母数が倍になっても優秀な人は倍になっていない

衆院法務委員会平成25年03月22日より抜粋(下線は当サイトによる)

○椎名毅委員 みんなの党の椎名毅でございます。
 ・・増員に関するデータをずっと見ていきますと、判事はここ数年増員傾向にある、しかし判事補については基本的にここ数年増員傾向にはない、むしろ欠員があるというような状況だというふうに理解をしております。しかし、先ほど日本維新の会の西根委員からも指摘がありましたけれども、平成十三年の司法制度改革のときに、裁判官一人当たりの適切な手持ちの事件量というのは大体百三十件から百四十件ぐらいだというふうに判断された上で、その当時で百八十件から百九十件ぐらいの案件数を抱えている、これを四、五十件分差っ引いていかなければならない、そういう方向性で増員をしていきたいというようなことが書かれていたわけでございます。
 しかし、直近のデータを見ますと、東京地裁だと平成二十一年、二十二年で過払い金の訴訟なんかもあって非常に案件数がふえているということで二百件を超えている、二百二十件、それから二百五十件、そういう形で案件数がふえているというように見受けます。
 こういった形で一人当たりの件数がふえているにもかかわらず判事補を増員していないというのは、それはどういったことなんでしょうか。定期的に手抱えの案件数を減らしていき、そして裁判官の事務負担を軽減化するということによって裁判の迅速化といったものが達成できるんだろうというふうに思うんですけれども、判事補の新規採用の件数はおおむね大体年間百人から百人を切るぐらいというところで落ちついているんだと思います。判事補の新規採用の増員をしていない理由を教えてください。

○戸倉三郎最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 今委員御指摘の裁判官の手持ち件数、これは東京地裁の民事通常部の、これは単独を担当しています裁判官が、今委員おっしゃったように二百二十件というような時期がございました。これは直近の一番新しい数字で申しますと、平成二十四年末であってもやはり百九十件というような高い数字にあることは、委員の御指摘のとおりでございます。
 ここをどう対応するかということに関しましては、今、毎年増員をお願いしておりますのは判事ということでございまして、判事補は、原則十年経験をして初めて判事になれる五年を経過いたしますと、特例判事補ということで、判事と同様に単独事件を担当できるようになるわけでございますが、単独事件を担当する即戦力ということで申し上げますと、判事補というよりは判事を増員することが必要であるというふうに考えて、この間、増員をお願いしてきたところでございます。
 判事補の採用数、今委員御指摘のような数で推移しておるわけでございますけれども、判事補は、修習が終わりました者から、まず、みずからが裁判官になりたいということを希望いたします。その中で、一定の修習の中で示された裁判官としての適性などをもとに、下級裁判所裁判官指名諮問委員会に諮問をいたしまして、採用が適当であるというような答申をいただいた者を採用しているという仕組みでございます。
 この辺の司法修習生から判事補を希望するというところになりますと、非常に優秀な修習生につきましては、こういう時期でも大手の事務所あるいは渉外事務所等と非常に競合いたして、必ずしも我々が裁判官になってほしいという方が皆さん裁判官を希望していただけるとは限らないそういった事情もございまして、現在のような採用状況になっているというのが事実でございます。
 こういう採用状況を前提といたしますと、現在の千名、これは一年当たり百名ということになるわけでございますが、そういった定員を当面確保させていただければ、今の採用状況に見合う採用も十分対応できると考えて、今回は判事補の増員要求はさせていただかなかったというところでございます。

○椎名委員 先ほど局長がおっしゃっていたように、判事の主な供給源はほとんど判事補なわけでございます十年後を考えたときに、判事補を増員しておくことが必要ではなかろうかなというのはどうしてもやはり思ってしまうところでございます。
 ちなみに、私が修習をやっていた時代、ちょうど十年前ぐらいですけれども、そのときもやはり同じように、当時、修習生が千人をちょっと切るぐらい、九百九十六人とかそのぐらいだったと思いますけれども、そのぐらいで、裁判官になる人が大体百人か百十人ぐらいだったと思います。
 私自身も大手渉外事務所というところにいたので、そこで裁判官と採用が競合するというのはよく存じておりますけれども、他方で、私が修習をやっていた十年前は、母数である修習生は千人を切るぐらいだったわけです。今、現状におきましては修習生は二千人ぐらいいるわけでございます。単純に母数は倍になっているわけでございます。しかし、裁判官の採用される人数は、私が修習をしていたころとほぼ変わらないか、むしろ減っているぐらいなんだと思います。
 そんな中で、要は、裁判官になってほしい非常に優秀な、成績の上澄み部分の方々が裁判官を希望してくれないということだったんですけれども、単純に計算して修習生が倍になっているわけです。だとすると、希望する人も倍になっていておかしくないはずだと思うんですけれども、そうではない。むしろ、採用人数が百人前後ぐらいで推移している。
 これは、要は、話は飛びますけれども、司法制度改革を行って、新司法試験に受かった人たちの成績が余り期待できていないという意味なんでしょうか

○安浪亮介最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 新しい法曹養成制度のもとにおきましても、私どもといたしましては、できる限り多数の優秀な判事補を採用してまいりたいというふうには考えております。
 ただ、先ほど総務局長も答弁いたしましたとおり、私どもとしては裁判官になってほしいと思う者であっても、弁護士事務所の方に行くという者もおりますし、その一方で、やはり裁判官として仕事をしていく上では、裁判官にふさわしい資質能力を備えた者でなければならないということもありますもので、修習生の数がふえたからといって、直ちに判事補として採用する者が増加するという関係にはないというふうに見ております。

○椎名委員 要は、母数が倍になったところで優秀な人は倍になっていないということなんですよね。ということは、やはり、昔だったら合格しなかった人たちを救っているだけにすぎないというのが極論すると何か見えてきそうな結論のように聞こえてしまうというふうに思います。図らずもそれを裁判所が何かあらわしているのかなというふうに感じざるを得ないお答えだったなというふうに思います。

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