各国の司法制度

意外と知らない他国の司法制度

以下は、司法制度改革審議会議事録からの引用である。
官僚による説明だが、非常によくまとまっていて、わかりやすい。
憲法の統治機構の受験知識としても有用だと思う。参考にして欲しい。
その際に配られた参考資料(米英仏独対照表、全てPDF)。

アメリカの司法制度

【早野主任専門調査員】 それでは、お手元の「諸外国の司法制度概要」のアメリカ編について、御理解の便に供するために若干説明させていただきます。

 アメリカの司法制度の特徴というのは、先ほどから出ておりますが、その社会の在り方に規定される地域主義に由来する多様性にあると考えられます。先ほど出ましたように、アメリカの場合、50の州と一つの連邦ということで、51の司法制度があると御理解いただければと思います。ここに書きましたのは、連邦でございます。連邦はその意味では51分の1でしかないわけでありますけれども、連邦であるだけにそれなりの影響力を持っていることは事実でございますので、これですべてでないにしても、おおまかなことが分かるという意味で連邦を中心に説明させていただいております。

 第1は、裁判所、裁判官でございます。連邦の裁判組織は基本的に三審制をとっております。州の方はかなり個性豊かな構造の裁判組織を持っておりますが、大体五つくらいのタイプに分かれると言われております。

 法制度上、州裁判所の管轄が非常に広いために、実際上もアメリカにおける訴訟の大半は州裁判所の方で処理されております。1998年の概数ですけれども、一般的管轄権を有する事実審では、州で3,000万件、連邦になりますと30万件と言われております。

 裁判官でございますけれども、アメリカの裁判官は連邦であろうと州であろうと、基本的に弁護士資格のある者から、正確に言えば実務経験のある法曹資格のある者から選ばれております。もっとも法律上は、連邦では弁護士資格を要求はしておりません。州レベルではかなりの数の州が弁護士資格のあることを要求しております。

 アメリカの裁判官の選任方法の特徴は、一つは政治性、二つ目は地域性ということだと思います。

 政治性というのは、政治家あるいは選挙民の意向がその選任過程に反映をするという意味でございます。

 地域性ということに関して言うと、連邦の裁判所に関しても、基本的にはその裁判官が執務する管轄区域内の土地から裁判官を選ぶという意味では、その地域性が徹底されていると言われております。

 アメリカ合衆国の裁判官の選任方法は、連邦の裁判官に関してみれば、大統領の任命ということになります。州に関しては、立法部による選挙、それから執行部による任命、及び裁判官の公選という三つのやり方がございます。ただ、この三つのやり方のうち、公選以外の執行部と立法部によるところの選任、これは連邦もそうですけれども、これは何らかの意味で裁判官の指名リストを作成する組織的な仕組みが何らかの局面で関与しております。先ほど御紹介のありました州の連邦地方裁判所に関しては、大統領と同じ党派に属している上院議員が自分の出身の州の者を候補者として意見を具申し、それを大統領が尊重するということになっておりますけれども、その上院議員が個人的に諮問委員会などをつくっている例が多いようであります。

 州に関しては、その諮問委員会というのが幾つかの州でつくられております。

 その諮問委員会の構成メンバーが弁護士とか議員、市民で、ときどき裁判官も含められるということですけれども、その諮問委員会の発想としては、法律家の独善を排するという観点で、非法律家を委員会に入れるという傾向が強く出てきているようであります。

 アメリカの裁判官の人事制度に関しては、連邦にしても、州にしても、裁判の独立の保障という観点で構築されております。いわゆる身分保障が一つであり、先ほど御紹介のありましたように、昇任あるいは昇給という制度がないことになっております。

 第2でございますけれども、検察官、司法省に関して、日本との比較でいきますと、アメリカの検察官制度の特徴は、まず連邦と州の二重構造になっているということでございます。そして、刑事犯罪の大半の部分は州法違反でございますので、州の検察官の在り方ということが、アメリカの刑事司法のかなり大きな部分に影響を及ぼすことになります。

 2番目の特徴は、アメリカの検察官は政府に属する弁護士というふうに観念されており、検察官が民事事件を担当したりすることがあります。捜査と公判に関しては、基本的には公判に重点を置いた形で活動しているようでございます。

 3番目の特徴は、キャリア性が極めて稀薄であるということでございます。これも先ほど御紹介がありましたけれども、10年も10何年もいるということではなく、数年間、自分のキャリアの1ステップとして検察官の職にあるというのが一般的な状況のようであります。

 4番目の特徴は、州の検察官が顕著な地域性を持っているということであります。検察官も選挙で選ばれる州が多いようでありますが、そうなってきますと、言わば選挙民に自分の地域の治安に関してどうやるかという公約を提示して、それを実践するという形で地域性が顕著になってきます。

 第3の弁護士、弁護士会でございますけれども、御存じのように、弁護士の数が多いこと、及び活動領域が広く、しかも政治や経済に能動的、かつ深く関わっていることがアメリカ弁護士制度の特徴として指摘されております。

 この弁護士の数が多いということに関しては、共通認識でございますけれども、注意すべき点が2点ございまして、一つは、全国的に多いのではなくて、部分的には過剰と過少があると言われております。つまり、弁護士過疎地域がアメリカにおいても問題になっているということでございます。2番目は、巨大ロー・ファームのことが言われますけれども、事務所規模の割合という意味では個人と、小人数の弁護士事務所の方が圧倒的でございます。

