平成25年司法試験の結果について(5)

短答の寄与度

前回の記事で、論文単独の合格レベルが得点率46.6%だと述べた。
では、これに短答を加味すると、どのように変動するのか。

今年の短答の最低ラインは、220点だった。
総合評価段階では、これが短答の最低点となる。
総合評価は、以下の算式で計算される。
司法試験における採点及び成績評価等の実施方法・基準について参照)

総合得点=短答の得点×0.5+論文の得点×1.75

今年の総合の合格点は780点だから、短答が220点だと、

780=220×0.5+論文の得点×1.75
780=110+論文の得点×1.75
670=論文の得点×1.75
論文の得点≒382.8

となる。
従って、論文で383点以上を取る必要があった。
383点は、得点率にすると、47.8%である。
論文単独の46.6%と比較すると、1.2%高い。
すなわち、短答がギリギリだと論文のハードルが1.2%上がる。
これを大きいと考えるかは、人によるだろう。
ただ、いずれにせよ得点率50%。
すなわち、「一応の水準の真ん中」を守れば、合格できることに変わりはない。

他方、今年の短答トップは、329点である。
この場合、論文で必要な得点は、351.7点である。
これは得点率にすると、43.9%だ。
論文単独の46.6%と比べると、2.7%低い。
ただ、一応の水準の下限が42%だから、不良だとさすがに受からない。
短答が仮にトップでも、一応の水準を守る必要があることには変わらない。
現実的には、短答トップの得点を取るのは、極めて難しい。
論文で一応の水準の真ん中を守る方が、はるかに易しい。
だとすれば、短答でここまで頑張る必要は、ないといえる。

結局、論文の戦略は、短答の得点とはあまり関係がない。
一応の水準をきっちり守る、ということに尽きる。
短答の得点は、一応の水準内部での微妙な争いの中で、意味を持つに過ぎない。
短答は、ある程度までは、勉強量と得点が比例する。
しかし、トップレベルの得点となると、知識よりも体調や運の作用が大きくなる。
それよりも、論文で一応の水準の真ん中以上を取りに行く方が易しい。
従って、短答は合格ラインは絶対割らないレベル。
すなわち、250点から280点くらいを目指す。
この水準が取れるようになったら、後は論文重視で構わないだろう。
無理にそれより上を狙うのは、効率的とはいえない。

修了年度別未修既修別合格率

以下は、各修了年度別、未修既修別の合格率である。

 

受験者数

合格者数

受験者
合格率

20未修

622

41

6.5%

20既修

146

14

9.5%

21未修

681

55

8.0%

21既修

187

32

17.1%

22未修

856

138

16.1%

22既修

439

131

29.8%

23未修

1005

206

20.4%

23既修

782

245

31.3%

24未修

1170

280

23.9%

24既修

1598

787

49.2%

例年、以下の二つの法則が成り立っていた。
(ただし、平成24年は例外があった(「平成24年司法試験の結果について(2)」参照)。)

1:同じ年度の修了生については、常に既修が未修より受かりやすい。
2:既修・未修の中で比較すると、常に年度の新しい者が受かりやすい。

1は、主として短答の影響である。
知識不足の未修が、短答段階で大きく既修と差を付けられた結果だ。
2は、専ら論文の影響といってよい。
短答は、受験回数が増えると、受かり易くなる。
しかし論文は、逆に受験回数が増えると、受かりにくくなる。
1回目は、時間不足から嫌でも基本重視の勉強になる。
それが、時間的余裕の生じる2回目以降は、基本を軽視しがちになる。
(受控えの場合も、同様である。)
合格に必要でない知識を学習するために、かえって受かりにくくなる。
その結果が、2として現れる。

今年も、きれいにこの法則が成立している。

上記から、以下の対策が導かれる。
未修者は、まず短答を固める。
前記のとおり、250点くらいは楽に取れるようにする。
2回目以降の人は、論文で基本重視の姿勢を維持する。
一応の水準を確実に守れるようにする。
結局は、そういうことになる。

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