平成18年度新試短答民事系第4問解説

【問題】

代物弁済に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合
わせたものは,後記1から5までのうちどれか。

ア. 代物弁済は弁済と異なり法律行為であることは明らかであるが,債務消滅の法律効果は弁済
と同一であるから,その証明責任は,債務の消滅を主張する側にある。

イ. 金銭をもってする代物弁済による債務消滅の効果を主張する場合,代物弁済の合意が成立し
たことのほか,金銭の交付や振込み等の主張立証が必要である。

ウ. 代物弁済として譲渡された土地の所有権の移転の効果を主張する場合,当事者の合意を主張
立証すれば足り,対抗要件の具備まで主張立証する必要はない。

エ. 既存の金銭債務に関しての約束手形の振出しは,代物弁済と推定される。

オ. 土地をもってする代物弁済による債務消滅の効果を主張する場合,当事者の合意を主張立証
すれば足り,対抗要件の具備まで主張立証する必要はない。

1. アイ  2. アオ  3. イウ  4. ウエ  5. エオ

【解説】

アについて

弁済は債務消滅の効果意思を要せず、準法律行為とされる。
他方、代物弁済は、正確には代物弁済契約であり、法律行為であることは明らかである。
その証明責任は、代物弁済の効果を主張する側、すなわち債務消滅を主張する側にある。
よって、正しい。

イについて

正しい。
代物弁済は要物契約だからである。

ウについて

物権行為としての所有権移転は、意思表示のみで生じる(176条)。
よって、本肢は正しい。

エについて

代物弁済と解すると、債権者は原因債務を失う不利益がある。
従って、特に「支払に代えて」振り出された場合に代物弁済となる。
よって、本肢は誤りである。
旧試験で手形法をやっていた人に有利な出題である。

オについて

債務消滅の効果は、登記完了時に生じる(最判昭40・4・30)。
よって、誤りである。

以上から、正解は5となる。

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