法律改正なしにローの定員を絞ることはできるか

衆院法務委員会平成25年04月03日より抜粋(下線は当サイトによる)

○枝野幸男委員 ・・実は私も司法制度改革のときにそこまで思い至らなかったですし、その後、与党をやらせていただき、政府の仕事をさせていただいたときも気がつかなかったんですが、最近ふと気がつきまして、実は、ロースクールの定員を、そもそも最初から、司法試験の合格者の総定数に合わせてある程度歯どめをかけておくべきだったのではないか。それができないと思っていたんですが、よく考えたら医学部はやっているわけでございます。
 医師の養成数は、入学定員、平成十九年までが七千六百人余りだった、これを平成二十四年度までに九千人弱まで増員している。二十五年度は、さらに地域枠を設定したり、大学ごとの定員を対応状況次第によって増員可能だというようなことで、いずれにしても、医学部の入学定員を縛っているこの事実関係、文部科学省、よろしいですね

○常盤豊政府参考人 お答え申し上げます。
 医師の養成につきましては、今御指摘のとおり、昭和五十七年以降、設置認可に当たって医学部定員の増を認めないことといたしました。また、各大学は、その当時の定員から定員減を行った次第でございます。
 その後、平成二十年度以降、設置認可に当たって定員増を認めておりまして、定員増に当たっては、地域枠の設定、あるいは各大学の入学定員の上限の変更などを行っているところでございます。

○枝野委員 さて、この医学部の大学設置や定員についての認可、定員の大枠を定めていることについての法令上の根拠は何でしょうか

○常盤政府参考人 今申し上げました医師の養成の扱いでございます。
 昭和五十七年度に閣議決定がございまして、それを踏まえて、定員増の抑制あるいは定員の減ということが行われてきております
 定員増の抑制ということにつきましては、文部科学省の告示に基づきまして、設置認可に当たって定員増を原則抑制するということとしておりました平成二十年度以降は、先ほど申しましたが、関係大臣の合意等に基づきまして告示を改正いたしまして、条件つきで定員増を認めるという扱いをしているところでございます。
 一方、定員の減ということにつきましては、同じく昭和五十七年の閣議決定を受けて関係省庁でその後検討が行われまして、医師の新規参入を一〇%削減するなどの提言が出されたことも踏まえまして、各大学において入学定員の縮減を図ったということでございます。

○枝野委員 それでは、確認をいたしたいと思いますが、政策論としてロースクールの定員を縛るのかどうかということは別として、縛ろうと思えば閣議決定と文部科学省告示で縛ることは法令上可能であるということですね

○常盤政府参考人 ただいま医学部の例について申し上げましたが、定員増の抑制という点につきましては、医学部の例にもございますように、閣議決定や告示の改正などで対応してきた例があるというところでございます。
 一方、定員の縮減ということにつきましては、医学部の場合、大学の主体的な取り組みを進めたところでございますけれども、法科大学院の今後の扱いについては、政策の経緯や進捗状況、法的、政策的な検討課題を含めまして、現在、政府の法曹養成制度検討会議で議論が重ねられているところですので、その結果を踏まえて対処してまいりたいというふうに思っております。

