平成18年度新試短答公法系第24問解説

【問題】

行政機関の種別に関する次の記述について,アからエまでの下線部の各記述につき,それぞれ正
しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

 行政機関には,行政庁,諮問機関・参与機関,執行機関,補助機関等の区別があるとされる。
まず,行政庁とは,行政主体の法律上の意思を決定し外部に表示する機関をいう。行政処分等の
権限を行使する行政庁として法律上規定されている例としては,内閣府や,法務省等の各省や,
東京都,北海道,京都府,沖縄県等の都道府県や,大阪市,横浜市等の市町村等がある。(ア)

 行政庁から諮問を受けて意見を具申する機関を諮問機関という。参与機関と異なり,これらの
機関の意見に行政庁は必ず従わなければならない訳ではない。法制審議会等の各種審議会が諮問
機関の例である。これらの組織は,国家行政組織法上,審議会等として位置付けられ,同法にい
う委員会とは区別されている。(イ
)国家行政組織上の委員会の例としては,中央労働委
員会,公害等調整委員会がある。
 行政目的を実現するために,代執行,直接強制,即時強制等の実力を行使する機関を執行機関
という。警察官,消防職員,自衛官,海上保安官等がこれに該当する。(ウ)
 また,学説上は,行政庁の事務や会計の処理を検査し,これらの処理が適正に行われているか
を監査する機関のことを指して,監査機関と呼ぶ考え方もある。国の機関の会計処理等を検査す
る会計検査院,地方公共団体の財務に関する事務処理等を監査する監査委員等がこれに該当する。
(エ)

【解説】

アについて

現行法上、「行政機関」という用語は定義されていることが多い。
例えば、行政手続法2条5号では、本肢で挙げられているものが、「行政機関」にあたることになる。
また、国家行政組織法3条2項は、国の行政機関を、省、委員会及び庁としている。

しかし、行政庁という語は、明確に定義されていない。
講学上は、行政主体の法律上の意思を決定し外部に表示する機関とされている。
そして、具体的には、そのような対外的意思表示機関としての機能を有する各省大臣、都道府県知事、市町村長を指すとされる。
そうすると、本肢に列挙されたものは、行政庁足りえないことになる。

以上のことから、本肢は、「行政庁」ではなく、「行政機関」についての記述であると考えるべきだろう。
従って、本肢は誤りとなる。

イについて

諮問機関は、国家行政組織法8条に規定されている。
「行政機関」に附属して設置される機関である。
8条を根拠に成立しているので、「8条機関」という。
これに対し、委員会は同法3条2項により、「行政機関」と位置づけられている。
3条を根拠に成立しているので、「3条機関」という。
憲法でおなじみの独立行政委員会は、3条機関である。
法は両者を明確に区別している。
よって、本肢は正しい。

余談だが、かつての司法試験管理委員会は3条機関であった。
しかし、現在の司法試験委員会は8条機関である。
現在の司法試験委員会には、法務省に対する独立性は、無いのである。
以下の条文を見て、その違いに気付いて欲しい。

(参照条文)

旧司法試験法第12条

司法試験に関する事項を管理させるため、法務大臣の所轄の下に司法試験管理委員会を置く。

現行司法試験法第12条

 法務省に、司法試験委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。

2 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一  司法試験及び予備試験を行うこと。
二  法務大臣の諮問に応じ、司法試験及び予備試験の実施に関する重要事項について調査審議すること。
三  司法試験及び予備試験の実施に関する重要事項に関し、法務大臣に意見を述べること。
四  その他法律によりその権限に属させられた事項を処理すること。

3  委員会は、その所掌事務を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関又は関係のある公私の団体に対   し、必要な資料の提供その他の協力を求めることができる。

ウについて

本問でいうところの執行機関とは、分かりやすくいえば、市民に直接手を下して強制できる機関のことである。
本肢に列挙された機関は、いずれも、そのような権限を有している。
よって、正しい。

エについて

監査機関の例としては、総務省(行政評価局)、会計検査院、監査委員が挙げられる。
本肢は正しい。

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