政府公表資料等情報

小川法相閣議後記者会見平成24年4月20日(金)より抜粋(下線は当サイトによる)

法曹養成フォーラムに関する質疑について

【記者】
 今日,総務省が法務省に対して,法曹人口について司法試験の合格者数3,000人という目標値について検討するように勧告を出したのですけれども,このことについて大臣はどのようにお考えになっているのかということと,今後どのように勧告に対して答えを出していくかについてお聞かせください。

【大臣】
 勧告を受ける前から,昨年から法曹の養成に関するフォーラムで文部科学省等の他省庁に協力いただきまして,今検討している最中でございます。そこでしかるべき結論が出ることを期待しております。今の段階で具体的な数字についての考えというのは差し控えさせていただきたいと思います。

【記者】
 弁護士の就職難と言われていますが,大臣は現状についてはどのようにお考えでしょうか

【大臣】
 司法制度審議会の理念では,法曹というものを今の裁判所に関わる分野だけではなくて,社会の様々な分野,行政であるとか,経済界であるとか,そうした方面にウイングを広げて3,000人との制度でありました。ですから,3,000人に到達していないというのは,そこら辺のウイングを広げる分野が足りていない面もあるのではないかと思っております。ですから,そうした面の総合的な観点から取り組んでいきたいと思います。正に法曹の養成に関するフォーラムでも,そうした観点から,経済産業省や総務省にも入っていただいて議論をしているわけでございます。そちらの方の議論に期待しております。

【記者】
 法曹の養成に関するフォーラムの位置付けなのですが,ここで決定したものは政府が守るという位置付けになっているという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】
 それは,最大限尊重しないと何のためにやっていたのかということになりますから,是非いい案をいただいて,これを実現するという形でもっていきたいと思います。

 

平野博文文部科学大臣記者会見録(平成24年4月20日)より抜粋(下線は当サイトによる)

大臣)
 ・・法科大学院を含めた部分について総務大臣の方から勧告が出ましたので、それをしっかり受け止めて、やりますということを、閣議の中で私御答弁をいたしました。

記者)
 今の総務省からのですね、勧告の内容なんですけれども、法科大学院の定員削減や統廃合を検討するように改善、勧告されたと。それで文科省、法務省としてはですね、法曹の育成に関するフォーラムというものを開催していて、同様の検討をされていると思うんですけれども、今回総務省からの勧告を受けて、何か新たに検討する場を設けるとかですね、何か新たな対応を考えられているのか、と。

大臣)
 ・・法曹人口の拡大並びに法曹養成制度の改革と、この勧告を含めてですね、どうなのかと、こういうことで特に総務大臣の方から5点ぐらいにわたっての勧告をいただきました。特にその内訳を申し上げますと、司法試験に対する合格者数の検討、入学定員の削減、未修者対策の強化、公的支援の見直し、あるいは大学院を修了した方々についての進路の把握をするとともに、就職に対する支援の充実等々の勧告を頂戴いたしました。特に文科省としては、法科大学院に関わるところについての部分が主たる部分だと、かように思います。したがいまして、大学院をベースにした司法養成制度の充実に向けて文科省としては取り組んでいかなければならないと思っています。そういう意味で三つの軸で、今日までも中教審等々の部分で御議論いただきながら、文科省としても進めてきたところでございますし、各大学院に改善を促しているところでございます。促している視点は三つございます。特に、入学者の質の確保をしていただきたいと、あるいは組織の見直しをしっかりやってもらいたい。修了者に対する質の確保と、こういうことでやっていただきたいと、こういうことでございます。したがって、そういう総論的なことを申し上げてもいかがなものかと思いますから、各法科大学院ごとにかなりのばらつきがあるだろうと、こういうことでございます。
 それぞれの大学に合った改善策を文科省としては実施をしていく、促す必要があると、こういうふうに受け止めております。個別には、それぞれの入学定員の更なる適正化であるとか、教育体制の抜本的な見直しでありますとか、それは質を高めると、こういう視点でやってございます。現在中教審でも、こうして御議論を頂戴いたしておりますので、今回の政策評価で指摘されたことを踏まえて、文科省としては改善策を検討したいと、こういうふうに考えているところでございます。一方、トータルの部分では、法科大学院を含む新たな法曹養成制度ということで、先ほど御指摘がございましたフォーラムが、副大臣の確認事項の中でのフォーラムがやられておりますので、この中においても総合的に議論をされると、こういうふうに認識をいたしております。いずれにしてもこの指摘については、文科省としてはその指摘を踏まえた改善策は取っていきたいと、かように思っているところであります。

