平成24年司法試験予備試験
口述試験(最終)結果について(2)

職種別受験者構成割合

下記は、受験者数に占める各職種の構成割合の推移である。

職種

平成23年

平成24年

公務員

9.2%

8.6%

教職員

1.1%

0.9%

会社員

19.8%

17.2%

法律事務所
事務員

2.7%

2.4%

塾教師

1.8%

1.8%

自営業

5.1%

4.6%

法科大学院生

2.9%

7.3%

法科大学院
以外大学院生

0.3%

1.4%

大学生

18.8%

22.7%

無職

33.2%

29.5%

その他

4.6%

4.2%

昨年は、無職が全体の3分の1を占めていた。
(ただし、アルバイトも含む。)
無職の多くは、旧試験組である。
アルバイトや貯蓄の取崩し等で生計を維持しつつ、勉強を続けてきた。
そういった人たちである。
今年は、その割合が、やや減少している。
これは、旧試験組の撤退を意味する。

無職の受験者は、2122人いる。
毎年200人合格しても、10年かかる数である。
今年の無職の最終合格者数は、41人。
これをベースにすると、50年かかる。
いつまでも、無職のまま生活するわけにもいかない。
(40代、50代でアルバイトというわけにも、いかないだろう。)
確実に、撤退せざるを得ない者が生じてくる。

ただ、増加要因もある。
三振者の存在である。
三振者が、就職せずに予備に流れることは、十分考えられる。
そうなると、その分、無職の数は増加するだろう。
ただ、三振者が予備で再挑戦するというのは、あまり多くないようだ。
少なくとも、旧試験時代と比べると、新試験では諦める人の方が多いと感じられる。
(一振りで諦める人も、案外多いようである。)
そうすると、増加は限定的、ということになりそうだ。
結局、無職の層は、今後も減少傾向が続くだろう。

公務員等の社会人は、併せて35.5%を占める。
昨年は39.7%だったから、これも減少している。
社会人層も、旧試験組が多い。
従って、これも無職と同様の傾向、ということができる。

一方で増加しているのが、法科大学院生と大学生である。
どちらも、4%近く増加している。
特に、ロー生については、倍以上の増加となっている。
実数にすると、ロー生の受験者は、昨年192人。
これが、今年は526人まで増えている。
顕著な増加といってよい。

昨年の結果は、予備でも若手が受かりやすいことをはっきり示した。
そのことが、若手の受験者の増加を呼び起こしたのだろう。
旧試験組が撤退する一方で、若手の参入が増えている。
予備試験は、受験者段階でも、若年化傾向が生じている。

職種別合格率

以下は、職種別の短答・論文の合格率である。
短答は受験者、論文は短答合格者をベースとしている。

職種

短答
合格率

論文
合格率

公務員

25.8%

11.2%

教職員

16.9%

8.3%

会社員

21.9%

6.6%

法律事務所
事務員

32.7%

7.0%

塾教師

31.1%

2.3%

自営業

27.0%

4.3%

法科大学院生

31.0%

36.3%

法科大学院
以外大学院生

12.5%

0%

大学生

14.9%

28.5%

無職

27.3%

8.4%

その他

26.9%

8.5%

概ね、昨年と同じ傾向である。

無職と社会人は、短答が強い。
旧試験組、すなわち、長期受験者が多いからである。
短答は、勉強量が多ければ受かりやすい。
例外は教職員で、これは旧試験組が少ないことによる。
(旧試験で法曹を目指す者が、同時に教員免許を取得するのはレアケースである。)
そして、無職と社会人は、論文に弱い。
論文は、誤った勉強法を続けると、かえって受かりにくくなる。
余計な応用を書く反面、基本を正確に書けなくなるからである。
旧試験に合格できずにここまで来た人は、誤った勉強法を続けている。
だから、いつまでも、論文には受からない。
(他方で、短答には受かるから、諦めきれない。)
勉強法を、根本から改める必要がある。

