平成27年予備試験短答式試験の結果について(1)

1.平成27年予備試験短答式試験の結果が公表されました。合格点は170点合格者数は2294人受験者合格率は、22.1%でした。

2.目に付くのは、合格者数が多いな、ということです。以下は、合格点、合格者数等の推移です。

受験者数 短答
合格者数
短答
合格率
短答
合格点
23 6477 1339 20.6% 165
24 7183 1711 23.8% 165
25 9224 2017 21.8% 170
26 10347 2018 19.5% 170
27 10334 2294 22.1% 170

 過去2年は、合格者数はほぼ2000人で推移していました。当サイトでは、これを「2000人基準」と呼んでいます(※)。しかし、今年はこれより200人以上も多い。特に、今年は予備試験史上初めて、受験者数の増加が止まり、わずかですが減少に転じた年でした。それなのに、短答合格者数は増えている。これは、どういうことなのでしょうか。

※ 「平成26年予備試験短答式の結果について(1)」参照。かつては、「2000人基準」は、司法試験の合格者数にも適用された基準でした(平成25年司法試験の結果について(2))。しかし、昨年は、これが破られています(平成26年司法試験の結果について(1))。

 

3.これまで、当サイトが「2000人基準」と呼んでいたのは、「5点刻みで最初に2000人を超えた得点が合格点となる」というルールです。今年は、これが破られているのか。法務省の得点別人員から、合格点前後の人員をまとめたのが、以下の表です。

得点 人員 累計
人員
175 73 1892
174 98 1990
173 76 2066
172 79 2145
171 66 2211
170 83 2294
169 76 2370
168 92 2462
167 72 2534
166 88 2622
165 88 2710

 1点刻みでみると、2000人を初めて超えるのは173点ですから、173点が合格点になるのでしょう。しかし、キリのよい5点刻みでみてみると、175点では、まだ2000人を超えていません。初めて2000人を超えるのが、170点だったのです。ですから、今年も、「2000人基準」は維持されていた、ということができます。

4.以上のように、今年の合格者数が昨年より200人以上増えたのは、司法試験委員会が意図的に合格者数を増やそうとしたというよりは、従来どおりの基準を適用すると、たまたまこの数字になった、というように考える方が妥当でしょう。ですから、短答合格者が増えたから、論文合格者も増えるのでは、という期待は、持たない方がよさそうです。
 3年連続で2000人という人数を基準にしても、合格点が170点で動かない。これは、一般教養も含めた8科目について、全体の難易度にほとんどブレがないということを意味しています。その意味では、法務省の作問は見事です。

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