記者)
 法科大学院の関係の政策評価についてでございます。勧告されている事項そのものは、もう既に特別委員会などでも議論になっていて、合格者が一定に満たないところに対する補助金とかあるいは適正試験15パーセントの話とかですね、もう既に改革が着手されている部分というのも散見されると思うんですけれど、これは文科省としてはこれから勧告を受けて着手するというよりも、もう既に着手しているというふうなお考えなんでしょうか

大臣)
 ですから今着手していることに加えてですね、特に特徴的なのはかなり学校によってばらついているということですから、個別のものを含めて特に法学部を出て大学院へ行かれている人と、別の学部から法科大学院へ行かれている人との結果はかなりのばらつきがあるものですから、そういう未修者というんでしょうか、に対する対策等々個別のところをもう少し具体的な対策を打たないと、総論的に申し上げてもうまく改善しないんじゃないかと、そういうこの点は特に私は注視をしてやっていかなければならないのかなというふうに思っています。

記者)
 補助金の削減などに関しては、もう既に募集停止に踏み切る法科大学院なんかも出ています。今後ですね、そういった再編・統合ですとか、あるいは定員の見直しといったものも検討されるということだと思いますけど、ここに掲げられているそもそもの3000人の目標といったものが未達成であって、さらに現状の2000人合格者でも供給過多となるというふうな見通しが語られていることに対して、つまり現状の定員だとか学校数というのは、そういった3000人といったものをあくまでベースとして設計されてきたものですから、その辺りが現状2000人でもだめということになると、今後定員を削減するにしても、どの程度の規模の法曹養成を想定されて進めていくというのかを。

大臣)
 いい御指摘だと思います。いわゆる法曹行政全体を見た時に、本当に原点に立ち戻ってどうなのかというのが、一つはフォーラムでしっかり議論してもらいましょうと。一方、法科大学院を作った時のそもそもの目的が、本当に今のあれに合っているのかということであります、それが今3000人というところですが、要は必要なことは質をやっぱり高めていかないことにはまず第一義的にはいけないということと、なぜ法科大学院を作ったのか、司法試験に合格すると同時に、人格を含めてもっと多面的な人材育成と、こういうところもあるのではないかと。しかしながら、司法試験だけに偏っていっているのではないかとか、いろんな角度があると思いますから、改めて私は設立をした趣旨に合わす、さらには法曹行政のあり方という、別の意味で御議論いただくことも、もう一度見直してみる、あるいは一方、中教審でも御議論いただいているということですから、そういうことも合わせ技で具体的な改善策は取っていきたいと、こういうふうに思っています。

記者)
 もう既に目標である3000人というのはですね、これはもう達成できないものだというふうに考えて、もう現実に沿った形の見直しを進めていくべきだと

大臣)
 まだそこは、だから諦めてとは、そういう考え方は取っていません。まだ御議論いただいていますから。そのことでどうなのかと、できるのか、できないのか、こんなことをもう一度御議論いただいた方が良いのかなと思っています、今諦めているわけではありません

記者)
 しかし、できるのかできないのかといっても、もう既に定員の見直しというのは削減方向で動いているわけですよね。それはもうできないということを前提に考えて再編されているというふうにしか受け取れないですよね。

大臣)
 いやいや、それは違うんじゃないですかね。質を高めていくことによってその定員に近づけば、さらに結構なことだと思っていますから。質をやっぱり、じゃあ落として合格者を膨らませていくということの方が私はマイナーな考え方だと思っていますから。やっぱり質は高めなきゃだめだと私は思います。

