平成18年度新試短答公法系第11問解説

【問題】

思想・良心の自由に関する次のアからエまでの各記述について,誤っているもの二つの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。

ア. 憲法第19条の思想・良心の自由は,人の内心における精神活動の自由を保障したものであり,人の内心は何らかの形で外部に表明されない限りだれも知ることができないものであるから,その意味では,思想・良心の自由の保障は絶対的なものである。

イ. 江戸時代の日本においてキリシタンであるか否かを告白させる目的で行われた「踏絵」は,内心における宗教的信条の告白を強制するものであるが,信教の自由を保障している日本国憲法の下では,このような事例に対して憲法第19条を適用する余地はない。

ウ. 最高裁判所の判例によれば,「単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するに止まる程度」の謝罪広告であれば,これを新聞紙に掲載すべきことを命ずる判決は,被告に屈辱的若しくは苦役的労苦を科し,又は被告の有する倫理的な意思,良心の自由を侵害することを要求するものとは解されない。

エ. 憲法第19条は,内心の告白を強制されないという意味では「沈黙の自由」を保障したものと解することができるから,「自己に不利益な供述を強要されない」と規定する憲法第38条第1項は,憲法第19条との関係では一般法に対する特別法の関係にあると一般に解されている。

1. アとイ  2. アとウ  3. アとエ  4. イとウ  5. イとエ  6. ウとエ

【解説】

アについて

思想・良心の自由は、内心にとどまる限り、他者の人権との衝突を生じない。
従って、内在的な制約の余地は無く、絶対的な保障となる。
正しい。

イについて

内心の宗教的信条の告白が強制される場合、信教の自由と思想・良心の自由の双方の侵害となる。
よって、誤り。

ウについて

肢は、謝罪広告事件判例の判旨であり、正しい。

エについて

「 憲法第19条は,内心の告白を強制されないという意味では「沈黙の自由」を保障したものと解することができる」という部分は正しい。
しかし、憲法38条1項の自己負罪拒否特権は単なる事実の認識についてのものである。
これに対し、思想・良心の自由には、単なる事実の認識は含まないというのが一般的である。
従って、38条1項と19条が一般法と特別法の関係にあるとするのは誤りである。

以上から正解は、5となる。

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