平成18年度新試短答公法系第27問解説

【問題】

水道事業者による給水拒否に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照
らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から
選びなさい。

ア. 水道事業者である地方公共団体が,同地方公共団体が定めた建築指導要綱に基づく行政指導
に従わないことを理由に,建築中のマンションにつき給水契約の締結を拒否した場合,それが,
当該建築指導要綱を順守させる目的によるときは,水道法第15条にいう「正当な理由」があ
り,違法な拒否には当たらない。

イ. 建築基準法に違反して建築確認を取得せずになされた増築部分について,水道事業者である
地方公共団体の職員が給水装置新設工事の申込書を返戻した場合,その趣旨が,建築基準法違
反の状態を是正して建築確認を受けた上で再度,当該工事の申込みをするよう一応の勧告をす
るにとどまるものと認められるときであっても,それは申込みに対する違法な拒否に当たる。

ウ. 水道事業者である地方公共団体が,建築予定のマンションについての給水契約締結の申込み
を拒否した場合,それが,専ら慢性的な水不足の状況の下で水道水の需要の増加を抑制する目
的によるときは,水道法第15条にいう「正当な理由」がないため,違法な拒否に当たる。

(参照条文)水道法
第15条第1項水道事業者は,事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受
けたときは,正当な理由がなければ,これを拒んではならない。

1. ア○ イ○ ウ○   2. ア○ イ○ ウ×   3. ア○ イ× ウ○
4. ア○ イ× ウ×    5. ア× イ○ ウ○   6. ア× イ○ ウ×
7. ア× イ× ウ○    8. ア× イ× ウ×

【解説】

アについて

武蔵野市マンション事件参照。
「たとえ右の指導要綱を事業主に順守させるため行政指導を継続する必要があったとしても、これを理由として事業主らとの給水契約を留保することは許されない」とする。
よって、誤りである。

イについて

最判昭56・7・16参照。
誤りである。

ウについて

志免町給水拒否事件参照。

「法一五条一項にいう「正当の理由」とは、水道事業者の正常な企業努力にもかかわらず給水契約の締
結を拒まざるを得ない理由を指すものと解されるが、具体的にいかなる事由がこれに当たるかについては、
同項の趣旨、目的のほか、法全体の趣旨、目的や関連する規定に照らして合理的に解釈するのが相当であ
る。」とした上で、

「給水義務は絶対的なものということはできず、給水契約の申込みが右のよう
な適正かつ合理的な供給計画によっては対応することができないものである場合には、法一五条一項にいう
「正当の理由」があるものとして、これを拒むことが許されると解すべきである。」としている。

よって、本肢は誤りである。
なお、「志免」は「しめ」と読む。

以上から、正解は8となる。

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