記者)
 まだ諦めていないということですか

大臣)
 諦めておりません。しかし、指摘もありますから、検討はしていかなければならないと、こういうふうに思っております。

記者)
 それに関連して、3000人っていうのはかなりこれまでの改革論議でもですね、かなり一人歩きした議論として出てきている数値なんですけれども、ただこの3000人がですね、政府の目標として掲げられながら、結果的に1回も達成されないままですね、しかも合格者数も1000人ぐらい開いた状態でずっと推移してきていると。こういう現状について、文科省としてはある意味3000人を前提に制度設計してきたわけですから、はしごを外された感というのもあるんじゃないかなというふうにも見えますけれど、その点はどういうふうに御覧に。

大臣)
 はしごを外されたというつもりはないですが、だから元々やっぱり法科大学院制度を作ってやろうとした原点をもう一度やっぱり見るということが大事だろうと思っていますし、それが3000人という、こういうことで来たわけですが、それが本当に今の時代、この法曹行政においてのところにきちっとフィットしているのかというところは、やっぱり改善をすべきかどうかの議論を私は早急にしなければいけないと、こういうふうに思います。

 

小川法務大臣閣議後記者会見平成24年5月8日(火)より抜粋(下線は当サイトによる)

 法務省から一つの報告をさせていただきます。裁判官が一時検察官をやってまた裁判所に戻る,あるいは検察官が一時裁判官をやってまた検察官に戻るという,いわゆる判検交流という人事交流がありました。これについて,特に判検交流によって裁判の公正が害されたということではありませんが,裁判官と検事の間で少し癒着しているのではないかというような声もありました。特にそういった弊害が生じたわけではありませんが,そういった声があることや公正らしさというものを保つ必要があるという観点もございますので,今年4月の人事をもちまして検察官と裁判官とのいわゆる判検交流は廃止しました。また,判検交流につきましては,これまで民主党の「検察のあり方検討ワーキングチーム」での提案や法務委員会において指摘されてきたことでもございますので,そうした声も受け止めたわけでございます。

判検交流の廃止に関する質疑について

【記者】

 廃止されたのは,裁判官が検察庁の検察官になったり,検察官が刑事事件の裁判官になったりするもので,民事とか行政分野については,人事交流が続いているという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】

 そうです検察庁で捜査・公判を担当することと,裁判所で裁判を担当するという意味での交流は廃止したということで,法務省の民事局等の行政分野につきましては,やはり裁判官のお力も借りなくてはならないという部分がありますので,それは継続しており,今回の廃止の対象ではありません。

 

小川法務大臣閣議後記者会見平成24年5月22日(火)より抜粋(下線は当サイトによる)

平成24年司法試験及び司法試験予備試験の受験者数等に関する質疑について

【記者】

 今月,法科大学院修了生を対象とした平成24年司法試験と,司法試験予備試験が実施されました。司法試験の受験者数は約8,400人であり,初めて減少する一方で,予備試験は約7,200人と逆に昨年と比べて増加しました。司法試験の受験者数が減って,予備試験の受験者数が増えたということについて大臣の所感を教えてください。

【大臣】

 司法試験の受験者数については,法科大学院制度開始以降,年々その修了者が輩出されているところ,全員が司法試験に受かるわけではないので,その方々の人数が逐次増えていくという状態であったと思いますが,それが5年を経過して落ち着いてきた数字になったものと思っております。予備試験の受験者数については,まだそれほど積み重ねがないわけですけれど,受験生に関して調査しているわけではないので詳細は分かりませんが,受けてみようかなという方が増えたのではないかと思います。

【記者】

 司法試験予備試験というのは,経済的な事情等で法科大学院に通えない方々を想定した仕組みというように思いますけれども,今回の結果を踏まえて,今後の法曹養成制度についてどのような対策が必要か,またどのようなことを考慮しなくてはいけないのか,その辺りのお考えをお聞かせください。