論文に強いのが、法科大学院生と大学生である。
論文は、若手が強い。
特にロー生の36.3%という数字は、圧倒的だ。
論文は、勉強量が少なければいいというものではない。
基本事項の勉強量は、確保されていなければならない。
基本の論述が不正確だと、点を落とす。
大学生は、そこがやや足りていない。
とはいえ、大学生でも、論文は4人に1人以上受かる。
従って、論文で必要な知識は、その程度だということだ。
大学生が知っているレベルのことを、正確に書く。
これが、論文合格の秘訣である。
それを超える事項は、答案に書いても点にならない。
そう思っておくべきである。

そして、昨年と大きく違うのは、ロー生の短答合格率である。
昨年は、16.6%だったものが、31.0%まで上昇している。
短答に強い無職の27.3%を、上回っている。
これは、ロー生の勉強量の増加を意味する。
短答を意識した勉強を、集中してやってきているのだろう。
そういうロー生が、予備に参入してきた、といってもよい。
ロー生は、20代の者が多いはずだ。
しかし、20代全体の短答合格率は、17.8%に過ぎない。
同じ20代でも、ロー生と、そうでない者との差が生じている。
ローでは、現在、定員削減と成績認定の厳格化がすすんでいる。
それも、影響しているのだろう。

最終学歴別合格率

下記は、最終学歴別の短答、論文の合格率である。
短答は受験者ベース、論文は短答合格者ベースである。

最終学歴

短答
合格率

論文
合格率

大学卒業

24.6%

7.2%

大学在学中

14.7%

28.6%

大学中退

22.5%

2.5%

法科大学院
修了

51.4%

11.8%

法科大学院
在学中

31.5%

34.8%

法科大学院
中退

15.9%

9.0%

法科大学院
以外の
大学院修了

19.5%

7.1%

法科大学院
以外の
大学院在学中

16.1%

0%

法科大学院
以外の
大学院中退

25.5%

0%

短期大学
卒業

5.5%

0%

短期大学
在学中

0%

---

高校卒業

7.4%

0%

高校在学中

0%

---

高校中退

0%

---

その他

6.9%

0%

旧試験組が多いのは、大卒のカテゴリである。
短答はそれなりに受かるが、論文は受からない。
長期受験者に、典型的に見られる傾向である。

同様の傾向が顕著なのは、ロー修了者である。
ローの修了者には、新試験の受験資格が与えられる。
そして、予備と新試験は、短答が同日実施なので、併願はできない。
従って、受験資格があるのに予備を受けるのは、受控えをする者である。
一振りするのが怖いので、まずは模試的に予備を受ける。
そういう人もいるかもしれないが、あまり考えられない。
従って、受験資格の残っている者は、通常予備は受験しない。
だから、予備を受験する修了者とは、受験資格を失った者。
すなわち、三振者だということになる。

短答は、受験回数が増えると合格率も高くなる。
しかし、論文は、受験回数が増えると合格率が下がってしまう。
これは、当サイトでは、何度も述べている。
平成24年の新試験でも、同様の傾向となっている。
下記は、平成24年の受験回数別合格率である。
短答は受験者、論文は短答合格者がベースである。
(出所:平成24年司法試験受験状況

受験
回数

短答
合格率

論文
合格率

1回

58.57%

46.29%

2回

66.17%

35.83%

3回

68.87%

30.16%

予備試験におけるロー修了者の結果は、上記と符合する。
三振後の予備試験は、いわば4回目以降の受験である。
短答合格率は、非常に高い。
50%を超える、驚異的な数字となっている。
全カテゴリ中トップである。
しかし、論文になると、一転して合格率が下がる。
三振者は、論文に受かりにくい属性を強く持っている。
それが、そのまま予備の結果に反映される。
このことは、予備と新試験の同質性を示している。
予備の論文に受かりにくい者は、新試験の論文にも受かりにくい。
逆もまた、成り立つ。
三振者が予備で復活を狙う場合、論文の勉強法を考え直すべきである。
逆に、予備に受かった人は、予備と同じ感覚で新試験を受けるべきである。
新試験では、実務的な個別具体的処理が訊かれるんだ。
予備のように基本しか書いていなかったら、受からない。
あるいは、予備に受かった俺は優秀だから、ロー生が思いつかないことを書いてやろう。
そんなことを考えて答案を書くと、思わぬ結果になりかねない。

