新司法試験合格者発表についての感想

無難な結果

新司法試験の最初の合格者が、発表された。
合格者数1009人。予想された範囲の数字だった。
波乱はなかった。

人数で切った

700人説は、やはり噂に過ぎなかった。
点数で切るのか人数で切るのか、注目されたが、人数で切ったと考えてよいだろう。

ちなみに、点数で切るとどうなるか。
法務省発表の総合得点分布(PDF)を見れば、これがわかる。

これを見る前提として、一つ問題がある。
総合得点の満点は、何点だろうか。
択一が350点満点、論文は800点満点なので、一見総合得点の満点は1150点のように思える。
だが、それでは、トップの人間(1453点・・怪物である)は、満点を越えてしまう。
実は、択一と論文では、その比重を1:4とすることになっている。
そのため、論文の満点は、350*4=1400点に調整される。
詳しくは、法務省発表(PDF)を参照して欲しい。
結局、総合得点の満点は1750点なのである。

そうすると、その6割(60%)は1050点。
これだと、合格者は365人になる。
また、5.5割(55%)だと、約962点。
これだと、合格者は758人になる。
合格者700人説は、ひょっとするとこのあたりから出てきたのかもしれない。

結局、実際の合格点は、915点、52.2%である。
キリの悪い数字であるから、以前指摘した通り、これは点数による絶対評価ではないだろう。

足切り

そして、足切りだが、実際に該当者が出た。
もっとも、該当者はわずか12名であるから、おそれていた程ではない。

ただ、一つ気になることがある。
以前の記事で、旧試験では、得点調整が足切りからの救済として機能したと説明した。
新司法試験では、素点基準であるから、足切りが出るであろうと。

しかし、今回の結果を見る限り、得点調整は逆に機能している。
論文における最低点は、民事系75点、公法系・刑事系が50点である。
得点分布表(調整後の点数)でみると、これに達していない者は、公法系10人、民事系11人、刑事系7人となる。
一方、最低ラインに達していないとされている者は、公法系1人、民事系5人、刑事系1人とされている。

調整後の方が、足切り該当者が増えている。
つまり、素点ベースにしたおかげで、足切りにならずに済んだ者がいるのだ。

従って、以前の記事で書いたことは、誤りだったかもしれない。
今後、再検討の必要がある。

旧試験はどうなる?

以前の記事で書いたが、新司法試験合格者が約1000人ということになると、
旧試験の合格者は500人に近い数字になると予想できる。
おそらく、600はないのではないか。
あまりに単純な予測ではあるのだが。

マスコミの報道

一部メディアでは、「合格率が3%から48%になった」などと報道しているようだ。
旧試験はまだ存在している。こちらの合格率は紹介しないのか。
そもそも、新試験は全く別の制度である。
ロー入学時の競争もある。
それも含めての合格率を出さなければ、比較のしようがないだろう。

このようないい加減な報道を続けるから、ネットに負けるのである。
マスコミ関係者は反省して欲しい。

戻る