平成18年度新試短答公法系第20問解説

【問題】

次のアからウまでの各記述について,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合
せを,後記1から8までの中から選びなさい。

ア. 地方自治法は,地方公共団体として,普通地方公共団体と特別地方公共団体とを定めている。
同法は,一時期,都の特別区について,その区長は特別区の議会が都知事の同意を得てこれを
選任するものと定めていたところ,最高裁判所は,特別区は憲法上の地方公共団体には当たら
ないものと解して,これを合憲としたが,現在の地方自治法では,都の特別区も,都道府県及
び市町村と同じく普通地方公共団体とされており,その区長は選挙人の投票により選挙される。

イ. 憲法第93条第1項は,「地方公共団体には,法律の定めるところにより,その議事機関とし
て議会を設置する」と規定している。したがって,地方自治法で,小規模の普通地方公共団体
について,条例で,議会を置かず,選挙権を有する者の総会を設けることができる旨を規定す
ることは,憲法に違反する。

ウ. 憲法が,基礎的な地方公共団体と包括的な地方公共団体からなる2段階構造を保障している
か否かについては,議論がある。これを肯定する立場は,憲法が,制定当時の地方制度,すな
わち市町村と都道府県からなる地方制度を前提にして地方自治を保障したことを尊重するもの
であるが,この立場からしても,都道府県より更に広域の道州のような自治組織を設けること
は,必ずしも,憲法に違反すると解すべきことにはならない。

1. ア○ イ○ ウ○   2. ア○ イ○ ウ×   3. ア○ イ× ウ○
4. ア○ イ× ウ×   5. ア× イ○ ウ○   6. ア× イ○ ウ×
7. ア× イ× ウ○   8. ア× イ× ウ×

【解説】

アについて

特別区は、普通地方公共団体ではない。
特別地方公共団体である(地方自治法1条の3第3項)。
よって、誤りである。

イについて

地方自治法94条は、町村について、町村総会の設置を認めている。
この総会は、憲法93条1項には反しないとされている。
よって、誤りである。

ウについて

二段階保障説は、以下のように考える。

地方自治の本旨の内容は、住民自治と団体自治である。
市町村は、地域住民の身近な意思を汲み上げるのに適するから、住民自治に資する。
他方、都道府県は国と対峙するだけの広域性を備えるから、団体自治に資する。

以上のような考え方からすれば、都道府県より広域の道州のような自治組織は団体自治に資するといえる。
従って、必ずしも、憲法に違反すると解すべきことにはならない。

よって、正しい。

以上から、正解は7である。

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