政府公表資料等情報

衆院法務委員会平成24年06月08日より抜粋(下線は当サイトによる)

○城内実委員 自由民主党の城内実でございます。・・私は、無所属の時代から一貫して司法修習生への給費制存続を訴えてきました。私は当初、貸与制でいいかと思ったんですが、いろいろな声を聞いて、これはもう絶対に給費制を存続すべきという立場に転向しました

 まさに、司法修習生は、将来の司法と社会秩序の維持、人権擁護を担い、法治国家を支える、社会になくてはならない人材であるのですが、そうした方々が、財源がないからというまさに財務省のそろばん勘定で、それだけで返還義務のある貸与制に変更されるということ、これはどうしても私は賛成できないんです。私は、自由民主党所属になって初めてのこの法務委員会の質問ですけれども、その立場は変わりません。

 今般の裁判所法修正案、自民党の要求も受け入れられましたし、また、司法修習生への経済的支援に関しましては、より修習生の立場に立って、返還猶予等の規定も盛り込まれましたし、かつ、単なる国家財政的理由ではなくて、法曹制度全体から見て検討が行われるということでありますから、私は、まだ十分納得はできませんけれども、一定の評価をしております

 しかし、幾つかの疑問点がございますので、順次これから質問させていただきます。

 まず、裁判所法の六十七条の二に、「、又は修習資金の貸与を受けた者について修習資金を返還することが経済的に困難である事由として最高裁判所の定める事由があるとき」という文言が追加され、また、同条に附則が追加され、「司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から、法曹の養成における司法修習生の修習の位置付けを踏まえつつ、検討が行われるべき」とすることというふうになりました

 私は、この適切な経済的支援という文言は、これはやはり給費制であるというふうに思います。六月一日の公明党の大口委員に対します辻委員の答弁にもありましたけれども、政務三役が一新され、状況も変わってきましたので、もう一度質問させていただきたいと思います。

 検討の内容には給費制復活というものも視野に入っているのか、含まれているのか、そういう理解でよろしいかどうかというのが一つ。

 また、二点目は、修正法案においては、既に貸与制となっている第六十四、第六十五期の方々について、返還猶予に関する新しい規定が及ばないのではないかという疑問も一部から呈されておりますが、私は当然これは遡及されて適用されると。というのは、適用される人とされない人、こういうのは非常に法のもとの平等に反すると思うんですが、遡及されて適用されるという理解でよろしいかどうか。

 この二点について御質問させていただきたいと思います。

○辻恵委員 お答えいたします。

 三権分立の一翼を担う司法が、インフラが非常に危うい状況になっている。その中で、法曹養成制度をしっかりともう一度立て直すということが喫緊の課題だという前提でこの修正案を出させていただいております。

 その中で、適切な経済的支援を行うということは当然の前提であり、給費制を排除する趣旨ではありませんし、今おっしゃられた、過去にさかのぼって公平、平等な支援を検討するというのも当然含まれている課題だ、このように考えております。

○城内委員 今、辻委員から前向きな御答弁をいただきましたので、給費制も排除する趣旨ではないということと、当然過去にさかのぼっていくことも検討されるという御答弁でしたので、ほっと安心した次第でございます。

 次に、合議制の組織について質問させていただきたいと思います。

 まず第一に、附則第二条に、「一年以内に検討を加えて一定の結論を得た上、速やかに必要な措置を講ずる」とありますが、一年以内といったっていろいろあるわけで、一カ月後とか二カ月後とかありますけれども、一年以内のいつごろ検討が始まるのか、また、一年以内に一定の結論がきちんと得られるのか、確認したいと思います。さらに、「速やかに」とありますけれども、どの程度速やかなのか。大体の勘どころでいいので、感じでいいので、御答弁いただきたいと思います。

○辻委員 附則で、政府は施行後一年以内に検討を加えて一定の結論を得るということであります。したがって、あらゆる課題についてしっかりと議論をして、原則一年以内にしっかりとした結論を出すということでありますし、そのための合議制組織が、政府が一年以内に結論を出すということでありますから、合議制組織はそれの相当程度前の段階で結論を得るということが前提であろうというふうに思っております。

