会社法(新会社法対応)

一人会社における株主総会召集手続の要否

株主全員の同意により、原則として招集手続を省略できる(300条)ので、一人株主の同意があれば不要である。

一人会社における利益相反取引についての承認の要否

取締役会設置会社でない場合、株主総会が承認の主体である(356条1項)から、承認を要しないと解する。
他方、取締役会設置会社においても、取締役の選任権は株主総会にある(329条1項)以上、承認は不要と解する。

会社に民法43条の適用はあるか

会社も法人である以上、適用がある。
もっとも、営利追及の活動は範囲が限定しがたいので、会社の目的は広く解すべきである。

法人格否認の法理

法人の法人格は立法技術として認められるにすぎないから、濫用ないし形骸化している場合には、当該法律関係においては、法人格を否認し、背後の社員と同一視すべきと解する。
濫用にあたるためには、背後者が違法または不当な目的を有し、会社を支配していることが必要である。
形骸化にあたるかは、資本関係や内部手続の遵守の有無、財産の混同の有無などを考慮して決する。

見せ金による払込の効力

見せ金は払込を仮装したものに過ぎないから、無効と解する。
その判断基準としては、会社成立から借入金返済までの期間の長短、会社の資金として運用された事実の有無、会社の資金関係に及ぼす影響などを考慮すべきと考える。

設立中の会社の法人格

会社は設立登記により法人格を認められる(49条)から、設立中の会社は権利能力無き社団である。
もっとも、設立後の会社との実質的同一性から、設立中の発起人の行為は実質的には設立中の会社に帰属し、設立後は当然に成立した会社に帰属すると解する。

設立中の会社の実質的権利能力

設立中の会社の目的は会社を成立させて開業可能な状態にすることであるから、これに法律上経済上必要な行為に加え、開業準備行為も含まれると解する。

発起人の権限の範囲

設立会社の健全性を確保するため、発起人は設立に必要な行為しかできないが、財産引受については、その必要性から、例外的に法定の要件を充たせば発起人の権限となりうると解する。

発起人の権限外の行為の追認の可否

一種の無権代表行為であるから、追認できる(116条類推適用)と解する。

設立費用の帰属

発起人の権限内の行為は実質的に設立中の会社に帰属するのであるから、設立費用(28条4号)の規定は会社と発起人の内部分担の規定と解すべきである。従って、債権者は設立費用超過分の債務についても、会社に履行請求しうる。

資本充実責任により設立無効は回避されるか

資本充実責任は廃止された。
また、現実に払込・給付された価額が資本となる(445条1項)ので、払込欠缺はそれだけでは設立無効事由とならない。
最低出資金額(27条4号)に出資が満たない場合に初めて設立無効となる。

会社不成立時の発起人の責任(56条)の性質

会社不成立である以上、発起人に法律効果は帰属するのは当然である。連帯責任を認めた点に特則的意味があるに過ぎないと解する。

日割配当の適法性

旧商法280条の20第2項11号の規定が削除され、営業年度単位の配当という概念の不採用により、日割配当は禁止された。

実質的な剰余金配当(特定大株主に対する高額のお歳暮など)

社会観念上の贈答を超えたものと認められれば、配当手続無き違法配当となると解する。

株主優待制度

会社の資産を分配する性質のものは配当に当たり許されない、便益提供を目的とするに過ぎない場合、会社の資産の分配ではないので、配当にあたらないと解する。

株券の効力発生時期

会社が株券を有効に作成し、どの株券がどの株主に対して交付されるのかが確定したときに発生すると解する。
株主のリスクは通常保険でカバーされているからである。

権利株の譲渡の効力

会社に対して対抗できないに過ぎない(50条2項)から、当事者間では有効と解する。

株券発行前の株式譲渡の効力

会社に対して効力を生じないだけである(128条2項)から、当事者間では有効と解する。

株券発行の不当遅滞下での株券発行前譲渡

株券発行会社は遅滞無く株券を発行しなければならない(215条1項)のであるから、不当に株券発行が遅滞している場合、会社は信義則上、無効を主張できない。

違法な自己株式取得の効力

軽微な手続違反の場合は有効である。この場合は取締役等の責任を問えば足りるからである。
軽微でない違反は、会社資産の流出防止や株主平等の観点から無効であるが、取引安全の観点から会社が第三者名義で取得した場合は善意の相手方には無効を対抗できないと解する。

