平成18年度新試短答民事系第10問解説

【問題】

物権的請求権に関する次の1から5までの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。

1. 所有者が占有者に対して占有物の返還を求める場合,原告は,被告の占有が権原に基づかな
いことを立証する必要はなく,被告が自己に正当な占有権原のあることを立証しなければなら
ない。

2. 物権的請求権は,確定日付のある証書による通知又は承諾を対抗要件として譲渡することが
できる。

3. 第一順位の抵当権の被担保債権が弁済されて消滅した場合,付従性に基づいて抵当権は当然
に消滅するから,第二順位の抵当権者が第一順位の抵当権の登記の抹消を求める必要はなく,
その登記の抹消を内容とする物権的請求権は生じない。

4. 建物を所有することによって土地を不法占有している者がいる場合,土地の所有者は建物の
所有者を相手に訴えを起こさなければならず,建物の登記名義人がだれかは被告を選ぶ基準と
はならない。

5. 抵当権の設定された土地が不法に占有されている場合,抵当権者は,その占有者に対し,抵
当権に基づいて妨害の排除を求めることができるばかりでなく,自己に明渡しを求めることも
できる。

【解説】

1について

正しい(最判昭35・3・1)。
188条は、所有者との関係では適用されないとされる。

2について

物権的請求権は譲渡できない。
よって、誤り。

3について

残存登記による事実上の不利益が生じるため、抹消請求は認められる。
よって、誤り。

4について

原則はその通りであるが、例外がある(最判平6・2・8)。
よって、誤り。

5について

最判平17・3・10は、「抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合」に、直接抵当権者への明け渡しを肯定する。
よって、誤り。

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