 以上です。

○城内委員 今、辻委員から原則一年以内というお言葉がありましたけれども、私は、論点とか議論はもう出尽くしているわけですから、本当に早急に結論を出していただきたいというふうに思っております。

 そして、組織の構成について質問させていただきたいんです。

 従前の検討体制をより強化するというふうになっておりますが、まさに多様な意見が反映される形でどんどん議論をしていただきたいと思います。よもや、今の法曹フォーラムのメンバーの一部の方がそのまま横滑りして就任することはないというふうに私は理解しております

 と申しますのは、法曹フォーラムのメンバーの方は、多くが貸与制論者で、何か非常にバランスを失しているような感じがいたしますので、私は、合議制の組織というのであれば、例えば当事者であるビギナーズ・ネットの方もメンバーに入れてしまう、こういうことも思い切ってやるべきじゃないかと思うんですけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。

○黒岩宇洋委員 お答えいたします。

 今、城内委員の御指摘のとおり、新たな合議制につきましては、従前の検討体制よりもちろん強力なものにする、新たに整備するとなっております。きょうも議論がありましたけれども、当然、法科大学院や法曹関係者以外の多様な意見も反映されるというふうに整備してくださいと私ども修正案の提案者として盛り込んでおりますので、この点につきましてちゃんと受けとめて、本当にさまざまな幅広い検討がなされる、そういう合議体を政府におきましてつくっていただく、このことを要請している次第でございます。

○城内委員 要するに、現場の声を知らないような学者の方ばかりではなくて、ビギナーズ・ネットを初め、まさに当事者というか関係者の悲痛な叫び、これについてはまた私は後で御紹介させていただきたいと思いますけれども、そういう声もちゃんと反映できるような合議制の組織にぜひしていただきたいというふうに思っております。

 次に、大臣に質問させていただきたいと思います。

 大臣はもともと自治省御出身でありますから、財務省の論理と違った形で、自治省として、官僚として本当に御苦労されてきたと思うんですけれども、だからこそ、私は、司法修習生の適切な経済的支援というのは、財務省のお金がないからとか足らないからとかいう論理ではなくて、必要かどうか、そういう至極当然の観点から考えていただきたいというふうに思っておるんです。

 残念ながら、小川前大臣は法曹界出身で司法修習を受けられた方であるにもかかわらず、大口委員の、私は出席できませんでしたけれども、先般の、六月一日の記録を見ると非常に人ごとのような冷淡な答弁をしておりましたし、その前の平岡元大臣も何か冷淡だったんですね。

 ですから、私は、滝大臣であるならばしっかりと、財務省の論理ではなくて、必要かどうかという観点から、経済的支援は削られるべきではないというふうにお考えになっているというふうに理解しておりますが、大臣、どうでしょうか

○滝国務大臣 基本的に、私は法曹ではありませんから、ある意味では中立かもしれません

 そういう中で、今委員からお話しのようなことは、まだ合議制の中で、これから新しくし直す合議体の中でどういうふうな結論になるかということはございますので、あらかじめそれに先立って私の方から意見を申し上げるというのはいかがかと思いますけれども、やはりこれまでの皆さん方の意見は意見として十分に体して法務省も受けとめていかなければいけない、こういうふうに思っております。

 特に、先ほど河井先生も、そして今また委員からもお話がございました。そういうことは、やはり基本的な問題として、どう法曹を育てるかということに視点を当てて、これまでのいきさつはいきさつとして、やはり新たな実態というものはどう反映するかというのはこれからの課題だろうというふうに思っております。

○城内委員 いや、今大臣、御自身は法曹ではないとおっしゃいましたけれども、自民党時代も法務副大臣というか、実質的には南野大臣にかわる法務大臣だったわけですよ。ですから、本当に当事者意識を持っていただいて、まさに政治主導でしっかりと合議制の、もちろん議論はあると思いますけれども、正しい方向に持っていっていただきたいと思います。

