平成18年度新試短答公法系第29問解説

【問題】

行政庁の裁量に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っ
ている場合には2を選びなさい。

ア. 法律の条文において,行政処分をすることが「できる」と規定されている場合,当該条文上
の要件が満たされているときに,当該処分をするかしないかの裁量を行政庁に認める趣旨であ
るとは限らない。

イ. 行政庁が裁量権を行使して行った処分については,当不当の問題が生じるだけであるから,
裁判所の審査が及ぶことはない。

ウ. 行政庁が裁量の基準を設けている場合,その基準に従わないでした行政処分であっても,当
然に違法ということにはならない。

エ. 法律の条文上,行政庁において,数種類の不利益処分(一定の者に対して直接に義務を課し
又はその権利を制限する処分)をすることができると規定されている場合,特定の者に対しど
の処分を行うかについて,行政庁に裁量が認められることがある。

【解説】

アについて

裁量論には諸説あるが、文言のみで割り切れるわけでないことは一致する。
正しい。

イについて

自由裁量行為についても、裁量権の逸脱・濫用があれば司法審査は及ぶ(行政事件訴訟法30条)。
よって、誤りである。

ウについて

行政庁の設定する裁量基準は、法規範性を有しない。
よって、その基準に従わない場合でも、当然に違法となるわけではない。
正しい。

エについて

神戸税関事件判例は、

「懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分を行うときにいかなる処分を選ぶかは、懲戒権者の裁量に任されている」
とする。
いわゆる選択裁量である。
正しい。

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