「司法試験平成25年判例論証集」を発売しました

Amazonから、「司法試験平成25年判例論証集」を発売しました。
本書は、Amazonのみの取扱いとなります。
Kindle以外の端末からも、アプリを使って利用できます。

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本書は、平成25年に出された最高裁判例のうち、司法試験論文式試験での出題可能性があるものについて、論証例と留意点をまとめたものです。
各判例には、AAからCまでの重要度に応じたランクを付しました。

司法試験では、論文試験でも、直近の判例が出題されています。
考査委員は「本質を理解すれば知識がなくても判例の規範が浮かんでくるはずだ」と言うかもしれません。
しかし実際には、そうした問題の多くは、単にその判例を知っているかどうか。
それだけで、差がついてしまっています。

従来は、「判例ノート」として判例原文を編集したものを発売していました。
しかし、直前期にそれだけを読んでも、なかなか論文試験に直結させるのは難しいものです。
そこで、あらかじめ論証化したものを作成することにしました。
なお、原文は、最高裁HPから参照できます。

判例を論証化することは、簡単なようで難しいところがあります。
判例が理由を明言していなくても、論文では理由を付すべき場合があります。
判例が曖昧にしているところも、論文では結論を示す必要があります。
事例判例でも、論文ではある程度一般化して論証する必要があります。
そうした部分を含め、できる限りコンパクトに文章化したのが、本書です。

同時に、「司法試験平成25年判例論証穴埋問題集」も発売しました。
こちらも、Amazonのみの取扱いです。
上記「司法試験平成25年判例論証集」を、単純に穴埋問題化したものです。
ただ論証を眺めていても頭に入ってこない、という人向けの学習用教材です。
解答は、「司法試験平成25年判例論証集」本体を参照して下さい。

【本書の一部抜粋】

【憲法】

1:憲法上の権利を相当程度制約する委任立法(最判平25・1・11)
重要度:A
【論証例】
 法律の委任に基づく新たな規制が憲法上の権利を相当程度制約する場合に、当該規制が法律の趣旨に適合(行手法38条1項)し、委任の範囲を逸脱していないというためには、立法過程における議論をも考慮した上で、委任の根拠となる法律の諸規定から授権の趣旨が当該規制の範囲、程度等に応じて明確に読み取れることを要する(医薬品ネット販売事件判例参照)。

【留意点】
1.問題文に法律の委任に基づく政令や規則等の委任立法があり、それが憲法上の権利を相当程度(言い換えればそれなりに強く)制約すると認められるような場合に、憲法上の権利の制約の強度に応じた授権の趣旨の明確性が必要であることを示しつつ、委任の範囲の逸脱についての判断基準を示すことのできる便利な引用判例である。問題文上に立法過程における議論が挙がっていない場合には、論証例中「立法過程における議論をも考慮した上で」の部分は省略してよい。
2.判例の事案では職業活動の自由を制約する場合であったが、司法試験の答案では、憲法上の権利一般を制約する場合にも妥当する法理として引用してよいだろう。そのため、論証例では職業活動の自由に限定せず、「憲法上の権利」としている。
3.なお、立法過程における議論を考慮することについては、個々の審議会の委員等の発言をもって当然に立法意思と考えるのはおかしいのではないかという指摘がある。問題文の誘導等でその辺りの問題意識が読み取れるのであれば、上記指摘を反論として取り上げる余地がある。
4.本論点が問題になる場合には、委任立法による憲法上の権利の制約それ自体の合憲性(正当化)が問題となる。通常はその点がむしろメインの論点となるので、本論点はコンパクトに書きたい。

2:不遡及的違憲判断の実質的根拠(最大決平25・9・4、金築補足意見)
重要度:A
【論証例】
1.先例としての事実上の拘束性の趣旨は、同種事件の同一解決により、法適用の平等を図る点にある。従って、憲法14条1項の平等原則が合理的な理由による例外を認めるのと同様に、合理的な理由に基づく例外が許されてよい。また、先例としての事実上の拘束性には、法的安定性を図る趣旨もあるところ、拘束性を認めることがかえって法的安定性を害するときは、その役割を後退させるべきである。
2.よって、裁判所は、既に形成された解決済みの法律関係に効果が及ぶことによって著しく法的安定性を害することになるときは、違憲判断の事実上の遡及効を制限する判断をすることが許される(非嫡出子相続差別違憲大法廷決定及び同決定における金築補足意見参照)。

【留意点】
 法令違憲の主張に対し、当該法令を違憲にすることは法的安定性を害するという反論が成立しうる場合に、私見で遡及効を制限して違憲を維持する際の根拠として用いる論証例である。

3:不遡及的違憲判断の形式的根拠(最大決平25・9・4、千葉補足意見)
重要度:B
【論証例】
 違憲判断の遡及効の有無、時期、範囲等を一定程度制限するという権能は、立法が改正法の附則でその施行時期等を定めるのに類した作用であるから、最高裁判所の違憲審査権の行使に性質上内在又は付随する権能であって、憲法は、これを違憲審査権行使の司法作用としてあらかじめ承認している(非嫡出子相続差別違憲大法廷決定における千葉補足意見参照)。

【留意点】
 不遡及的違憲判断をする権能が司法作用として予定されていることを説明する論証例である。主として統治の側面から問われた場合に、権力分立や司法権の限界との関係で用いる。

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