 それから、弁護士の数が過剰であるために弊害が生じているかどうかに関しては、アメリカ国内ではかなり厳しい意見の対立がございます。これはしばしば政治的な立場の相違を背景にしているようでございます。

 それから、アメリカの弁護士の在り方について、最近の動きとしては、一方では大都市を中心にビジネス化をめぐる弁護士像の揺れが指摘されていますけれども、他方でアメリカの弁護士の場合において、依然として地域社会とかコミュニティーへの責務意識、奉仕精神というのが日本と比べると非常に強いということが、現在においても一つの特徴になっていると思います。

 第4の法曹養成制度に関しては、ロー・スクールが特徴的な存在でございます。日本との比較で申し上げれば、法曹資格を得るためにはロー・スクールへ進むことが事実上強制されております。2番目に、日本の司法研修所のような実務訓練機関がございませんで、その分、ロー・スクールが一定程度、つまり基礎的な範囲で実務訓練的な機能を担っていること。第3番目に、日本のように法学部というのがない。第4番目に、以上の結果、ロー・スクールでは、一応、理論教育と一定の実務教育が統合された形で行うということになっております。

 ロー・スクールに対しては、アメリカでは基本的には積極的な評価がなされていますけれども、その課題も少なくないとされております。しばしば、ロー・スクールの教育が必ずしも実務の実践に役立っていないという実務訓練機関としての不十分さ、あるいは多様な実務の法的需要に応え切れていないという教育の多様性の乏しさ、あるいはロー・スクールの学費の高額化のために進学できる学生が限定されてしまうという危険性があるという形の指摘もなされております。その点に関する改善努力もロー・スクール側でやっておられるようであります。

 第5の裁判手続でございますけれども、民事裁判手続に関しては、日本との比較において、その特徴は、いわゆるディスカバリー手続、民事における陪審手続及び不法行為によるピューニティブ・ダミッジ、いわゆる懲罰的損害賠償、この三つが重要だろうと思います。

 このうちディスカバリー手続というのは、証拠開示というふうに訳されておりますけれども、しばしば改革の対象になっており、現在もこの改革が継続的に進められております。また、懲罰的損害賠償に関しては、ここ10年ほど一種の政治問題化しておりまして、これについても、議論はごく最近でもいろいろと続いております。

 このディスカバリーに関して若干補足いたしますと、ディスカバリーというのは、本来の立法趣旨は、不意打ちの防止、事実審理の短縮及び和解の促進という三つでございます。この事実審理の短縮や和解の増加、不意打ちの防止という目的に関しては、一応、達成されていると思われますけれども、しかしながら、このディスカバリーを巡って、これは訴訟前の手続になりますけれども、かなり時間を要し、その中で大変な費用がかかってしまうということで、ディスカバリーの乱用をどうするかという形で、1980年以降のアメリカの民事司法改革が、これを中心に進められていることも事実でございます。もちろん、これに対してディスカバリーの乱用という事実自体は一般的ではなくて、普通の事件では問題ないという指摘もございまして、ディスカバリーの問題をどういうふうに取り上げていくか、あるいは改革していくかということに関しては、未だに議論の視点が必ずしも明確になっているわけではないとは言えると思います。ただ、連邦最高裁の方としては、ディスカバリーの乱用をいかに防止するかという観点から着々と改革を進めているというふうに聞いております。

 刑事裁判手続に関しては、六つの特徴がございます。一つは、逮捕手続に関しては、広く無令状逮捕が行われているということ。2番目に、初回出頭手続という手続がございます。それから、予備審問という手続によって、証拠開示等の手続や事件回付などが行われている。それから、いわゆる司法取引、有罪答弁の制度、陪審手続という形になっています。

 それぞれ論じれば大変議論がありますし、日本にも類似の制度がないわけではございませんけれども、アメリカの場合は独自な展開をしていると言っていいと思います。

 今申し上げた罪状認否手続、いわゆるアレインメントの段階、またはその前後において、大体刑事事件の80%から90%が処理されて、いわゆるトライアル、事実審理に行くのはその10%前後であるというふうに指摘されております。

 陪審というのは、やはりよく知られた制度でございますけれども、アメリカにおいても絶えず議論の対象になっております。陪審が地域の公正な代表になっていないとか、陪審の負担が多いとか、コストがかかる、あるいは誤判が多いんじゃないかという批判が常に行われ、それに関してはアメリカ内においても、陪審制度に対する様々な改革の議論が行われています。

 それから、裁判外紛争処理手続ということでADRでございますけれども、アメリカ合衆国のADRの特徴というのは、三つ挙げることができると思います。

 一つは、市民レベルの運動、つまりコミュニティー・レベルの運動が先行したものであったということ。これは現在でもそういう傾向がございます。つまり、コミュニティーで自らの事件を処理していくという発想がまだ残っているということです。

 2番目に、非常にADRの形態が多様であることです。

 3番目に、訴訟手続に対する代替的な処理であるにもかかわらず、アメリカにおいてはかなり重要な一類型である訴訟付属型ADRという形で、いわゆる対審構造を持ったADRが開発されて、これがかなり利用されているという面があるようでございます。アメリカ合衆国では、1998年10月に連邦ADR法ができて、民事法改革の一貫として連邦地裁を中心にADRを拡充しようという動きが出ております。

