平成25年司法試験予備試験論文式民訴法参考答案

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第1.設問1(1)ア

1.Bは、Cに対して別訴により乙債権を訴求することはできない。なぜなら、訴訟1の係属を知ったBは乙債権の処分権を失う(非訟事件手続法88条3項参照)から当事者適格を欠くし、訴訟1との審理の重複による訴訟不経済及びCの応訴の煩だけでなく判決内容が区々となれば既判力の矛盾抵触が生じることから、二重起訴(民訴法142条)に当たると考えられるからである。

2.では、Aに対して甲債権不存在確認、Cに対してBに500万円の支払を求めるとの各請求を立てて訴訟1に独立当事者参加(47条1項)をすることはできるか。

(1)独立当事者参加によるためには、統一審判の必要性として、請求の非両立性を要する。訴訟1は、当事者適格の基礎として甲債権の存在を前提とし、金銭債権の代位行使にあっては代位債権者への直接引渡請求が可能であることから、AのCに対する請求は、Aに対して500万円の支払を求めるものである。従って、Bの上記各請求は甲債権の存否及び500万円の支払先において訴訟1の請求と両立しない。よって、非両立性がある。

(2)また、甲債権不存在であれば、Aの代位行使が不適法となって、Bの乙債権の処分権は失われないから、甲債権不存在確認を主張して参加する場合、当事者適格が認められる。

(3)そして、併合審理の上で合一確定が図られる(47条4項、40条)から、審理の重複や既判力の抵触は生じない。従って、二重起訴にも当たらない。

(4)よって、Bは、上記独立当事者参加をすることができる。

第2.設問1(1)イ

1.訴訟1については、甲債権が存在しない以上Aに当事者適格が認められないから、却下すべきである。

2.Bの各請求については、いずれも理由があるから、両請求を認容すべきである。

第3.設問1(2)

1.債権者代位訴訟における既判力は、被代位者に及ぶか。

(1)一般に、債権者代位訴訟における代位債権者は、被代位者のために訴訟当事者となる関係に立つから、訴訟担当である。従って、債権者代位訴訟における判決の既判力は、115条1項2号により被代位者にも及ぶ。

(2)もっとも、同号の趣旨は、代替的手続保障にある。訴訟担当者としての資格を有しない者によって訴訟が追行された場合には、代替的手続保障があったとはいえない。既判力の正当化根拠は、手続保障による自己責任にあるから、上記場合には、既判力拡張の根拠を欠き、被担当者には既判力は及ばない。

(3)以上からすれば、被保全債権を有しない債権者によって追行された債権者代位訴訟における判決の既判力は、被代位者には及ばない。

2.本問で、訴訟2の受訴裁判所において甲債権が存在すると判断したときは、Bに訴訟1の既判力が及び、訴訟1の口頭弁論終結時に乙債権が存在しないことを前提にした判決をすべきである。

3.他方、訴訟2の受訴裁判所において甲債権は存在しないと判断したときは、Bに訴訟1の既判力は及ばないから、乙債権の存否に係る訴訟2の受訴裁判所の認定を基礎とした判決をすべきである。

第4.設問2

1.訴訟1とは別個に、Cに対する債権者代位訴訟を提起することはできない。なぜなら、審理の重複による訴訟不経済やCの応訴の煩に加え、訴訟1と異なる判決となれば、被代位者Bに及ぶ既判力が区々になるから、既判力の矛盾、抵触のおそれがあり、二重起訴に当たると考えられるからである。

2.訴訟1のAへの補助参加(42条)は有効でない。なぜなら、訴訟1で勝訴したAは直接自己への支払を受けた上で、Bに対する不当利得返還債務と甲債権を相殺することができ、Dは自らが弁済を受ける機会を失うからである。

3.訴訟1への共同訴訟参加(52条1項)の余地はない。なぜなら、共にCに乙債権の支払を求める点で共通であっても、Aの請求はAへの金銭支払請求であるのに対し、Dの請求はDへの金銭支払請求となるから、ADは共同訴訟人の地位に立たないからである。

4.上記3のとおり、ADの請求は支払先において両立しないから、独立当事者参加における非両立性の要件を充たす。よって、Dは、Aへの請求を定立せず、Cに対し、Dに500万円を支払えとの請求を立てて訴訟1に片面的独立当事者参加(47条1項)をすることができる。

以上

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