自己株式取得の無効主張権者

会社に限られ、取引の相手方は含まないと解する。なぜなら、相手方に直接の不利益は無いし、かえって投機の機会を与える結果となるからである。

自己株式取得禁止の解釈上の例外

155条各号に詳細に規定されている以上、解釈上の例外は認められないと解する。

株式譲渡の承認機関を株主総会とすることの可否

取締役会設置会社でない場合、そもそも株主総会が承認機関である(139条1項本文)。
取締役会設置会社においては、定款で定めることにより、株主総会を承認機関となしうる(139条1項但書)。

株式譲渡の承認機関を代表取締役とすることの可否

定款の定めによりなしうる(139条1項但書)。

承認を欠く譲渡の効力

譲渡制限は外部者関与防止という会社の利益のためであるから、当事者間では有効と解する。

譲渡人や株式数に応じた制限の可否

定款の定めにより可能である(107条2項ロ)。

譲渡担保における承認の要否

譲渡担保の法的性質は担保権の設定であるから、実行されるまでは承認を要しないと解する。

株券喪失登録がなされている株式の名義書換請求

認められない(230条1項)。

名義書換未了株主の権利行使を会社が認めることの可否

130条1項の趣旨は会社の事務処理の便宜にあるに過ぎないから、会社の側から株主と認めることは許されると解する。
もっとも、株主平等原則(109条1項)に反するような取り扱いは許されない。

名義書換不当拒絶による名義書換未了株主の権利行使の可否

130条1項の趣旨は会社の事務処理の便宜にあるに過ぎないから、会社が不当に名義書換を拒絶している場合は、会社は名義書換の未了を信義則上、株主に対抗し得ない。

失念株における株式の割り当てを受ける権利(202条1項)の帰属

譲受人は会社に対抗できない(130条1項)以上、譲渡人(旧株主)に帰属する。

名義書換を失念した譲受人による新株を引き受けた譲渡人に対する請求

法律の原因が無いとはいえないが、実質的公平の観点から、民法704条を類推適用して、払込価額と時価との差額を返還請求できると解する。

契約による株式譲渡制限(従業員持株制度)

債権的効力を生ずるに過ぎないから、有効と解する。

略式質の効力は剰余金配当に及ぶか

及ぶ(151条8号)。

代表取締役の選任権を株主総会に与えることはできるか

取締役会設置会社でない場合は、もともと株主総会の権限である(349条3項)。
取締役会設置会社でも、定款の定めにより株主総会の決議事項とできる(295条2項)と解する。なぜなら、取締役会による監督は、選任権に尽きるものではないからである。

招集手続を欠く全員出席総会の効力

召集手続は株主に出席の機会を与える趣旨であるから、全員出席総会は決議取消事由にはあたらないと解する。

代理人を株主に限定する定款の有効性

代理人による議決権行使は株主の権利である(310条1項)から、原則として代理人資格を限定することは許されない。
もっとも、非公開会社では、外部者の出席を避ける必要性もある。
そこで、非公開会社に限り、代理人を株主に限定することも許される。
ただ、この場合も、弊害が生じないような場合は、株主以外の代理人であっても、会社は議決権行使を拒むことができないと解する。

「事業」(467条)の意義

総会決議の必要性があるのは、競業避止義務(21条)を負い、従前の事業の継続ができなくなる場合である。
よって、467条と21条の「事業」は同義と解する。
すなわち、財産が一定の事業目的で組織化され、有機的一体となって機能する場合に、その財産による事業活動を譲受人に受け継がせることをいう。

特別決議無き事業譲渡

会社の基礎に関わり、株主保護の要請が強いので、無効である。

事業譲渡の相手方の無効主張

できないと解する。相手方には保護を受ける利益が無いからである。

召集通知を受けた株主の総会決議取消の訴えの可否

召集通知を受け取った株主にも適正な総会決議に対する利益を有するから、肯定すべきと解する。

総会決議取消判決の遡及効

原則通り遡及する(839条反対解釈)。

解任対象の代表取締役は特別利害関係人(369条2項)にあたるか

あたる。忠実義務(355条)との衝突が生じるからである。

取締役会の召集手続の欠缺

831条のような規定が無いので、全員の同意がある場合(368条2項)を除き、原則として無効となると解する。
もっとも、召集欠缺の取締役の出席があってもおよそ決議内容に影響が無い場合は、法的安定を優先して有効と解する。

