平成25年司法試験予備試験
口述試験(最終)結果について(5・完)

職種別合格率

以下は、職種別の短答・論文の合格率である。
短答は受験者、論文は短答合格者をベースとしている。

職種

短答
合格率

論文
合格率

公務員

24.9%

7.5%

教職員

11.1%

0%

会社員

21.5%

5.1%

法律事務所
事務員

30.4%

10.7%

塾教師

36.6%

5.3%

自営業

24.2%

7.1%

法科大学院生

26.1%

45.1%

法科大学院
以外大学院生

7.6%

0%

大学生

14.1%

32.0%

無職

24.5%

8.5%

その他

26.5%

10.4%

概ね、例年と同じ傾向である。
長期受験者の多い職種は、短答が強く、論文が弱い。
大学生とロー生は、論文が極端に強い。
論文については、その傾向性がさらに強まっている。
今年の全体の論文合格率は、昨年より5%強上昇している。
これは、論文合格者数の急増による。
しかし、大学生とロー生以外の職種では、論文合格率はあまり上昇していない。
論文合格者の増加分は、ほぼそのまま大学生とロー生が持っていったことになる。

※このことは、予備合格者を増やしても、ローと予備の合格率均衡が達成できないことを示す。
すなわち、予備合格者の増加分は、優秀な大学生とロー生が持っていく。
結果的に、ロー修了生は、予備に受からない下位層のみとなる。
「予備に受からない修了生」と「修了前に予備に受かった者」を争わせても、合格率は均衡するはずがない。
予備合格者を際限なく増加させても、上記の構造は変わらない。
最終的には、ロー修了者がいなくなるだけである。

単純化して考えてみよう。
毎年、3000人のロー志望者がいるとする。
そのうち、上位500人が修了前に予備に受かるとする。
そうすると、下位2500人がローを修了する。
司法試験で争わせれば、前者の方が合格率が高いだろう。
そこで、予備合格者を1000人に増やす。
そうすると、上位1000人は修了前に予備に受かり、下位2000人はローを修了する。
司法試験で争わせれば、やはり前者の方が合格率が高いだろう。
そこで、予備合格者を2000人に増やす。
そうすると、上位2000人は修了前に予備に受かり、下位1000人はローを修了する。
司法試験で争わせれば、やはり前者の方が合格率が高いだろう。
埒があかないので、予備合格者を一気に3000人に増やしてみよう。
そうすると、3000人が修了前に予備に受かり、ロー修了生はいなくなる。
これが、「予備とロー生を均衡するまで予備合格者を増やす」をやった場合の帰結である。

上記のことは、ロー生の予備受験だけを制限しても解消しない。
上位の大学生が、予備の方に流れることを抑止できないからである。
このことが、文科省やロー関係者が大学生も含めた若年者の受験制限をしたがる理由になっている。
表向きの理由は、後から付いてくる。

それから、昨年からの傾向だが、ロー生は短答にも強い。
短答に強いはずの無職より、むしろ合格率が高くなっている。
20代前半全体の短答合格率は、17.6%に過ぎない。
平成25年司法試験予備試験口述試験(最終)結果について(3)参照)
そのことから、ロー生の短答の強さは、ロー生ゆえの特性とわかる。
ロー生が、早い段階から短答を意識した勉強をするようになったのだろう。
その意識の低い大学生は、14.1%にとどまっている。
大学生も、早い段階から短答を意識した学習をした方がよいだろう。

重要なことは、大学生でも論文に3割以上受かるということだ。
これは、ローで学ぶことは論文合格に不要であることを示している。
一方で、社会人、無職は壊滅的だ。
短答の結果をみれば、大学生より知識量はある。
それなのに、論文では大学生に完敗している。
まず、知識の質を「曖昧に広く」から「狭く確実に」に変える。
それから、答案の書き方を改める。
大学生が書くような答案の書き方。
基本論点を手堅く拾い、趣旨・要件をきちんと示し、当てはめる。
気付けば簡単だが、なぜかやろうとしない人が多い。
今までの自分の勉強法や書き方を、惰性で続けてしまう。
意識的に、改めていく必要がある。

