新司法試験合格者数700人説について

飛び交う憶測

新司法試験の合格者数について、ここ数日様々な噂が飛び交っている。
その中で、注目したいのは「新司法試験合格者700人説」だ。
一部のロー生や掲示板で広まっているようである。
実際にそのような数字になることはありうるのだろうか。

常識的にはありえない

普通に考えれば、ありえない数字である。
法務省は900〜1100と公式にアナウンスをしていた。
700人しか受からせないとなれば、嘘をついたことになる。

しかも、法務省には法曹の増員という方針がある。
それに反するような決定をするとも考えにくい。
質の悪い合格者が大量に出て困るのは研修所や現場の実務家である。
法務省は大して困らない。
従って、法務省としては、合格者数を減らす理由は何も無いのである。

一つ目の可能性

ただ、法務省としてもどうにも調整のしようのないケースが一つある。
それは、足切りだ。

以前の記事にも書いた通り、新司法試験では、足切りは素点を基準になされる。
そうすると、採点する考査委員は、落としたい受験生を確実に落とすことができる。
(実際には、複数の採点者の平均をとるので、厳密には100%ではないが)
いわば、考査委員に拒否権が与えられているのである。
旧試験の頃から、考査委員は法務省の意向に従わないことが多かった。
それは、考査委員が学者と実務家(研修所教官兼任が多い)で構成されるからだろう。
彼らが今回も法務省の意向に反し、大量の受験生に対し、拒否権を発動したならば、
法務省はどうすることも出来ない。

もう一つの可能性

あと、もう一つ気になることがある。
それは、新司法試験は絶対評価で合否を決めようとしているのではないか、ということだ。

それを感じたのは、択一の最低点の設定である。
択一の結果発表(PDF)を見て欲しい。

合格点は、満点のちょうど6割なのである。
この数字は、同時に受験生の約8割という数字でもある。
旧試験の発想なら、大体下2割を落としたのだな、と解釈できる。

しかし、それは違うのではないか。
法務省側で、事前に6割に達していれば何人でも受からせるが、達していなければ全部落とす、
と決めていたのではないか。
つまり、「競争試験ではなく、純粋に資格試験にする」という方針を貫いたのではないかということである。

そうなると、論文でも同じように、事前に、例えば合格点は満点の6割というように決められているのではないか。
しかし、これでは、受験生の出来次第で合格者数が大きく変わってしまう。
極端に言えば、合格者ゼロということもありうるわけである。

そして、論文の採点というのは、旧試験の頃から厳しくおこなわれがちだった。
相対評価のときはそれでも良かった。
しかし、絶対評価となると、話は大きく変わる。

受験生の出来を聞く限り、合格者700人もありうる。
というより、その可能性のほうが大きいともいえる。

実際のところはどうなるか。まだわからない。
ただ、絶対評価だったかどうかは、調整後の合格点を見ればわかる。
択一のようにキリのいい数字になっているはずだからだ。

仮に以上の話が当たっているとすると疑問がある。
法務省はなぜ、合格者が減るようなやり方を決めてしまったのか。
完全に推論になるが、法務省としては、たくさん受からせるための絶対評価というつもりだったのではなかろうか。
一定水準を越えた受験生を全部合格させることができるからである。
しかし、それが、逆に作用してしまった。
こういうことではないか。

結論

そういうわけで、今のところ、合格者700人の噂が事実となる可能性としては、
大量の足切り、または、絶対評価による合否判定、のいずれかだろうと考えている。

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