 その他、ADRに関しては、仲裁とか調停などというインフォーマルな形態のADRに関しては、手続保障の観点から、AAA(アメリカ仲裁協会)で、プロトコールをつくるなどして改良が試みられているようであります。

 以上でございます。

イギリスの司法制度

【小島参事官】 続いて、イギリス連合王国の司法制度の概要をポイントだけに絞ってお話をさせていただきます。

 まず最初に申し上げたいのは、連合王国と言いますと、我が国では一つの国というふうに見えるのですが、司法制度に関しましては、イングランド及びウェールズ、それからスコットランド、北アイルランドという3地域におきまして、別個、独立した司法制度をとっておるということです。これは歴史的な統合経緯等からそういう形になっております。したがいまして、司法制度の面におきましては、統一はなされていない、言わば昔の地方分権の状態が現在も残っていると言ってもいいかと思います。本資料はその中のイングランド及びウェールズに関して記載しております。

 続いて、裁判所の構成でございますが、英国におきまして、通常、国民が利用しております裁判所には、我が国と同様に、ドイツ、フランスのような行政裁判所という司法権に属さないという裁判所はございませんで、基本的に全部司法権に属しております。

 我が国の最高裁判所に該当いたしますのが、貴族院でございまして、それを頂点といたしまして、我が国の高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所に該当する裁判所がそれぞれ置かれております。

 ただし、英国では、我が国の地方裁判所に相当いたしますのは、高等法院と刑事法院というふうになりますが、高等法院では民事関係の事件を中心として扱っておりまして、他方、刑事法院は刑事関係の事件のみを扱っております。また、簡易裁判所に相当いたしますところが、強いて言いますと、県裁判所と治安判事裁判所になりますが、県裁判所ではやはり民事関係の事件を中心に、治安判事裁判所では刑事関係の事件を中心にという形で、刑事と民事ということで、取り扱う裁判所が分かれているという特徴がございます。

 この裁判所のうち、県裁判所より上の裁判所におきましては、裁判官はいずれも法曹有資格者でございますが、一番下の治安判事裁判所、この裁判官であります治安判事のほとんどは、実際は法曹資格を有しておりません。そういう意味では全く法曹の専門的教育を受けていない方が裁判官として仕事をしておりまして、しかも、その仕事を無給でやっているという点に英国の特徴がございます。

 なお、貴族院でございますが、これは皆様御承知のとおり、イギリスの国会の一院でございます。したがって、立法機能も有しております。また、我が国で言う最高裁判所でございますので、その長官に当たりますのが大法官という役職でございますが、この者は議会としての貴族院の議長でもありますし、更に閣僚の一員でもございます。そういう意味では、我が国のような、厳密な意味での三権分立というのは実際には英国には存在していないというのが現状でございます。

 続いて、英国の法曹資格に関しましては、その歴史的経緯等から、バリスタ(法廷弁護士)とソリシタ(事務弁護士)の2種類が存在しておりまして、これは先進諸国の中ではイギリスだけでございます。

 バリスタとソリシタとの違いでございますが、依頼者との関係、裁判所における弁論権の2点にございます。

 依頼者との関係におきましては、ソリシタは、当事者から直接事件の法律相談を受けまして、事件の依頼を受けることができるのに対しまして、バリスタは直接事件の当事者から法律相談を受けることができませんし、また、事件の依頼を受けることもできません。また、裁判所における弁論権に関しましては、ソリシタは、先ほど御説明いたしました裁判所の中の県裁判所、治安判事裁判所という一番最下級の裁判所における弁論権しかありませんが、バリスタはすべての裁判所における弁論権が認められております。

 このようなソリシタ、バリスタの違いから、弁護士に事件を依頼したいと一般の方が思いますと、まず最初にソリシタのところに事件相談に行き、当該事件が高等法院、刑事法院以上の裁判所に係属する場合には、そのソリシタがバリスタに改めて事件を依頼することになります。これは依頼者から見ますと、時間も費用もかかるという制度になっております。このようなことから、英国では、現在、裁判所の利用者、司法制度を利用する者の利便を考えまして、このバリスタとソリシタの違いを解消する方向に進めつつあります。

 更にソリシタの業務と言いますのは、先ほども申し上げました裁判所における訴訟関係業務だけではございませんで、不動産の登記関係の手続、各種契約書の作成、行政機関への提出文書の作成等、我が国の司法書士、行政書士等が行うような業務も幅広く行っております。ただし、これらの業務に関しましては、必ずしもソリシタに独占させる必要はないのではないか、司法制度を利用する者の利便を考えるということから、既にソリシタの法律業務独占というのは英国では廃止をされておりまして、現在、自由競争になっております。

 このようなソリシタとバリスタの違いがございますけれども、その両者の間には制度上全く上下関係はございません。収入面におきましても、バリスタの方がソリシタより上というわけではございません。ソリシタの中には、いわゆる大規模なロー・ファームに勤務している者もおりまして、その者の収入はバリスタよりもはるかに上というケースもございます。

