平成18年度旧司法試験論文の出題趣旨について(民訴法)

【民事訴訟法】

第 1 問

訴状の必要的記載事項の趣旨を明らかにした上で,その不備を理由とする訴状の却下について,その裁判の形式と効果を踏まえて,説明せよ。

(出題趣旨)

訴状に必要的記載事項の記載が要求される趣旨の基本的な理解とともに,その記載に不備がある場合に裁判長の命令によって訴状が却下されることの趣旨及び訴状却下命令の効力について問う問題である。訴状の必要的記載事項が当事者の確定及び訴訟上の請求の特定のために要求されることに触れ,裁判長の訴状審査権と補正命令の概要を説明した上で,訴状却下命令のための審理において口頭弁論が開かれない理由や命令の既判力の有無等を論ずべきである。

【コメント】

出題趣旨をそのまま答案構成にしても良さそうな感じである。
項目を落とすとそのまま評価につながっている。

なお、137条と140条を間違えただけでは、さほど評価を落としていないようである。
むしろ、既判力の有無などについて、対象・範囲の不確定性から説明できているかどうかという点の方が重要だったように思う。

第 2 問

 株式会社Xは,Yとの間で中古の機械を代金300万円で売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し,当該機械をYに引き渡したが,Yが代金の支払をしないと主張して,Yに対し,本件売買契約に基づき代金300万円の支払を求める訴えを提起した。
 この事例に関する次の各場合について答えよ。
 1  Yは,第1回口頭弁論期日において,(1)「Xとの間で本件売買契約を締結したことは認めるが,契約締結後に当該機械の性能では購入の目的を達成することができないことが判明したから,本件売買契約は錯誤により無効である。」と主張した。ところが,第2回口頭弁論期日において,Yは,(2)「Xと本件売買契約を締結したのはYではなく,Yが代表取締役をしている株式会社Zである。」と主張した。
 Yの(1)及び(2)の各主張の訴訟上の意味を明らかにした上で,(2)の主張の訴訟法上の問題点について論ぜよ。
 2 Yが,第1回口頭弁論期日において,「Xと本件売買契約を締結したのはYではなく,Yが代表取締役をしている株式会社Zである。」と主張したため,Xは,Yに対する訴えを取り下げた。その上で,Xは,改めてZを被告として同様の訴えを提起したところ,Yは,Zの代表取締役として,「Xと本件売買契約を締結したのはYであり,Zではない。」と主張した。
 裁判所は,Zの主張をどのように取り扱うべきか。

(出題趣旨)

 1は,裁判上の自白,抗弁及び否認を正しく理解しているかを問う問題である。(1)の主張は自白及び抗弁から成ること,(2)の主張は積極否認であり,かつ,自白の撤回であることをそれぞれ理由を付して指摘した上で,自白の拘束力の内容及びその根拠,自白の撤回が許される要件について論ずべきである。2は,民事訴訟においてどのような場合に信義則が適用されるかを問う問題であり,XY間の訴訟とXZ間の訴訟とが当事者を異にする別訴訟であることを踏まえて検討すべきである。

【コメント】

民訴の出題趣旨は明快である。
この通りに書いてあればA評価になっている。
一つ落とすごとに評価が下がる。
非常にわかりやすい結果だった。
民訴は予備校答練と同じような感覚でいいということである。
特に差がついたのは、「撤回が許される要件」と「当事者を異にする別訴訟であることを踏まえて」の2点である。
この点を落としていた人が多かった。

なお、1の(1)を権利自白としたかどうかは、評価に影響はないようだが、出題趣旨を見る限り、出題者は通常の自白として考えていたのだろう。

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