【大臣】

 過去の司法試験は1回選抜であったのですが,法科大学院制度というものは,在学期間を通して,幅広い倫理観,人格を備えた良質な法曹を養成するという仕組みであります。法科大学院をパスして司法試験予備試験を受け,予備試験から司法試験を受験するということは,あくまでも例外的な対応であると思うのですが,これが例外ではなくなって,こちらが本流になってしまうと,そもそも法科大学院制度は何のためにあったのかということにもなりますので,もちろん廃止するなど極端な話にはなりませんが,法科大学院との関わり,予備試験との関わりをしっかりと検証して,問題が生じないように司法制度改革の理念を損なわないような対応をしたいと思っております。

 

平成24年5月29日平野博文文部科学大臣記者会見より抜粋

記者)
 昨日、明治学院大が、法科大学院の募集停止をするということを発表しまして、明治学院っていうのはかなりの規模の大学で、そういうところも廃止という動きが出始めていることについて、今後こういう動きが広がるかどうかなど受け止めを。

大臣)
 今御指摘のありました、今回の学生募集停止は、明治学院大学の法科大学院における入学者の選抜、教育の状況、今後の見通しを分析した上で、大学独自に自主的に判断されたものと理解をいたしております。しかし、募集停止ということでございますが、現在の在学生に対する教育活動の継続に支障のないように十分に配慮してもらいたい、こういうふうに私共としては思っております。文科省としては先週でしたか、5月の24日の中教審法科大学院の特別委員会においても、法科大学院の教育の課題、見直しの方向性について、今議論をいただいているところでございます。引き続き、法科大学院に対する入学定員の見直しや、教育体制の見直しなど、教育の質の向上に取り組んでいきたいと考えております。これまでに学生募集停止を決めた法科大学院というのは明治学院を入れまして3校になると思います。したがいまして、そういうことも踏まえて入っておられる学生にはしっかり継続してもらいたいということと同時に、今特別委員会で御議論をいただいていることでございますから、そのことを十分含めてこれから文科省としても検討をしてまいりたいと、こういうことでございます。

 

滝法務大臣閣議後記者会見平成24年6月15日(金)より抜粋

法曹養成制度に関する質疑について

【記者】
 一昨日,民主党の法曹養成制度検討PTが司法試験予備試験の合格率を飛躍的に高めるべきであるとの提言案をまとめました。これについて大臣の御見解をお聞かせください。

【大臣】
 どういう格好でそれを捉えていくかというのはこれからの問題であり,これからの議論の中で判断をしていく話であると思います。委員会が決定していることですので,法務省としてどうこうというのを直ちに言えないと思います。これからそういうことも含めて議論をしていくことであると受け止めております。

 

平成二十四年六月四日提出
質問第二七七号
現下の法曹養成制度の問題点及び今後の見直しに関する質問主意書
提出者  橘 慶一郎

現下の法曹養成制度の問題点及び今後の見直しに関する質問主意書

 現下の法曹養成制度には様々な問題点があり、法務省が庶務を担当する「法曹養成フォーラム」や、総務省の政策評価においても見直しの方向性が指摘されたところである。ついては、制度の問題点及び見直しの進め方に関し、以下十八項目にわたり質問する。

一 法曹養成制度における合格者の状況について

 1 弁護士登録者数の推移を見ると、平成十三年四月一日時点で一万八千二百四十六人だったものが、平成二十三年四月一日時点では三万五百十八人に増えたとのことである。昨年秋の司法試験合格者数は二千六十三人だったが、平成二十四年四月一日時点の数を伺う。

 2 未登録者の割合の推移は、第六十三期司法修習生については十二月で十一%、三月で三・七%、六月で二・六%であった。第六十四期司法修習生についてはいかがか。

 3 第六十四期司法修習生の就職未定者のその後の動向について、把握されているところを伺う。

 4 法曹有資格者の多様な職域に関連し、東日本大震災の被災者に対する法律相談業務の展開状況を伺う。また、いわゆる「二重ローン問題」について、相談業務における取り扱い及び解決の状況を伺う。

