところもあるのですけれども、4年にするのも期間としては長すぎることになって非常に難しい。それで、その3年という枠の中で、できるだけ効果的な教育の在り方を各校でも工夫してきましたし、前期の本委員会でも一定の改善の提言をしてきたのですけれども、まだ中々効果を示せていないというのが現実だと思います。
 未修者の場合、いろんなバックグラウンドの人が入ってきていますので、やはり、法律学の学習への適合性という点でかなり苦労する方もいる。特に、1年次にはそれが目立つので、我々の方も何とかバックアップしようとしているのですが、それでも、適合性のない人はおり、そういった人は早めに転進を考えた方が良いのですけれども、入った以上は修了したいということで、在留年限いっぱいがんばる。しかし、なかなか修了できないといった人もいます。

【土屋委員】
 ありがとうございました。そうすると、今の段階では、ちょっと気になる数字ではあるんですけれど、3年コースの教育内容の制度設計みたいなところまで踏み込んで見直すという必要性はあるんでしょうか

【井上座長代理】
 ここでも、そこが問題だという議論もしましたし、各校にもそれぞれでお考えくださいということを発信しています。また、現場サイド自身、問題があるという認識が非常に強いので、カリキュラムを組み替えたり、単位数を増やしたり、あるいは、補助者をつけて勉強の仕方をアドバイスしてもらうとかいろんな工夫を施してきているのですけれども、それで果たして対応できるのかと、まだ確信を持って言える状況ではないように思います。山本委員、いかがですか。

【山本和彦(一橋大学大学院法学研究科教授)委員】
 私は今、1年生を教えていますけれど、今言われた優秀な純粋未修者が入ってきて、すぐ適合して、優秀な成績を修めると。一方で、学校ではなかなか、法学になじめないという人がいることは間違いないですね。なかなかやはり、入試の段階でですね、未修者の適性を見ること、我々は入試で面接もやっているんですけれど、その面接でもやっぱり難しいですね。入ってきて、こうだったかということはどうしてもありますけれども、そこは、教育でどういうふうに対応していくかが難しいところだと思っています。それと、1点だけ、それと関係するんですが、入学者選抜の結果を見せていただいて、ちょっと思ったのは、入試倍率ということもあるんですが、入学者の絶対数の問題も、ちょっと問題があるような気がしました。合格者、入学者が最終的に一桁、それも一桁の前半、5名を割るようなところもあって、それがですね、果たしてクラスとして成立するのかどうか、法科大学院は教師の役割はもちろん重要ですけれど、学生同士がお互い、切磋琢磨しながら勉強していくということが自分の心に非常に重要な感じがするんですが、それが、これくらいの人数で果たしてそういうことがうまくやっていけるのだろうかということが、大変、懸念されるような状況にあるのではないかというような感想を持ちました。以上です。

 (中略)

【永田委員】
 ・・さっき土井委員がおっしゃったことで、未修者、ほかの分野から新しい人材を吸収するということは大事ですし、それをどうするかという問題があって、そこに法学部出身者がそこに入り込んでいるという中でどうするんだという問題もあるんですが、もう一つ重要な点は、18歳の高校生が、従前でしたら、3年間勉強して4年目に司法試験を受けて、法曹になるんだということで非常に緊張した形で大学に入ってくるそれから、3年間勉強して、4年生で公務員試験を受けてそれでやるとなるとところが今、4年やって2年やって計6年です。そして法科大学院の入試はそんなに難しいものではないとなると、そういう情熱を持った若者の情熱が弛緩するというところがある。その辺をどうやってつなげていくのか、法学部教育と理想的には、学部でもっといろんな勉強しなさいと国際性あるいは、こう広く教養を身に付けなさいと思いますけれども、やはり、本当にいい人材を、高校生の導線を考えますと、本当にそういう不透明な3年、2年のあるそういう中に入ってこようとするかということがある。その辺のことは、僕は前から委員会で言っていることなんですけれど、学部教育と法科大学院とのつながりというものをもう一回考え直して、その優秀な人材を、ここに拘束し、人材を外に出ていくんではなくてということをやっぱり、特に上位校は考えるべきだと思うですけれども、上位校には失礼ですけれども、そういう形で指導的な役割を果たす法曹を作っていくという、そういう意味で人数が足りなくなるんではないかという不安すら持ちます。そういう意味で、法学部に入ってこようとする高校生が従来のような緊張感がないという感じがします。これは制度の問題ですけれど、少し考える必要があると思います。今、一桁になってどうしようという法科大学院の問題とともに、どういう形で法曹をつくっていくかということをもう一度考える必要があると思います。