逆に、若手の属性を強く持つのが、大学在学中である。
短答は弱いが、論文はかなり強い。
繰り返しになるが、論文合格に必要な知識は、大学生レベルである。
重要なことは、答案に示すこと、正確であること。
これをクリアしなければ、応用を書いても無意味である。
従って、上記の基本すら勉強していないと、若くてもさすがにダメである。
そのことは、高卒をみればわかる。

そして、短答・論文の双方に強いのが、現役ロー生だ。
これは、昨年と大きく変化した点である。
昨年は、短答15.6%、論文19.3%にとどまっていた。
それが、今年はいずれも30%を越えている。
猛烈に勉強する若手、というイメージだろうか。
勉強量も十分、そして基本重視の姿勢も忘れていない。
最も司法試験に受かりやすい、理想のタイプである。
昨年から劇的に変化したのは、優秀なロー生の受験が増えたからだろう。
昨年の若手優位の結果が、その誘因となったと思われる。

なお、今年のロー修了生は、492人受験し、最終合格は26人。
合格率は、5.2%に過ぎない。
ロー修了生と同程度の実力を試す試験とは、到底いえない。
(修了生の中でも低レベルの三振者層ではないか、と思うかもしれないが、三振者も修了生として受験資格を付与されたことを忘れてはならない。)

受験歴別構成割合

以下は、昨年と今年における受験歴別の全体に占める受験者の構成割合である。

受験歴

平成23年

平成24年

受験経験なし

25.1%

35.0%

旧試験のみ

69.6%

57.9%

新試験のみ

1.4%

2.1%

両方受験
経験あり

3.7%

4.9%

 

旧も新も受けていない者の割合が、増加している。
大学生、ロー在学生の受験が増えたことが、その要因である。
他方で、旧試験のみの者は、減少している。
旧試験組の撤退が、ここでも見て取れる。
新試験のみの者は、微増である。
これは、三振者の参入だろう。

気になるのは、両方受験の者も、増えていることである。
旧試験組がローを修了して、三振したのか。
あるいは、ロー在学中に旧試験を受けて、その後三振したのか。
いずれかである可能性が高い。
この数字は、普通に考えると減るのが自然である。
新たに旧試験を受験する者は、存在しないからである。
それが、逆に増えている。
そもそも、旧と新の両方を受けること自体、やや珍しい。
さらに、予備も受けるというのは、上記の通り三振したということだろう。
本来、旧と新の両方を受け、さらに三振するのは、稀なはずだ。
(どこかで1回でも受かれば、予備を受ける必要がない。)
そういう人たちが、なぜか増えている。
実数にすると、昨年245人で、今年は355人。
110人も、増えている。
旧で受からなかった者が、新に転向しても、やはり受かりにくい。
そういうことなのだろう。

受験歴別合格率

以下は、受験歴別の合格率である。
短答は受験者ベース、論文は短答合格者ベースである。

受験歴

短答
合格率

論文
合格率

受験経験なし

12.6%

23.2%

旧試験のみ

27.2%

11.3%

新試験のみ

45.3%

10.1%

両方受験
経験あり

54.0%

11.9%

受験歴とは、言い換えれば不合格歴のことである。
それが、わかりやすく現れるのが、論文である。
不合格歴のない者が、一番受かりやすい。
他は、どれも似たようなものである。
受験歴(不合格歴)のある人は、受かりにくい人である。
受かりにくい人は、要は論文に受かりにくい。
このことは、はっきりしている。
そして、論文は、がむしゃらに勉強してもダメである。
普段の勉強法と答案の書き方を、根本から考え直すべきである。
(具体的には、採点実感等に関する意見の読み方で詳しく説明している。)

それから、短答に関しては、新試験を経験したか否かで、顕著な差が出る。
これは、三振の締切り効果だろう。
三振が怖いので、新試験受験生は一生懸命勉強する。
その結果、短答はそれなりに受かるようになる。
(その意味では、三振制度には一定の意義がある。)
しかし、論文は、勉強量を増やしても受からない。
毎年、短答には受かるが、論文で落ちる、を繰り返す。
そして、受験歴だけが増えていく。
その悪循環から、早く脱する必要がある。

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