 5 法曹有資格者の国家公務員への選考採用について、昨年は六名となり、金融庁、公正取引委員会、国税庁に続いて、経済産業省と農林水産省で新たに採用内定があったとのことだが、新たな二省における配属先ないし、担当業務を伺う。また、今後の取り組みについても伺う。

 6 千葉県流山市など、地方公共団体でも法曹有資格者の採用の動きがあるとのことだが、どのようなニーズがあるのか、伺う。また、従前から地方公共団体にみられる法務アドバイザー(弁護士に委嘱)との役割の違いを伺う。

 7 企業内弁護士は、平成十三年の六十四人が、平成二十三年には五百八十八人と増えているが、最近の企業側の具体的なニーズを伺う。一方、上場企業のコンプライアンスを巡る事件は後を絶たない状況であるが、職域拡大の余地があるのか、見解を伺う。

 8 法曹養成の場としての法科大学院の教育内容について、法廷活動以外の部分で法曹有資格者の職域が広がりつつあることに対応して見直す必要はないのか、見解を伺う。

 9 企業活動のグローバル化が進む中、国際的な法務需要も増えてきているものと思料するが、法科大学院において、海外との契約等の法律問題に対応できる人材の養成は十分であるのか、実情を伺う。

二 法曹養成制度における不合格者の状況について

 1 法科大学院協会では、修了者の進路について、データの蓄積を進めているとのことだが、平成二十四年度の取り組みを伺う。

 2 平成二十三年十月末時点での中間的な調査結果が公表されているが、これをベースに進路不明者の実態把握などフォローアップに努めるべきと考える。文部科学省の取り組みを伺う。

 3 各年、千五百人程度存在する進路不明者の中には、就職が決まらず、「ドロップ・アウト」している方もあるのではと危惧するところだが、見解を伺う。

 4 平成二十四年十月時点でこの結果をフォローするならば、現行の司法試験制度の「三振制」の対象となる者も新たに増えるなど、さらに厳しい結果が予想されるが、文部科学省の見解を伺う。

 5 これまで法科大学院は、「弁護士資格の取得」をいわば売り物にして志望者を募ってきた経緯があるが、平均合格率が三割に満たない現状において、今後は若者にどのようなアプローチをしていくべきか、文部科学省の見解を伺う。

 6 法科大学院の数の絞り込みなど、様々な対策が議論されている一方、我が国の法学研究の場としての役割を担っていくことも重要な使命と考えるが、文部科学省の見解を伺う。

三 法曹養成制度の見直しの進め方について

 1 「法曹養成フォーラム」では、法曹養成制度の今日的な問題点や若者が直面している制度のひずみなどを直視し、具体的な処方箋を書くべきと考えるが、法務省の見解を伺う。

 2 フォーラムの議論を踏まえ、文部科学省として、法科大学院の在り方についてどのように処方箋を書いたのか、見解を伺う。

 3 総務省では、「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革」というテーマで平成二十三年度から継続して政策評価を進め、その結果を平成二十四年四月二十日に取りまとめたが、これをフォーラムの議論に反映させ、関係省庁が一体となって制度改革案をまとめるべきであると考えるが、内閣の見解を伺う。

 右質問する。

 

平成二十四年六月十二日受領
答弁第二七七号
内閣衆質一八〇第二七七号
平成二十四年六月十二日
内閣総理大臣 野田佳彦

衆議院議員橘慶一郎君提出現下の法曹養成制度の問題点及び今後の見直しに関する質問に対する答弁書

一の1について

 日本弁護士連合会の公表資料によると、弁護士として登録された者は、平成二十四年四月一日現在で三万二千百三十四人となっている。

一の2について

 平成二十三年十二月に司法修習を終えた第六十四期司法修習生のうち、弁護士としての登録をしなかった者(裁判官及び検察官に任官した者を除く。)の割合は、同月十五日現在で約二十・一パーセント、同日から約三か月が経過した時点で約五・五パーセントと承知している。

