平成27年予備試験口述試験(最終)結果について(4)

1.以下は、年齢層別の短答、論文合格率です。短答は受験者ベース、論文は短答合格者ベースの数字です。

年齢層 短答
合格率
論文
合格率
19歳以下 6.0% 0%
20~24歳 21.8% 33.8%
25~29歳 19.3% 26.2%
30~34歳 21.4% 13.9%
35~39歳 24.5% 9.2%
40~44歳 24.7% 7.7%
45~49歳 26.5% 5.8%
50~54歳 23.4% 7.9%
55~59歳 27.8% 2.3%
60~64歳 16.0% 2.0%
65~69歳 16.5% 3.1%
70~74歳 3.3% 0%
75~79歳 3.2% 0%
80歳以上 0% ---

2.短答で最も合格率の高い年代は、50代後半です。50代後半は、昨年も短答合格率トップでした(「平成26年予備試験口述試験(最終)結果について(4)」)。20代は、30代後半、40代、50代と比較しても低い合格率にとどまっています。短答段階では、年配者こそが優秀であり、若手は劣った存在なのです。当サイトで繰り返し説明しているとおり、短答は、単純に勉強時間さえ確保すれば、受かり易くなるのです。過去問ベースの肢別本と、新作問題ベースの伊藤塾の肢別問題集、肢別形式以外なら、レックの柴田講師の一問一答式の問題集と、教材も揃っています。これをひたすら潰せばよいのです。

3.しかし、論文は、勉強量を増やしただけでは受かりません。当サイトで繰り返し説明しているとおり、「論文に受かりにくい人は、何度受けても受からない」法則があります。そのことが、論文合格率にはっきり現れています。20代の圧倒的な強さ30代後半以降になると、合格率は1割未満です。短答でトップだった50代後半は、わずか2.3%。壊滅的な合格率です。論文では、基本論点を抽出し、規範を明示し、問題文にある事実を引用して当てはめる、ということが合格の要件となります。しかし、「受かりにくい人」は、応用論点を書こうとするあまり基本論点を落としてしまったり、規範を明示することなくいきなり当てはめに入ったり、問題文にある事実の引用を省略してしまう。このような書き方をしている限り、どんなに勉強量を増やしても、合格することはできません。知識が増えると、かえって応用論点に気がついてしまい、基本論点がおろそかになります。規範を明示する意識がないと、知識が増えても規範を明示できるようにはならないでしょう。難しい理論的な論点を勉強すると、基本論点の規範を覚えることが、かえっておろそかになるということもあります。問題文にある事実は、知識がなくても問題文を見ればわかります。しかし、それを書く意識がなければ、やはり知識が増えても書けない(書かない)のです。このように、勉強量を増やしても論文に受かり易くならないことは、合格答案の要件からみて極めて合理的です。ところが、多くの人がこのことを知らないこれが、「論文に受かりにくい人は、何度受けても受からない」法則を成立させているのですね。
 それから、加齢による反射神経、事務処理能力の衰えも、年齢と共に論文合格率が下がる要因の1つです。論文は、限られた時間で問題文を読み、すばやく論点を抽出し、手際よく問題文を引用することが求められます。そのため、加齢によって反射神経、事務処理能力が衰えてくると、間に合わなくなってくる。どうしても時間が足りなくなって、論点を落としたり、規範や問題文の事実を書く時間がなくなってしまい、省略せざるを得なくなる。これは、ある程度はやむを得ないところです。ただ、それでも、意識的に演習をこなして体を慣らす、意識してボールペンで字を書くスピードを早くするよう努力する等の方法により、ある程度は克服できるでしょう。50代、60代の合格者が少ないながらも一定数存在することは、そのことが可能であることを示しています。

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