公訴

一罪の一部起訴の可否

全部不起訴も認められる(248起訴便宜主義)以上、一部のみ起訴することも原則として許されると解する。
もっとも、法の趣旨を逸脱するような一部起訴は認められない。

犯罪の嫌疑は起訴の有効要件か

嫌疑の有無の審理が本案と重複することになるので否定すべきである。

起訴猶予相当事件の起訴の有効性(公訴権濫用論)

原則として有効である。なぜなら、検察官にも訴追裁量が認められている(248)からである。
もっとも、公訴提起自体が職務犯罪を構成するような極限的な場合には、例外的に無効となるというべきである。

違法捜査に基く起訴の有効性

原則として、有効である。なぜなら、捜査と公訴は別個の手続だからである。
もっとも、違法が極めて重大で証拠排除では不十分である場合、
憲法31条の適正手続の要請により、例外的に無効となると解する。

被告人の特定

被告人とは検察官から起訴されたものをいうのであるから、起訴状の表示を基本としつつ、
その他の資料をも合理的に解釈して決すべきである(実質的表示説)。

訴因の特定(犯罪日時・場所・方法)

特定は審判対象の限定と防御対象の明示のため必要である。
しかし、日時場所方法は通常罪となるべき事実そのものではない。
そこで、特定を困難にする特殊事情ある場合は、ある程度幅のある記載も許されると解する。

共謀共同正犯における共謀の特定

共謀の事実はその内部性・秘密性という特殊事情がある。
よって、必ずしも具体的な日時場所方法の記載を要しないと解する。

過失犯における過失内容の特定

過失内容は過失の存否の判断に必要であり、また、特定はそれほど困難でない。
よって、過失内容につき特定を要するというべきである。

罰条記載の要否

特別法においては、些細な事実の変化により罰条が変わりうる。捜査の流動性を
考慮すると、罰条の記載は不要である。

犯行文書等の引用は起訴状一本主義に反するか

訴因明示と予断排除の調和の観点から、明示に必要な限度を越える引用は256Yに違反すると解する。

起訴状への被告人の前科記載

予断排除という起訴状一本主義(256Y)の趣旨に反するから、違法である。

審判対象

現行法は当事者主義的訴訟構造を採用しているから、審判対象は検察官の主張する訴因であると解する。

訴因変更はいかなる場合に必要か

訴因は検察官による具体的事実の主張であるから、事実に重要な変化が生じれば訴因変更が必要である。

重要な変化とはいかなる場合か

訴因は被告人の防御の指標となるので、被告人の防御に不利益を及ぼす場合をいうと考える。
基準の明確性から、その判断は抽象的一般的になすべきと解する。

縮小認定の理論

縮小認定には訴因変更を要しない。なぜなら、検察官の訴追意思に反せず、また、被告人の不意打ちにもならないからである。

訴因と罰条の食い違いに罰条変更手続は必要か

不要である。罰条の変更は実質的に被告人の防御に支障を来たすとは言えないからである。

争点逸脱認定

被告人にとって不意打ちとなるから違法である。争点整理により争点の顕在化をはかるべきである。

公訴事実の同一性の判断

訴因は事実の主張であるから、日時場所方法等の基本的事実関係の同一性・近接性があれば同一性を認めてよい。
その判断に際しては、事実の択一関係性も考慮すべきである。

訴因変更の時期的限界

明文上の限界は無いが、訴因変更権の濫用と認められるような場合は許されないと解する。

現訴因では有罪だが、変更すると無罪となる場合の変更の可否

確かに訴因変更は検察官の専権だが、これをそのまま裁判所が認めるのは適正な刑罰権の実現の要請に反する以上、
少なくとも現訴因の維持を勧告しなければならない。

訴因変更命令義務の肯否

訴因の設定変更は検察官の専権であるから、原則として訴因変更命令義務はないと解する。
もっとも、@重大事件につき、A変更すべき訴因が証拠上明らかである場合には、適正な刑罰権実現の観点から、
例外的に、訴因変更命令義務があると解する。

訴因変更命令の形成力の肯否

訴因の設定変更はあくまで検察官の専権である以上、形成力は認められないと解する。

罰条変更命令義務の肯否

法令適用は裁判所の専権であるから、罰条変更命令義務は肯定すべきである。

罰条変更命令の形成力の肯否

法令適用は裁判所の専権であるから、形成力は認められる。

罪数判断に変化が生じた場合に必要な手続

罪数の変化に伴い、一罪一訴因の原則に反し、訴因の記載が不適法となるので、補正が必要である。
この際、事実の変化が伴う場合は訴因変更も必要となるので、訴因変更を含んだ補正をしなければならない。

訴訟条件の判断基準

審判対象を訴因と解する以上、訴因を基準とすべきである。

結果犯における公訴時効の起算点

結果発生時である。結果発生により処罰可能となるからである。

結果的加重犯における公訴時効の起算点

結果的加重犯として処罰可能となるのは加重結果発生時であるから、加重結果発生時を起算点と解する。

観念的競合における公訴時効の起算点

実質上数罪である以上、各個の犯罪事実ごとに時効期間を起算すべきと解する。

牽連犯における公訴時効の起算点

実質上数罪である以上、各個の犯罪事実ごとに時効期間を起算すべきと解する。

公訴時効停止の客観的範囲

公訴事実の同一性の範囲で生じると解する。この範囲で訴因変更でき(312T)、
検察官の訴追意思が及んでいるといえるからである。

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