 最後に、ビギナーズ・ネットの皆さんの声を幾つか紹介させていただきたいと思いますが、今貸与制で修習している新六十五期の修習生の皆さんから、こんな声があります

 例えば、ちゃんと食べていけるか不安な中で、本来したい公益活動、例えば東北大震災の支援活動だと思いますけれども、かかわることができないのが残念だ。あるいは、もともと経済的に余裕がある人間しか弁護士になれなくなり、法曹の多様性が崩れるのが心配です。さらに、三つ目は、修習を終了しても就職できなかったり、貸与金の返済が始まった時点で返済できるだけの収入を得られず、貸与金を返済できないのではないか、そういう不安がある。また、修習期間という最も見識を深める時期に書籍の購入を控えなければならない同期との親睦を深めたり、知見を広げるためのそういった懇親会、交際費、そういうものが全く捻出できない経済的な不安が大き過ぎて修習に集中できない。こういう声は、私は本当の声だというふうに思っています。

 司法修習制度は法曹全体の改革の中で議論されるべきことは私も承知しています。しかし、特に、今申し上げましたように、東日本大震災で多くの弁護士の方がボランティアで現地に行かれて二重ローンの問題に中心的に取り組んだりしたわけでございますし、まさにこの六十年の、こういった公益のために仕事をするという、弁護士さんも検事さんも裁判官さんもいますけれども、支えてきたのは給費制であったのではないかと私は思うんです。ビギナーズ・ネットの皆さんも、きょうもいらっしゃっていますけれども、人のために何かをしたいと。だから、自分で何か金稼ぎをしたいとか、そういう人というのは私はほとんどいないと思いますよ。社会のために、公益のために働きたい、だから、弁護士になりたい、裁判官になりたい、検事になりたい、そういうつもりでやってきたと思うんです。

 しかし、大学、ロースクールでお金を借りて、さらに司法修習生になって借金を背負う。これは二重苦ですよね。私が十年いたドイツでは、修習生はきちっとやはり国が国費でちゃんと研修費を払っていますよ。この間、大口委員も質問されたようですけれども、そういう国の方が多いんじゃないですか。しかも、司法修習生は兼職もアルバイトもできない地方の修習を命じられても、私が聞いたところでは、交通費も出ないこれでは、公益のために一生懸命働く弁護士さんが減る一方だと思いませんか。私は本当に、何でこんな制度なのかよくわからないんですが。

 もちろん、繰り返しになりますけれども、法曹制度全体が問題ですけれども、その中の最重要案件の一つとして、貸与制を給費制に戻す、そういうことをやはり念頭に置いていただきたいと思いますが、この点について、最後に大臣の見解をお伺いします。

○滝国務大臣 重ねてのお尋ねでございます。

 確かに、日本の制度は、どちらかというとドイツの法曹養成制度に近いかもしれません。恐らく、それが模範になって今日まで続いているんだろうと思います。そういう意味では、そういうドイツの例というものも検討に値するというか、当然、踏まえた議論をしていかなければいけない。

 ただ、今、委員がおっしゃいましたけれども、司法制度改革全体で膨大なというか、従来から比べると膨大な財政資金がこの改革に投入されているということも政府としては考慮に入れていかないといけないということもございますものですから。

 いずれにいたしましても、私の口からどうするかというよりも、せっかく、これから新しい合議体でこの問題について、経済的な困窮をするようなことがないようにというような角度からの議論がされるということでございますから、その議論を待って、受けとめていきたいと思います。

 ただし、毎年毎年十一月からは新たな修習生が誕生するわけでございますから、そういう時期的な問題も念頭に置いて結論を出していかなければいけない、そういうふうに思っております。

○城内委員 今、滝大臣、膨大な財政的な問題があるとおっしゃいましたけれども、私、何度も言いますように、確かにお金がなければできないということはあると思いますけれども、やはり、何が大事か、何が必要か、何が日本の社会にとって大事かという観点から、お金がないからやめますなんというのは誰でも言えることですから、ぜひ、政治主導で、この点についてはより積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

戻る