 次に、英国の法曹養成制度は、端的に申し上げまして、バリスタとソリシタでそれぞれ別個の法曹養成制度をとっております。したがいまして、両者統一した司法試験制度というものはございません。なお、アメリカのロー・スクールとは異なりまして、最終的な法曹資格を取得するためには、このバリスタ、ソリシタともそれぞれ実務研修が必要とされております。

 続いて、裁判官と検察官の御説明をさせていただきます。

 裁判官は、先ほど申し上げました無給の治安判事を除きましていずれも法曹有資格者でございまして、検察官も同様に法曹有資格者でございます。いずれもバリスタ、もしくはソリシタから任命されております。

 裁判官はバリスタもしくはソリシタとして実際に法律実務を行ってきた者から、主として40歳以上の法律家の中から任命されております。そういう意味では我が国と異なりまして、法曹一元制度が採用されております。ただし、当初から常勤の裁判官というわけではございませんで、当初は非常勤裁判官、その後の勤務状況を踏まえまして、常勤の裁判官やより上位の裁判所の裁判官に任命されるという仕組みになっております。従前は上位の裁判所の裁判官はバリスタが独占しておりましたが、最近はソリシタも上位の裁判所の裁判官になれるようになってきております。

 他方、検察官につきましては、裁判官と違いまして、法律実務の経験は必要とされておりません。バリスタもしくはソリシタになった直後の者でも、直ちに検察官になることができます。ただし、その中でも検察庁の長官だけは10年以上の実務経験が必要とされております。

 続いて、訴訟手続関係でございます。まず、英国の訴訟手続において、我が国と最も異なっておりますのが陪審制が採用されているという点でございます。先ほど米国の説明の中にも陪審制が触れられておりましたが、英国では、現在、米国と異なりまして、実際に陪審が行われておりますのは、刑事事件の事実認定に関する小陪審のみです。一部、民事陪審も名誉毀損等では残されておりますが、米国と異なりまして、起訴、不起訴を決定するという大陪審は既に廃止されております。したがいまして、英国で陪審と言いますと実際は刑事の小陪審のみを指して話をされております。

 続きまして、民事訴訟手続につきましては、英国の民事訴訟におきましても、我が国と同様、当事者主義が採用されております。訴えの提起後、割と米国に似ておりまして、当事者間におきまして、争点整理、証拠収集等の準備手続を行いまして、これらの準備が整ってから初めて法廷における正式審理、トライアルということを行って集中審理、更に判決という手続を取っております。

 ただし、トライアルが行われるまでは、従来、英国におきましては、比較的、裁判所が関与しておりませんで、当事者の交渉に任せていたという点がございます。我が国も現在、争点整理という手続で裁判所が非常に関与しておりますが、英国では、従前は裁判所は関与していなかったという点に我が国との違いがございます。

 そのように、トライアル前の準備手続が当事者間に任されているということが、結局、準備手続に時間がかかり過ぎてしまうということで、英国におきましても、民事訴訟に時間がかかり過ぎるという批判がございました。また、それに伴いまして、訴訟にかかる費用、特に弁護士費用、これは英国でもいわゆるタイムチャージ制で弁護士料が決まっておりますことから、費用がかかり過ぎるという批判がございました。結局、英国の民事訴訟手続は一般人にとって利用しにくいという批判がございました。

 そこで、これらの問題点を解決するために英国では民事訴訟手続の改正を検討いたしまして、1999年4月から裁判官による積極的な事件管理制度が導入されました。さらに、いわゆる民事事件を請求額に応じまして少額訴訟、ファースト・トラック、マルチ・トラックという3種類の手続に振り分けて手続を行うようにしております。ただし、今年の4月からでございますので、まだその効果はどれぐらい上がっているかは定かではないところだろうと思われます。

 続いて、刑事事件の手続でございますが、その前に、犯罪捜査・訴追の特徴を少しお話しいたします。

 我が国におきましては検察官のみが犯罪の訴追権限を持っておるのですが、英国では、いわゆる私人訴追主義を現在も採用しております。端的に言いますと、犯罪の被害者が、この者が犯人と思料すれば起訴ができるという仕組みでございます。ただし、そうは言いながらも一般私人が捜査を行うことは非常に困難でございまして、一般には警察が犯罪捜査を行いまして、警察が私人の立場で被疑者の訴追を行っております。

 また、英国の検察官というのは、そもそもイングランド及びウェールズで全国的な検察庁組織ができましたのがつい10年ほど前にすぎません。ということもありまして、検察官には犯罪捜査権限は認められておりませんし、また、訴追の権限も検察官としては認められておりません。単に、警察により訴追された事件の手続を打ち切る権限等が認められているだけでございます。

 また、被疑者の逮捕は、我が国と異なりまして、原則として警察による無令状逮捕でございます。逮捕後の被疑者の身柄拘束時間は無令状逮捕ということもございまして、最長でも96時間でございます。その期間内に警察は被疑者を訴追できなければ釈放せざるを得ません。また、被疑者には当番弁護士が付けられておりまして、取調べには弁護人の立会いが認められておりますし、取調べ状況はテープ録音がされております。