一の3について

 お尋ねの「就職未定者」の意味するところが必ずしも明らかでないが、司法修習を終えた直後に弁護士としての登録をしなかった者も、その後に相当程度弁護士としての登録をしているほか、一部は民間企業や官公庁等に就職していると承知している。

一の4について

 日本司法支援センター(以下「センター」という。)は、東日本大震災以後、その被災者に対し、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会等との共催による電話相談や民事法律扶助事業としての法律相談業務を実施してきたほか、宮城県及び岩手県に合計四か所の出張所を開設し、法律相談業務を実施するなどしてきたと承知している。
 また、センターは、平成二十四年四月一日に施行された「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律」(平成二十四年法律第六号)により、同法第二条第二項に規定する被災者に対して、その資力の状況にかかわらず同被災者を援助する法律相談業務を実施することができるようにされたことから、同被災者が一人でも多くこの援助を受けることができるよう取り組んでいるところであると承知している。
 さらに、原子力損害賠償支援機構においても、東日本大震災に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故による被災者に対し、電話相談や福島県内の仮設住宅等における訪問相談等を無料で実施しているほか、関係する地方公共団体等においても、弁護士等による無料の法律相談等の取組を実施していると承知している。
 御指摘のいわゆる「二重ローン問題」についても、センターは、各種の法律相談業務で対応しているほか、金融界や経済界等の関係者、学識経験者等で構成される研究会において、個人である債務者の私的整理に関する金融機関関係団体の自主的自律的な準則として策定された「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」の内容や同ガイドラインを利用して「二重ローン問題」を解決することができる紛争解決手続等についての一般的な情報提供業務を行っており、これらによりお尋ねの「相談業務」は一定の成果を上げていると承知している。

一の5について

 御指摘の選考による採用については、経済産業省において二名が採用され、企画、調整等に関する事務に、農林水産省において一名が採用され、法令、企画等に関する事務に、それぞれ従事している。なお、配属先は、特定の個人を識別することができることとなる事項であるため、答弁を差し控えたい。
 また、「今後の取り組み」についてのお尋ねの趣旨が必ずしも明らかでないが、平成二十四年度から、司法試験合格者を国家公務員に採用するための制度として、国家公務員採用総合職試験の院卒者試験(法務区分)が実施されることとなったため、同試験等を通じ、弁護士を含む司法試験合格者(以下「弁護士等」という。)の国家公務員への採用について、着実に取り組んでまいりたい。
 なお、国家公務員への採用を含む弁護士等の活動領域の在り方については、内閣官房、総務省、法務省、財務省、文部科学省及び経済産業省の共催による「法曹の養成に関するフォーラム」(以下「フォーラム」という。)において検討を行い、平成二十四年五月十日、論点整理を行ったところであり、今後も、同論点整理等を踏まえ、必要な検討を継続していく予定である。

一の6について

 お尋ねの「ニーズ」については、フォーラムにおいて、弁護士等を採用している地方公共団体の関係者からヒアリングを行ったところ、争訟案件を担当するだけでなく、職員の政策形成能力を高めるとともに、専門性の高い法律実務を的確に処理していくため、弁護士等の存在が不可欠であるなどの意見が出されたところである。
 また、お尋ねの「地方公共団体にみられる法務アドバイザー(弁護士に委嘱)」の意味するところが必ずしも明らかでないが、一般的に、地方公共団体から委嘱を受けた弁護士は、地方公共団体から個別の依頼により、法務に関する指導及び助言を行うことを職務とするものと考えられるのに対し、地方公共団体で常勤の職員として採用された弁護士等は、地方公共団体からの個別の依頼を待つことなく、政策の企画立案における初期の段階から職員として広範かつ主体的に関与し、流動的な状況においても迅速かつ的確にその職務を行うことができるといった点において、異なる役割を担っていると考えられる。