【田中座長】
 いろいろ問題点を指摘していただいたわけですが、一つ、論点として私が気になったのは、入学者実数がトータルで3,600人くらいまで減ってきており、これは各法科大学院でいろいろ努力をした結果だと思いますが、3,600人というのは、司法試験合格者数が本来の予定通り3,000人まで増えてくれば、一応適正な範囲内には収まっているということであり法科大学院サイドとしては、結構、いろいろ厳しい現実を踏まえて対応してきているということを踏まえて、次は、やはりこのような状況に新司法試験の在り方をどのように対応させるかということを考えていただく必要があるのではないかということです。

【日吉委員】
 先ほど、井上先生と山本先生から、くしくも法律適合性を見極められるかという論点のお話が出たと思います。私も自分が法科大学院に行って、やみくもに3年間勉強して、わけもわからないままここにきましたが、振り返りますと、まさしく法律適合性があるかどうかというところを格闘して、最終的には、試験に挑戦したということなんだろうと。で、やってる本人は、純粋未修者にとってはですね、その法律適合性というものが、どういうものだろうかということがさっぱりわからなかったのです。今、ここに来て、初めて、ああ、こういうものなんだったのかなあということが、ぼんやりわかる程度でございます。まあ、そういうものだと言われてしまえば、本当にそうなんですけれど、悲劇を生まないというような観点から言うと、まさに法律適合性がなんたるかというものを肌感覚で、教えておられる立場から、わかるであろうと期待したい、法科大学院の経験豊かな先生の皆さんにですね、できれば、より法律適合性を見分けるにふさわしい入学試験、適性試験も合わせた入学試験というものの在り方が考えられないか、そして、在学年度の3年間の間にですね、法律適合性という観点から別に、峻別するというわけではないんですけれど、まったく、希望がないと思われる学生に、一生を棒に振らせないという努力もやはり必要かなと。それは、ひいては、最終的には、試験の合格率にもいい形で反映させることができるのではないかと思いますので、先ほど、難しいというふうに先生がおっしゃられてしまってがっかりしてしたんですけれども、もう一回、それを検討していただくことはできないかと、改めてお願いしたいというのが私の感想です。申し訳ありません。

 (中略)

【樫見由美子(金沢大学大学院法務研究科教授)委員】
 この部会の方の議論がどちらかというと、法曹養成、学生のサイドに立った議論がかなり多いわけでございますけれども、やはり、私ども金沢大学、地方の大学で、良い学生、良い教育をするためには、良い教員も必要でございます。しかしながら、やはり、法科大学院の教員は求められるところが、通常のその教員よりは、さらに高いレベルを求められているというところで、その点で教員の養成、それから、教員をいかに確保するか、この2点はやはり、法科大学院の体制ができまして、平成16年以降、正直言いまして、研究者養成というところが非常に手薄でございます。法科大学院の教育に手を取られている教員が次代を担う研究者の養成にうまく力が注げない、そのことが引いては、次代を担う法科大学院の教員のなり手が失われ、かつ、その研究者となるべき、なるべきというのは言葉が過ぎておりますけれども、なってほしい研究者が法科大学院の方へ来て、法曹へ流れている。人の取り合いと言ったらおかしいのですけれども、両者を兼ね備えた教育ができればよろしいわけですが、どうもなかなかそうはいかないと。この点ももし、ご議論する機会があれば、論じていただきたいなと思っております。以上でございます。

【中野専門職大学院室長】
 平成21年4月のこの委員会の報告の中でも、教員養成体制の構築というところについて、その時点でも問題意識を持っていただいて、何点かの提言をいただいております一つは、その博士後期課程との接続をどうするのかということ、それから法科大学院を将来教えられるということで、法科大学院を経験しての博士課程ということですので、今の接続もそうですし、法科大学院のカリキュラムの中でも、外国語ですとか、研究論文作成などの選択という形で学修できるような科目配置を行うことが望まれること。あとは、経済的支援についても御提言いただいていることですが、さらにこれに加えてこういったことが必要だということについて、また、お知恵をいただければと思っております。

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