 英国の刑事裁判手続は犯罪の罪名によって3類型に分かれておりますが、このうち陪審裁判が行われておりますのは、刑事法院における審理だけでございます。刑事法院における刑事裁判手続では、起訴状の朗読後、被告人による罪状認否、アレインメントという手続を行いまして、その結果、有罪答弁がありますと、たとえ幾ら重大な事件でありましても、一切の証拠調べは行わずに、すぐに判決の言渡しの手続に入ります。

 他方、被告人が無罪答弁をしたときに限りまして陪審による審理が行われることとなります。その際には、検察側の冒頭陳述、証人尋問、更に弁護側の同じ手続、最後に検察・弁護側双方の最終弁論、裁判官の陪審員に対する説示、その後、陪審による評議を経て、陪審が有罪か無罪かの評決を言い渡す。その後、有罪であれば裁判官の判決言渡し手続ということになります。なお、この陪審の評決、すなわち有罪か無罪かという判断には何ら理由は付されておりません。また、その陪審の評決の結果である有罪か無罪かについて、これを不服とする控訴は原則としては認められておりません。

 このように英国の刑事陪審手続、一般的に英国は刑事陪審裁判と言われておりますが、刑事法院における審理のみに、しかも被告人が無罪答弁をしたときに限って行われておりまして、実際には大部分の事件というのは陪審を経ることなく被告人の有罪答弁等で処理されておるというのが現状でございます。

 また、英国の陪審制度につきましても、種々見直すべきではないかという批判が、アメリカと同様に行われております。特に大規模な経済事件については、一般民衆は経済取引等が理解できるのだろうかという疑問は従前からずっと言われているところでございます。

 以上でございます。

フランスの司法制度

【古財参事官】 フランス共和国の司法制度につきまして説明させていただきます。

 まず前提のお話ですけれども、御承知のとおり、フランスは王政からフランス革命を経て共和政、帝政等を経て現在第5共和政権にございます。総人口は我が国の約2分の1であり、フランス法の特徴といたしましては、英米法の基礎が今日でも判例法であるのに対し、ドイツ法始め他の大陸諸国と同様に制定法中心の法構造を持っております。

 また、フランスの統治機構は中央集権性が強く、大統領の強大な権限を背景としつつも、三権分立の原則に立ち、司法権の独立の原則は憲法上維持されております。それでは、以下、この資料の記述に従いまして説明させていただきます。

 まず裁判所ですが、我が国の裁判所は弾劾裁判所を除いてすべて司法権に属する司法裁判所であるのに対し、フランスではこうした司法権に属する司法裁判所のほかに、司法裁判所から独立し、行政権に位置づけられている行政裁判所がございます。更には、司法権にも行政権にも属さない機関としての憲法院がございます。

 司法裁判所と申しましても、第一審だけでも幾つかの種類のものがございます。我が国の簡易裁判所に相当する小審裁判所や、我が国の地方裁判所に相当する大審裁判所、重罪院といったものがございます。そのほかにも少年の犯した刑事事件を扱う少年裁判所、少年重罪院、商人間の紛争関係事件や企業等の倒産を扱う商事裁判所、労働契約上の個別的紛争事件を扱う労働審判所がございます。

 このうち、商事裁判所では、商人により選挙された3人の非職業裁判官の合議による審理が行われております。もっとも、1998年の閣議声明によりますと、2002年までには、職業裁判官と、非職業裁判官のいわゆる参審の形態による紛争解決システムに移行するということが予定されているようでございます。

 それから、労働審判所でも、使用者及び労働者双方から選挙された非職業裁判官の合議による審理が行われますが、判決が可否同数のときは、新しい口頭弁論期日が開かれ、そこで職業裁判官が関与の上、全審判官の評議の後に判決を下すということになっております。

 少年裁判所では、職業裁判官とともに非職業裁判官が加わって審理が行われております。

 次に、行政裁判所ですが、行政事件一般の一審である地方行政裁判所、その上訴審である行政控訴院、行政控訴院の判決に対する上告審であるところのコンセイユ・デタというものがございます。

 フランスの裁判官でございますが、司法裁判所の裁判官は検察官と同一の職業集団としての司法官を構成しております。国立司法学院というところの卒業生から任命され、定年までその職にとどまるキャリアシステムが採用されております。大学教授や弁護士、公務員から直接採用される道もあるようです。

 他方、行政裁判所の裁判官は、これは司法官ではなくて行政官でございまして、その中核部分は中央官庁等の最上級公務員と同様に国立行政学院の卒業生から採用されております。

 検察官、検察局でございますが、検察官の職務内容は基本的に我が国の検察官と同様でございます。ただ、検察局というのは、これは司法裁判所である大審裁判所、控訴院、破棄院にそれぞれ所属している点において、行政機構に属する我が国の検察庁とは異なった特徴を持っております。

 弁護士の職務内容につきましても、基本的に我が国とよく似ております。また、弁護士会が大審裁判所の所在地ごとに自治組織として設けられており、必ず弁護士会に登録しなければ、その職務を行うことはできないという点においても、我が国と同様であると言えます。

 次に、法曹養成制度ですが、我が国の制度と最も大きな違いは、司法官である裁判官・検察官と弁護士とを別々に養成するという分離養成制度を採用していることであります。

 司法官につきましては、選抜試験の合格者が毎年200名でございます。合格後、国立司法学院で2年7か月の研修を受けます。この研修ではマン・ツー・マン方式での裁判実務など各種の実務修習が行われております。