取締役会決議を経ずに代表取締役がなした株主総会召集の有効性

召集行為は無効である。召集は内部手続であり、第三者の保護を考える必要がないからである。
よって、総会決議取消事由(831条1項1号)となる。

取締役会決議を経ずに代表取締役がなした社債発行の有効性

新株発行と異なり株主の経営権に影響は無い。よって、取引安全を重視し、相手方の主観を問わず有効と解する。

取締役会決議を経ずに代表取締役がなした新株発行の有効性

社債発行と異なり、株主の経営権に影響する。よって、株主保護を考慮する必要があるから、原則として無効と解する。
もっとも、公開会社においては、株主に対する通知(201条2項)がなされている場合は有効と解する。
株主は差止請求(210条)の機会を与えられているからである。
また、取引安全の見地から、善意無重過失の相手方には無効主張できないと解する。
非公開会社においては、株主の経営権への関心が強い反面、取引安全保護の必要性は乏しいため、相手方の主観に関わらず無効と解する。

取締役会決議を経ずに代表取締役がなした多額の借財の有効性

意思決定機関の意思と代表者の表示との不一致があり、これを代表者が知っている点で心裡留保に類似する。
よって、民法93条但書を類推適用すべきと解する。

株主総会決議の無い第三者有利発行の有効性

発行差止請求(210条)の機会が株主に与えられている場合は、取引安全を重視して有効と解する。
発行差止請求の機会が株主に与えられていない場合は、株主保護を重視して無効と解する。

共同代表取締役間の委任
共同代表取締役への表見取締役の類推の可否

共同代表取締役制度は、廃止された。

354条と908条1項の関係

354条は908条1項の例外規定であるから、登記による悪意擬制を受けないと解する。

競業避止義務違反の介入権の法的性質

介入権の規定は廃止された。

承認を欠く利益相反取引の効力

無効である(356条2項反対解釈)が、転得者との関係では、取引安全の見地から会社は転得者の悪意を立証しなければ無効主張し得ないと解する。

「自己又は第三者のために」(356条1項1号)の意義

会社名義であれば、会社に効果帰属するので競業とはならない。よって、自己又は第三者の名義でなした場合をいうと解する。

取締役の報酬配分を取締役会に一任することの可否

総額を定めた上で、具体的配分を委任するのであれば、お手盛りの危険は無いので、可能と解する。
なお、委員会設置会社では、報酬委員会が具体的な報酬を決定するものとされる(409条)ので、取締役会への委任は認められないと解する。

取締役の賞与は「報酬」にあたるか

あたる(361条1項)。

取締役の退職慰労金は「報酬」にあたるか

他の取締役が自己の将来の退職慰労金を見込んで高額にするなど、間接的なお手盛りの危険があるので、「報酬」にあたると解する。

使用人兼取締役の使用人としての給与は「報酬」にあたるか

使用人としての給与は計算書類に記載され、株主総会の承認を受ける(438条2項)ので、お手盛りの危険は無い。
よって、「報酬」にはあたらないと解する。

株主代表訴訟により追及できる責任の範囲

条文上の制限が無い以上、役員が会社に対して負う一切の債務の追及が可能であると解する。

423条1項の成立に過失を要するか

必要である(428条1項反対解釈)。

429条1項に基く損害賠償請求権に間接損害は含まれるか

同条の趣旨は現代社会における株式会社の重要性に鑑み、役員の責任を加重し、特別の法定責任を負わせる趣旨である。
よって、間接損害も含まれると解する。

代表権のない取締役も429条1項の責任を負うか

代表権の無い取締役も取締役会の構成員として監督権限を有する(362条2項2号)以上、相当因果関係のある範囲で責任を負うと解する。

名目取締役は429条1項の責任を負うか

いやしくも取締役に就任した以上、責任を負うべきと解する。

選任決議を欠く登記簿上の取締役は429条1項の責任を負うか

不実の登記の作出に加功した場合は、自己が取締役でないことを善意の第三者に対抗できず(908条2項類推)、429条1項の責任を免れないと解する。

退任登記未了の退任取締役は429条1項の責任を負うか

登記未了を知りながら放置したような事情の下では、退任の事実を善意の第三者に対抗できず(908条1項類推)、429条1項の責任を負うと解する。

顧問弁護士と監査役との兼任の可否

可能と解する。顧問弁護士は独立した地位にあり。「使用人」(335条2項)にあたらないからである。

監査役の業務監査権は妥当性まで及ぶか

監査役は業務執行権を有しないことから、妥当性までは及ばないと解する。

分配可能額超過の違法配当の効力

資本維持の原則に反するから、無効と解する。

「効力を生じた日」(463条1項)との文言から、有効と解する。

違法配当につき善意の株主の会社に対する返還義務

株主の責任(462条1項柱書)は無過失責任である(同条2項反対解釈)。よって、善意の株主も返還義務を負う。

戻る