○枝野委員 要するに、政策論としてこれでいこうということであれば、法律の改正すら要らない、閣議決定と文部科学省の告示でできる。それで、医学部については入学定員を枠をはめて、したがって、医師の国家試験についても、大学によって合格率に差はありますが、普通の方は、医学部に入れば、普通にやっていれば医者にはなれる。もちろん、医学部の勉強は多分大変なんだろうと思いますけれども。ということで、まさにプロセスで医師を養成するということが、少なくともその視点の限りにおいてはうまくいっているわけです。
 私も、まさに十数年前の議論のときに、医者がやっているんだからできるじゃないかという議論をすればよかったんですが、正直言って、そのときはそこまで思い至りませんでした
 むしろ、これからですから、実際に今あるのを減らせとかということは、定員をふやすなということ以上に難しいところがあるとは思いますが、まさに谷垣大臣、プロセスでやることが大事だというお考えであるならば、ここは、これもすぐに、わかります、やりますとお答えになれないのはよくわかりますが、今現在行われている議論の中で、実際に前回の議論でも、さすがにちょっとこれは教育の水準としてもいかがなものかというのが客観的な数字で出ているロースクールが少なからずあるというような状況の中でありますから、頑張って維持しようか、だけれども維持すると大学として赤字が積み重なってしまうんじゃないかとか、そんな中途半端なことを大学に迫るよりは、むしろ、きちっとこれぐらいの定員にする、すぐにできなければ何年計画でこうするとかいうことでちゃんと枠を絞って、そして、まさに当初の想定どおり、ロースクールに入れば、そうなると入るのが難しくなると思いますが、やはり七割、八割、医師などを考えると本当はもうちょっとかなと思いますが、ちゃんとプロセスで学べば司法試験の方は受かるんですと
 こういう制度に持っていくためには、まさに定員の抑制のところを、繰り返しになりますが法律改正が要らないんですから、ぜひ御検討いただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○谷垣国務大臣 仕組みとしては、今文科省と先生の間の御議論のとおりだと私も思うんですね。
 それで、この制度ができたときのいろいろな経緯は、私も十分、全部詳細に把握しているかどうかは別としまして、やはり参入障壁をつくることに対する警戒心が非常に市場を重視する方々からは強く出ていたという事情があの当時にあったと思います。ですから、結論は政策的判断なんだと思うんですね。
 それで、今、どう教育の質の向上も図りながら、確保しながら司法試験合格率を上げていくか、これはまさに法曹養成制度検討会議の主要テーマでございますので、その中で、法科大学院の定員あるいは設置数のあり方についても今議論していただいている。今私がお答えできるのはそこまででございまして、よい結論を出していただくのを見守っているという段階でございます

○枝野委員 これはどちらかだと思うんですよ。
 実は私は埼玉でございまして、埼玉は国公立の医学部のない県でありまして、県立の医大が欲しいというかなり強い声がありますが、まさに医学部についてはああいう枠がはめられているので、なかなかそう簡単につくれないというようなことの壁にぶつかっています。
 まさに、参入障壁を求めないということであるならば、ロースクールには参入障壁を設けないけれども医学部には設けるというのは全くナンセンスな話で、医学部もどんどんつくって、そのかわり合格率は五割とか四割になるかもしれませんよということでやるんだったら合理的ですだけれども、医学部は入ったら大部分が受かるようにしておいて、こっちは参入障壁をつくっちゃおかしいから、参入障壁をロースクールに設けない、これは明らかにアンバランスだと思います。
 どちらでも僕はありだと思います、この問題は。医師とかあるいは法曹三者の重要性とか、あるいは、それを目指す人にとっても非常にコストがかかるということを考えたら、医学部に入って高い授業料を払ったけれども六年たったら医者になれなかったでは、なかなか入ってこないんじゃないか。今、ロースクールはそれに近い状況が起こっているわけですが。だから、参入障壁、大学の設置というところでは枠を絞ってということを両者ともやるのはありだと思うし、逆に、両者ともなしならなしだと。
 どっちかにしないとこれはアンバランスだと思いますので、お答えがいただけないのはよくわかりますが、法曹養成という観点だけでなく、国務大臣としてもぜひそのアンバランスということも考えて、もちろん、諮問をされているわけですから、諮問の答えが出るまではなかなかおっしゃれないかもしれませんが、諮問の答えが出たらそれに必ずしも一〇〇%従わなきゃならない仕組みではないはずですので、特に、まさにそこの諮問していない医学部の入学定員の問題だなんというのは、国務大臣としてもしっかりと、バランスのとれた議論と結論が出されるようにお願いをいたします。

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