平成18年度新試短答公法系第30問解説

【問題】

行政指導に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤ってい
る場合には2を選びなさい。

ア. 行政指導は,相手の任意の協力を求める行為であるから,行政指導に関して国家賠償法第1
条による損害賠償責任が発生することはない。

イ. 法令上「指導」,「勧告」又は「助言」という文言が使われた場合,その行為は,取消訴訟の
対象たる「処分その他公権力の行使に当たる行為」には当たらない。

ウ. 行政手続法の行政指導に関する規定は,国の行政機関が行う行政指導に適用されるものであ
って,地方公共団体の機関が行う行政指導への適用はない。

エ. 行政手続法の行政指導に関する規定は,法令上に根拠規定のある行政指導にのみ適用される。

【解説】

アについて

行政指導は法的拘束力を有しないため、原則として、「公権力の行使」(国家賠償法1条1項)にあたらない。
もっとも、事実上の拘束力を有する場合もある。
この点、武蔵野市教育施設負担金事件判例は、行政指導であっても、「公権力の行使」にあたる場合のあることを認めている。
よって、本肢は誤りである。

イについて

指導、勧告、助言は、通常、事実行為である。
従って、法的拘束力はない。
そのため、原則として、「処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項)にはあたらない。
しかし、事実上拘束力を有する場合もある。
このような場合には、「処分その他公権力の行使に当たる行為」にあたる余地があるというべきである。
最判平17・7・15も、病院開設中止の勧告が「処分その他公権力の行使に当たる行為」にあたる場合を認めている。
よって、本肢は誤りである。

ウについて

正しい(行政手続法3条3項)。
条例等によって定めることが予定されているからである(同法46条)。

エについて

行政手続法2条6号は、同法に適用される行政指導の意義について定めている。
すなわち、「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める・・・・行為であって処分に該当しないもの」としている。
特に法令上の根拠規定のある行政指導のみには限定していない。
従って、行政手続法の行政指導に関する規定は、法令上に根拠規定のない行政指導にも適用されると解される。
よって、本肢は誤りである。

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