 次に、弁護士でございますが、州の弁護士研修センターへの入所試験に合格した後、同センターにおいて共通基礎教育と実務修習から成る研修を1年間行い、その研修修了後に、弁護士職適格証明を取得するための試験を受けることが必要となっております。この試験の合格者は1,300人から1,400人です。

 この弁護士職適格証明の取得後、弁護士会に研修弁護士として登録し、通常の弁護士とほとんど同等の権限を持って2年間の実務修習を行い、研修センターから研修修了証明を得て、弁護士会に本登録をすることになっております。

 最後に、裁判手続でございますが、まず民事事件についての特徴を申しますと、次の3点になろうかと思います。

 一つ目は、大審裁判所では必ず弁護士を選任しなければならないという弁護士強制主義がとられていることであります。

 二つ目は、法定額の範囲内の弁護士報酬は、訴訟費用として敗訴当事者の負担になるという制度をとっていることでございます。

 三つ目は、証拠の取扱いでございますが、書証が極めて重視されておりまして、我が国と異なり、人証の取調べが行われるということはまれなことでございます。

 なお、迅速性ある解決を志向したフランス特有の制度としてレフェレというものがございます。これは公開の法廷で両当事者が対席の上、通常1回の弁論期日で審議が終了いたします。申立人が相手方を特定の期日に呼び出せるため、弁論期日が開かれる間までの期間が短いことが特徴でございます。そこでの判断は、あくまで仮の性格のものであり、本案訴訟の結論を拘束しませんが、レフェレ発令後、本案訴訟が提起されることは少ないということ、それから、レフェレの申立件数が多いということからしますと、実質的な紛争解決機能を相当果たしているものと考えられます。

 次に、刑事事件でございますが、検察官が訴追するほか、被害者も私訴原告として予審判事に予審開始請求ができるという点が特徴として挙げられると思います。

 また、被害者は、被告人を、直接、大審裁判所の刑事部に相当する軽罪裁判所に呼び出すこともできます。

 それから、その犯罪から生ずる民事不法行為責任について刑事手続において同時に損害賠償請求ができる、いわゆる、附帯私訴というものをとっていることが特徴として挙げられるかと思います。

 また、職業裁判官が、予審というものに関与する予審制度というもの、これは事実上は重大または複雑な事件に限られておりますけれども、こういう予審制度を設けているということも特徴の一つとして挙げられると思います。

 少年重罪院では、国民から選出された陪審員が審理に参加するという説明がなされておりますけれども、この陪審員というのは、実は、裁判官とともに審理、評決を行うというもので、実質的には参審制でございます。したがって、フランスでは、いわゆる講学上の陪審ではなく参審制が一部に採用されているということでございます。

 以上でございます。

ドイツの司法制度

【丸島主任専門調査員】 最後のドイツでございます。我が国との違いなど、ポイントを絞って御説明いたします。

 第1に裁判所・裁判官の制度についてですが、ドイツは、日本とほほ同じ面積で、人口では、日本の約3分2の国でございます。連邦制の国家でございまして、全国の16の州から成り立つ国であります。したがって、裁判所も、連邦の裁判所と州の裁判所という構成になっております。

 まず一つの特徴は、憲法裁判を行う憲法裁判所が連邦と州のそれぞれにある。それから、一般の事件については、民事、刑事などを扱う通常の裁判所、これは区裁判所などがありますが、この分野のほかに、労働事件の労働裁判所。それから行政、これはかなり広範な様々な公法に関わる事件を扱う行政裁判所。健康保険やそのほか社会保険に関する事件を扱う社会裁判所。税金に関する事件を扱う財政裁判所というように、それぞれの分野の裁判所が下級審から連邦の上級審まであるというところに特徴があります。

 裁判所の庁数などを見ますと、かなり多くの裁判所が設けられているようであります。

 連邦の各裁判所は、首都に集まっているということではなくて、大体五つくらいの都市に、国内各地に分散して設置されております。

 憲法裁判所は、我が国では具体的な事件を判断する上で憲法判断というものが行われますが、ドイツにおいては、具体的な事件を離れて法令一般の憲法適合性を判断する、これは抽象的法令審査権と申しますが、そうした判断権を持っております。

 また、公権力から基本権を侵害されたとして、国民から申し立てる場合でありますとか、自治体などが自治権への侵害を理由とする訴えなども憲法裁判所で行われているようであります。

 一般の裁判所でありますが、通常事件の裁判所、これは「概要」に詳細を書いておりますので、お読みいただければと思います。地方裁判所では民事事件は原則として3人の職業裁判官で審理いたしますが、一定の事件では1人の職業裁判官と国民の中から選ばれる2人の名誉職裁判官で審理されるということであります。

 通常裁判所以外の労働裁判所、行政裁判所、社会裁判所、財政裁判所などでは、職業裁判官と国民の中から選ばれる名誉職裁判官の一定数の組み合わせで審理を行うというシステムがあります。

 刑事事件につきましては、第一審では、3人の職業裁判官と国民の中から選ばれる2人の参審員で行われます。刑事裁判では名誉職裁判官のことを参審員と言います。

 裁判官は、一般の公務員とは異なる官職とされ、独立した地位にあるとされております。先ほど申し上げましたとおりに、裁判官には職業裁判官と名誉職裁判官がありまして、職業裁判官の数は、およそ2万人余といわれております。

