裁判官の国会職員への出向について

衆院法務委員会平成25年03月22日より抜粋(下線は当サイトによる)

○椎名毅委員 先ほど来、日本維新の会の先生、それから民主党の先生方が、判検交流という話を御指摘いただいていました。この判検交流という問題、それ以外にも、実はもう一つ大きな問題があるんじゃないかというふうに私は思っています。
 それは何かということですが、裁判官の国会職員との人事交流です正確に言うと、裁判官が国会職員として出向しているという問題です
 先ほど来、癒着と見られるか、要するに見え方の問題だというふうに大臣もおっしゃっておりましたけれども、私自身、そういう問題もあるのかなと思いますけれども、もうちょっと大きな概念の話なんじゃないかなというふうに思っております。
 要は何かということですけれども、これは基本的には、権力分立概念という、要するに、憲法に明示されているわけじゃないですけれども、憲法上の裏概念として、三権、司法、立法、行政という各権力がそれぞれ独立した形でチェック・アンド・バランスをしていく、そういう大きな概念に基づいて考えるべきなんじゃないのかなというふうに私は思っている次第でございます。
 行政機構の内部で、財務省から外務省へ出向する、それから防衛省から在外公館へ出向する、こういったのは行政庁内部での人事交流ですし、おおむね問題はないだろうというふうに思いますが、司法府から立法府、司法府から行政府というのはやはりちょっと別に考えるべきなんじゃないかなというふうに私自身は思っております。
 先ほど来大臣もおっしゃっていましたが、実務上の便宜、それから必要性というのがあるのは私自身も十分理解はしています。しかし、この実務上の便宜、必要性というものを重視した上で、憲法上の大概念にも匹敵するようなこの権力分立概念を半ば骨抜きにするような、脅かすような人事交流というのは、私は正しくないんじゃないかというふうに思ってしまうんです。
 そういったところで、まず前提として裁判所に伺いたいんですけれども、裁判所から国会に、具体的に言いますと恐らく弾劾裁判所と裁判官訴追委員会だと思いますが、そういったところを含めて、どの程度の裁判官が出向しているか教えてください

○安浪亮介最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 現在でございますけれども、衆議院の法制局に二人、それから、裁判官訴追委員会の事務局に一人出向しております弾劾裁判所には出向しておりません

○椎名委員 ありがとうございます。
 少ないのかもしれないですし、多いかもしれないですし、評価はまた別になると思いますが、こういった形で、行政府と司法府だけでなく、司法府と立法府も人事交流をやっているわけです。
 これは、権力機構のチェック・アンド・バランスという観点から見るとやや疑義があると思うんですけれども、大臣の御見解を伺えればというふうに思います

○谷垣禎一国務大臣 これをどこまでリジッドに考えるかというのは、いろいろな判断があるのではないかと私は思います。
 ちょっと例は違いますが、例えばそこに速記官がいらっしゃる。衆議院と参議院で両方速記官の養成所を設けるのが合理的かどうかというのは昔から議論されておりますが、これも、衆参というのは別の組織であって、二院制であって、それぞれ独立に権限を行使するということを強調して考えれば、ちょっと話を小さくしてしまいますが、一緒にやるべきではないということになるという議論も私はあり得るだろうと思います
 それで、三権分立という制度でございますが、私は、そこは長い、三権、国会なり、行政府なり立法府なりあるいは司法府なりで長い間に組み立ててきた制度、その中でいろいろ批判もあって、これはやはり李下に冠を正さずだなということもあったかもしれません。やはり私は、長い経験のもとに、これは有益な交流であると思ってやってきたこと、これは非常に保守的な発想かもしれません、私はそれはそれで意義があるのではないか、私の思考方法はそういうことでございます
 それからまた、もう一つ申し上げれば、それぞれ行政府なり立法府でも、果たしている機能は相当違うものがあると思うんです。行政部の中でも立法部の中でも。
 例えば、先ほど申し上げたような基本法の立案機能これはなぜ法務省なのか、それは国会の機能だろうと言われてしまったらそれまでですが、それをやはり法務省が担当し、そこに、特に民事法なんかであれば、裁判所に本籍を置かれる方々が裁判の経験を、実務の経験を生かして立法作業に当たってきたこれは相当長い歴史と伝統があります私は、それはそれで決して否定すべきことではないのではないか。それぞれどういう部門で交流をするかによってもかなり違う。私の思考方法はそういう思考方法でございますので、委員の御指摘もわからないわけではありませんが、ちょっとそこは発想が違っている点がございます。

○椎名委員 大臣のおっしゃっていることもよくわかります。この辺は、おっしゃったとおり、どこまでリジッドに考えるかだと思います。あとは、国会の権能をどこまで強く考えるべきなのかというところにもあるような気が私はしています。
 私自身、これからの時代において民主主義というものを考えたときに、国会及び国会のスタッフというものをもうちょっと拡充していくべきなのではないかという考え方に基本的には立っているので、こういった発想を持っているということなんだと思います。

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