ロー生の年代別合格者数から読み取れること(下)

論文はやはり若手有利

下記は、ロー生の年代別論文合格率(短答合格者ベース)である。

年齢

論文
合格率

20〜24

77.0%

25〜29

46.7%

30〜34

28.7%

35〜39

24.3%

40〜44

16.9%

45〜49

10.2%

50〜54

7.8%

55〜59

4.7%

60〜64

0%

65以上

0%

全体

37.8%

20代前半をトップに、後は年を取るほど受かりにくくなる。
このこと自体は、驚くことではない。
予備試験の場合も、同様の傾向になっているからだ。
平成25年司法試験予備試験口述試験(最終)結果について(3)参照
ただ、その原因は、実は予備試験の場合と異なる。

20代前半は既修初回受験者

まず、気になるのは、20代前半の異常な合格率の高さだ。
4人中3人以上が受かる計算である。

この原因は、2つ。
一つは、既修者であること。
もう一つは、初回受験者だということである。

そもそも、24歳までに受験できるのは、限られた者だけだ。
20代前半の受験者は、179人しかいない。
20代後半の4846人と比べると、圧倒的に少数だ。
上記年齢区分は、平成25年12月31日現在のものである。
平成25年司法試験受験状況(法科大学院修了資格)参照)
ストレートに既修で進学しても、平成24年度修了生は、早生まれでない限り、25歳になる。
(仮に試験当日に24歳でも、12月31日までには、25歳になってしまう。)
従って、この20代前半の層は、早生まれの平成24年度修了生の既修である。

※厳密には、飛び級等特殊な進学をした者。
さらには願書の生年月日記載を誤った者(上記数字は自己申告である)も含まれる。

すなわち、既修かつ初回受験者という属性を持つことになる。
「既修」と「初回受験」はいずれも論文合格率を高める要素である。
平成25年司法試験受験状況(PDF)参照)
その両方を併せ持っているから、合格率が高くなるのは当然だ。
しかも、ストレートの進学が要求されるから、過去に留年等の経験もない。
そういう特殊な層であることが、異常な合格率の高さに繋がっている。
(それに加え、後記の若さのアドバンテージも加わっている。)

年を取ると論文に受かりにくくなる理由

20代後半以降は、20代前半のような特殊要因はない。
既修も未修もいるし、受験回数も様々だ。
しかし、年を取ると合格率が下がっていく。

予備試験の場合には、主として論文試験特有の法則。
すなわち、「論文に受かりにくい人は何度受けても受からない」法則で説明できた。
(同法則につき「平成25年司法試験状況」から読み取れること(上)参照)
予備の場合、高齢の受験者の多くは、長期受験者だ。
かつては7割以上、現在でも5割弱の予備受験者が、旧試験経験者である。
平成25年司法試験予備試験口述試験(最終)結果について(5・完)参照)
論文不合格という負のセレクションを、何度も受けている。
そのため、年齢に比例して「受かりにくさ」も増大していく。
平成25年司法試験予備試験口述試験(最終)結果について(3)参照)

しかし、ロー修了資格の受験生については、上記のようにはいえない。
前記のとおり、受験回数制限があるからだ。
30代以降の層は、主として元社会人である。
前回記事参照)
高齢であっても、予備のような知識過多の層ではない。
むしろ、短答では若手より苦戦しており、初学者といってよい層である。
従って、「論文に受かりにくい人は何度受けても受からない」法則とは異なる、別の要素を考える必要がある。

論文は、体力勝負という側面がある。
ギリギリの時間で、テキパキと論点を抽出し、粘り強く現場思考し、当てはめる。
そのような反射神経・集中力は、年を取ると衰える。
答案構成に手間取って、どうしても時間が足りなくなる。
また、答案を書くスピードも、若手ほど素早く書けない。
集中力が切れ、人生のかかっている試験なのに、途中で心が折れてしまう。
精神的・肉体的疲労から、「早く書き上げたい」という気持ちに負けて、答案が雑になる。
これらが、年を取ると論文に受かりにくくなるもう一つの理由である。
今回明らかになった数字をみると、これが予想以上に結果に影響している。

若手に負けないようにするには、数をこなして「慣れる」ことが必要だ。
少しでも時間を見つけて、一通でも多く答案を書く。
それから、基本的な趣旨、要件、規範、論証等はできる限り覚える。
(記憶力も年とともに減退するが、短答の結果をみる限りその影響は相対的に小さい。)
答案を書くときに、条件反射で書ける部分を、できるだけ増やしていく。
そうすれば、精神的にも、時間的にも楽になる。
年齢的なハンデは、そうやって克服していくしかないだろう。

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