ロー生の年代別合格者数から読み取れること(上)

ロー修了者でみると若手の方が短答に強い

従来、法務省は、ロー生の年代別受験状況を公表してこなかった。
そのため、ロー生の年代別の特徴は、よくわかっていなかった。

それが今回、司法試験委員会会議第98回の資料として公開されている。
以下は、これを基礎にした受験者ベースの年代別短答合格率である。

年齢

短答
合格率

20〜24

87.5%

25〜29

72.4%

30〜34

59.6%

35〜39

65.5%

40〜44

64.1%

45〜49

67.2%

50〜54

53.5%

55〜59

62.6%

60〜64

63.3%

65以上

34.7%

予備試験では、短答は若年者が苦手としていた。
平成25年の短答合格率トップは、50代後半だった。
平成25年司法試験予備試験口述試験(最終)結果について(3)参照)
短答は、知識の量で成績が決まる。
そのために、勉強量の多い長期受験者が優位に立っていた。

しかし、司法試験では、そうはなっていない。
むしろ、若手の方が、合格率が高くなっている。
顕著なのは、20代から30代までの急激な下降だ。
これに対し、30代以降は、65歳以上を除き、概ね同じような数字になっている。
なぜ、このような数字になっているのだろうか。

原因は受験回数制限

その原因は、受験回数制限にある。
司法試験では、5年で3回しか、受験できない。
従って、どんなに長くても、5年しか滞留できない。
それを超えた人は、予備に回ることになる。
(厳密には、ローに入り直す方法もあるが。)
「勉強歴10年超え」のような猛者は、ロー生の資格では受験できない。
(前記の表は、飽くまでロー修了の資格で受験した者の数字である。)
この点が、予備試験の場合との重要な違いである。

20代後半の層は、大学から普通に進学したロー生の層である。
この層は、ロー受験者全体の48%を占める主力部隊だ。
そのため、ストレートに進学した場合、25、26歳で初受験。
3回連続で受験すれば、27、28歳で資格を喪失する。
すなわち、ロー修了の資格で30代まで受験することは少ない。
従って、30代以降の層は、主として元社会人ということになる。

※かつての旧試験専業受験者も考えられるが、ローに行く者は早期にローに回り、残った者はロー進学を断念して予備を受験するケースが多く、旧試験組のロー修了生は、現在では少数と思われる。

これまでは司法試験と無縁だったが、一念発起して法曹を目指す。
そういう人たちは、むしろ勉強量が少ない。
だから、法学部時代から勉強してきた20代より、短答で不利になる。
そして、元社会人の層は、各年齢層に分布している。
30代で法曹を目指す人もいれば、50代で思い立つ人もいるだろう。
どの年齢層の人たちも、思い立ってからの勉強量にそれほど顕著な差が生じない。
だから、30代以降では短答合格率に顕著な差が生じない。
そういうことなのだろう。
その意味では、短答は普通に勉強すれば、年齢に関係なく点が取れる。
それが、次回にみる論文との大きな違いということになる。

元社会人中心の30代以降と比べると、むしろ20代は、勉強量が多い。
大学在学中からの、学習の蓄積があるからである。
短答は勉強量が多いと、単純に受かり易くなる。
この構図は、全く変わっていない。
ロー修了資格の受験生でみると、勉強量の多い者の分布が、年配者から20代に変化する。
それだけのことである。

戻る