平成18年度新試短答公法系第28問解説

【問題】

行政手続法における利害関係人の取扱いに関する次のアからウまでの各記述について,正しいも
のに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

ア. 行政庁は,聴聞を行うに当たっては,不利益処分の名あて人となるべき者に対し聴聞の通知
をすれば足り,それ以外に,当該不利益処分につき利害関係を有する者に対して聴聞の通知を
する必要はない。

イ. 行政庁は,申請により求められた許認可等の処分をする場合には,それにより不利益を受け
る者がいるときは,その者に対し,当該処分の理由を示さなければならない。

ウ. 行政庁は,申請に対する処分であって,申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令
において許認可等の要件とされているものを行う場合には,必要に応じ,公聴会の開催その他
の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならな
い。

1. ア○ イ○ ウ○   2. ア○ イ○ ウ×   3. ア○ イ× ウ○
4. ア○ イ× ウ×    5. ア× イ○ ウ○ 6. ア× イ○ ウ×
7. ア× イ× ウ○    8. ア× イ× ウ×

【解説】

アについて

「行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。」(行政手続法15条1項柱書)

そして、「当該不利益処分につき利害関係を有する者」については、

「第19条の規定により聴聞を主宰する者(以下「主宰者」という。)は、必要があると認めるときは、当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者(同条第2項第6号において「関係人」という。)に対し、当該聴聞に関する手続に参加することを求め、又は当該聴聞に関する手続に参加することを許可することができる。」(同法17条1項)

とする。
すなわち、「聴聞手続に参加させてもよい(許容)」としているに過ぎない。
従って、聴聞の通知をしてもしなくても良い、ということになる。

よって、本肢は正しい。

イについて

「行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。」(行政手続法8条1項本文)。

そうすると、一見、本肢は正しいように見える。
しかし、よく読むと、本肢は許認可等がOKになったときに、いわば反射的に不利益を受ける者を問題にしている。
これは、申請者以外の者のことである。

一方、同法8条が対象にしているのは、許認可が拒否されたときであり、開示の相手方は、申請者である。
本肢は、同条8条の範囲からは外れている。

また、同法14条本文は、「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。」とする。
しかし、ここでいう「不利益処分」とは、「行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。」(同法2条4項柱書)。
許認可等の処分は、不利益を受ける者を名宛人とするわけではない。
従って、同条による処分理由開示の対象にもならない。
そして、同法には、他に許認可そのものから不利益を受けた者に対する処分理由開示の規定を置いていない。

以上から、本肢は誤りである。

ウについて

行政手続法10条そのままである。
正しい。

以上より、正解は3となる。

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