一の7について

 お尋ねの「ニーズ」については、フォーラムにおいて、弁護士を採用している民間企業の関係者からヒアリングを行ったところ、民間企業において弁護士を採用するニーズとして、厳しい国際競争の中で業務を展開する上で、リスクを管理するなどの観点から、法務部門を強化する必要性があるなどの意見が出されたところである。
 また、お尋ねの「上場企業のコンプライアンスを巡る事件」の意味するところが必ずしも明らかでないが、一般的に、民間企業において、法令遵守の強化を図るため、弁護士等が役割を果たすことができる場面もあり得ると考えられる。
 なお、民間企業の分野を含む弁護士等の活動領域の在り方については、フォーラムにおいて検討を行い、平成二十四年五月十日、論点整理を行ったところであり、今後も、同論点整理等を踏まえ、必要な検討を継続していく予定である。

一の8について

 法科大学院に係る制度は、国民生活の様々な場面において法曹に対する需要が量的に増大するとともに、質的にも多様化、高度化することを前提として整備されたものであり、新しい社会のニーズに応える幅広くかつ高度の専門的教育を行うという観点から、各法科大学院においては、例えば、具体的事例に則して法律相談等を行うことを学ばせることや企業、官公庁等の法務部門で研修を行うことを授業科目としており、法曹の活動領域の拡大を見据えた教育を実施するとともに、その充実に努めているところであって、文部科学省としても各法科大学院におけるこのような取組を促進してまいりたい。

一の9について

 法科大学院に係る制度は、国民生活の様々な場面において法曹に対する需要が量的に増大するとともに、質的にも多様化、高度化することを前提として整備されたものであり、経済・金融の国際化がますます進展する中で、今後の法曹に必要な資質として、外国法の知見や国際的視野等が一層求められていることを踏まえ、各法科大学院においては、例えば、外国法や国際取引法等を授業科目としており、国際的な法務に対する需要の増加への対応も視野に入れた人材育成を行っているところであると承知している。

二の1について

 法科大学院協会からは、現在、法科大学院の修了者(以下単に「修了者」という。)から進路に関する情報の提供を求めているところであり、今年度内に、その結果を取りまとめることを目指していると聞いている。

二の2から4までについて

 修了者の進路の把握については、各法科大学院が修了者と連絡が取れないなどの理由により、その動向を把握し続けることには難しい側面があるが、御指摘の進路不明者の中には就職できていない者が含まれていると想定される。また、平成二十四年の司法試験の結果により、司法試験の受験資格を喪失する者が新たに生ずることも予想される。各法科大学院が修了者への適切な支援策等を検討する上でも、その進路の動向を把握することは重要であり、文部科学省としては、今後も、継続的にその調査を実施するとともに、各法科大学院に対して、修了者の進路を着実に把握するよう強く促してまいりたい。

二の5及び三の2について

 フォーラムにおいて平成二十四年五月十日に行った論点整理や、それを踏まえた今後の検討の動向を踏まえつつ、中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会において、課題のある法科大学院への対応や専門職大学院設置基準(平成十五年文部科学省令第十六号)第二十五条第一項に規定する法学既修者以外の者に対する教育の充実方策等、法科大学院教育の更なる改善方策について検討を進めていくこととしている。これらの取組を通じて、法科大学院については、法曹の養成を始め、広く社会で必要とされる法的素養や論理的な思考力を培うことができる教育機関として、若者を始め社会全体から信頼を得られるよう努めてまいりたい。

二の6について

 平成十三年六月十二日付けの司法制度改革審議会意見書においても、法科大学院においては、「研究後継者養成型の大学院・・・と連携して充実した教育研究が行われることが望ましい。」とされており、文部科学省としては、我が国の法学の教育や研究の充実に資する法科大学院の取組を支援してまいりたい。

三の1について

 フォーラムにおいて、法曹の養成に関する制度の在り方について検討を行い、平成二十四年五月十日、論点整理を行ったところであり、今後も、同論点整理等を踏まえ、具体的な改善方策について、必要な検討を継続していく予定である。

三の3について

 法曹の養成に関する制度の在り方については、御指摘の「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価」の結果も踏まえ、関係省庁が連携しながら検討していく必要があると考えている。

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