平成18年度新試短答民事系第19問解説

【問題】

AのBに対する金銭債権を担保するために,BがCに賃貸している建物を目的とする抵当権が設
定された場合におけるAの物上代位権の行使に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨
に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。

ア. Bの一般債権者DがBのCに対する賃料債権を差し押さえた後にAのための抵当権設定登記
がされた場合,Aは,同じ賃料債権を差し押さえて優先弁済を受けることができる。

イ. Aのために抵当権設定登記がされた後にCに対する賃料債権がBからEに譲渡されてその第
三者対抗要件が具備された場合,Aは,同じ賃料債権を差し押さえて優先弁済を受けることが
できる。

ウ. Aのために抵当権設定登記がされた後にBの一般債権者FがCに対する既発生の賃料債権を
差し押さえ,その債権をFに転付する旨の命令が効力を生じた場合,Aは,同じ賃料債権を差
し押さえて優先弁済を受けることができる。

エ. Aのために抵当権設定登記がされるより前にCがBに対して金銭を貸し付けていた場合,A
が賃料債権を差し押さえたときは,Cは,その貸金債権の弁済期が差押え後に到来するもので
あっても,当該貸金債権と賃料債権との相殺をもってAに対抗することができる。

オ. Bの承諾を得てCがGに建物を転貸した場合,Aは,建物の賃貸借により生ずる果実である
CのGに対する賃料の債権を差し押さえることができる。

1. アウ  2. アオ  3. イウ  4. イエ  5. エオ

【解説】

アについて

誤り。
差押命令送達と抵当権設定登記の先後で決する(最判平10・3・6)からである。

イについて

正しい。
「払渡し又は引渡し」(372条・304条1項ただし書)には債権譲渡は含まれない(最判平10・1・30)からである。

ウについて

誤り。
転付命令が第三債務者に送達される時までに、抵当権者が民事執行法159条3項の差押えをする必要がある(最判平14・3・12)からである。

エについて

正しい(最判平13・3・13)。

オについて

原則として転賃料債権には物上代位はできない(最判平12・4・14)。
よって、誤り。

以上から、正解は4となる。

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