 キャリアシステムの職業裁判官につきましては、いわゆる司法試験に合格し、司法修習修了後の国家試験に合格した者から任用されます。最初は試用裁判官ですが、その後、終身の裁判官に任命されます。終身制であり、裁判官の転勤がないこと、あるいは人事について裁判官人事委員会が設けられていることや、給与や市民的自由の保障の点など、独立した地位を保障するための様々な制度が設けられているようであります。

 名誉職裁判官、これはキャリアではなく一般国民から選出される裁判官の呼称ですが、それぞれの裁判所ごとに一定の年齢以上の国民から選任されます。任期は通常4年程度とされております。その選任にあたっては、例えば名誉職裁判官が年間12日の通常開廷日を超えて招集されることがないよう人数が定められるなどの配慮がされているようです。職務の遂行に対しては、一定額の費用補償がされるということであります。名誉職裁判官も審理や合議においては、職業裁判官と同様の権利義務を持って活動しております。

 検察官につきましては、我が国と同じく捜査、訴追、公判の維持等に当たります。

 検察官は、公判手続において公益を代表して刑罰の請求を行い、捜査に当たっては、被疑者に不利な事情だけでなく有利に働く事情も捜査するなどとされています。いわゆる検察官の客観義務などとして論じられているところであります。

 検察官の数は約5,000人とされております。

 次に、弁護士、弁護士会であります。

 弁護士も裁判官と同様に司法修習を経て二回試験に合格しなければなりません。ドイツの特徴は、一つは、地方裁判所以上の裁判所の民事事件では、当事者は弁護士を代理人として付けなければならない、弁護士強制主義がとられているということです。しかしながら、他方、労働裁判所や行政、社会、財政裁判所などでは、必ずしもこのような強制主義はとられておりません。

 もう一つは、民事事件では、弁護士は一定の地域、例えば自分の事務所所在地の裁判所で許可を得て、その範囲でしか活動できないという制約があります。しかしながら、近年の法改正で、法人組織を設けて弁護士業務を行えるようになりました。この場合には全国の複数の裁判所で民事事件の代理人となることが可能となっております。

 なお、刑事事件では弁護士はいずれの裁判所でも弁護人として活動できます。

 十分な資力を持たない方も裁判手続を利用できるようにするために、訴訟費用援助法や法的助言援助法などが整備されています。これによって弁護士費用を含む訴訟費用についての援助、あるいは法律相談に対する援助などの制度が行われているということであります。

 弁護士の数は近年急速に増加し、9万人を超えているようであります。その背景には欧州の統合等の諸事情があるようですが、相当数の弁護士が兼職をしていると伝えられております。

 法曹養成制度ですが、司法試験や法曹養成が各州ごとにそれぞれ実施されております。

 法曹の資格要件としては、州立大学の法学部で4年程度の課程を修了しまして、司法試験に合格します。その後、約2年の司法修習を終えて、国家試験に合格して資格を取得します。いずれの試験も合格率は7割、8割とかなり高うございます。司法試験は司法修習生の採用ということだけでなく、法学部卒業試験の機能も有しているということであります。また、資格試験に徹しているため、このように合格率も高いということであります。

 司法修習生は公務員として給料を支給されておりますが、日本で言うところの司法研修所というのはないとのことです。修習は法曹三者のそれぞれの実務修習のほかに、行政部門や、場合によっては外国での修習を選択することも可能だということであります。

 特徴的なことは、二回試験の合格者からは、法曹三者だけではなくて、行政官や企業などの多様な分野にも法律専門職として進出しているということであります。法曹三者と行政官、企業の法律専門職も含め、統一法律家という概念で説明されております。民間企業、行政官庁には数万人規模の試験合格者がいるとされております。

 なお、裁判官、弁護士など、一定の勤務をするためには、二回試験の成績がかなりよくなくてはならないということで競争は厳しいようであります。

 民事事件につきましては、裁判の迅速・効率、あるいは口頭主義や直接主義で審理を充実させることを目指した簡素化法というものが施行されております。できるだけ準備手続を充実させて、1回の期日に集中して証拠調べをして判決をするというような手続が施行されているということであります。

 その実際の運用については、様々な評価もあるようです。

 ドイツでは区裁判所は原則的な第一審裁判所と考えられるほどに、多数の、かつ日常生活の多くの事件が持ち込まれているとのことであります。

 民事事件については、裁判所の役割がかなり大きいようです。証人尋問などでも裁判官が主要に質問し、弁護士は証人との事前打合せなどは原則として行わないほか、証拠収集などの行動を積極的にとることはしないというふうに、我が国における民事裁判の弁護士の活動スタイルとはやや趣を異にするものであるとのことです。

 刑事事件でありますが、捜査手続、公判準備手続(中間手続、公判開始決定手続)、主要手続(公判準備と公判)の3段階から成ります。一つの特徴は起訴法定主義ということでございまして、事実関係について、十分な証拠がある場合には、原則として検察が公訴を提起し、裁判所の判断を仰がなければならないとされております。ただ、例外が少しずつ増えているとのことです。