受験歴別構成割合

以下は、受験歴別の全体に占める受験者の構成割合の推移である。

受験歴

平成23年

平成24年

平成25年

受験経験なし

25.1%

35.0%

49.3%

旧試験のみ

69.6%

57.9%

42.5%

新試験のみ

1.4%

2.1%

2.8%

両方受験
経験あり

3.7%

4.9%

5.1%

「受験経験なし」が、急激に増加していることがわかる。
一方で、「旧試験のみ」は、急激に減少している。
今年は、ついに両者の割合が逆転した。
「旧試験組の敗者復活戦としての予備」から「飛び級のための予備」への変容。
これが、ここでも現れている。

一方で、微増傾向なのが、新試験受験経験者だ。
「新試験のみ」も「両方受験経験あり」も、微増傾向となっている。
新試験の受験資格を得れば、それを失うまで司法試験を受験するのが普通だ。
従って、このカテゴリの者は、三振者だろう。
三振者の予備参戦も、目立たないが、増加している。

受験歴別合格率

以下は、受験歴別の合格率である。
短答は受験者ベース、論文は短答合格者ベースである。

受験歴

短答
合格率

論文
合格率

受験経験なし

14.1%

32.5%

旧試験のみ

25.8%

10.8%

新試験のみ

43.7%

18.2%

両方受験
経験あり

50.7%

16.8%

短答は、例年どおりの傾向だ。
新試験を経験すると、飛躍的に合格率が上がる。
司法試験の短答では、受験回数が増えると、短答合格率が上がる。
「平成25年司法試験状況」から読み取れること(上)参照)
司法試験で三振した人は、予備がいわば、「4回目以降」となる。
だから、短答合格率が高いのは、当然だろう。
「両方経験」がさらに高いのは、旧試験時代も含めた勉強量の差の現れである。

「受験経験なし」の短答合格率の低さは、単なる勉強不足である。
一方、「旧試験のみ」も、案外短答が弱い。
旧試験には、憲民刑しか短答がなかった。
行政法や商法、訴訟法の短答知識の不足が、ここに現れているのだろう。
今後、予備の短答も憲民刑だけになると、この数字も変動するかもしれない。

論文については、例年と若干の変化がみられる。
以下は、受験歴別論文合格率の推移である。

 

平成23

平成24

平成25

受験経験なし

16.5%

23.2%

32.5%

旧試験のみ

7.8%

11.3%

10.8%

新試験のみ

15.3%

10.1%

18.2%

両方受験
経験あり

11.4%

11.9%

16.8%

「旧試験のみ」だけが、合格率が下がっている。
その他は、合格率を伸ばしている。

論文は、「受かりにくい者は何度受けても受かりにくい」法則がある。
受験歴=不合格歴のある層は、受かりにくい者が滞留する層である。
「受験経験なし」の論文の強さは、それで説明できる。
すなわち、負のセレクションを受けていない層だからである。
では、「新試験のみ」と「両方受験経験あり」の合格率上昇の理由は何か。
もちろん、全体の論文合格率上昇の影響がある。
それに加えて、新規の三振者の参入も影響している。
新規の三振者は、3回しか論文に落ちていない。
すなわち、負のセレクションにかかった回数が少ない。
この、「そこまで極端に受かりにくくない者」の新規参入が、合格率を上げている。
「新試験のみ」よりも「両方受験経験あり」の方が合格率が低いのも、同じ理由である。
旧試験時代の不合格歴が、マイナスに作用している。

他方、「旧試験のみ」には、基本的に新規参入はない。
新たに旧試験を受験することは、できないからだ。
旧試験以来、論文に落ち続けている人は、「極端に受かりにくい者」である。
そういう人だけが滞留するので、合格率は下がっていく。
全体の論文合格率は、毎年上昇している。
だから、本来は合格率は、上昇しなければおかしい。
それが、むしろ下がっている。
このことは、真剣に受け止めるべきだろう。
これまでと同じように学習をしていては、同じことを繰り返す。
勉強の仕方、答案の書き方を、劇的に変える必要がある。
公表されるデータは、全てが同じことを指し示している。

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