「平成25年司法試験状況」から読み取れること(下)

受控えをすると短答も崩れる

以下は、既修未修別、修了年度別の短答、論文合格率である。
短答は受験者ベース、論文は短答合格者ベースの数字である。

 

短答
合格率

論文
合格率

24既修

83.10%

59.26%

23既修

84.40%

37.12%

22既修

87.47%

34.11%

21既修

77.01%

22.22%

20既修

78.77%

12.17%

24未修 59.40% 40.29%
23未修 61.69% 33.23%
22未修 60.16% 26.80%
21未修 48.16% 16.77%
20未修 48.71% 13.53%

注目すべきは、21年度、20年度修了生の崩れ方だ。
短答は、勉強量を増やせば受かり易くなる。
修了年度が1年前になると、1年勉強する時間が増える。
だから、22年度までは、順調に合格率が上がる。
(ただし、22年度未修は、やや合格率が下がっている。)

しかし、21年度になると、ガクンと合格率が下がる。
未修も既修も、10%以上合格率が下落している。
これは、受控えの影響である。
平成21年修了者は、少なくとも1回受控えをしている。
平成20年修了者は、少なくとも2回受控えをしている。
本来、受控えをすれば、勉強時間を1年余分に確保できる。
短答との関係では、これは大きなアドバンテージにならなければおかしい。
しかし、むしろ逆の結果になっている。
これは、受控えする層の普段の学習意欲の低さが影響している。
受控えは、主として短答がダメそうだ、という人がするものである。
そのような人は、やはり普段から学習する習慣が身に付いていない。
また、計画を立てて学習をするという態度にも乏しい。
だからこそ、試験日があらかじめわかっているのに、準備が間に合わない。
そういう人は、大体は1年間を有効に使えない。
結局、勉強量が不足したまま、受験する。
その結果が、合格率として現れている。

受験回数制限緩和の影響

現在、受験制限を5年5回に緩和する方向で検討されている。
緩和が実現する前でも、受控えが無意味になりそうだとわかれば、とりあえず受験する人が増える。
そのため、来年以降は受控えが激減するはずである。
その結果、受験者数が増える。
そのため、短答のレベルが上がるのではないか。
そう懸念する人もいる。
しかし、実際にはほとんど短答のレベルを上げないだろう。
なぜなら、これまで受控えをしていた層は、前記のような層だからである。
従来、勉強する計画や習慣を持たずに当日を迎えて受け控えていた。
そういう層がしぶしぶ受験しても、それは記念受験に近い。
見かけの合格率を下げるだけの効果しかない。
だから、当面は、特に懸念する必要はない。

しかし、現実に受験回数が5年5回になった場合には、注意を要する。
今度は、4回目、5回目の人が参入してくるからだ。
この層は、勉強不足で受控えを考えるような連中ばかりではない。
むしろ、短答常勝将軍といってよい熟練の猛者である。
短答はめっぽう強いが、論文はひどく受かりにくい。
そういう層である。
従来は、こういった層が3回で退場してくれたので、短答のレベルが保たれていた。
それが、5回目まで退場しなくなる。
そうなれば、必然的に短答のレベルは上がるだろう。
これは、1回目の受験者にとっては危険なことである。
1回目の受験者は、論文に強いが、短答に弱い。
得意な論文の前に、短答で4回目、5回目の猛者達にやられてしまう可能性がある。

他方、短答を突破さえすれば、論文はレベルが下がるだろう。
なぜなら、短答で無敵を誇る4回目、5回目の受験生は、論文が極端に苦手だからである。
(論文が得意なら、もうとっくに受かっている。)
このことは、短答合格者に占める論文に受かりにくい層の割合が増加することを意味する。
だから、論文全体のレベルは下がる。

以上のことから、当面は、特に目立った難易度の差は生じない。
見かけの短答合格率の下落は、気にする必要がない。
しかし、現実に受験回数制限が緩和されたとき。
そのときは、短答は従来の合格ラインギリギリだと、危ない。
今までより、高めの点数を目指すようにすべきである。
そこを突破してしまえば、論文は少し楽になるだろう。

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