 また、公判では、実体的な真実の解明のため、職権主義的な審理が進められるとのことであります。

 刑事手続のそれぞれの段階で一定の要件に該当する場合には、必要的に弁護人が選任される国選弁護人制度がございます。

 刑事事件の審理の特徴は、参審員ということでありまして、25歳から70歳未満の国民から、地方自治体が作成した推薦名簿に基づいて参審員の選定委員会を経て選出されます。これらの参審員も職業裁判官と同様の諸権利を持つということでございます。

 その他は、この「概要」に書かれたとおりでございます。

おまけ

以下も同議事録からの引用である。
上記の説明を受けた後、「こんなんじゃわかんねーよ」とゴネる中坊公平委員と、
それをたしなめる井上正仁委員らのやりとり。
(以下、引用)

【中坊委員】 希望ですけれども、いただいた資料とお話ししていただいた資料とでは、むしろお話ししていただいた方がかなり量が多いですね。そうすると、今日は現に4人欠席でしょう。議事録と合わせればいいんでしょうけれども、皆さんも恐らくこれで今聞いて、頭に入った人はいらっしゃらない。ほぼ不可能に近いようなことで、しかも突然出されて、もう疲れ切っている人に、またこういうことというのは極めて私はよくないと思います。こういうことをしていたら。

 もし書かれるなら、資料というものをもう少し、今日お話しになったものもある程度詳しく書いていただいたら、私たちが読んで頭に入ることであって、何も口頭弁論ではあるまいし、ここでみんな直接に聞かなくてもいいわけですよ。だから、もし可能ならば、資料と今日お話ししていただいたのでは、今日の話の方が詳しいわけですから、その詳しいものをちゃんと一つの資料として、現に4名もこの時間帯には欠席の委員もいらっしゃるわけでしょう。その二つを切り離して二つ読めばいいというような不親切なことにせずに、これは事務局として二つを合わして、もう少し詳しいものであれば、我々でも読もうと思えば読めますから、読めるようにしたものを委員に配付していただくと。そうではないと、外国の事情ということに関しても、一人ひとりが恐らく頭に入らないと思います。その点は会長におかれても、事務局におかれても、もう一度よく御配慮いただいて、確かに重要な一つの資料なのですから、諸外国の例ということは。それが委員の頭に入るような、単に形式的にやったというんじゃなしに、実質的に頭に入るような取扱いをしていただきたいと思います。

【井上委員】 基本的には資料の中身を要約されたお話で、これよりは詳しくなかったように思うのですが。

【中坊委員】 詳しいところもありました。

【井上委員】 この資料だけでも、初めての方には読み通すのも難しい。それはしようがないところがあるのです。このような外国法制の研究も一つの柱として飯を食ってきました私なども、随分時間をかけて勉強してきたので、何とか分かるのですから、何度もうかがわないと難しいと思います。今後また海外調査などの予定もありますから、その前にまたうかがう機会でもあればよいのではないでしょうか。

【中坊委員】 今日のこの資料で、今日の話を聞いた分と、それから今いただいたものと二つ合わせれば分かるというのではなしに、全部載った分を一つにしてあげれば、だれでも読もうと思えば読めますから、読めるような状況にしてあげないと。二つに切り離して、私らは今日聞きました。あれだけ早口で話しされて頭に入ったかというのは問題でしょう。しかも、この時刻に突然出してやって、頭に入りませんよ。だから、実質的に意味のある審議をしなければ、この審議会はそうでなくてもそう言われているんだから、やはり私らが本当に分かるような審議をすべきだと思います。

 だから、こういう状態で、これで一応諸外国の例は事務局もちゃんとやって、要領よく説明していただいて、委員が分かりましたということを前提にして議論を進めていくと、こんなになる。

【佐藤会長】 御趣旨はよく分かりました。この資料はこの資料として、全体を通して見るのも大変なのです。1ページに要約したものが出ていますけれども、今日の話と併せて、お読みいただければよい。

【井上委員】 今日の説明を起こしたものと資料を1冊に綴じればいいのではないですか。

【佐藤会長】 書き直す必要はないから。

【事務局長】 何とか考えてみますけれども、これだけの要約だけでも随分手間がかかりまして、今日、このサマリーの説明をしてもらいたいという要請がありましたから、その説明をしろということで、5分くらいでまとめろと言ったら、やはりまとめ切れずに10分くらい。あれもこれも説明したいという参事官たちの気持ちも分かるんでありまして、それで早口で10分間でまとめたということでございましょう。その辺りの事情をひとつよろしくどうぞ。

【中坊委員】 せっかくみんなのしてくれはったことが、みんなと連結せんとあかんやろ。だから、連結するような努力は、これは事務局においても、会長さんにおいても、会長代理におかれても、よく連携していただかないと、委員がみんなが頭に入るようなやり方でやっていただくというふうに一つお願いしますということを言っているだけです。

【佐藤会長】 だから、起こしたものを一緒にすればよいのではないか。さっきも申したように、これ一遍読んでもなかなか分からんのです、私だって。しかし、その都度その都度自分の問題意識で読むとよく分かるときがあります。そういうとき、なお分からないところは事務局に聞いていただきたいということを申し上げているわけです。何度もやらないと、これは入りません。

【中坊委員】 何回もやるように、ひとつよろしく。

(引用終わり)

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